TS光堕ち真祖アルモちゃん   作:ちゅーに菌

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 お久し振りです。クッソ忙しいですが、日々に潤いがないとそれはそれで逝きそうなので投稿しております。

 ちなみにですが、原作の序盤の特異点は、容量の関係で話がぶつ切りで短めなので、この小説の1話あたりも短めになると思いますのでご了承ください。


邪竜百年戦争 オルレアン
アルモさんとプロテアちゃん


 

 

 

 私が百年戦争(この)時代。フランスにいたのは特に理由はなかった。

 

 というよりもいつもの悪い癖。思い付いたことをしたくなっては、つい足が動いてしまうというだけの話。今回もそれに過ぎない。

 

 魔女狩りが本格的に始まり出す時代ということもあり、少しだけ気掛かりだったが、今のところは何もなく旅を続けられている。やはり、もう少し民衆の生活ごと荒まなければ本格化はしないといったところだろうか。

 

 まあ、魔女狩りだなんだと止めるつもりは更々ないので、この考えも無意味なものだろう。所詮は集団心理に基づくヒステリー。人間と人間が集まり続ければ、形は違えど起こる現象でしかない。イチイチ構う方が面倒というものだ。

 

 それよりも現在の最大の問題は、どうやら私は目的の時代よりも少し早く来過ぎてしまったらしい。この時代の人間、引いては後世のフランス人ならばほとんど知っていそうな、彼の者を知らないとなればそうなのだろう。

 

 ならばそれまでどう時間を潰したものかと、溜め息を吐きたくもなる。

 

 そんな最中、偶々立ち寄った村で、ある女性を目にして私は数奇な運命に狐に摘ままれたような気分になる。その者の名に聞き覚えはなく、別段取り留めのない数人の子を持つ母親であった。

 

 しかし、ただ一点。容姿というそれだけのモノが、私が求めた姿形(すがたかたち)だったのである。

 

 私はその日から村に滞在することを決め、20年余りになる取り留めのない日々が始まった。

 

 村は小さな村であり、魔女狩りや魔女裁判が本格的になるのはもう少し後世のためか、私は酒場で住み込みのバイトをする程度には村人に馴染んでいた。

 

 そして、すぐにその女性は子を産む。

 

 その小さな赤子の名は――ジャンヌ・ダルク。後にオルレアンの乙女と讃えられ、最期には全てを踏みにじられて焼かれる少女である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レイシフトした先は第一特異点。時代は1431年。百年戦争のあった時代のフランスであった。

 

 レイシフトの人員は私、マシュ、アルモさん、オルガマリーさん、ヒナコ先輩、キングプロテアの6人。セレニケさんは機材の方を手伝える人員が少しでも欲しいとのことで管制室に残っている。

 

 レイシフトした直後には、フォウくんが何故かレイシフトに付いてきていたり、空に巨大な光りの帯のような術式があったりしたが、現在はそれどころではない。

 

 というのもフランスの斥候部隊を目にしたので会話をマシュが試みたけど、何故か臨戦態勢になったので戦いになろうとしたのだけど――。

 

 

 

「いっけープロテアちゃん! 出撃だー!」

 

「キングプロテア。出撃します!」

 

 

 

 キングプロテアという超巨大なサーヴァントを前にして、怖じ気付いて逃亡する斥候部隊を、何故か肩に乗ったアルモさんが追い立て始めたのである。

 

「敵前逃亡は縛り首だ! 銃殺刑だ!」

 

「がおー! たべちゃうぞー!」

 

 ドシドシという振動が伝わってくるキングプロテアの足音もどんどん遠ざかって行き、既に小人ぐらいのサイズになっている。おっきいからか動作に反して無茶苦茶速いな!?

 

 アルモさんのテンションとやる気がスゴいよ……。

 

「ドクターがブリーフィングで、修復前の特異点は隔絶された状態なので、タイムパラドックスなどは起こらないと、アルモーディアさんに伝えたせいでは……?」

 

『ぼ、僕のせいかい!?』

 

 どんどん勝手に離れていくアルモさんとキングプロテアを眺めながら、何故あそこまで様変わりしたんだろうかと考える。

 

 そもそもキングプロテアってなんなんだろう? 歴女と言われそうな程度には、そこそこ歴史に詳しい私でもそんな英霊は知らないしなぁ……。

 

 レイシフトする前にそれとなく調べてみたけれど、アルターエゴという謎のクラスに、要領のイマイチ得ない本人の発言からは全くわからず、沢山の神霊のエッセンスを組み合わせて生まれたような凄いサーヴァントということぐらいしかわからなかった。

 

 ちなみにアルモさんは"ヤプール人が造りそう"とか、"地母神超獣キングプロテア"、"寧ろある意味カプセル怪獣"等と相変わらずよく分からないことを言っていたけど、キングプロテアには理解出来るのか、すぐに仲良くなってあの有り様だ。

