あるmobが守る鎮守府の日常について   作:キルメナイム

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結局投稿が遅くなってしまい申し訳ないです~( ;´・ω・`)
今回はシリーズ初の戦闘回です~


第3話 近海防衛戦

 その日、軽空母の龍驤は第一艦隊の旗艦として、鳳翔、白露、時雨、村雨、夕立と共にラバウル基地北方の海域に展開していた。ここ最近ラバウルに対して空襲を仕掛けてきている深海機動部隊を排除するためだ。

「この間の作戦で敵の水上打撃群を叩いたばかりやっちゅうに……」

そう呟く龍驤の表情には、疲れ以外にも微かな不安の色が見て取れた。無理もない、彼女が参加する敵艦隊の掃討作戦はこれで何度目になることか……。

 深海棲艦という存在は、開戦から今日に至っても多くの謎に包まれている。詳しい性質や発生過程などもほとんど分かっていない。それゆえ、人類は深海棲艦の行動に対して後手に回らざるを得ない。本土から孤立した立地にあるラバウル基地はその影響を強く受け、以前から多くの深海棲艦の襲撃を受けていた。現在のヘイホー提督が着任して以降は防衛戦略が刷新され、いくらか戦線を押し戻したものの、深海棲艦に対する防衛線の維持は予断を許さない状況だった。

「まぁ、今の司令官に代わってからは状況もマシにはなったけどな。前任の司令官は、艦娘の指揮なんてまともに出来ひんかったし……まあ、ミサイルや衛星やいうハイカラな兵器に慣れたエリートにはあれが限界やった、っていうのもあるんやろうけど」

そんな龍驤の言葉に随伴艦の時雨が応える。

「うん、提督はすごく頑張ってくれてるって僕も思うな。指揮は的確だし、僕たちのことを理解しようとしてくれてる」

「しかしながら、その真面目さゆえに無理をしたり問題を抱え込んだりすることもあるようです……」

その時雨の言葉に付け加えるように二番艦の鳳翔が言う。

「あんなモフモフのくせして、性格はちゃうねんな~……」

 龍驤が言葉を発したまさにその時だった。鳳翔の無線機が、雑音を放ち始めた。

 

 ージジジ……ピピピピピ……ー

 

「皆さん、先ほど飛ばした偵察機からの入電です!」

鳳翔の言葉と同時に、場の雰囲気は張り詰めたものへと一瞬で変化する。艦隊の全員が、無線の音へと耳を傾けた。

「軽量級の敵機動部隊を発見。ヌ級二隻、随伴に駆逐イ級を認む、です!」

鳳翔が電文を即座に翻訳して読み上げる。

「なるほど……。規模からして本隊じゃない……今までの目的は偵察?」

「やな……ホンマの空襲やったらもっとエグいのが来てたやろ……さて、指令室へ情報を送るでぇ!」

龍驤がラバウル基地へと無線を繋ぎ始めた。

 

 ラバウル基地の艦隊指令室では、提督が艦隊からの報告を待っているところであった。

「第一艦隊は、会敵出来るでしょうか……」

 提督の補助に着いていた大淀が不安げに呟く。

「大丈夫だよ。龍驤と鳳翔が現場指揮を執るんだ、二人はベテランだよ?」

 大淀にそう応える提督も、内心ではプレッシャーに押し潰されそうであった。

ここで敵を逃せば、基地の防衛線に穴を開けられる……そんな所に敵の本隊でも攻めてくれば壊滅的な被害に繋がる。これ以上の空襲と偵察は、何としてでも阻止しておきたい……。

提督は冷や汗をかいていたが、その服装ゆえに大淀にそれを気取られることはなかった……。

 

 ーガガガガガ……ピピ…ピピピ……ジジー

 

 指令室のそんな雰囲気を打ち破るように、突然に無線機が鳴り始めた。

「来た!」

思わず叫ぶ提督。大淀も、素早く電文の解読を開始する。

「解読完了。ーワレ、輪形陣ヲ形成セシ敵機動部隊ヲ発見セリ。ヌ級二隻及ビ随伴ノイ級ヲ認ムー、です」

それを聞いた提督は、素早くマイクを手に取った。

「よし、艦隊旗艦の龍驤に直接繋いで!」

 

