次回からやっと人理修復ほんへとなります。
後、私事なのですが、4月の頭から8月の前ぐらいまで、人生でも一二を争うレベルでクッソ忙しくなるので、全く更新が出来ないないし、激減する可能性があります。非常に申し訳ありませんが、ご了承ください。
話はアルモさんを撃破した頃に少し戻る。
その後、爆心地の中心で仰向けと横になっている状態の中間みたいな姿勢で伸びていたアルモさんを回収してカルデアに帰った。
この特異点と試作オルガマリーちゃんたちはどうするのかと思ったけど、アルモさんの話になると饒舌になる虞美人さんが言うには――。
『聖杯の欠片? 真祖を生み出す固有結界を再現するのに溶かしてたから、回収は不可能じゃないかしら? 後、沢山造った素体の残りは問題ないと思うわ。だって、アルモーディアはレイシフト適性のない所長だから、あれだけ大量に造ったらしいもの。完成した所長の体以外の素体には、一体だってレイシフト適性を付けてないのよアイツ。ほんっと、頭だけは無駄によくて、ガイアにも忠実なんだから嫌になるわ』
ということらしい。アルモさんらしいというか、他のところに気を回して欲しいというか……まあ、この特異点はアルモさんだし放置でいいかなと言う意見がカルデアで一致したので、そのままにしておくことにした。休みに来ている幻想種たちから場所を奪うとどうなるかもわからないしね。
そして、オルガマリーさんがカルデアに帰ると、一番にカルデアの皆から暖かく迎えられ、またオルガマリーさんが泣いてしまうようなこともあった。落ち着いてから、今後はカルデアの所長についてどうするのかという話になると、ひとまずは人理修復まではこれまで通り所長の仕事を続けるが、仮に終わったら自分は死んだものとして扱って欲しいとのことだった。
ただ生きたいと願った末に、人間を止めて、真祖になってしまったオルガマリーさんなりのケジメなのだろう。やっぱり、もうアニムスフィアの名前は捨てるとのことだ。
それからオルガマリーさんのことを所長と呼び直そうと思ったら、本人から名前で呼んで欲しいと言われたり、全てが終わって、もし良ければ私の使い魔にして欲しいと言われた。既に真祖は使い魔でいるし、賑やかになりそうだから、今すぐでも構わないと言ったら、オルガマリーさんはまた泣いて抱き着いてきたりした。
虞美人さんに関しては、カルデアに来た経緯と、アルモさんの友達だということが伝わると、皆そういうものだと納得したようで、それ以上の言及はなかった。元々、芥ヒナコさん自体が、ほとんど他の人と関わろうとするタイプじゃなかった事と、今さら真祖がどうのなんて次元の話ではないので普通に受け入れられていた。
というか、虞美人さんはアルモさんのオモチャにされているような節があるので、若干職員からもサーヴァントからも同情の目が集まっている気もする。
ああ、恋文の方はちゃんとアルモさんから回収して、渡しておいた。守ると思っていなかったのか、約束を守ったことが、とても驚いた様子だったけれど、私としては虞美人さんともっと沢山お話がしたいな。
そして、一番肝心なアルモさんについてなんだけど――。
「死ね! 死ね! お前のようなガキがアルモーディアの隣に立てるだなんて許さないわ……! 許さない許さない許さない――!」
現在、私はアルモさんの使い魔で、死徒かつ、伴侶だというセレニケ・アイスコルさんに追い掛けられていた。
ものすごい形相で、宵哭きの鉄杭と
「どういうことなの……?」
「私が聞きたいわよ!?」
私を肩に担いで走って逃げてくれている虞美人さん――ヒナコ先輩には頭が上がらない。まさか、項羽と劉邦で有名な虞姫の本人にこんなことさせるなんて人生わからないものだなぁ……。
私は数分前のことを思い出した。
◇◆◇◆◇◆
