残酷な世界で生きる意味。   作:ひーなー

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どうも。少し更新が遅れてしまいました。
お気に入り2件目ありがとうございます!
今回はほかの2話に比べて少し長めです。
では本編どうぞ!


スリーピング・ナイツ

「お願いです!キリト!ボク達に力を貸してくださいっ!」

 

そう言うとユウキはバサッと音を立てて勢いよくお辞儀をした。

 

「へ?あぁ...え?」

 

キリトは全く訳が分からずにいた。デュエルで負けて付いてきたら勝った方が頭を下げている。この状況はおかしい。

 

「ど、どしたんだよユウキ。とりあえず頭を上げてくれ。」

 

「ご、ごめんね!ボクったらなーんにも説明もしてないのにね。あはは...」

 

「俺は別に構わないんだが...で、お願いってなんなんだ?出来ることならなんだって協力するよ。」

 

説明を受けていないので細かいところはわからないのだが、あんなに強くて、絶剣とまで呼ばれているユウキが頭を下げてまでお願いすることだ。よっぽどの事なのだろう。

 

「あ、その事なんだけどさ、ここじゃ説明しにくいからちょっと付いてきてくれる?そこで話すよ。」

 

「了解。それじゃ案内よろしくっ」

 

「はーいっ!わっかりましたー!」

 

そう言うとユウキはまた飛び出した。

 

 

 

 

ユウキと話してから数分がたった頃。俺たちはまだ翅を広げ、空を飛んでいた。下を見てみると木々が生い茂った森が広がっている。たまに見える地面には、モンスターがうじゃうじゃいた。

そして前を向き直す。するとユウキの顔が目に入った。だがそこにはいつもの明るくて無垢な笑顔のユウキではなく、どこか悲しく、そして酷く何かに怯えているような。そんな顔をしていた。

 

「ユウキ...?」

 

俺は思わず体をとめ、下を向いて考えてしまった。あの表情。どこか引っかかる。なんだ。なんなんだ。その時俺の頭は初めて死銃とあった時のことを思い出していた。死銃が元ラフコフの一員だったこと。そして俺はラフコフ討伐作戦のとき、ラフコフのメンバーを斬ったこと。そして俺はその事がたまらなく怖くなり、思わずシノンの手を握ってしまった。その時の俺はさっきのユウキのような表情だったのだろう。

 

「キリト?どうしたの...?」

 

「え?俺?」

 

「うん。だってほら。キリト、泣いてるよ?大丈夫?」

 

俺は泣いていた。自分でも何故涙が流れているのか分からない。

 

「あれ...なんでっなんでっ!」

 

拭いても拭いても涙は止まらない。

 

「キリト?」

 

そしてその週間、キリトの目の前に自分の手で殺めた奴らの顔が現れた。もちろん本当に現れたのではなく、キリトの幻覚だ。

 

「や、やめろ。来るな。来ないでくれ...」

 

「キリト!大丈夫?!キリト!」

 

「いやだっ...やめてくれ...お願いだから...来るな。来るなよッ!!!」

 

キリトは冷静さを失っていた。すると目の前の視界が暗くなっていき、俺は気を失った。体が落ちていくのが分かった。

 

 

 

「んん...あれ?俺は...」

 

見慣れた天上。見慣れた机。いつものベット。俺は目を覚ました。そこにはいつも使っている俺の部屋が広がっていた。

 

「あれ?俺、なんで...そうか。気を失って...でもなんで...」

 

キリトはあまりのショックに気を失った理由を忘れていた。でも何故か思い出すのがすごく怖ように感じていた。

 

「ん?アミュスフィア?あっ...やべっ!!」

 

キリトは気を失う前のことを思い出し、急いでアミュスフィアを被った。

 

(やばい。手を貸すとか偉そうなこと言っておいて...やばい。謝らないと...)

 

「リンクスタートッ!」

 

キリトは再びALOにダイブした。

 

「ん?!ここは...?」

 

体が動くようになってきたので、あたりを見渡す。そこは太陽の光がほとんど差さない、森の中だった。

そして俺は大木に背中をあずけ、座り込んでいた。

やけに静かだなと、思っていると声が聞こえた。後ろの方だ。

 

「やあっ!はァァァああっ!!!」

 

「グゴオオオオオ!!!!!」

 

パーリーン。

 

「誰かいるのか?」

 

「ん?あ!キリト!!目が覚めたんだね!良かったぁ〜...結構心配したんだよ?」

 

そこには愛剣を片手に持ったユウキがいた。

 

「ユ、ユウキ?!なんで?」

 

「なんでって...覚えてないの?」

 

そうだ。キリトは気を失ったのだ。

 

「あ、そっか。悪い。ほんと。ごめん。あんまり思い出せないんだ。」

 

「ううん、気にしないで。」

 

でも気になることがひとつあった。

 

「なぁユウキ、ひとつ聞いていいか?」

 

「ん?どしたの?」

 

「なんで俺HPが全く減ってないんだ?」

 

