IS/仮面ライダークウガ A New Legend 作:赤バンブル
クウガとサソリトカゲスは互いに取っ組み合いをはじめ、殴り合いへと発展する。
「ソーリーッ!!お前を始末すれば俺は晴れてゲルショッカーの名誉ある改造人間として末永く讃えられることになる。俺の名誉のために死ね!!」
サソリトカゲスはクウガの首を鋏で絞める
「くうぅ・・・・・・」
「ソーリーッ!!」
しかし、クウガも抵抗して彼の腹部に連続で肘打ちをする。怯んだ隙に放れ、すぐそばのゴミ捨て場にある玩具のピストルを手に取る。
「グゥウ・・・・・・おのれ!!」
サソリトカゲスは、クウガに飛び掛かろうとするがクウガの目とベルトの霊石が緑へと変化し、玩具のピストルもボウガン『ペガサスボウガン』へと変化する。
「今度は緑になったのか!?」
滝が戦闘員たちを蹴散らしながら驚いている中、クウガは弓を引くようにトリガーを引き、ボウガンを構えサソリトカゲスに狙いをつける。
「そんな小道具で何になる!!」
ペガサスボウガンをこけおどしと思い、サソリトカゲスが接近する。クウガは焦る様子もなくゆっくりと引き金を引いた。同時にボウガンから銃声が鳴り響き目には見えない超圧縮された空気弾が彼の右目に命中する。
「ガッ!?ガアアアアア!!!お、俺の目がぁ!?」
突然の痛みに襲われたサソリトカゲスは、右目を押さえながらその場に倒れる。滝と交戦していた戦闘員たちは戦闘を中断して、サソリトカゲスの元へ集う。
「め、目がやられた!!」
想像を絶する痛みに耐えきれずにのたうち回るサソリトカゲスの目の前でクウガは元の赤い姿へと戻る。
「ウグ・・・・・・グゥウ・・・・・」
「ギィイ、サソリトカゲス様しっかり!」
「なんということだ、眼球を貫通している!これ以上の戦闘は無理です。」
戦闘員たちは負傷具合を見て戦闘は無理だと判断し、サソリトカゲスを担いでジープへ乗り込み、撤収する。
「お、おのれクウガ!!この借りは絶対に返すからな!!」
サソリトカゲスは苦し紛れの言葉を発してその場から去る。クウガは後を追おうとしたが精神からくる疲労感でその場に膝をついてしまった。
「へっ!ざまあみやがれってんだ!!」
撤収していくサソリトカゲスたちに対して叫ぶと滝は、クウガの方へと駆けて行く。
「大丈夫か?」
「えぇ・・・・・やっぱり、緑はうまく使わないと危ないなぁ。」
変身を解いて一夏は、ゆっくりと立ち上がる。
「それにしてもゲルショッカーの奴ら、どうしてあの女の子を攫おうとしたんだろうな。」
「俺にもわかりません。けど・・・・・」
「一夏。」
「!」
話の最中に自分を呼んだ声に一夏は振り向く。そこには腕を組んで不機嫌そうな顔をしている鈴が二人を見ていた。
「鈴・・・・・・」
「どういうことよ?アンタ確か千冬さんと一緒にドイツにいたんじゃなかったの!?それに何あの怪物と変態覆面集団は!?それにアンタさっき姿が変わっていたわよね!?ねっ!説明しなさいよ!?」
「お、おい。落ち着けよ、お嬢ちゃん。」
あまりにも現実離れした光景を見せられたせいで混乱している鈴に対して滝は落ち着かせようと動く。
「全く、アンタが急に帰ってこられなくなったって聞いたから心配していたのよ!携帯に連絡しても繋がらなかったし!」
「ごめん。俺の携帯、ゲルショッカーの基地諸共ご臨終になっちまったんだ。それで・・・・」
一夏が言いかけた直後、大きなブザー音が響く。
「「ん?」」
「こ、今度は何よ!?」
ブザー音がした方を三人は目をやる。そこには車が一台止まっており、そこから束がメガホンを持ちながら映画の撮影でもしているかのように一夏たちの方へと来る。
「はいはい、感動の再会中失礼だけどその辺でいったん中断してもらえないかな~?」
「束さん!?」
「えっ!?束って・・・・・・アンタが篠ノ之束!?」
「イエースッ!私が天才 篠ノ之束さんだよ!!・・・・・って言うのは置いといて。いっくんも滝さんもその子連れて一回ライダー隊本部へ戻るよ。他の子たちも連れてね。」
「他の子って・・・・弾たちはとっくに逃げましたよ?」
束は車の後部座席の方を指さす。
「「ど、どうも・・・・・・」」
「・・・・・・・」
「えっと・・・・・・一夏、久しぶり。」
「し、しばらくだったな・・・・・」
そこには先ほど逃げた弾たちが乗せられていた。どうやら、逃げている途中で現場に向かっていた束とすれ違い、回収されたらしい。
