そしてこの作品はとても健全な小説です。
道徳の教科書に載せられるくらい健全です。
それでも良ければ、読んでやってください。
※ななめうえさん、胡瓜さん。
誤字報告ありがとうございます。
「──ふぅ、やっと着いたか」
初老の男はそう呟きながら氷の大地に足を下ろした。鼓膜を叩くヘリコプターの耳障りなプロペラ音を後ろに、積み込んでいた段ボールを白い地面へと下ろす。
上空から照りつける太陽光と、それを反射する雪の光が肌を焼くのを感じる。既に着けていた日焼け止めは十全に効果を発揮しているはずだが、それでも全方位から照射される光には敵わないらしい。
──まあ、それも仕方のない話だろう。そう男は思いながら周りを見渡す。
鮮やかな青と、鮮烈な白。
まるで描いた絵の具たちがせめぎ会うようだ──そんな詩的な表現をしてしまいそうになるほど、二つの色の世界が四方八方に広がっていた。雲一つない青空と敷き詰められた雪と氷のタイル。時折覗く岩肌の茶色いアクセントが二つの色を際立たせる。思わず吐いた感嘆の息はキラキラと白く輝き、そして開いた口内へと押し寄せる寒波はあまりに乾いていた。
南極大陸。
地球の最南。地球の大陸において唯一人類が定住しない極寒の大地。世界で最も寒く、乾燥した極点。
──
男はその南極の観測隊の隊長だった。もう既に十数年もこの観測隊に何らかの形で従事し、南極に訪れた回数も隊では一番多い。
けれどこの南極の景色は見飽きることがなかった。何度も南極での越冬を経験し、毎日のように眺めていた白い世界は男にとって最早第二の故郷に等しかった。
「隊長、荷物運んでくださいよ。ヘリもう一回飛ばすんですから」
「ん、あぁすまない。つい、な?」
「飽きませんね、隊長も。もう何度も見てるじゃないですか」
「飽きないさ──この世の果ての景色だぜ? 死ぬまで見ていたいくらいだよ」
隊員の一人にそう嗤うと、隊員は洒落になってないですよ、と言葉を残しながら、他の隊員と協力しながらヘリの中に積まれている段ボールを運ぶ。ヘリの積載量の関係で二回に分けて運ばれる荷物だが、それでも数人で小さなヘリから運び出すには手間がかかる。
隊長と呼ばれた男は一度雪山の方へと目線を向けると、数秒ほど、見えない何かを見詰めるように中空へ顔を向けていた。
──果てしなく、遠い空。
小さい頃から夢見ていた風景だった。実家の本棚に今でも陳列されている、ボロボロの本に描かれた白銀の世界をずっと目指して生きていた。勉強に精を出し、体を鍛え、観測隊になるために、がむしゃらに生きていたのは──もうずっと昔の頃の話。
何もかもが懐かしく、輝かしい。
けれどその思い出より、男を南極へと駆り立てる出来事はもう一つあった。
「なあ。お前、龍って見たことあるか?」
「はあ? 龍って……ドラゴン?