そう。キリトHPはMAXだった。あの高さから落ちたなら、多少なりとも落下ダメージはあるはずだ。

 

「え?そ、それは...そ、そう!木がクッションになったんじゃない?!そ、そう!きっとそうだよ!!うん!」

 

「ユウキ?」

 

「は、はひっ!」

 

「どうしてそんなに慌ててるんだ?」

 

ユウキの慌て方は異常だ。だが俺にはその理由が分からない。

 

「べ、別に慌ててないよっ?!ホントのほんとに!うん!」

 

「そうかな...」

 

「う、うん!そうだよ!!」

 

「でも落下ダメージは入らなかったとして、ここにはモンスターがいたはずだろ?」

 

「それはボクが粗方狩っちゃったからねぇ...」

 

「もしかして俺を守るために?」

 

「ま、まあね!ふふっ!」

 

トクン。

なんだ。これは?なんなんだろう。今の気持ち。妙に嬉しかったな。

 

「それじゃ行こうか!キリト、立てる?」

 

「ああ。おかげさまでな。ありがとな!ユウキ。」

 

「ふふっ。どういたしましてっ!」

 

「案内よろしく!」

 

「任せて!行こ!」

 

そして俺達はもう一度目的地に向かった。

 

そこからはあまり長くなかった。圏内に入ると、ユウキはとても嬉しそうに走っていった。

 

「お、おい!ユウキ!待ってくれ!!」

 

「ふっふーん!キリト急がないと置いて言っちゃうよ!!」

 

「ユウキの方がAGI上だろ?!」

 

「関係ない関係ないっ!」

 

「そんな無茶な...」

 

しばらく追いかけっこじみたことをしていると、ユウキはそのスピードを緩め、ある建物の前で止まった。

 

「ここか?」

 

「うん!そうだよ!!さ、入って!」

 

「お、おう...」

 

そう言うと何故かユウキが扉を開け、勢いよく建物の中に入った。

 

「みんな!たっだいま〜!!」

 

「お、帰ってきた帰ってきた」

 

そういったのは重装備を纏ったサラマンダーだ。だがその容姿は少年だ。

 

「おかえりなさい。ユウキ。」

 

次にそういったのは長く伸びた薄水色の髪が特徴的なウンディーネの女性。

 

「テンション高いな〜!もしかして見つかったのか!」

 

サラマンダーの少年が言う。

 

「うん!見つかったよ!さ、入って!キリト!!」

 

「お、お邪魔します...」

 

「紹介するね!これがボクのギルド、スリーピング・ナイツです!一応ボクがこのギルドのリーダーしてます!」

 

「は、はぁ...」

 

「ね、キリト。ボク達に力を貸してくれる?」

 

「あ、あのまだその内容を聞いてないんですけど...」

 

「「「「「え、ぇぇえええええ!!!!」」」」」

 

「あっはは...忘れてたよ...」

 

「頼むよリーダー...」

 

そういったのは短く括った髪が特徴的なスプリガンの女性だ。

 

「と、とりあえずみんな自己紹介よろしくっ!」

 

「僕はジュン!キリトさん?だっけ、よろしく!」

 

「あー、えっと、テッチって言います。どうぞよろしく。」

 

「わ、私はタルケンって名前です。よろしくお願いします。」

 

「アタシはノリ。会えて嬉しいよ。キリトさん。」

 

「初めまして。私はシウネーです。ありがとう、来てくださって」

 

「じゃあ改めて。ボクが、スリーピング・ナイツのリーダー。ユウキです!キリト!一緒に頑張ろうね!」

 

「え?な、何を?」

 

「あっそっか、説明してないんだった!」

 

ほかの5人はその様子を見て、大笑いしていた。その様子にキリトも耐えきれず、吹き出してしまった。

 

「キリト!あのね?ボク達に、この層のボスモンスターを倒したいんだ!」

 

「は、はあ?!そ、それってフィールドボス...だよな?」

 

「違う違うあんなのじゃダメだよ!」

 

あんなの...か...

確かにほかのメンバーの動きを見ても、ユウキはもちろん、とてもアバターの操作に慣れている。武器を持った時には、ユウキを超えるとまでは行かなくても、近いレベルにはなるだろう。

ん?フィールドボスじゃない?ん?

