永遠の誓い 作:さすらいの新じゃが
「俺が一生、お前の側に居るから。もう泣くなよ」
少年がうずくまる少女に手を伸ばす。
少女は顔を上げて少年の手を取った。
そして、世界はどんどんぼやけていく。
「ふぅ、またこの夢か。最近よく見るな、この夢」
どうやら先ほどまでの光景は夢だったようだ。
俺はこの夢をよく見る。
あの夢に出てくる少年は俺だ。
俺は体を起こして服を着替える。
特注サイズの制服を身に纏った俺は洗面所で顔を洗う。
冷たい水が目を覚ましてくれて気持ちいい。
そして俺はリビングに向かう。
リビングのドアを開けると、すでにテーブルに着いている母ともう一人、制服姿の
女子生徒。
「おはよう。燐子。早かったな」
「たっくん、おはよう。うん、なんか早く目が覚めちゃって……」
「そうなのか。じゃあ食べるか」
「そうだね、たっくん」
生徒姿の女子生徒、改めて白金燐子は俺の幼少期からの幼馴染みである。
彼女の両親は仕事でしょっちゅう海外に行っているので隣にあるウチによく泊まっている。
俺達は朝食を食べ始める。
献立はトーストにスクランブルエッグ、ベーコンといった一般的な朝食だ。
「この朝食、燐子が作っただろ?」
「え、どうしてわかったの?」
「直感」
直感とは言ったが大体誰が作ったかはだいたい分かる。
母さんが作ったスクランブルエッグはもうちょい卵が硬い。
燐子が作ったスクランブルエッグはちょうどよい硬さなのですぐにわかった。
これを口に出すと母さんが拗ねるので直感にしておくが。
「たっくんって昔から直感が鋭いよね」
「拓斗は燐子ちゃんのことはよく見てるからねぇ~」
「誤解を招くような言い方をするなよ母さん」
「でも燐子ちゃんはまんざらでも無さそうだけど~?」
燐子を見ると顔を赤らめて俯いていた。
かわいい。つい反射的に出てしまった。
「とりあえず、食べ終わったしテレビでも見るか」
俺は朝食を食べ終え食器を片付けた後、テレビを点けた。
『今日はPastel*Palettesの丸山彩さんに来て貰っ』
つい反射的にテレビを消してしまった。
そりゃあいきなりテレビにクラスメイトが映っていたらビックリはするだろう。
いきなり驚かされた。
さて、学校に行くか。
そう思って荷物を持つと、燐子も玄関に向かった。
「たっくん、一緒に行こ?」
「ああ、いいぜ。って言ってもいつも通りだよなぁ~」
「そうだね」
いつも通り、とは言っているが俺は別にこんないつも通りが続いてくれればむしろ嬉しい位だ。
俺達は並んで学校に向かう。
制服のデザインと俺の体格的に姫を護衛しているボディーガードのような感じになっている。
俺はだいぶ恵まれた体格をしていると思う。
身長は187センチあって、体重は85キロ。
握力は両手共に90。
そこらのゴロツキには絶対に負けないし、まずケンカも売られない。
「たっくん、また背高くなった?」
隣から俺を見上げながら燐子は言った。
見上げる時に必然的に上目遣いになるので非常に精神衛生上よろしくない。
俺は燐子から少し目線を逸らして言った。
「ああ。昨日計ったら1センチ伸びてた。それにしてもよく見てるな」
「うん、私もたっくんのこと、見てるんだよ?」
「そいつは嬉しいな」
さっきの母さんの話をまだ引き摺っているのか。
でも俺のことを見てくれていたのは少し嬉しい。
幼馴染みである好みにドストライクな超絶美少女にそう言われて嬉しくない男は居ない。
少なくとも俺がそうだ。
こうやって他愛ない話をしていると学校にたどり着いた。
校門の前に俺達のよく知る人物が立っていた。