「まあ、どっちかって言うと、もっと西洋的な……アレだ、地龍っていうの? 翼が無い奴」
「……隊長って結構ゲームとかするんですか?」
「俺はやらねえよ。息子はゲーム会社で働いてるけどな」
男は一息吐くと、何かを思い出すように空を見る。
「昔……俺が新米だった頃、地質調査に標高が高いところまで雪上車で向かってる時に、急にブリザードに襲われたことがあってな。周りは見えねえ、車は動かねえ、真後ろにいるはずの雪上車も見えなくなるくらいに酷い有り様で、慣れてねえ俺は半ベソかいて膝抱えててよ」
今でも、昨日のように思い出せる。
厚い窓を風が容赦なく叩き、雪上車は情けなくも軋む音をたてる。周りには一面の白と闇が広がり、後続の車両はきっと数歩進めばそこにあるに違いないのに、あまりの視界の悪さにたちまち消えてしまった。
無線は繋がらず、現在位置も定かではない。頼りの先輩は落ち着いて男を慰めた後、慣れたように車の後ろの方を見張っていた。男はそれでも不安で、今にも車がひっくり返ってしまうんじゃないかとビクビク震えていた。
──それは男が初めて、南極に来たことを後悔した時のことだった。
「その時に、俺は龍を見た」
車両の運転席を寒さと恐怖に震える手で点検していた時の事だった。吹き荒れる雪と寒さでフロントガラスには霜が張っていて、落ち着かない男が手袋を着けた手で霜を拭って──ふと外を見たときの事。
そこには壁があった。
突然過ぎて逆に冷静になった男が、不思議に思って目を凝らして、それが氷の塊だということに気付いた。
まるで昔、北海道で見た氷の彫像のように、半透明のソレを数秒ほど見詰めていると、どうにも何か動物の足のように思えてきてしまった。象より太いが、どこか肉食獣のような『く』の字を描いた氷は、雪上車よりも遥かに幅が広そうだった。
これだけデカイ足なら、さぞ大きな生き物だろうな──そう男が無意識に思って顔を上げると──そこには顔があった。
まるで車の頭が延びたような輪郭から、後ろに稜線を描く氷の山。その氷には線が走っているように見えて、まるで巨大なアギトのよう。よく見れば、足のような氷は、その怪物の体から伸びた脚だった。まるで小さいビルのような高さにあるその頭からは二本の捻れたツノが伸び、頭に繋がった体は小山のようにデコボコしていて……後ろの方は視界が悪くて見えなかったが、なんだか尻尾のようなものがあったようにも思えて──まるでお伽噺のドラゴンのように見えた。
そこまで考えた時には、思考が正常に戻って体が動かなくなった。あまりの光景に、すぐ後ろにいる筈の先輩に視線すら送れないほどに、体がすくんだ。
そして、その頭はゆっくりと動き出して──こちらを向いた。
その時、確かに男はソレと目があった。
氷の眼。周りと同じ色で、同じ氷で──けれど不思議とそこが眼だと認識できた。
──恐怖した。
──そして、息を呑んだ。
そこにあったのは、男の知らないモノだった。
穴が空くほど見た南極の写真でも、地平線を転がる白夜の太陽でも、幻想的なオーロラでもない。ただただ彼の知らないナニカとの邂逅
人はソレを──未知との遭遇と呼ぶのだろう。
「気付けばソイツはいなくなってて、すぐにブリザードは止んだ。俺の他にそんなもん見たなんて奴はいなくて、疲れて幻覚でも見たんだろ言われて次の日は部屋で休まされたよ」
けれど、それは確かにいた筈だ。
証拠はない。けれど男は確信している──ここには俺らの知らないナニカが潜んでいると。
だから男は、何度もこの地に訪れてしまうのだ。何度も見た風景も、そこにもしかしたら──あの龍がポツンと立っているかも知れないと思うと、眺めずにはいられない。
「だから、お前も何か見つけたら俺に報告しろよ? 特に龍っぽいの」
「南極にいる生き物なんて、ペンギンくらいですよ。ホッキョクグマだって見付かんないですって……ほら、早く仕事してくださいよ」
そう適当に流して段ボールに手を伸ばす隊員に、男ははぁ、とため息を漏らしながらヘリへと近付く。結構真面目に話していた男は少しガッカリしながら、まあそういるものでも無いだろう──と勝手に納得することにした。
「……じゃあ、ここで」
「ん? おお君か。あぁ、元気でな」
不意にヘリの方から掛けられた声に、男は反射的に答えながら振り向いた。そこにはジャケットを着た背の高い青年が立っていて、青年はそのままヘリから足を下ろすとスタスタと歩いて行ってしまった。
「さて、待たせたな。さっさと運んじまうか」
「あれ、隊長。今の誰ですか? なんか随分若い人いませんでした?」
「はあ? 何言ってんだお前、
「あれ? ……まあいいか。あっ、そっちの箱お願いします」
「ったく、隊長をアゴで使いやがって……」
男を隊員が指を指した段ボールを胸に抱えて、氷の地面に足を下ろして、ふと外を見た。
そこには誰もいなかった。
足跡さえ、何もなかった。