 

「あのね、ボク達、この層のボスモンスターを倒したいんだ!ここにいるメンバーだけで!」

 

「は?それってまさか...」

 

「1回しか倒せない、アレ。」

 

「あ、あのなユウキ。お前が強いのはよく分かる。ほかの5人も相当な手練だろう。でもな、あれはやたらめったら強く設定されてるんだ。いくらなんでもそれは無理だと思うぞ...」

 

実際、26層のボスもたくさんのギルドから精鋭を集めた大部隊で漸く倒せたらしい。

 

「うん。ぜーんぜんダメだった。25層とりあえず26層もち挑戦したんだけどね」

 

「ろ、6人で?!」

 

「結構頑張ったんだけどどうしてもアイテム類が足りなくなっちゃって。」

 

「そこでこのメンバーの中で最強のユウキと同じか、それ以上の強さを持つプレイヤーに協力してもらおうってなったんです。」

 

「なるほど...」

 

正直なところ、この挑戦はほとんど不可能だ。いくらこの6人が強いとはいえ、ALOのボスはSAOのように実際に死んでしまうことはながらだろうか、めちゃくちゃなパラメーターなのだ。だが、この人たちは真剣だ。今もキラキラした目で俺を見つめてくる。

 

分かった。もう負けだ。

 

「分かりました。協力しましょう。お金はいりません。アイテム類に回してください。」

 

「ほんとですか!!!ありがとうございます!!」

 

「いえいえ。そういうの、俺好きですし。もちろん真剣にやります。それにユウキにも恩がありますし。」

 

「ありがと!キリト!!」

 

「でも。でもひとつ。条件があります。」

 

俺は、これはだけは言っておかないといけないと思っていた。俺はこれまで人を避けてきた。現実のこともそうだが、特にSAOのことで。月夜の黒猫団を。サチを殺したのは俺だ。だから。だから...

 

「俺が生きている間はパーティーメンバーを殺させません。何があってもあなた達を守ります。それだけが条件です。」

 

「キリト...分かった。でも偵察とかはどうするの?」

 

「それなんだが、多分ユウキ達が負けてから直ぐにボスが攻略されたのは偶然じゃない。」

 

「どういうこと?!」

 

「多分誰かがピーピングされてたんだろう。ユウキ達がボスの行動パターンを丸裸にしたからほかのギルドも攻略に踏み切れたんだ。」

 

「そんな...」

 

「だから結局初見でクリアするしかない。ほかのギルドは大きいからその分準備に時間と労力がかかる。回復アイテムすら揃えきれていないだろう。まだ時間はある。その間にできるだけ稼ごう。」

 

「分かった。って言いたいところなんだけど...ボク達そろそろ落ちないといけないんだ。ボク達、って言ってもほかの5人なんだけどね。」

 

「そうか。それじゃ空いてる時間教えてくれるか?俺は明日は基本大丈夫だ。」

 

「ごめん、アタシとタルケンは夜はダメなんだ。午後1時なんでどうかな?」

 

その提案に全員が頭を縦に振った。

 

「それじゃ明日午後1時にこの宿屋で集合で。」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

「それじゃアタシ達は落ちるね。またね!リーダー。」

 

そう言うとほかのメンバーも続々とログアウトしていき、宿屋にはユウキとキリトだけが残された。

 

「みんな賑やかな人達だな。」

 

「ふふーんそうでしょ?みーんないい人ばっかりなんだー!」

 

こういう所にユウキの人の良さが出ている。だから周りにもユウキのような心優しい人が集まるのだろう。

 

「ユウキはまだ落ちないでいいのか?」

 

「うん。けん...いーや、なんでもない。」

 

「なぁユウキ。散歩にでも行かないか?」

 

「うん!行くいく!」

 

「それじゃ行こうか。」

 

俺はここでユウキにあることを聞こうとしていた。

 

今俺達がいるのは22層の池の前だ。キリトのホームからは少し離れたところに案内した。

 

「うっわー!きれーい!!」

 

そこからは星がとても良く見え、絶景スポットと言ってもいいほど綺麗な星空が見える。

 

「なぁユウキ。」

 

「ん?なーに?」

 

ユウキが俺の顔を覗き込む。本人は自覚が無いかもしれないが、かなりの美人だ。ALOでも上位に入るほどだろう。そのユウキが顔お近づけた来たので、少しドキッとする。

 

「あの、さ。別に嫌ならいわなくてもいいんだけど...」

 

「うんうん、何?」

 

「君は一体何者なんだ?」

 

その時見えた。ユウキの表情。口許にうっすらと笑みを浮かべ、顔の上部分は影になって見えなが、どこか不気味だった。その時俺は思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『聞かなければ良かった。』

 

 

 

 

 

 

 

「それは、秘密。特にキミには絶対言えない。言いたくない。」

 

普段なら俺の事を「キリト」と呼ぶのだが、この時はどこかよそよそしさみたいなものを感じた。

 

「ホントは初めて戦った時に思ったんだ。この人いいなってでもキミはボクの秘密の核心に迫ってきた。だからやめておいた。やっぱ他の人にしておけば良かったかな...

ごめんね。変な事言って。気にしないで。ボクはキミのこと、信頼してるよ。それじゃ、ボク落ちるね。おやすみ。」

 

そう言うと俺の返事を待たずにユウキはログアウトしていった。

 

「やめとけば良かったかなぁ...」

 

俺はそう呟いた。

 

 

 

 

 




最後まで見ていただき、有難うございます!
今回はシリアス多めでしたね。僕はこういうのもガンガン入れていきます。どうかご了承ください。
それでは次回、ボス戦です。
お楽しみに!ではでは!
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