「はぁ、あなた達っていつも一緒にいるわね……」
「そうなのか?まあ俺は構わねぇけど」
「猪狩君、貴方ってすごく能天気ね」
「そうか?ありがとな~、氷川」
「はぁ、全く誉めてないわ」
氷川が小さく呟いたきがしたが放っておく。
俺達はこのまま教室に入る。
教室では勉強をしている者、友人と話している者、それぞれの過ごし方は十人十色だ。
俺達の席は隣なので席に着いてから話し始める。
基本的に俺が話して燐子が聞く、といった感じだが燐子が凄く嬉しそうなので大丈夫だろう。
俺はコーラを買いに自販機に向かった。
俺は自販機に金を入れてボタンを押す。
出てきたコーラを取り出し教室に戻る。
「たっくん、コーラ好きだね」
「ああ。コーラ飲まなきゃ生きて行けねぇ」
コーラを飲まなきゃ生きて行けない。
なぜなら数時間に一度コーラを飲まないと禁断症状が出てしまう。
俺はコーラをゴクゴクと飲む。
体から力が湧いてくるような感覚に取りつかれる。
コーラって旨いな。改めて。
俺はコーラはコカ・コーラ派ではなくペプシの方が好きだ。
ペプシの強炭酸が気持ちいい。
始業のチャイムがなる。
今日も憂鬱な授業が始まる。
授業中寝ようとすると後ろからシャーペンで背中をつつかれる。
たまにめちゃくちゃ痛い時がある。
氷川の仕業だ。
後ろを向くと鬼の形相で睨まれる。
氷川も結構美人なんだけどなぁ~。
俺のタイプじゃあ無いけど。
今度は起きているのに背中をつつかれる。
今度はスゲー痛い。
考えでも読めるのか?氷川は。
授業が終わって昼休みの時間となった。
さてさてさーて、弁当でも食べますか。
そう思って鞄を開けると弁当は入っていなかった。
そういえば母さんに何も渡されなかったなぁ。
忘れてたのか?まあ俺も人のこと言えないけど。
すると燐子が話しかけてきた。
「たっくん、お弁当、作ってきたよ?」
「燐子、愛してるぜ」
「たっくん、こ、こんなところで!?ははは恥ずかしいよぉ~」
「わりぃ、つい出ちまった。さ、早く食べようぜ」
さっきから燐子の顔が赤い。
熱でもあるのだろうか?
「燐子、ちょっとこっち向いてくれ」
「うん、でもどうして?」
「いいから」
燐子がこっちを向いた。
俺は燐子の頭を押さえて俺のおでこと燐子のおでこをくっつけた。
確かに熱いな。でもどんどん熱くなってる。
燐子は糸の切れた人形のように気絶した。
だが顔は幸せそうに笑顔だ。
まあいいや。授業始めるまでに起こせばいいか。
俺は燐子の頭を膝の上に乗せて寝かせる。
こうして見ると改めて燐子ってかわいいよなぁ。
俺のタイプにドンピシャなんだよなぁ。
向こうは俺のことをそんな目で見てないだろうけど。
すると燐子の目が開いた。
「ごめんね、たっくん。急に気絶しちゃって……」
「なぁに、きにすんなよ。大丈夫か?」
「うん。大丈夫だよ」
昼休みがもうすぐ終わる。
俺達は急いで弁当を食べて教室に向かう。
なんとか授業には間に合ったようだ。
そして授業中、後ろからの攻撃も効かずに俺の意識はブラックアウトした。
そして夢の中にて。
とある幼稚園にて、一人の少女が教室の隅で踞っていた。
俺は少女の方に向かって話しかける。
「君、一人?」
「う、うん」
「俺も一人なんだ。そうだ!俺達が一緒にいれば二人とも一人じゃ無くなるんじゃないか?」
「え?」
俺は少女に無邪気に笑いかける。
「俺が一生、お前の側に居るから。もう泣くなよ」
俺は少女に手を伸ばす。
少女はその手を取った。
「ずっと、一緒だよ?」
授業の終わるチャイムと共に俺の意識は現実に引き戻された。