テクテクと、青年が雪原を歩く。
高い身長の割に、どこか幼さの残る顔立ちの男だった。ボサボサの茶髪をそのままにして、青いジャケットにマフラー、黒みがかった灰のズボンを着ていて、まるで都会の冬を歩くような格好の男は軽く息を吐くと、マフラーを少し緩めた。
青年──『
「……この辺り、か」
そう呟きながら、ポケットに突っ込んでいた手を出して、軽く前に突き出す。伸ばした指を虚空へ軽く押し込むようにすると──
夜鷹は軽く鼻を鳴らすと、そのまま手をポケットに入れ直し、そのまま前へと進む。
一歩、二歩──三歩目はなかった。
瞬間、世界が切り替わった。
天から注いでいた太陽の光は、空を覆う灰の雲によって遮らられていた。今にも落ちてきそうなほどに無機質な雲は、そのままピタリとも動かない。空間に貼りつけたかのように固定された雲──その下には山が存在した。
遠く、遠く──けれど天にも届くほど高い。
まるで南極大陸を二つに分けてしまうのではないかと錯覚するほどの
「……侵入成功。調査を開始する」
感情の無い、無機質な声音でそう言うと、夜鷹は地面を爪先で二回叩く。トントンと氷床が小さな音をたて──次に地響きをあげて盛り上がる。
現れたのは──
新幹線のような頭から前方へ斜めに伸びる二つのスキー、ヘッドより後ろには座席とレバーや幾つかの計器が備えられ、空気抵抗の少ない流線型のボディの下には鉄板を鎖のように繋げた履帯が接続されていた。
南極の観測隊であれば必ず見ることになる──スノーモービル。ひび割れた大地を突き破るように出てきたその体には、傷一つとして付いていなかった。
夜鷹はそれに乗り込み、幾つかのチェックを終えた後にメインスイッチを入れると、スノーモービルはエンジン音をあげながら少しずつ動き出し、氷の大地を走り出した。
ゴーグルを着けながら眼前からの突風を防ぎ、冷たい風をきる夜鷹はここに来る前の事を──自身が南極に来る経緯を思い出していた。
──『石動夜鷹』は『石動潤』の子供だ。
正確には、潤が作った人工の人間──人間の体組織を一から作り出し、『石動潤』と『神蔵御染』の遺伝子及び生体データを元に『創造』された人間だ。『情報存在』としての機能を、人間という出力媒体を得た潤が用いることで、人間の構成材質を『創造』によって生み出し、ナノ単位で組み立てることで彼女は人間の
──なので創って見た結果が君達だね。
そう言う潤の顔は嬉しそうに笑っていた。まるで無邪気な子供のように。
……現代の一般人の倫理観に照らし合わせれば、彼女の行為は非人道的と呼ばれる行いだと夜鷹は知っていたが、彼は何も言わなかった。
自分が生まれた経緯に、特に何の感慨も浮かばなかったからだ。
夜鷹──正確には夜鷹達には感情と呼ばれる物が無い。好悪や美醜の基準はなく、優先順位は自身と母親である潤、そして写真でしか知らない『神蔵御染』という自分の父親だけ。それ以外の、生存に必要の無い行為に彼らは意味を見出だせない。彼女にとって自分達を作った理由は知的好奇心であり、現在は便利な雑用係か実験台……少なくとも、夜鷹は自分が生まれた当時はそう思っていた。
……だからこそ、彼女が自分達にやたらスキンシップを取ったり、カラオケに誘ったり、家でゲームをさせたりすることに、疑問を持ったわけだが。
その母親である潤の頼みを受け、夜鷹は南極観測隊の越冬隊が交代する時期を見計らって南極に侵入していた。
目的は南極の調査──観測隊のする地質などではなく、南極の龍脈やその他の超常についての調査だ。今の地球は原因不明の龍脈の励起によって、その性質を変えようとしている。空気中の魔力が濃くなったり、或いはそれ以外のナニカが流れ出し始めている、と潤は言っていた。
その大きな発信源の一つが南極にあるらしく、夜鷹はその調査に駆り出されたということだ。
彼としてはその提案に否はない。普段潤に家にいるように言われている彼にとってすべき事はなく、彼女の命令は最優先事項だった。断る理由はなく、受ける理由がある。ならそうするだけの事だった。
あるとすれば疑問が一つ──わざわざ南極観測隊に暗示をかけて侵入する事や、現地で
彼女から『情報存在』としての機能を受け継いでいる夜鷹にとって南極に行く事は難しいことではない。
嫌なわけではない。面倒だとも思わない。
ただ、疑問に思うのだ。
……何故母さんは俺に無駄な事をさせるのか。
遠回りをする必要性を感じられない。
調査以外の目的を設定することに意味はあるのか。
事あるごとに家事を魔法を使わず自分の手でやらせるのは何故か。
カラオケで歌い、ゲームで遊んで楽しむことの意義とは。好き嫌いを求めて見聞を広める理由は。綺麗な物を見つけてこいという命令に、気に入った女の子は紹介しなさいという命令に、キチンと食べて良く寝るという行為に……。
──父さんにいつか見せたい物を探してきてほしいという願いに何の意味がある?
