更新が大幅に遅れてしまいました。すいません。
これからも更新は不定期になってしまいますが、ご了承ください。
さて、今回は少し短めの木綿季視点です。
では、本編をどうぞ。
「木綿季〜!木綿季〜!!宿題、終わったの〜!」
「もうとっくに終わってるよー!姉ちゃんも遊ぼうよー!」
「私はお母さんのお手伝いしないといけないの!」
「そっか...」
「でも少しならいいよ。」
「わーい!やったぁー!いーっぱい遊ぶぞー!」
「こーら!あんまりはしゃぎすぎないの!」
「大丈夫だよ〜!って...わぁっ?!」
「木綿季っ!」
「いてて...」
「だから言ったでしょ?」
「ごめんなさーい」
「もう。木綿季は...」
「「あはははははははっ!」」
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ピーッ...ピーッ...
いつも通り。真っ暗な視界に、鳴り響く電子音。それ以外は何も聞こえない。
手も。足も。指さえも。固定なんてしていない。なのに.....動かない。
動かせない。
今はメディキュボイドの体感覚キャンセル機能が作動しているから仕方ないとして、それが解除されても同じこと。唯一あるのは痛みだけ。それ以外の感覚はない。光はなく、風もない。外の景色なんて最後に見たのはいつだっけ。
「姉ちゃん...」
メディキュボイドは自分の声を機械を通して出せるようになっている。
今ボクがいるのは無菌室。
少し広めの部屋に、膨大な数の機械とその真ん中にあるとてつもなく大きなベット。いや、機械かな。そこに僕はもう3年も寝たきりだ。
名前はメディキュボイド、って言うらしい。
大分意識がハッキリしてきた。
「おや、木綿季くん。おかえりなさい。」
他人の声も機械を通して聞こえる。今の声は...
「ただいま。倉橋先生。」
ボクの主治医の倉橋先生だ。
「今日はかなり早めですね。前なんか時間ギリギリまで遊んでたのに。」
「今日は...ちょっとゲームの中で嫌なことがあって...」
「良かったら話、聞きますよ。」
「先生、聞いてくれますか?」
「はい。もちろん。」
倉橋先生はニッコリと笑ってそう言ってくれた。倉橋先生はとても優しい。ボクの家族にも...優しかった。
「ボク、キリトって言う人に会ったんです。優しくて、強くて、でも何かに怯えていた。ボクみたいに。」
「.....。」
倉橋先生が暗い顔をしている。気付いていた。でも、止められなかった。
「その人は...ボクの秘密に気付いちゃいました。最初は怖かった。でも色んな人と戦ってもキリトを超える人はいませんでした。そしてある日、またキリトが戦いに来てくれたんです。とても嬉しかった。」
先生の表情は変わらない。相変わらず暗かった。でも止めない。
「キリトはもう一度ボクと戦って勝つためにすっごい技を作ってきたんです。それにはほんとうにびっくりしました...!」
少し元気に言ってみた。出来たかは分からないけど、やっぱり先生は暗い顔をしている。
「ボク、キリトにお願いごとをしたんです。そしたらキリトはなんの疑いもなくOKしてくれたんです。この人はどこまでお人好しなんだ、って思いました。」
ちょっと笑いを交えてみた。そうすると今度は先生は少し震えていた。でも、止めない。
「途中キリトが気絶しちゃって、落ちていったんです。どうしようか迷ったんですけど見捨てることができなくて、キリトを抱っこして降りて行きました。その後になんで無傷なのか聞かれて、すごく慌てちゃいました。恥ずかしくてとても言えなかったです...」
先生は震えていた。でも少し嬉しそうだった。
「キリトは何かに怯えていました。気絶した理由も多分それなんです。目が覚めたキリトはボクにありがとうって言ってくれました。本当に嬉しかった。こんなボクでも。たくさんの人に迷惑をかけてきたボクでも、人の役に立てるんだって。」
先生は.....泣いていた。もちろん、声を上げてわんわん泣いていたわけじゃない。俯き、声を殺し、涙を我慢して。
そして先生は言った。
「君に.....いや、いい方ですね。キリトさんは。」
先生は笑顔だった。ボクがこれまでに見たことの無い笑顔を見せてくれた。
先生は多分ボクとキリトの関係を勘違いしている。でもここでそれを言う気にはなれなかった。少しづつ誤解を解いていこうと思った。
「では、また明日もALOに?」
「...ALOには...もうダイブしません。」
「それはまたなんで...」
「でも、もしかしたらこの病院にキリトが来るかも知れません。」
「住所は?」
「教えてません。」
「それじゃあここは分からないよ。」
「ははは...そうですよね。でも...キリトは来そうです...!」
「そこまで言うなら木綿季くんのことを信じましょう。受け付けの方に言っておきますね。」
「はい。ありがとうございます。先生。」
「いえいえ。こんなのお易い御用ですよ。」
ほんとに...この先生は優しい。
ここまで呼んで下さり、ありがとうございました。
今まではキリト視点だったのですが、木綿季の気持ちも知ってもらう機会を作りたく、こうしました。
次回は再びキリト視点に戻り、話を進めていきます。
更新はなるべく早めにします。
では!