 

「うーん……楽しそうだなー」

 

「どうしちゃったのよアルモーディアは!?」

 

「新しいオモチャを買い与えられた子供のようなものよ……」

 

 所長の叫びに答えた、遠い目をしたヒナコ先輩を見ながら、ふと思い出す。

 

 そう言えばPlayStation4とか、ゲーム機を買ったアルモさんは1週間ぐらいあんなテンションで、全く寝ずにやっていたような覚えがあることを。

 

 そして、流石にこのままでは大変なことになると思い立った。

 

「――!? 追うよマシュ! オルガマリーさん! ヒナコ先輩! あのままにしたらアルモさんが斥候部隊が撤退した先の城を破壊し尽くし兼ねない!」

 

 というか、あんなの1週間も放置したら、カルデアのせいでフランスが崩壊しちゃう!?

 

 余りに歩幅が広い、キングプロテアの足取りは、追うのがやっとの速さだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「焼き払え! どうした! それでも世界で最も邪悪(グレート・デビル)一族(こうはい)末裔(むすめ)か!!」

 

「ぴかー!」

 

 ようやく追い付くと、ボロボロの城を攻撃していた3m程の竜――ワイバーンたちのど真ん中にアルモさんとキングプロテアはいた。何故か、聞き覚えのある台詞をアルモさんが呟き、キングプロテアがそれに答えて聞き覚えのある効果音を口で言っている。

 

 それに合わせてキングプロテアの拳が光り、振り下ろされた拳は爆発と共に多数のワイバーンを一度に叩き落とす。

 

「薙ぎ払え!」

 

 すると、何を思ったのかアルモさんが叫びつつ、空に手を掲げると、そこから横一線にビームが放たれ、ワイバーンを一閃し、次の瞬間に激しい爆発を起こした。

 

 アルモさんもやるんかい。

 

 そんな様子だけど、ワイバーンの攻撃をものともせずに、次々とワイバーンを自動的に蹴散らすキングプロテアと、肩の上で爪を振るって射線上のワイバーンを裂きイカみたいに変えているアルモさんは、とても相性が良さそうに見える。

 

 そうしているうちにワイバーンの掃討が終わったようで、私たちが近づくとあることに気づいた。

 

『なんかプロテアちゃん、大きくなってないかい!?』

 

 近づいたことで30mぐらいになっているキングプロテアに気がつく。最初は5mぐらいだったからとんでもない巨大化だなぁ……。

 

 マシュとオルガマリーさんは口を開けたまま固まっていた。まあ、アルモさんに長く関わってないと慣れないよね。

 

 私は自然にヒナコ先輩と目を合わせ、互いに小さく肩を竦めた。

 

「プロテアちゃんの"ヒュージスケール"は、本来なら限界のない規模拡大を可能とするチートスキルだからな。これぐらいは序の口さ」

 

 キングプロテアの肩から私の目の前に降り立ったアルモさんはそんな言葉を吐き、更に続ける。

 

「まあ、カルデア式の召喚では再現できず、かなりランクダウンしている上、物質世界ではある程度物理法則の制限を受けるから、ただ成長するだけじゃ限度があるけどね」

 

「ふぅん……随分、その娘に詳しいわね?」

 

「最古の真祖だぞぅ!」

 

「ハァ……ダメよ後輩。アルモーディアは今と似たようなこと言い始めたら、是が非でも口を割らないわ。拷問も効かないから無駄よ無駄」

 

 アルモさんって、本当に色々なことを知ってるんだよねー。案外、本当にガイアから直接情報を仕入れていたりするのかな?

 

 この前、アルモさんにお仕置きした日からヒナコ先輩が、たまにお前じゃなくて後輩と呼んでくれるのが嬉しい。

 

「プロテアちゃん。そっちの岩を砕いて運んで」

 

「はーい!」

 

 いつの間にか工事現場でよく見る黄色いヘルメットを被って、誘導灯を持ったアルモさんがキングプロテアに指示を出していた。たぶん、空想具現化で作ったんだろうなー。

 

「ほら、お前ら。自分たちの砦なんだから動ける奴は修復を手伝え」

 

「は、はいっ……!?」

 

「ああ、無理には手伝うなよ? 兵士は体が資本なんだから休めるときには休んでおけ。国がこんな状態だしな」

 

 その上、いつの間にか仲良くなったのか、アルモさんは砦のフランス兵たちにも指示を出していた。いつの間にか、首に下がっているホイッスルも使って誘導している。

 

 ちなみにフランス兵は砦の壊れている部分の岩壁を取り払っていた。

 

「ふんっ!」

 

 ある程度、フランス兵の仕事が終わると、アルモさんが声を上げる。するとキングプロテアが集めてきた岩が宙に浮き、爆発したかと思えば大量の石材に変わる。

 