それはアルモさんがコフィンからセレニケさんを出して、復活させた直後まで遡る。
セレニケさんの紹介を私たちに終えたアルモさんは、セレニケさんがカルデアにいる経緯を、セレニケさんの出会いの話まで遡って私たちに伝え、この時点では若干居心地は悪そうだったが、セレニケさんは静かにアルモさんに背中から抱き着いているだけだった。
「えっ!? 彼女、死徒なのに普通に日光に当たったりしていた気がするんだけど……?」
「それはこれ。このアルモさん印の日焼け止めクリームだ」
そう言ってドクターの呟きに答えたアルモさんは、アロエクリームみたいな緑色の缶を取り出した。
そこにはアロエではなく、黒いサングラスを掛けて、昔のナースウェアを着たデフォルメのアルモさんが描いてあり、"アルモSAN!"という駄洒落のような謎の吹き出しがついている。
「この日焼け止めクリーム"アルモSAN!"は、空想具現化で生やした幾つかの神代の薬草や、吸血植物を調合したクリームで、小指の爪程の量をどこでもいいから体に塗れば、きっかり24時間の間、全身に掛かる日光をシャットアウトするのさ!」
「わぁ! 無駄に洗練された無駄のない無駄なアイテムの匂いがするぞぅ!」
「ちなみに人間にも普通に使えるけど、効果中は太陽光から得れるビタミンDが完全に得れなくなるから、食事で摂取するんだぞ?」
あ、缶の裏に使用上の注意でも書いてある。
へー……きのこ、牛乳、ヨーグルト、鮭、牛のレバーなんかがビタミンDが豊富なんだ。
「定価は49800
「わぁ……どう聞いても見てもお昼の通販番組――ん? 神代の薬草に吸血植物……? 安っ!? なにそれ安っ!?」
「す、スゴいです……安過ぎます……!」
私はドクターとマシュを何とも言えない気分で眺めていた。
どうせ、元手は0円なんだからアルモさん的には買われればいいんだろうなぁ。多分、あのパッケージも空想具現化で自然に不自然に作ったものだろうし。
ちなみにアルモさんの今の収入源は、主に神代の植物の魔術師・聖職者向けネット通販販売だったりする。
サイトは"人の手を最小限に留めた神代から続く大自然で育った神秘な植物たち"との謳い文句だけど、注文を受けてから都会の庭先で、空想具現化を使って土ごと作るから完全に詐欺。けれどアルモさんから生まれた植物なので品質はこれ以上ないだろうから、サイトのレビューはほぼ満点。現実って知らない方がいいことも沢山あるよね。特にアルモさんに関しては。
聖堂教会で代行者をしている顧客に、吸血鬼へ特効のある植物を売り付けるときとかに、アルモさんはパソコンの前で"愉悦……愉悦……"とか言っているけど、愉悦ってなんだろう? そんなに楽しいのかな?
「さて、セッちゃんよ」
「なに、あなた?」
ドクターが日焼け止めを2セット買ったところで、アルモさんはセレニケさんに向き合う。そして、セレニケさんの背中に回り込むと、私の前に連れて来て、セレニケさんへ背中から抱き着きながらまた口を開いた。
「彼女は藤丸立香って言ってね。私は彼女の使い魔をしているんだ」
「そうな――――え?」
セレニケさんは色を失ったかのように表情が無くなる。しかし、アルモさんは位置的に表情が見えていないのか、そのまま語り続ける。
「立香は本当に可愛くてね。あ、これ小さい頃の写真なんだけど、まるで天使――いや、ワルキューレ――いやいや、愛されるだけの女神だって遥かに凌駕するね! アルモお姉ちゃんはそんな立香にメロメロなのさ!」
天使とか、ワルキューレとか、女神とか見てきたみたいに例えられても――アルモさんは見てきたんだろうなぁ。
「もう、ずっと一緒に居たいっていうかさー! 永遠に愛してるって奴!? うーん、
なんだろうアルモさんのそのポーズ? 邪気眼とかそういう奴かな?