「むやみやたらに逃げ帰ったら連中が待ち伏せするか先回りしちゃうかもしれないからね。それに、襲われた理由も調べなくちゃ。」
「・・・そうですね。鈴、悪いけど一緒に来てくれ。このまま家に帰ったらゲルショッカーが狙ってくるかもしれないからな。」
「う、うん・・・・・」
一夏と滝はバイクに乗り込み、鈴は束の車の助手席に乗り込んで一旦、少年仮面ライダー隊本部へと向かうことにした。
ゲルショッカー基地
「何っ!?クウガの姿がもう一つあっただと!?」
「ギイッ、間違いありません。あの緑の姿はガニコウモルとの戦闘でも確認されておりません。」
ブラック将軍は負傷したサソリトカゲスの治療を行っている傍ら、戦闘員の報告を聞いて動揺していた。古代文字の解析ではクウガの姿を現す碑文が最低でも四つ存在していることが分かったがその詳細については詳しくわからず、ガニコウモル戦でも姿を見せたのは赤い姿と青い姿だけだった。だが、クウガは自分たちの予想を上回る形で新たな姿を発現させ、仮面ライダーが生死不明で絶対的優位になっているはずの自分たちの脅威へと変わりつつある。
『ブラック将軍、クウガの力は我々が予想していたものよりも早く成長しつつあるようだ。』
「そのようです。ですが、今は峰の処分と首都圏無血占領作戦が優先です。峰の娘を捕らえるのは失敗しましたがまだ妻の方が残っています。」
『奴が少年仮面ライダー隊と合流して、篠ノ之束に知られたら面倒なことになる。一刻も早く始末するのだ!!』
「サソリトカゲスの目の手術を終わらせ次第、向かわせます。」
ブラック将軍は首領との会話を終えると手術を行っている医療班に声をかける。
「状態はどうなっている?」
「はっ、眼球そのものが貫通してしまっているため、義眼を移植しているところです。」
「ようし、移植が終わり次第サソリトカゲスを峰の家に向かわせろ。娘が少年仮面ライダー隊本部にいる以上こちらの方が早く動ける。峰め・・・・・あのまま死んだ方が楽だったと思わせてくれるぞ。」
ブラック将軍は不敵な笑みを浮かべる。
少年仮面ライダー隊本部
「お父さんが行方不明?」
藤兵衛は自前のコーヒーを淹れながらソファーに座っている香子に聞く。香子は寂しそうな顔で話を続ける。
「二年前、南米に伝染病の研究のために私と母を残して日本を発ったのですがそれ以降最初に来たハガキが届いただけで何の連絡もつかなくなったんです。私の小学校の卒業式には一回戻ってくると書いてあったんですけど・・・・・結局帰ってきませんでした。」
「そうか・・・・・それは心配なことだね。」
藤兵衛は同情しながらも言う。
「母は、きっと帰ってくると信じて家の診療所を続けているんですけど。」
「うん・・・・・そして、今日ゲルショッカーが君を攫いに襲ってきた・・・・・・」
藤兵衛は、何故ゲルショッカーが彼女を攫おうとしたのかを考える。
一方、地下室では束と滝が一夏の周りに起きた出来事を鈴たち三人に教えていた。
「改造人間?」
「そう、簡単に言えばサイボーグ。いっくんの場合は、通常のよりも生身の所をできるだけ残した生体ベースの怪物みたいなもん。」
束は一夏のマシンを製作しながら言う。
「そして、束は、改造された一夏を救出するために奴らの基地に隼人・・・・仮面ライダー2号と共に乗り込んだんだ。すでに手術された後だったが・・・・・・・」
「「「・・・・・・・」」」
信じられない話に鈴たちは頭がおかしくなりそうな気分だったが目の前でガラスのコップをうっかり握った状態で割ってしまった一夏の手を見て納得してしまった。
一夏の手は無数のガラスの破片が刺さり、少なくない量の出血をしていたにもかかわらず瞬時に血が止まり何事もなかったかのように完治してしまった。
「・・・・・・聞いての通りだ皆。俺はこの通り人間じゃなくなった。改造人間・・・戦うための身体になったんだ。」
「一夏・・・・・・」
「俺が学校に行かなくなったのは、俺を狙ってゲルショッカーがみんなに手をかけるかもしれないと思ったからなんだ。」
一夏は、悲しそうな顔をしながら言う。けれど三人は怯える様子はなかった。
「・・・・けどよ一夏、お前はお前のままなんだろ?」
「弾。」
「そりゃさ、確かに体は人間じゃなくなったかもしれないけどよ。お前自身が俺たちの知っている一夏じゃなくなったわけじゃないんだ。別に俺たちのことを避ける事なんかないじゃないか。」
