あるmobが守る鎮守府の日常について   作:キルメナイム

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作者がSNSを始めるときに作った半オリキャラを主役にして書いてみました。色々と酷い出来だと思われます。覚悟して読んでください。

今回はプロローグ回です。
文章のわりには柔らか~い世界線にするつもりなのでよろしくお願いします。


第一章 ラバウルの日常編
第1話 ここはラバウル基地


 祖国日本の遥か南方、オーストラリア大陸の北東に浮かぶニューブリテン島。そこに存在するラバウル基地が僕の仕事場だ。僕はそこの『提督』として基地を管理し、艦娘たちを指揮し、日々深海棲艦との戦いに臨んでいる。本土から遠く離れたラバウルでの勤務は悩みが尽きないが、決して悪いものじゃない。優秀で心優しい艦娘たちに陽気で面白い妖精さん、義理堅く海軍に理解のある民間人などに支えられて基地を回す毎日は、軍属としては結構恵まれていると思う。艦隊指令部の参謀たちは、僕のことを辺境の地に送られた可哀想な奴という目で見るが、僕にとってはその逆だ。ここには、本土の勤務で付きまとうような組織の面倒事はないのだから。僕のような出自の者にはありがたい環境だ。まぁ、そういう理由だけでラバウルに留まっている訳ではないが……

 

 

 

 この物語の舞台は、戦争モノではお馴染みの平凡な前線基地である。 そう、たった一点を除いて平凡な基地の……

 

 

 

 ラバウルに朝が訪れた。朝日に照らされる基地全体に妖精さんの吹くラッパの音が響き渡る。この瞬間から、ラバウルの一日が始まるのだ。

「うーん……くぅぅぅぅ……」

 提督がラッパの音で目を覚ましたのは、寝室ではなくて執務室の椅子の上だった。まだ重いまぶたをこじ開け、大きなあくびを一つ。それと同時に、全身を不快な気だるさが走る。提督は小さく唸りながら立ち上がり、執務机を見回した。執務机の上にはラバウル近海の海図が広げられ、様々なメモや写真などが貼り付けられている。その他にも、各種資料や書類などが無造作に置かれていた。

 思い出した。昨晩の僕は近海防衛のための作戦を練っていて、そこまま眠ってしまったんだ。とりあえず、今日の執務の前に机は片付けておかないとな。

 提督は、机に散らばった写真や書類を大まかにまとめ、海図を畳んで引き出しにしまった。

 ラバウル基地というのは、本土の海軍拠点と比べて守りにくい状況にある。まず、四方を海に囲まれている。深海棲艦に押されても、本土と違って後退できる場所はない。一つ一つの戦いが基地の今後に関わる防衛戦であり、失敗は絶対に許されないのだ。さらに、本土からの距離と、制海権のほとんどが深海棲艦に奪われている現状ゆえに、補給があまり受けられない。ラバウル自体に生産設備が無いではないが、万全には程遠く、本土からの補給が完全に止まってしまえばラバウルの物資は枯渇するだろう。基地の艦娘たちには見せないようにこそしているものの、提督はこれらの問題に頭を抱えていた。

 