「立香はねー、お風呂に入って頭を洗ってから体を洗うんだけど、そのときはうなじから下に洗っていって、模範的で優等生な体の洗い方で可愛いのさ!? それだけじゃなく、靴もちゃんと脱いだときに揃えるし、お花を摘んでも便座を上げっぱなしにしないいい子なんだよ!?」
アルモさんアルモさん。わたし女。便座上げない。
「あの夏の日にアルモさんは遂に想い至ったのです。リツカ、貴方が私の鞘だったのですね……と」
アルモさん。いい言葉だけど、その指のわっかに人差し指を前後させるジェスチャーで台無しだよ。
でも私たちはアルモさんの精神汚染でもされているようなトークをマトモに聞いているどころではなかった。
「――――――ぁ……」
目の前のセレニケさんが顔を伏せながら歯から出ているとは思えない、重く鈍く割れるような音が響く。とんでもない歯軋りだということに思い当たると、異様な状態に戦慄する。
アルモさんはと言えば、私の無意識の行動レベルの個人情報を次々披露することに夢中で、背中から抱き着いているセレニケさんの異常に全く気づいていない。
「あぁ――! ちょっと僕急用を思い出しちゃったなぁ!」
そして、その空気に耐えられなかったのか、そう言うとドクターは一目散に逃げた。後でとっておきの和菓子を食べてやる。マシュはドクターに"後で叩いておきます……角でガツンと……"と呟いていた。怖い。
「あれ? ちょっとロマニ、行っちゃダメだよ。これから私の話をレオナルドとか、他のカルデア職員にもしなきゃいけないんだから」
「ひゃッ!?」
するとアルモさんは仕方ないと言った様子で、マシュの首根っこを掴んで、子猫のように持ち上げた。
「ちょっとカルデアの職員たちの警戒を解くためにも暫くデミサーヴァント借りるよ。じゃ、立香また後で。セッちゃんと仲良くしてあげてね」
「せ、せんぱぁぁぁいぃぃぃぃ!?」
アルモさんは即座に走って部屋から居なくなり、それに伴って当然マシュも消える。
そして、最終的に顔を伏したまま動かないセレニケさんと私だけがこの場に残された。
「………………」
「………………」
沈黙がこの場を支配し、私は全身から冷や汗を流しながら固まる。
そして、先に動き出したのはセレニケさんだった。
「ヒ――ヒヒヒヒヒ――アハハハハハハハ! お前が……お前のようなものが……あの方が"信念を捻じ曲げる者"? 私が選ばれないことは知っていた……私じゃなくてお前を選んだ……選んだ!?」
セレニケさんは顔をする伏せたまま、頭を掻きむしり始める。到底、頭部を爪で引っ掻くとは思えない程、鈍く肉々しい音が響き、彼女の頭部から血が溢れ、垂れた血が顔に掛かる。
「あの……」
「――喋るな」
セレニケさんは顔を上げると、憎悪と羨望が入り雑じったような黒々とした異様な瞳で私を直視した。
「そうよ、きっと気の迷いよ。あの方があんな嬉しそうで、楽しそうな姿を私が見たことがないわけなんてない。だから、あの方はおかしくなっているんだわ……お前がおかしくしたのね?」
セレニケさんはどこからか黒々とした血腥い鉄杭を取り出す。そして、その先端に舌を這わせて目を見開く。
「殺す……殺してやる……いえ、生かしたまま痛みをただ嘆くだけの肉細工にしてやるわ……」
そう呟きながらセレニケさんは一歩ずつゆっくりと近づいてくる。私は出口の方に後退りながらこの状況がどうにかならないかと思考を巡らせた丁度そのとき――。
「あっ! やっと見つけたわ! 渡されたときに言い忘れてたから借りになるのもあれだし、一応言うけど、恋文を届けてくれてありが……ってなによこの状況?」
偶々来た虞美人さん――いや、芥ヒナコ先輩は天使に見えた。
◇◆◇◆◇◆
「生きたまま優しく臓腑を掻き混ぜてあげるからぁ!」
そして、反射的に動いたヒナコ先輩に担がれ、カルデアの廊下をヒナコ先輩が疾走しながらセレニケさんから逃げる構図が出来上がったのだ。
「ヒナコ先輩、中国産の真祖なんですよね!? 死徒を相手になんとかならないんですか!?」
「お前も魔術師でしょうが!? せめて攻撃魔術で応戦ぐらいしなさいよ!?」
そんなこと言われても、私なんてほとんど魔術回路があるだけの一般人みたいなものだしなぁ……というか、普通は根源に至るための研究職の魔術師が戦えちゃう方がおかしいよ。電車にいるコックさんはみんなセガールじゃないんだよ?