「それはそうだけど・・・・・・」
「だけど何よ?」
鈴は顔を伏せながら一夏に近づく。弾と数馬は気まずそうな顔をする。
「だけど何?そうやって避けて、私たちの気持ちも考えずに目の前から消したってわけ?」
「鈴・・・・俺だってみんなを巻き込みたくなかったんだ。それに・・・・・!?」
一夏が言いかけた直後、鈴の平手が彼の顔に命中した。その瞬間、弾と数馬は「あちゃぁ・・・」と言いながら顔を手で隠す。
「・・・・・・」
「今のは私たちに黙って勝手にいなくなった分。そして・・・・・」
鈴は一夏にヘッドロックを仕掛ける。意外に力が強く、改造人間である一夏も思わず苦しくなった。
「これが何でも自分で背負おうとした罰よ!!」
「グハアッ!?ま、待て鈴!?」
一夏は無理やり鈴の手から離れて彼女の顔を見る。
「俺はみんなをまも・・!?」
一夏は、みんなを守りたいと思っているからなんだと言いかけたが彼女が泣いていることに気がついて言葉を失う。
「アンタがいなくなったらいなくなって心配しているこっちの身にもなりなさいよ・・・・・バカ!急に帰ってこられなくなったとか知らせが来たときは心配したんだからね!!!」
鈴は、今まで寂しく感じていたのか泣き止もうと思いながらもなかなか収まらなかった。
「・・・・・・ごめん。」
「謝れば済むって話じゃ・・・・・えっぐ・・・・・ないんだからね!」
そんな空気の中、地下室へ藤兵衛が慌ただしく、入ってきた。
「一夏、すまんがすぐに出られるか?」
一夏は泣いている鈴を座らせると藤兵衛の方へと行く。
「どうしたんですか、おやっさん?」
「滝がFBI本部にあの香子ちゃんって子のお父さんについて調べてもらったんだがどうやら細菌兵器関連でショッカーに拉致された可能性があるそうだ。」
「じゃあ、ゲルショッカーが彼女を狙ったのは・・・・・」
「おそらく、彼女のお父さんが何らかの理由でゲルショッカーの魔の手から逃げ出せたんだろう。それで人質として狙ったんだ。」
「彼女はここにいる。っということは今度は・・・・・・」
一夏と藤兵衛は小さな声で話を続ける。
「あぁ。おそらく今度はあの子のお母さんが狙われる番だろう。滝は、今から出たら時間がかかる。行ってくれんか?」
「わかりました。」
一夏は三人の方を見る。
「みんな・・・・・俺は、今は行方が分からない仮面ライダーに変わってゲルショッカーと戦わなくちゃならない。それが茨の道だという事もわかっている。でも・・・・・・俺は、親友ともいえるみんなと守りたいものがあるから戦うんだ。」
「一夏・・・・・・お前・・・・」
「束さん、俺のマシンは?」
一夏は、マシンの調整をしている束に声をかける。
「うん~~~~束さん的にはもうちょっと改良を加えたいところだけどこの機体だと限度があるからこのくらいでいいかな?それじゃあ、いっくん専用マシンの登場~~~~~パンパカパ~~ン!!」
束はマシンを一夏の目の前に見せる。
「FBIで配備予定のTRCSをベースに改良を加えたその名も『トライチェイサー』~!!元々試作機をベースにチューンしてあるから向こうの量産型では省いた機能は全部、そして、束さんのオーバーテクノロジ~をバンバン詰め込んだ一品だよ!!」
「トライチェイサーか・・・・・悪くないな。」
一夏はトライチェイサーに跨ろうとするが右ハンドルがないことに気がつく。
「右のハンドルは?」
「ここだよ。」
束はアタッシュケースを開けて警棒も兼ねた起動キーを差し込む。するとシステムが起動し始める。
「おぉお・・・・・・」
「さあ、試し運転する暇はないけどこれならすぐに行けるはずだよ。」
束は地下室のゲートを開いて地上への出入り口を開く。
「滝は遅れてだが合流する予定だ。無茶はするんじゃないぞ。」
「はい。」
「一夏・・・・・」
「ん?」
ようやく泣き止んだ鈴は涙を拭いながら一夏を見る。
「・・・・・・ちゃんと帰ってきなさいよ。」
「・・・・・当たり前じゃないか。」
そう言うと一夏は腰に両手を添える。
するとアークルが出現する。
「変・・・・・・・・身!!」
身体が赤い装甲に覆われ、瞬く間に一夏の姿はクウガへと変化する。クウガは改めて藤兵衛、束、鈴たちを見る。
「じゃあ、行ってきます。」
クウガはトライチェイサーを走らせ、急いで目的地へと向かう。
次回、あの男が帰ってくる。