 石材は凄い速度で空を飛んで、砦の壊れた部分に次々とハマると、石材と石材の表面が焼けて接合される。そして、すぐに砦は壊れる前の外観を取り戻したように綺麗になった。

 

「よしよし、こんなものだな。終わりだよプロテアちゃん」

 

「もっと……小さくなぁれ」

 

 すると30m程あったキングプロテアが、風船から空気が抜けたみたいに縮んで、5mぐらいに戻ると体育座りになる。

 

「ああ、それで砦のフランス兵から得た情報なんだけどな――」

 

 思い出したように口を開くアルモさんの報告を、私とヒナコ先輩は遠い目をしながら聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず、立香ちゃんを含むカルデア全体には、ジャンヌ・ダルクが甦って凶行に及んだというそのまま聞いたことを伝えておく。

 

 それから皆で砦を後にすると、歩いている途中で、さっきまでいた砦に向かっているワイバーンの群れを、遠くの空に見つけた。

 

「めんどくさいな……」

 

 さっきまではプロテアちゃんの性能確認でノリノリだったが、一度素に戻って考えると、ワイバーンの相手はただの処理作業のため、別に楽しくもなんともない。その上、この先ワイバーンを相手にすることが何度もあることを思い出したのだ。

 

 まあ、砦は勝手に直しただけで、情報も聞き終えたので、もう砦のフランス兵たちを構う必要もない。だが、首を突っ込んだ手前、見える範囲ぐらいは助けてやることにするか。

 

「プロテアちゃん。宝具使って」

 

「シリアルファンタズム展開」

 

 なので私は早速、宝具(ぜんたいこうげき)を切ることにした。

 

 

「どこまでもどこまでも、プロテアの花は成長する」

 

 

 私の星からのバックアップを吸い上げ、魔力へと転換しながらゆっくりとプロテアちゃんは立ち上がる。

 

 プロテアちゃんが立ちきった頃には、雲を抜けるほど巨大になっており、それはこちらに向かってくるワイバーンたちにも、簡単に手が届いてしまうほどだった。

 

 そして、プロテアちゃんはその手を振り上げ、ワイバーンの群れに向かって振り下ろす。

 

 

 

「命の海に沈みなさい。"巨影、生命の海より出ずる(アイラーヴァタ・キングサイズ)"!!」

 

 

 

 ワイバーンたちはそれ以上進むことも、引くことも出来ず、押し潰されて蒸発した。

 

 うーん、やっぱりこのスケールのデカさがプロテアちゃんの持ち味だな。

 

 ゲームでも、アルターエゴで3クラスに弱点を取れ、ヒュージスケールによって実質アルターエゴのルーラー。アルターエゴなので再臨は無茶苦茶優しく、スキル上げの素材もそこそこ優しい。最高で3T攻撃力40%アップでCT5の怪力のお陰で火力不足も特にない。

 

 まあ、現実的に考えると飛ばないだけの巨神兵だな。

 

「あ、アレがサーヴァントですって……? わ、私……体は真祖なのにあんなの……」

 

「だ、だったらデミサーヴァントの私はいったい……?」

 

「アルモさんのサーヴァントだもの」

 

「アルモーディアのサーヴァントなんだからこんなの当たり前よ」

 

『わぁ……見事に反応が二分してるなぁ……』

 

 ふふん、どうだプロテアちゃんは? スゴいぞー、カッコいいぞー!

 

 

 

「あの……"アルモお姉ちゃん"ですか?」

 

 

 

 そんなことを考えていると数百年ほど前に聞き覚えのある声、抑揚、呼び方で呼ばれ、そちらに顔を向ける。

 

 するとそこには白銀の鎧を身に纏い、大きな旗を携えた金髪の女性の姿があった。

 

 それを見て、私は懐かしさを覚えながら、彼女の目の前まで歩いて移動する。いつものように人間の死に取り残された私に、何か言われるのだろうと覚悟していたのか、彼女は目を伏せて悲しそうな表情をしていた。

 

 それにサーヴァントになった彼女からすれば体感で数日だろうが、私からすれば6世紀ぶりの再会になる。その上、最期が最期だっただけに、怨み言のひとつでも覚悟していたのだろう。ルーラーとして完成している彼女にとって唯一の弱点――負い目と言えるモノは、生前の家族やそれに準じる繋がりそのものなのだから。

 

 けれど、私が言えることは今も昔も未来もひとつだけだ。

 

 

「また会えたね。"ジャネット"ちゃん」

 

「――――――」

 

 

 私は彼女に昔していたように少し強めに髪を撫で、それによって少しだけ髪型が変わる。

 

 彼女――オルレアンの乙女"ジャンヌ・ダルク"の撫で心地は生前と何ら変わりない、小さな村娘のものだった。

 

 

 

 






 ちなみにアルモさんは特撮はウルトラマン派です。



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