 龍驤の無線機が、提督の声を受信した。

『龍驤、聞こえてる?』

「良好やで、司令官」

『よかった。それにしても、思いの外早く発見できたね。昼間のうちに決着が着きそうかな?』

「せやな……これから第一次攻撃隊を発艦させるで!」

『よし、艦隊は複縦陣を維持して突撃!第一次攻撃で敵空母を無力化し、砲雷撃戦で撃破せよ!』

「了解や!」

 龍驤は、無線を切って声を張り上げた。

「聞いたな、艦隊複縦陣!対空警戒を厳として、突撃や!」

「了解!」

 皆の返事が響くと同時に、龍驤は巨大な巻物を展開した。それに描かれた飛行甲板が淡く輝き、その上に置かれた式神が艦載機へと姿を変える。それと同時に、鳳翔が弓を構えた。

「艦載機のみんな、お仕事お仕事!」

龍驤の指先に灯った『勅令』の炎が、一瞬その明るさを増す。

 その瞬間、鳳翔が空に向けて矢を放った。空に放たれた矢は、多数の艦載機に姿を変えて編隊を形成する。さらに、龍驤の巻物からも次々と艦載機が発艦していった。

「先手はもらった!一気に決めるでぇ!」

 二人の放った艦載機は、美しい編隊を維持しつつ敵艦隊へ向けて突撃していった。

「私たちも続きます、艦隊前へ!」

鳳翔の掛け声と共に、第一艦隊も速度をあげて突撃を開始するのであった。

 

 

 少しして、龍驤と鳳翔が先発した攻撃隊の無電を受信した。それは、敵空母の無力化に成功したことを報せるものだった。

「ここまでは作戦通りやな……」

「……ッ!前方に敵艦隊を発見!」

 龍驤の呟きと同時に、時雨が敵艦隊を捕捉した。敵艦隊は空母から黒煙が立ち上ぼり、随伴の駆逐イ級も陣形を乱されて損傷を負っているものがあるようだった。

「……後は私たちの仕事ね」

村雨の言葉に、白露が頷いた。時雨と夕立も、手にしている主砲に弾を装填する動作で応える。

「これより、残敵掃討に移行する!」

 白露の声と共に、四人が突撃を開始した。敵の接近を感じ取った四隻のイ級が素早く回頭し、砲撃を開始する。

「さすがに早い……!でもっ……!」

四人は、身体をひねり、そらし、ジグザグ航行でイ級の攻撃をかわしていく。

 夕立が、真っ先に敵陣の懐に飛び込んだ。

「……ぽいっ!」

正面に展開してきたイ級に対し、至近距離から砲弾を叩き込む。激しい爆発が起こり、イ級は海に吸い込まれていく。

『グギギ……ギギギギ』

残されたイ級が、夕立を取り囲むように機動をとり始めた。こんな姿でも報復の概念は持ち合わせているらしく、持てる最大火力を夕立にぶつける構えだ。

「私が一番命中率が高いんだからね!」

 そんなイ級たちに対して、夕立に続いて突撃してきた白露の主砲が火を噴いた。また一隻、イ級が海に吸い込まれていく。さらに、中距離から白露と夕立の援護射撃を開始した時雨と村雨が、二人の撃ち漏らしを撃沈する。

「敵駆逐艦を全て撃沈」

「ヌ級が逃げるっぽい!」

 ここにきて、艦載機発着能力に護衛まで失った軽母ヌ級が撤退を開始した。しかし、龍驤と鳳翔の放った第二次攻撃隊によって、ヌ級が抱いたであろう微かな希望は粉砕され海の藻屑と化した。

 戦闘を終えた白露たちと合流した龍驤は、周囲を見渡した。周辺に深海棲艦の気配はなく、電探やソナーにも反応はない。安堵のため息をついた龍驤が無線機を手に取った。

「司令官、聞こえる?敵艦隊の全艦を撃沈。周囲に敵影は認められず、や」

『皆お疲れ様。現時点をもって作戦を終了、全艦帰投せよ。くれぐれも気をつけてね』

「了解や」

 

 

