この作品は硬梨菜様作シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜に登場するゲーム“ギャラクシア・ヒーローズ:カオス”の二次創作となります。

栗きんとんちゃん……エモい

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この作品は硬梨菜様作シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜に登場するゲーム“ギャラクシア・ヒーローズ:カオス”の二次創作となります。

栗きんとんちゃん……エモい


Lock Picker短編

 一番最初の記憶は、綺麗なお姉さんとクマのぬいぐるみだった。

 

 

「―――そこのお嬢ちゃーんお母さんはどうしたのかなー?」

 

 

 そのお姉さんに渡されたクマのぬいぐるみが醜悪に歪み、私は死んだ。

 それが、一番最初の記憶。

 

 

 

 次の記憶は―――

 

 「―――ミーティア・ストライク!!!」

 

 蒼い粒子をその脚に煌々と輝かせ、宿敵へと振り下ろさんとするヒーローと

 

 

「―――おい栗きんとん幼女(ガキンチョ)、邪魔だからあっち行け。ママがお前を探してるぞ」

 

 

 おじ様(私のヒーロー)だった。

 

 

 その後は、とてもとても長い時間を過ごしたと思う。

 殴られ、焼かれ、吹き飛ばされ、踏まれ、助けられ、何度も殺されて、何度も助けられ、やっぱり何度も殺される。

 ()()()()()()()頃の私はきっと、ある意味幸せだった。

 

 

「―――ようガキンチョ、乱数(運命)を信じるわけじゃねーけどつくづく縁があるな」

 

「―――おじちゃん、誰……?」

 

「―――俺? そうだな………」

 

 

「───俺が、カースドプリズンだ」

 

 

 今は胸を張って違うって言える。

 

 

 

「―――この娘は、このケイオースシティが産んだバグみたいなものでゴワス。

この偽りの街で産まれた産まれるはずのない自我。

本来、一つの戦いを終えるとリセットされるこの街の住人で、唯一その記憶が継承されるこの娘は、カオスと繋がりながら、カオスの手を離れた存在なのでゴワス」

 

「―――つまり、どういうことだよ!!!この娘をはったおせば現状が改善するのかい?」

 

「―――むしろ逆でゴワス。この娘を一人の人間として()()させ、存在を確立することができれば、カオスに作られたこの監獄に大穴を開けることができるでゴワス。

……ここにティンクルと共に作った特製のコズミックちゃんこ鍋があるでゴワス。

これを食べれば、君は一人の人間として、個を確立することができるのでゴワス。

……だけど、それが必ずしも幸せなこととは限らないのでゴワス

 

それでもなお、オイドン達に協力してくれるのなら、……これを食べてほしいのでゴワス」

 

「―――私のティンキー☆パウダーで作った特製の鍋よ。ありがたく食べなさい!」

 

「―――おいおいおい、覚悟とか決意とかそういう次元じゃなくて、煮込んだエナドリの香りのする七色に光る不思議な液体は食べ物って言わねえから!!!」

 

「「―――失礼ね」でゴワス!!!」

 

 ジャパニーズスモウレスラー(リキシオン)の言うことは幼かった私にはほとんど理解できなかった。だけど私は、私の意志でそれを食べた。

 しばらく「ヤバい」としか言えなかったけどなぜか味は結構美味しかったな。

 

 その後は、文字通り現状打破の()となった私をヒーローが守り、カオスの待つケイオースタワーの最上階を目指した。

 それで悪の親玉をコテンパンにやっつければ誰もが認めるハッピーエンドだったんだけど、現実はそうならなかった。

 

「―――おやおや、ヒーロー達が総出で、どこに散歩ですかな?」

 

 死の商人(ショーウィンドウ)が武器を担ぎ、植物人間(ユグドライア)が立ちふさがる。上を見上げれば侵略者(インヴェルザー)のUFOが舞い、再古代(レプディノス)機械群(メカニタン)の兵が私たちを取り囲む。

 大勢の悪名高きヴィランの面々がヒーローの進撃を阻み、やがてヒーローは傷つき、一人、また一人と倒れていった。

 

 そして、―――恐怖で立ち尽くすことしかできなかった私に機械群の大総帥(コマンダー・イン・チーフ)の巨大な拳が振り下ろされた。

 

 

「―――ようガキンチョ、こうも何度もだとお前なんか呪われてるんじゃないか?」

 

 またしても私を救ったのは、大総帥を殴り飛ばしたおじ様だった!!!

 

「―――なぜお前たちが我々の邪魔をする!!!」

 

 激高するヴィランにテレビ頭の女性(Ms.プレイ・ディスプレイ)は「気に入らないから」と言い綺麗で怖いお姉さん(クロックファイア)は「木偶を何度吹っ飛ばしてもねえ。飽きちゃった」と言い放ちクマのぬいぐるみの爆弾を爆発させる。

 

 そしておじ様は、私を流星(ミーティアス)に放り投げて叫んだ。

 

「―――俺様は俺様の自由を阻むやつは許さねえんだよ。脱獄(プリズンブレイク)!!!!!」

 

 そして全身が緋色に輝く凶星(私のヒーロー)と幾人かのヴィランの助けを受け、私を抱えた流星(ミーティアス)は駆け出した。

 

「―――行け!!!流星(ミーティアス)、これで失敗したらただじゃおかねえぞ!!!」

 

 それっきりおじ様には会えていない。お礼も言えぬまま流星(ミーティアス)必殺技(ミーティア・ストライク)がカオスの体を貫き、私にとっては私の産まれた、皆にとっては幻の街は消え去ってしまったから

 

 あの時の選択が良かったことかは、今でも分からない。

 でもまた、会いたいな。おじ様(私のヒーロー)

 

 

 

「……間も……く着きそ……な」

 

 不意に私の耳に入ったインカムから声がした。

 もう通信可能距離が限界にきているのかその声はとても不鮮明だ。

 

「ええそうね司令。クロノスが開けたワームホールはいつの時代につながってるのかしら?」

 

「さあ………な。だが…えること……、例えクロ……ス(ヴィラン)を倒……ても……が元の……軸に……保証はない……だ」

 

 

 インカムの向こうから申し訳なさそうな声が聞こえる。

 ここは時のワームホール、時間の研究者で、狂ったヴィランとなったクロノスが過去を自らの都合のいいように作り変えるために作り出した一方通行の道……。

 それはまるで滑り台のように私の体を自動で運んでいた。

 

「そうかもね。でも諦めるつもりは毛頭ないわ。私は絶対帰る。クロノスのやつをとっちめてね」

 

「ああ……、頼……ぞ。ロ……ピ…カー!」

 

 そう私の名前はロックピッカー、クロノスを打倒する者。

 カオスの遺児であり、可能性の鍵!!!

 

「私は、ヴィランになんか絶対負けないんだから!」

 

 

 そうこれは、クロノスが作り出した時のワームホールから降り立ち、出合頭の流星(ミーティアス)を蹴飛ばして呪われた監獄(おじ様)に向けて全身ダイブする30秒前のロックピッカーの物語である。

 

 


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