-一夏side-
今日は高校の入学式。新しい世界の幕開け、その初日。
それ自体はいい。むしろ喜ぶべきところだ。しかし、一夏は、そんなことを言っていられない状況にいた。周りは女子しかおらず、この教室の中で男子は俺しかいない。それゆえ、周りからの視線が一気に俺に向けられている。正直、とても居心地が悪い。
「はぁー」と一夏は深いため息をつく。なぜ、俺がこのIS学園にいるのかというと、理由は
簡単。ISを動かしてしまったからである。本来俺は、藍越学園を受けるつもりだった。
しかし、試験会場で迷い、ある部屋に入った。そこにはISがあった。それを、興味本位で触って
しまい、起動させてしっまたところをIS学園の試験官に見つかって、強制的に入学。ま、それもそのはず、ISは女性しか乗ることができない。つまり、俺はそれを動かしてしっまった。
こうして、世界初の男性操縦者となり、一躍有名人となった。めでたしめでたし~
(じゃあるかボケッ!!!)
「・・・くん。織斑くん・・・」
なんだ、俺を呼ぶ声が聞こえる。あまりの視線の集中砲火に晒されて幻聴でも聞こえるようになった
のか?嘘であって欲しい・・・
「あのー聞こえてます~?織斑くん・・・?ぐすん。ていうか幻聴じゃありません!!」
「わっ、はい!?というより聞こえてたんだ。すみません」
やっ、やばい!!!いきなりの大声で呼ばれて思わず声が裏がえってしっまた。案の定、
クスクスと笑い声が聞こえてきて、俺はますます落ち着かない気分になる。というより聞こえてたんんだ・・・
「あっ、あの、大声出しちゃってごめんなさい。お、怒ってるかな?ゴメンね、ゴメンね!
でもね、あのね、自己紹介、「あ」から始まって今「お」の織斑くんなんだよね。だからね、
ゴメンね?自己紹介してくれるかな?だ、ダメかな?」
ペコペコ山田真耶先生が頭を下げていた。というより、どっからどう見ても、この先生、先生に
見えない。
「いや、あの、そんなに謝らなくても・・・っていうか自己紹介しますから、先生落ち着いて
ください」
「ほ、本当?本当ですか?本当ですね?や、約束ですよ。絶対ですよ!」
がばっと顔を上げ、熱心に詰め寄る山田先生。こりゃまたすごい目線を浴びてるんですが。火に油を注ぐとはきっとこのことだろう。しかし、男子たるもの引くわけにもいかない。
ここは、一発かましてやるぞ!!
「えー、・・・織斑一夏です・・・・・」
やばい、いざとなったら緊張しすぎて言葉が出てこない。どうしようと幼なじみの篠ノ之箒に救い
の目線を送るが、そっぽを向かれてしまった。仕方がない。最終手段だ。
「ふぅー。はぁー」
大きく深呼吸をした。そして・・・
「以上です!!」
がたたっ。思わずずっこける女子たち。どんだけ期待してんだよ。期待する相手を間違えてる。
「あ。あのー・・・」
背後からかけられる声。もう泣く寸前の声である。え?あれ?ダメでした?
「いっー!?」
突如、後頭部を叩かれて、目の前が真っ暗になりそうになった。この叩き方。身に覚えがある・・・
もしや!?おそるおそる振り返るとそこには、黒のスーツにタイトスカート、スラリとした長身、
よく鍛えられているが、けして過肉厚ではないボディーライン。組んだ腕、狼を思わせる鋭い吊目。
「げえっ、関羽!?」
ドゴッ!本日2回目ありがとうございます。ていうより痛ぇー。ていうか今の音出席簿が出せる音
ではない・・・
「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」
なんで、千冬姉がここにいるんだ?職業不祥で月に12回ほどしか家に帰ってこない俺の実姉は・・
「あ、織斑先生、もう会議は、終わられたんですか?」
「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押し付けてすまなかったな」
・・・初めて聞いたぞ、千冬姉の優しい声。
「い、いえっ。副担ですから、これくらいはしないと・・・」
さっきからの山田真耶先生の涙声がなくなり、逆に、織斑千冬に向けた熱い目線へと変わっていた。
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を1年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。
私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる、私の仕事は
弱冠15才を16才までに鍛えることだ。逆らってもいいが、私の言うことは聞け。いいな」
周りは静寂に包まれ、そして・・・
「キャー、千冬様、本物の千冬様よ!」
「ずっとファンでした!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」
もう信者に近いなこれ・・・
「私、お姉様のためなら死ねます!」
きゃいきゃい騒ぐ女子たちを、千冬姉はかなりうっとしそうな顔で見る。
「・・・毎年よくこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か?
私のクラスにだけ馬鹿者を集中させているのか?」
・・・相当うっとうしがっているな。普通なら喜ぶべきところだろ、そこ・・
ていうより、今のでもっと騒がしなったな。元気なことで。
「で?挨拶も満足にできんのか、お前は」
厳しくない!?ただでさえ男1人なのに、あの状態じゃ緊張して、まともにできるわけないじゃん。
「いやー千冬姉、俺はー」
パァーン!本日3発目。なんだよこれ漫才かよ。ていうより、少し気持ちよ・・いかんいかん危なかった。あと少しでMになるところだった。
「織斑先生と呼べ」
「・・・はい織斑先生」
このやりとりはまずかったと気づく一夏。それもそのはず、今ので、姉弟ということが教室中の
バレてしまった。
「えっ・・・織斑くんって、あの千冬様の弟・・・?」
「それじゃあ、世界で唯一男で「IS」を使えるっていうのも、それが「静かにしろ!!」・・・」
千冬姉の大声でまたもや教室に静寂が訪れた。
「これより、IS学園に急遽入学になったものを紹介する。ポートガス入ってこい」
シュンと扉が開くと、そこから、オシャレなサングラスのようなものがついたオレンジ色の帽子
をかぶり、俺と同じIS学園の男用の制服を着た、黒髪でハンサムな男が入ってきて教壇の前に
立った。
「自己紹介しろポートガス」
「おう。俺の名前は、ポートガス・D・エース。織斑一夏の護衛としてここに入学することになった。これからよろしくな」
一夏は、もう1人男がいることにホッとしたのと同時に変な単語が聞こえたような気がした。
が聞き間違いじゃなかったようだ。
「護えい~!?」
また、教室が騒がしくなった。
ありがとうございました。
あと、エースはISに乗れないという設定でいくのでよろしくお願いします>_<