ネタ系ローカルアイドル since 2019   作:松浦南北

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渉矢さんとの2度目のコラボ企画・2話目です。今回コラボするのは「暗殺者の息子と旅館の娘」です。もちろん、今回もパラレルワールド。


【特別コラボ企画3】大井川鐵道に乗りに行かない?

由美ちゃんが十千万に泊まりに来ていたある日のこと。壱杜くんから提案があった。

 

壱杜「僕、一度大井川鐵道のSLに乗りたかったんだよね。だから明日行ってみない?」

 

私「いいね!」

 

由美「じゃあ案内は任せなさい!!」

 

私「あれ?由美ちゃんは乗ったことあるの?」

 

由美「そうだよ。何回か行ったことがあるからさ」

 

壱杜「そう来れば決まりだ!明日は5時起きだからね」

 

こうして次の日に備える。

 

〜※〜

 

次の日、午前7時00分、沼津駅にて。

 

壱杜「…で、今日はどの列車に乗るの?」

 

由美「この行程で行こうと思う」

 

そこには7:17沼津発、8:51金谷着、9:41金谷発、10:47千頭着と書いてある。

 

私「SLはどれ?」

 

由美「この9:41発がSL急行かわね路号って奴だよ」

 

壱杜「なんか楽しみになってきたよ!」

 

私「よし!駅弁を買って早速電車に乗ろう!!」

 

こうして私たちの旅は始まった。

 

〜※〜

 

予定通りの列車に乗ったは良いものの…。

 

なんと!清水駅で列車が故障してしまったのだ!!

 

アナウンス「只今、列車故障により運転を再開できない状況となっております。後続の列車をお待ちください」

 

壱杜「どうすればいいのこれ…?」

 

現時刻は8時3分。後続の列車は8時13分に来ることがわかった。

 

私「大丈夫。後続は8時13分に来るから」

 

壱杜「でもSLに間に合わなくなるかも…」

 

由美「心配するな。後続は9時3分に金谷に着くって」

 

壱杜「じゃあ安心だね」

 

そして8時13分の列車に乗り換えることになる。

 

これを言うと不謹慎かもしれないが、まだ列車故障が清水駅で良かったと思う。富士駅辺りで停まっていたら後続を20分も待たないといけなかったのだから。

 

〜※〜

 

9時3分、金谷着。

 

周辺には何もない。

 

由美「しかし暇だなぁ…」

 

私「何もないからね…」

 

壱杜「そういえば大井川鐵道と中部高速鉄道の日切駅はつながっているらしいね」

 

由美「まあね。どっちも普通列車しか停車しないんだけどね」

 

そうこうしているうちに列車が入線する。

 

牽引機は…。

 

壱杜「トーマス号じゃん!!」

 

そう。トーマス号だった。

 

そういえばハーメルンには私を機関車化した作品ってのも過去にあったなぁ(*1)。

 

さて、列車は汽笛を鳴らして出発する。

 

〜※〜

 

金谷を出ると、家山まで停まらない。また、車内は冷房もなく、暑い。

 

トンネルを抜けるとみんなの顔が真っ黒になってしまった。それを見て3人で笑う。

 

いくつかトンネルがあるからこれも貴重な体験だ。

 

〜※〜

 

10時47分、千頭着。

 

壱杜「このあとどうする?」

 

私「実は私、ここに来たからには乗ってみたい列車があったの」

 

由美「それは?」

 

私「井川線のトロッコ列車」

 

壱杜「それいいね!僕もトロッコ列車は初めてなんだ」

 

由美「実は俺も奥泉からしか乗ったことがないから賛成だ」

 

乗ろう。

 

しかし…。

 

時刻表を見ると…。

 

 

 

 

 

 

 

次の列車が…。

 

 

 

 

 

 

 

3人「12時28分!?」

 

 

 

 

 

 

 

現時刻はまだ11時。近くのSL資料館でゆっくり過ごし、その後昼食をとる。

 

その間、大井川は流れてゆく。なんか、きれいだ。

 

12時15分。千頭駅に戻る。井川線のトロッコ列車はもう着いていた。

 

すぐに乗り込む。

 

私「車両が小さい気がするけど」

 

由美「そう。井川線の車両は専用鉄道規格だから小さいんだよ」

 

壱杜「へえー」

 

〜※〜

 

約15分後、列車は発車した。

 

ものすごく揺れるなぁ…。これがトロッコ列車なのか…。

 

40分後に2つ目の目玉が現れた。アプトいちしろ駅に巨大な機関車が2両待機していた。

 

こんなに大きな機関車はどうやって使われるんだろう…?