 夕方、ラバウルの港に第一艦隊の皆が帰投した。提督に大淀、白露型の姉妹たちと隼鷹が出迎える。

「おかえり。皆お疲れ様」

「司令官、ウチやったで!褒めて褒めて~!」

「よしよし」

竹馬に乗った提督に駆け寄る龍驤。そんな彼女の甘えに応じた提督が、竹馬の上から頭を撫でてやる。

「やってもらってアレやけど、司令官は撫でるより撫でられる側やな」

「ほら、そういうこと言う~。僕だって恥ずかしいの我慢してやってるんだよ?……まあ否定はしないけどさ」

もはやお馴染みとなった帰投後の一幕に、その場にいる皆が笑う。

「まぁ茶番はさておいて、皆疲れとかも溜まってるだろうから先に入渠しておいでよ。報告は後でいいから」

「はーい!」

 提督がそう言うと同時に、どこからともなく色とりどりなプロペラヘイホーの軍団が飛んできた。

『ボクたちの出番だ~!』

『お仕事だ~!』

港に集まるプロペラヘイホーたち。彼らは提督の前に静かに着陸し、ピタリと整列した。

「わぁ~!可愛い!」

 白露が一体のプロペラヘイホーの頭を撫でると、そのヘイホーは嬉しそうに鳴き声を漏らした。仮面で素顔を隠しているはずなのに、本当に感情を豊かに感じさせる。

「ところで提督、この子たちがどうしたの?」

 時雨の問いに提督が答える。

「ああ、こいつらには、皆の艤装の預り係をやってもらおうと思ってね」

「と言うと?」

「ほら、今までは任務から帰投した艦娘が自分で艤装を工廠に持って行ってから入渠してたでしょ?あれって結構疲れるんじゃないかと思ったんだ。だから、これからはプロペラヘイホーたちに皆の艤装を工廠まで運んでもらって、任務から帰って来た子はすぐに入渠や補給が出来るようにしようと思ってね」

「僕たちのことを考えて……提督、ありがとう。ヘイホーさんたちもね」

 時雨は、足元にいたヘイホーの頭を撫でた。心地良さそうに首を傾げるヘイホーの仕草を見て、思わず頬が緩む。時雨にとって、提督とヘイホーたちの何気ない気遣いは何よりも嬉しく感じられたのだ。

「はい!はい!夕立も、気になることがあるっぽい!」

 今度は、夕立が勢いよく手を挙げた。

「なにかな?」

「私たちの艤装って、結構重いっぽい!ヘイホーさんたちの体じゃ運ぶのは無理そうっぽい?」

 夕立の質問に、周囲の艦娘たちが『たしかに』といった調子で頷いた。しかし、提督はそんな艦娘たちの反応に対してむしろ嬉しそうに答えた。

「その質問を待っていたよ。安心して?プロペラヘイホーは、もと居た世界では自分の体と同じくらいの大きさのコインを運んでいたんだ。重い艤装だって、数体いれば運べるよ」

「体が小さくても侮れないっぽい……」

提督の返答を聞いた夕立は、プロペラヘイホーをまじまじと見詰めた。この小さな体に、それほどの力があるとは……。

「さぁ、皆そろそろ行こうよ。いつまでもこんな所にいたら、体が冷えちゃうよ」

「そうですね。皆さん、行きましょうか」

 そう言った鳳翔が艤装をおろすと、プロペラヘイホーたちが三体でそれを持ち上げた。

「まぁ!実際に見ると驚かされますね」

 鳳翔に続いて、他の艦娘たちも艤装をおろし、プロペラヘイホーたちに預けた。プロペラヘイホーたちは、息の合った動作で艤装をバランスよく持ち上げ、工廠の方へと飛び始めた。

『行ってきまーす!』

『お預かりします~!』

「気をつけてね~」

「さぁ、私たちも行きましょう」

 

 プロペラヘイホーたちを見送った艦娘たちは、その後入渠と夕食を済ませ、宿舎にて眠りに就いた。

こうして、ラバウルのある一日は無事に終わったのであった。




なんとか書けました。本場の人ではないので下手な大阪弁にはどうかご勘弁を……。この作品を書くときの悩みが、思い付いたままに書くとヘイホー成分が強くなりすぎてしまうこと……あくまでも艦これの小説なのでバランスが難しい……(*-ω-)
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