「うるさい! 私だってアルモちゃ――アルモーディアと比べられたりしたら堪ったもんじゃないわよ!? 少なくとも追っ手のアレが持ってる魔術道具が洒落にならないわ!」
ヒナコ先輩が言うにはセレニケさんが手にしている鉄杭と、ケインがヤバいらしい。
鉄杭はアルモさんの体に刺す等して日頃から使っていた物のようで、長期間アルモさんの血肉を吸った鉄杭は頭がおかしい神秘を秘めている。そして、ケインに関しては木製ではなく、アルモさんの骨を削り出して作られたものであり、その上でアルモさんを叩くのにも使われていたようで、こちらも馬鹿げた神秘を秘めているそうだ。
「くっ……!?」
セレニケさんが私に向かって鉄杭を投擲し、ヒナコ先輩が私を担いでいない方の手に持つ剣で弾こうとする。
だが、それは辛うじて受け流すだけに止まり、狙いを逸らされて壁に命中した鉄杭は、赤黒い稲妻のような波紋を刻み、暴力的なまでの魔力は周囲の壁や床や天井を粉々に破壊した。
「あんなのどんな木っ端魔術師が使っても破壊兵器と化すに決まってるわ!?」
セレニケさんは投げた鉄杭には目もくれずに通り過ぎて、懐から新しい鉄杭を取り出している。どうやら鉄杭は使い捨てらしい。
「その上、まさかと思うけど……アイツ死徒として人間以外を対象に食べてない? 幻想種とか……?」
「アルモさんを食べてましたよ。後、セレニケさんはアルモさんの唯一の死徒だそうです」
「ふざけんなッ! 道理で死徒にしては身体能力が高過ぎると思ったわ!? 仮によ! アレが死徒になってからアルモーディアばかり喰って育った死徒ならば……アレの肉体の劣化を補うために、ほとんどがアルモーディアの血肉と遺伝子情報で賄われていることになるわ!?」
「えっと……つまり?」
「空想具現化を抜きにした真祖に準じる身体能力だってことよ!?」
ただの化け物じゃないですかやだー!
「あの槍の化け人間は!? マシュは!?」
「スカサハさんならアルモさんとの戦いの記録を必ず本体に刻み込むって言って、座に戻ったので暫く帰ってきません! マシュはアルモさんに拉致られました!」
「ほんっと! 使えないわね!? とりあえずさっさとアルモーディアに引き取らせるわよ! ああ、もうっ……やってられるか! なんで私がこんな!?」
「え? だったら回り道しないで、メインルートを通った方が――」
「アレの流れ弾で死人が出たらどうすんのよ!? 後、100体そこらしかいないんでしょう、お前らは!?」
今のところ、私のヒナコ先輩の印象は、言葉はキツいけど優しくて、アルモさんより遥かに真っ直ぐな方だったりする。
◆◇◆◇◆◇
「なんでこういうときに限ってアルモーディアはどこにもいないのよ!? どうでもいいときは呼んでなくてもいるくせに!?」
しばらくヒナコ先輩は人目につかない道を選びながらカルデア中を駆け巡ったが、どこにもアルモさんは見当たらなかった。
無論、セレニケさんは全力で後ろから追い掛けてくる。アルモさんがたまにやってるホラーゲームにこういうシチュエーション多いよなぁ……。
「ここまで探しても、みつからないなんて明らかに異常よ……千年城にでも戻ったんじゃないわよね!?」
「どこにもいない……?」
そう言えば昔、アルモさんに、吸血鬼や吸血種には人間とは違う感覚器官があるので人間や普通の英霊には見つけられないモノが見えたり、一切の光のない暗闇で容易に状況を把握して行動が出来たりすると聞いたことがある。
どこにもいない……誰もわからない……? まさか!