 

その答えはすぐに出た。

 

なんと!あの巨大な機関車とアプト式のラックレールで急勾配を列車は登るのだった!!

 

90‰の勾配を列車はゆっくり進む。

 

壱杜「これが…アプト式というものなんだね…」

 

壱杜くんも感動している。

 

すると由美ちゃんから提案があった。

 

由美「次の長島ダム駅で折り返さないか?」

 

壱杜「なんで?」

 

由美「帰りの列車がなくなるかもしれないもん」

 

私「確かに。泊まる用意持ってきてないし…」

 

これにて決定。長島ダム駅で折り返すことになった。

 

〜※〜

 

13:20、長島ダム駅下車。まもなくアプト式の巨大機関車は切り離される。

 

一方、長島ダムは放水が激しく、虹もできていてきれいだ。

 

おっと、対向列車がやってきたようだ。

 

ここでさっき切り離された機関車とやってきた対向列車が連結する。

 

その間に乗ってきた列車は去っていった。

 

壱杜「やっぱり連結の瞬間はクールで好きだ」

 

由美「でしょ?」

 

まもなく発車の時間だ。乗り込もう。

 

〜※〜

 

それからまた勾配を下り、機関車を切り離し、麓の方へと列車は進む。

 

14:21、千頭着。57分の長旅だった。

 

帰りの列車はというと、普通列車である。SLはもういなかったのだ。

 

壱杜「あれ?これって近鉄のお古かな?」

 

そこに停まっていたのは、16000系電車だった。

 

由美「そうだよ。大井川鐵道では大手私鉄から中古車ばっかり買ってるらしいよ」

 

私「確かにそうだね」

 

発車の時間がやってくる。乗り込もう。

 

加速度が電車なのにSL並に小さい。バスとかだともっと高加速なのに。

 

その疑問はすぐに由美ちゃんが解いてくれた。

 

由美「なんか加速遅いじゃん」

 

私「そうだね」

 

由美「それにはちょっとした訳がある。大井川鐵道では変電所容量の関係で加速度を吊り掛け駆動車並に抑えているんだって」

 

それを聞いて私はハッとした。加速度は同じ大きさの力が働いている場合、質量の大きい方が加速度は小さくなる。また、変電所容量の関係からモータの仕事率やトルクをそう簡単に上げることはできない。学校の物理で学んだ授業が役に立った瞬間だった。

 

そして15:47、金谷着。ところが…。

 

私「きっぷがないよ〜!!」

 

壱杜「えぇ〜っ!?」

 

由美「車内探してきたらどうだ?」

 

私「そうするよ」

 

そして車内で私のきっぷは見つかり、事なきを得た。

 

お土産は買っていこう。

 

みんなで大井川鐵道のSLのタオルを買った。

 

壱杜「これでお揃いだね」

 

2人「うん!」

 

そして16:32沼津行に乗って帰路につく。

 

壱杜くんも満足そう。電車内ではこんな会話が。

 

由美「俺さ、もう2日位泊まってくよ」

 

壱杜「えっ?いいの?」

 

由美「当たり前じゃないか。だって寂しいもん」

 

2人「やった!」

 

沼津駅到着後、最終バスで十千万に帰りつく。

 

こうして私たちの旅は終わりを迎えた。

 

まあ読者の皆さん、大井川鐵道はSLも走るしいい路線だから静岡県に行ったら絶対に乗ったほうがいいと思うよ!

*1
降細「実は読んだことがあります」




なんか特別コラボ企画と言いながら…いつもどおりでしたね。
作者は大井川鐵道に乗ったことが何度かあります。トロッコ列車がゆっくり進んでいったことを覚えています。
特別コラボ企画は残り3話になります。

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