霧が深く立ち込める都。そこは英国の中心地、ロンドン。華やかな街並みを想像するかもしれない。しかし、このロンドンには、恐ろしい殺人鬼が“居た”。
女性の悲鳴が夜の街に響き渡る。
嗚呼、またこの夢か。俺はここ十年近く、頻繁に見るこの夢に飽々していた。狭い路地裏に広がる血溜まりに佇む人影。人影が男なのか女なのかは分からない。大人のようにも見えるし、子供のようにも見える。影は揺らめいて、やがて消える。そしてまた女性の悲鳴が聞こえる。これの繰り返しだ。
この夢を毎晩見たこともあった。幼い頃の俺は、この悪夢を見たくなくてずっと起きていた。両親はそんな俺を心配して病院に連れていってくれた。何か怖いものを見た影響だと、俺を診察した医師は言った。所謂、トラウマだと。子供は多感故に、そう言うのに敏感なのだとも。それは違うと声を大にして言いたかったが、止めておいた。そう言う事にしておけば、両親を無駄に心配させずに済むから。だから俺は、ずっと我慢した。我慢して、我慢して、我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して…………そしてある日、気がついた。俺が恐れていたのは、“自分自身”だった。
忌まわしきあの日の夜、俺は、1度死んだんだ━━━。
━━ピピピッ、ピピピッ、ピッ━━
あぁ、朝か。あの夢を見た日の朝は、気分が最悪だ。逆に身体は絶好調なのだが。鳴り止んだ目覚まし時計を見てみると、朝の7時。これから準備して学校へ行く。余裕じゃないか。
「だから二度寝しても問題無いって訳だ」
「駄目。起きる」
「……………オーフィスさん?いつからそこに?」
「30分くらい前。
「誰かに言われたのか?」
「ん、黒歌に。きっと朱鳥は起きないだろうって。我、頼まれた」
えっへんと胸を張る幼女。フリフリのゴスロリに身を包む黒髪の少女は、家の居候である。
さて、聡明な読者諸君ならもうお分かりだろう。ここが、この世界がどう言った世界なのか。そして俺は、そんな世界に転生した、愚か者と言う訳だ。
「朱鳥、起きる。朝ごはん、もう出来てる」
起きてーと俺のパジャマを引っ張るオーフィスにニヤニヤしてしまう。いかんいかん。朝から邪な心を抱いてはいかんぞ。あの御禁制風紀委員長系ママに何を言われるか分かったもんじゃない。イエスロリータ、ノータッチだ。うん。
「そうか。ありがとよ。二度寝は諦めるから、先に行っててくれ。準備していくからさ」
「ん、待ってる。だから早く来る」
そう言うとオーフィスは部屋を出ていく。
そう、これが朝の日課。今の生活が始まってから続いている。
「さて、と」
堕落と怠惰の極致。NI★DO★NE★は残念だが、もう目は覚めてしまった。名残惜しいが、ベッドから出ないとな。
あの夢は、俺が物心ついた時から見ている。そもそも、夢と言う物は、あの夢以外見たことが無い。
所詮、夢は夢でしか無い。そう思えたならどんなに楽だったことか。
自室を出て洗面所へ行き、顔を洗い、歯を磨く。そうやって準備が出来れば、次は台所だ。
「あ、やーっと起きてきたにゃー。もう、遅いよ」
「ごめんごめん。ちょっと夢見が悪くてね」
台所で朝食を準備していたのは黒歌だ。彼女も、家の居候………と言う事になるのか?だが、彼女との付き合い(男女の関係では無く)はもう3年になる。居候では無く、もう家族と言っても良いのかも知れない。うん。
「何を一人で納得してるのか知らにゃいけど、早く食べちゃってね。今日から新学期、朱鳥も二年生だにゃー」
そう、今日から新学期。俺は高校二年生になった。俺がこうして高校に通えているのが今でも不思議なのだが、これを当たり前と思わず。こんな素敵な日々を送れるようになった人達に感謝しなければいけない。
「じゃ、食べるか。新学期早々、遅刻はしたくないしな」
「早く、早く」
オーフィスは既に席に座って俺達を催促している。俺も黒歌も微笑んで
「よし!それじゃあ手を合わせて━━」
「「「いただきます」」」
これが、俺が愛すべき日常の1つである。
リィンカーネーションの花弁にドハマりして突発的に書いちゃいました。ハイスクールD×Dとリィンカーネーションの花弁のクロスオーバーです。基本はハイスクールD×Dですが、リィンカーネーション要素も出せるように頑張ります!!