「アルモさん! 消えてないで出て来てください!」
「お前がッ! アルモーディアの名を――」
次の瞬間、言葉の途中で、セレニケさんの首が宙を舞う。
地面に落ちて行く頭部を唖然としながら眺めていると、途中で不自然に止まる。そこにはいつの間にか、アルモさんが立っており、セレニケさんの頭を抱えていた。
どうやら私の思った通り、アルモさんは私たちの近くに居て、ずっと見ていたようだ。
それに遅れて、セレニケさんの体が糸の切れた人形のように床に倒れると共に、アルモさんは口を開く。
「どこにもいないことから、圏境で隠れて近くにいることに気づかれるとはな」
「――――!?」
目を白黒させて、口をパクパクと開閉しているセレニケさんの頭を、アルモさんは両手で挟み、自分の顔と向き合わせた。
「セッちゃん。横隔膜がないんだから話そうとしても無駄だし、ついでに気を乱したから体も暫くは動かせないそ? 全く……試しに立香と引き合わせたらどうなるかと思えば、随分無茶苦茶してくれたじゃないか」
「――――」
その言葉にセレニケさんは目に見えて怯える。そんな様子にアルモさんは小さく溜め息を吐くと、胸に抱き寄せて髪を撫でた。
「お前なぁ……別に私が君を嫌いになるわけじゃないんだぞ? むしろ、人間の愛し方を少しだけ思い出せた気がするんだ」
「――――」
「だからもう少し君のことも沢山愛せると思うんだ。その代わり、立香に優しくしないとダメだぞ?」
「…………」
「返事」
「…………」
「へーんーじーはー?」
言葉を発せないと言ったばかりなのに返事を求め、窒息しそうなぐらい胸にセレニケさんの頭を埋めるアルモさん。ニュアンス的なものなのだろうか。
暫くしてセレニケさんとのやり取りが終了すると、そのままアルモさんは私とヒナコ先輩に向き合うと、いつも通りの笑顔かつ、人によく話し掛けるおばちゃんのようにジェスチャーを交えながら口を開く。
「いやー、まさかこんな面白――大変なことになるなんて思わなかった。すまんすまん! 止め時がこっちもわからなくてさ!」
それは清々しいまでの開き直りだった。アルモさんらしいと言えばらしいんだけど、流石にこれは、私怒っていい。
横を向くと、ヒナコ先輩はわなわなと体を震わせ、絶妙な表情でヒクヒクと顔を引きつらせている。
私はヒナコ先輩の肩から下ろしてもらうと共に、二人で顔を見合せ、目で会話をした。この時、この瞬間だけは、種族や様々なヒナコの蟠りを超え、心はひとつになった。
「ん……なんだい? 二人とも、そんなに清々しい笑顔で近づいて来てさ。まあ、確かにいい運動には――」
「今です! 瞬間強化!」
「いっそ死ね! 八つ裂きにしてやる!」
「な なにをする きさまらー!」
悪は滅びた。何度でも蘇るけど。
◆◇◆◇◆◇
アルモさんの騒動から少し経った頃。私、マシュ、ダ・ヴィンチちゃん、アルモさんが英霊の召喚を行うための区画にいた。
これまでにあったことを思い返せば、アルモさんが千年城で所長を強化するというので、魂のない所長と同じ素体を4体、"宝具強化ー!"と言いながら捩じ込んだり、何故かドライフルーツの詰め合わせの形をした再臨素材を4個頂いたりしたことぐらいかな。
現在こうしている理由は、カルデアの電力供給の関係でレイシフトに送る人員の中でも、サーヴァントを持ち込む数が非常に限られ、マシュを含めた2騎しか持ち込めないらしい。
なのでマシュと契約している形の私は確定で、Aチームのヒナコ先輩と、Bチームのセレニケさん、真祖のアルモさんの3人から1人がサーヴァントと契約して次の特異点に挑もうということになった。
しかし、いざシミュレーター室で仮想サーヴァントを用いて、戦ってみれば、ヒナコ先輩はマスター評価を偽装していたらしくてボロボロ。アルモさんは仮想サーヴァントに指示をほとんど出さず、ほぼ全て自分の拳で解決してしまったので、最速かつ最高評価だったけど評価外。意外にも順当に高評価だったのはセレニケさんだった。
しかし、私はよく知らないけど、セレニケさんがAチームではなく、Bチームにいた理由は彼女の性格面の問題らしくて、とんでもないサーヴァントを引くんじゃないかと、ダ・ヴィンチちゃんとドクターが悩んでいたところ、セレニケさん自身から"自分はアルモーディアの使い魔だから"と辞退していた。
でもそれは建前で、英霊召喚をしたそうにずっとうずうずしながら、目を輝かせていたアルモさんを見兼ねてだと思う。あんな様子をされたら誰だって譲りたくなるよね……。
そんなこんなで、とりあえずアルモさんが英霊召喚を行ってみることになった。
「~♪」
アルモさんは私の背中から抱き止めつつ、とても上機嫌に鼻歌を歌っている。そして、口を開いた。
「仮にだけど立香はどんなサーヴァントが居て欲しい?」
「私? 私は来てくれる人なら誰でも嬉しいと思うよ」
「欲がないなぁ……じゃあ、普通に
なぜバーサーカーが私向けなのかはよくわからないので首を傾げていると、アルモさんが英霊召喚を始めたので、召喚サークルが回転し始める。
「ウッソ……!? 虹色!?」
すると召喚サークルは虹色に輝き、それに対してアルモさんはとても驚いた様子を見せた。そんなにスゴいのかな虹色って?
