War Robotsー宇宙からの侵略者ー   作:K.Miho
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ローマへの道_1

 ガレスの盾を取りに戻り、無事に再出発した騎士団は順調にローマへと足を進めていた。今のところ特に問題なく進んでいる。

 

「そろそろ休憩しようか」

 

 ランスロットが二人に呼びかける。もちろんロボットなので疲れるわけではないが、身体を酷使すると関節部が軋み始めるし、調整と手入れをするためにも一度休憩を挟むのが良いと判断したのであろう。

 

「分かりました!」

 

 ガレスが元気よく返事をする。ガラハッドはというとすでに荷を下ろしくつろいでいた。ランスロットとガレスも続いて荷をおろし一息ついた。

 

 ここはローマへと続く1本道。全ての道は云々と言うがここも例外ではなかったようである。多くのロボットがローマへと移動したため、大草原の中に獣道ならぬロボ道が形成されていた。雑草の隙間からところどころ見え隠れする人間が作ったアスファルトの道路は、すでに大部分が風化しひび割れており、もはや人間の文明を感じさせない。この辺りはもともと広大な農場であったのだろうか、建物の残骸も少なく自然豊かな見通しの良い場所であった。

 

 3人は互いにグリスを塗り合った。この世界ではグリスを塗り合うことこそが親密さの証だそうだ。一通りの調整が終わったときにランスが真剣な声色で耳打ちした。

 

「むっ、ちょっとじっとしていろ」

 

 遠くの方をじっと見つめているランスロットを心配そうに見つめるガラハッドとガレス。

 

「12時の方向に不審な動きがあった。距離は900といったところか、何者かが襲われているようだ」

「父さんどうする? 助ける?」

「いや、マシンガンの射程は500、お前のミサイルも600が限界だ」

 

 望遠レンズを手にしていたガレスが口を挟む。

 

「師匠、追い詰められています! 絶体絶命ですよ! 何とかしなければ!」

「仕方がない。ガラハ、そこにある細長い筒を取ってくれ」

「え、これのこと? そういえば何だろうと思っていたんだよ」

 

 ランスロットは筒の中から巨大な細長い何かを取り出した。そして頭部につけているマシンガン・”アベンジャー”を取り外し、代わりに全体が深緑色で塗装されたその武器を取り付けた。

 

「チャージ・オン」

 

 ランスロットはセーフティを解除し、その武器のチャージを開始した。チャージとともにその先からオレンジ色の光が徐々に漏れはじめ、エネルギーが溜められているのが見て取れた。

 

「師匠、まだですか! ぎりぎり攻撃を避けていますが、もうそろそろ限界だと思います!!」

「フルチャージまであと5秒、4、3、2、1……」

 

 ランスロットの「発射」という言葉と同時に、その武器から極太のオレンジ色のエネルギー光線が発射された。あまりにも強い衝撃のため、重量級のランスロットですら耐え切れずに後ろへ数歩よろめいた。

 エネルギー光線は標的へと一直線に向かい、その機体を跡形もなく蒸発させた。暴漢に襲われていた者は死を覚悟し目を瞑っていたが、なかなか襲われないので恐る恐る目を開けてみると、先ほどまで目の前にいた敵が消えていることに気が付き目をぱちくりさせていた。

 

 その頃、約1km弱離れた地点に居たガラハッドとガレスも同様に驚きを隠せないでいた。

 

「も、目標、完全に消失しました」

 

 ガレスが目の前の出来事に戸惑いながら報告する。

 

「な、なんだよ、あれ。そんな秘密兵器いつ手に入れたんだよ!」

「母さんが昔使っていたものを借りてきたんだ。私は一つで限界だが、全盛期の母さんはあれを二つ担いでたらしいぞ」

「やべぇよ、やべぇよ」

 

 ガラハッドは母親の恐ろしさに身震いすることしかできなかった。そうして一行は襲われていたロボットの元へと向かった。

 

「大丈夫か。もう平気だ」

 

 ランスロットはへたりこんでいるロボットに優しく声をかける。

 

「わ、私、いきなり襲われて、必死に逃げて、もうやられると思って、そ、そうしたらいきなり……」

「やつは私が倒したから安心するんだ」

「は、はい、ありがとうございました」

 

 そのロボットはぺこりとお辞儀をした。見たところ形状はヒト型、詳しい型番は不明だがおそらく人間のアシスタントロボとして働いていたのだろう。ちなみに見た目は女性の姿形をしている。

 

「ところでなんでこんな草原のど真ん中に?」

「いえ、それが整備士の仕事をしているのですが、塗料が足りなくなったので原料を採取しに来ました。それでもう帰ろうかと思った矢先、変なロボットに出会ったのです」

「遠くてよくは見えなかったが、奇妙な動きをしていたな」

 

 制御不能なロボットのことがランスロットの頭によぎった。

 

「また出てくるやもしれん。我々が送り届けよう、二人とも良いな?」

「いいよ」

「もちろんですよ」

 

 そうして円卓の騎士団はアシスタントロボを町まで送り届けることにした。彼女は街までの近道を知っているらしく、うんざりとするような長ったらしい草原を回避することができたのは彼らにとっても幸運であった。

 

「あ、あの……。ちょっと良いですか?」

「ん、どうした、調子が悪いのか?」

「いえ、そうではないんですけど、ロボットの整備に必要な鉱石が不足しているのを忘れていて、この辺りで取れるので……」

 

 アシスタントロボは申し訳なさそうに下を向きながらぼそぼそと呟いた。ランスロットはガラハッドとガレスに目くばせをし二人の許可を得た。ガラハッドに関してはやれやれというように首を横に振ったものの、本心から嫌がっている様子はない。ランスロットは気を使わせないように普段より明るめの声で返事をした。

 

「構わないぞ。ちょうどそこに手頃な洞窟がある。ちょっと中に入って手に入れれば良いだろう」

「本当ですか? 何から何まですみません、ありがとうございます!」

 

 曇っていた彼女の顔が一気に晴れたような気がした。もちろんロボットなので表情が変化するわけではない。しかしお互いに何となく分かるものである。

 

「では私が一緒についていくことにするから、二人はここで待っていてくれ。」

「了解しました」

 

 ガレスが元気よく返事をした後、ランスロットとアシスタントロボは暗い洞窟の中に消えていった。残された二人は今後のことや母親のことなど他愛もない会話をしている。そして15分ほど経った時だった。どこからか声が聞こえてきたので二人は近くの岩陰に身を潜めた。

 

「がはは。さっきのやつはあっけなかったな」

「全くだ。俺のマシンガンでハチの巣にしてやったぜ」

「お前はオーバーキルなんだよ。少しは節約というものをだな……」

「分かってますよーだ」

「さて、次の獲物はどうすっかな。この辺は山のふもとだ。それに森の中に入っちまったようだからなかなか見つからんぞ」

「そうだな。そういえば近くに小さな村があったはずだがらそこにしようぜ」

「おー、了解。じゃあ次の標的はそこだな。目指すは10キルだ」

 

 ガラハッドはガレスと目を合わせ、ここは隠れてやり過ごそうということを伝えた。しかし、こういう時に限って木の枝を踏んでしまうのが世の理である。ガレスも例外なく先人たちと同じ運命を辿った。

 

 ぼきっ。小鳥すらいない静かな森の中に小さな音が響き渡った。

 



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