 ーコンコンコンー

「提督、失礼します」

 執務室のドアがノックされる音に、聞き慣れた声。提督が顔を上げると、入ってきたのは彼の秘書艦の大淀だった。

「おはよう、大淀」

「おはようございます。提督、こちらが本日中に処理が必要な書類です」

 大淀が書類の束を机の上に置く。彼女は、提督の僕が仕事をしやすいようにと書類をまとめたり、事務仕事を引き受けたりしてくれている僕の頭の上がらない艦娘の一人だ。

「毎日ありがとう。本当にすまないな」

「いいんですよ。この仕事、嫌いじゃありませんから」

「でも、大淀は普段は戦闘にも出ているだろう?負担がかかるようなら僕とあいつらでやるけど」

「ありがとうございます。ですが、お気持ちだけで十分です。私、この仕事好きですから」

「そうか……」

本当に頭が下がる。僕が大淀の立場だったら、二日で放り出す自信がある。しっかりと労らないとなぁ……。

「それよりも提督?」

「はい?」

 今度は大淀の方から提督に声をかけた。提督が首をかしげる。

「提督は昨晩も寝室でお休みになりませんでしたね?」

「……いや?」

「提督?」

「スミマセンデシタ……」

大淀は少し怒り気味に提督を問い詰めた。提督も、大淀には強く出られずにアッサリと折れてしまう。

「これで何度目ですか?休むときはどうか寝室でとあれほどお願いしたではありませんか」

「すまないすまない。でも、この体だと椅子でも十分にベッドになるからさ……」

「人の体よりはそうかもしれませんが、疲労は溜まっているはずです。きのう雷さんが、司令官は徹夜明けとかは元気がなさそう、と心配していましたよ?」

「雷のやつ、ちゃんと見てるんだなぁ……」

「提督が風邪でもひかれたらどうするのですか?雷さんの他にも提督のことを心配している者もいますし、病気になられたら艦隊の運営に影響が出ます」

「すまない。これからは本当に気を付けるよ」

「提督は、もう少しご自分の体を大切になさってください」

 大淀の言葉が提督に刺さる。たしかに、ここ最近は寝室で眠らない日が増えている。ちゃんと考えないとな……。

「では提督、朝食ができております。食堂へ」

「うん。ところで大淀、今朝のメニューは?」

「鳳翔さんが、塩鮭とお味噌汁を用意してくれています」

「おお~。それは楽しみだね」

 大淀に朝食のメニューを確認した提督は、足元に長い竹馬を出現させると、椅子の上からそれに華麗に飛び乗って食堂へと移動を開始した。

「提督、やはりその竹馬は必要ですか?」

「うん。これがないと、僕の身長は君たちの足元位までしかないからね。この低身長がコンプレックスだって、大淀も知ってるだろう?」

「そうでしたね。行きましょうか」

二人の足音は、執務室から食堂へと遠ざかっていったのだった。

 

 

 

 この物語の舞台は、戦争モノではありふれた平凡な前線基地だ。しかし、たった一点だけ異常な点が存在する。それは、提督に関することだ。その行動から分かるように、ここの提督は色々とおかしいのだ。異常な低身長に、竹馬をその辺から呼び出してしまうという超能力。普通の提督、というか人間にはこんな芸当は不可能だ。

 言ってしまうと、ラバウルの提督は人間ではないのだ。その外見に至っては、もはやぬいぐるみである。ブカブカのパーカーを着込み、木靴を履き、素顔は仮面で隠している。つまり、ラバウルの提督は……

 

 

 ラバウルの提督、つまり僕は『ヘイホー』である。そういう設定のロボット、とかではなくて正真正銘のヘイホーである。あの世界的アクションゲームの雑魚キャラの、配管工には踏まれ、投げられ、恐竜には卵にされるヘイホーである。ある日ゲームの画面を越えて日本に飛び出した僕が、軍属をやっているのだ。この外見のために、本土では苦労を強いられた。まぁ、当たり前か……。

 日本に飛び出した僕は、色々あった後に海軍組織に、そしてラバウルに行き着いた。今では、基地の艦娘たちにもこの容姿が受け入れられ、提督としての仕事も身に付き、『ヘイホー提督』というのが板についてきている。ヘイホーの体だからこそ苦労することも、役に立つこともある。

 僕は、ヘイホー提督という肩書きにそれなりの誇りを持ち、ラバウルを守っている。今までも、そしてこれからも。




第一話はここまでです。次回は朝食のお話になります。

Web小説向けの文章、というのを意識して書いてみました。まだまだ素人の未熟者なので、この作品を読んでくださってアドバイスや感想などある方はお気軽にお願いします。次話の投稿を急ぎます。
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