そして、アルモさんが呼んだ英霊が姿を現し、その光景に唖然として私を含めた皆は言葉を失いながら見上げる。
特にアルモさんは立ち尽くす程驚いた様子で、ただサーヴァントを眺めながら絶句していた。
そんな中、サーヴァントは口を開く――。
「マスター……マスター……アルターエゴ、"キングプロテア"……あなたに、召喚されました……私、大きいですか? 小さいですか……?」
それはあまりに巨大な女の子だった。
~立香のやることリスト~
・人理修復
・アルモちゃんに正しい愛を理解させる
・ぐっちゃんとの関係構築
・ペロニケさんとの関係構築 New!
・プロテアちゃんに正しい愛を理解させる New!
※語るまでもありませんが、アルモーディアはグランドを付けられそうなぐらいのトラブルメーカーです。
アルモーディア(ランサー)
~ステータス~
筋力A+ 耐久EX(C) 敏捷A
魔力A+ 幸運EX(A) 宝具EX
※()内は幸運にまで及ぶアルモーディアの神秘による防御と、真祖の再生能力を加味しなかった場合の実数値。
~キャラクター詳細~
誰もがそれでいいのかと首を傾げる性格な最古の真祖。
天真爛漫で悪戯っ子なアルモちゃんとは本人談。
今回は槍を持って師匠から貰った戦装も持ち出している。
意外にもマトモに槍を使って、マトモに槍を投げる正統派ランサー。
~絆1~
身長/体重:175cm・《削除済み》kg
出典:不明
地域:全世界
属性:秩序・中庸 性別:女性
衝撃的にも秩序属性かつ中庸な性格。あのように見えても、朱い月やガイアからの指示には真っ当に忠実であり、長いものには巻かれ、決して裏切らない忠君。
~絆2~
今回は影の国にいる師匠から賜った魔槍を携えているだけで、厳密にはランサーでもなんでもないが、無意識の空想具現化によってランサーになっている。剣とか超いたい。
ゲイ・ボルクを宙に浮かして飛ばすのでアーチャーなのではないかとの声もあるが、飛ばすモノが槍なのでランサー。
~絆5~
そもそもアルモーディアに槍の才能は然程ない。そのため、爪を使うことや、魔槍を操り飛ばす、師への対策を講じる等と搦め手に頼る姿はとても人間らしくさえある。
だが、アルモーディアは前提として魔王さえも凌駕し、人間には能力として決して至れないレベルの空想具現化がある。にも関わらず、それを他者にほとんど使用しない理由は、有り体に言ってしまえば"戯れ"に当たるのだが、彼女は手加減しているというつもりは更々ない。
武道家とは武術と武術、言い換えれば技と技のぶつかり合いこそが本懐。素手や剣を持つだけの相手に対峙するのに、空から絨毯爆撃を掛けて何が楽しいのかという、アルモーディアの人間よりも人間らしい矜持そのもの。
人と過ごし、人と語らい、人と笑い。最後は決まって人を送り出す。それこそが、終ぞ、どの真祖にも理解されることの無かったアルモーディアという真祖の形である。
キングプロテア
アルモーディアが触媒などを何も使わず、何故か召喚してみせた妙に巨大なサーヴァント。ハイ・サーヴァントのためか、アルモーディアの星からのバックアップから魔力に変換出来るらしく、大きさの割には維持コストがほとんど掛からないため、カルデアに大変優しい。
ちなみにキングプロテアの花言葉は王者の風格(迫真)