夜鷹には分からない。
感情を知らない夜鷹には、理解できない。
山脈に着いたのは夜鷹が出発してから数時間後だった。
当初山脈の麓に到着した夜鷹は、その山脈を登るつもりでいた。山脈は雪が積もっていながら、その急な勾配からか黒い地面が露出していた。生命の気配すら感じない山脈を前にして、夜鷹は少し前に通った『境界』を思い出す。
魔法使いの世界に曰く、『異層世界』。
空間に重なりあった空間──常人には感知できず、触れることも出来ない領域。魔力の流れを見ることの出来る者や、ごく稀に何も知らない人間が迷い混んでしまう『迷い家』。
二次元に描かれた階段に触れても凹凸を感じることは出来ないのと同じく、四次元的な視点を持つ者か、魔法によってしか入り込むことの出来ない空間に入った時点で、夜鷹はその空間の中心にあるのがこの山脈だろうと目星をつけていた。近付かなくても分かる程に空気の魔力が濃く、そして彼も知らないナニカが流れている──その時点で彼が知りうる地球の南極とは違う異物があることは確信できた。
ならば当然その原因は山脈のどこか──おそらくは『山脈』というシンボル的な中核である山頂だと予想をしていた。
けれど、その予想をここに来て夜鷹は変更した。
──洞窟があったからだ。
山には幾つもの穴が存在した。遠目から見えただけでも数個、山脈全体には恐らく数百から数千あっても可笑しくない。大きさは人が入れる程度から、建物一つ分ほどの物まで様々だった。
……近くに生物の気配はない。自然に形成されたにしては巨大で、なにより
洞窟は風や崩落で荒れているものの、中に入ることは難しくない。見たところ人の通った形跡は無いが、何かが潜んでいそうな予感が夜鷹にはして──疑問に首をひねった。
……何故、今そんな
夜鷹には勘というものが分からない。彼にとってあらゆる現実は自分の認識の中にあり、この世の全ての出来事は見えない要因によって起こることを知っている。明日の天気は上空の雲の動きによって決まり、物が落ちるのは地球の重力がかかるせいで──そして『情報存在』としての側面である
しかるに──夜鷹は勘を理解できない。無意識的な情報の取得による偶発性を秘めた行動原理を、彼は信用しない。
なのに、予感がした。
彼の胸の内の、きっと『心』と呼ばれるナニカが、彼の理解できない部分が警鐘を鳴らしている……気がするのだ。
──ナニカがいると。
「………………」
頬を、冷や汗が伝う。
足がすくんで、手が震えた。
それに気付いた夜鷹は、それを振り払うように頭を横に振り、洞窟の中へと歩を進める。
──その行為こそ、自身が無駄だと思い込んでいた感情である『恐怖』を振り払う行為だと、気付かずに。
洞窟内は静まり返っていた。
コツコツという靴が地面を鳴らす音が、やけに耳に残る。左右は黒い土が壁を造り、照らされた前方の地面と暗闇の区別すら付きにくい。気温は外よりも暖かいが、時折地面に
それでも夜鷹の歩くペースは変わらなかった。確かに洞窟内は暗いが、そもそも彼にとって洞窟内の明暗は特に考慮に値しない。『情報存在』たる彼にとって、洞窟内の数メートル先までの地形は既に集積を済みだからだ。
懐中電灯は何かあった時の保険に過ぎない──そう自分を納得させた。
歩いて、数分。
洞窟は一際大きな空間へと繋がっていた。横幅は十メートル程だが天井まで三十メートル程の細長い空間の所々には氷が生えていた。地面から、壁から、天井から、様々な結晶は殺伐とした洞窟内を幻想的に彩り、時に壁一面を覆う氷も存在した。
良く見れば結晶は淡く発光し、洞窟内を照らしている。まるで電灯のように暗い空間を照らす結晶に近付き、それに触れる。
……材質は通常の氷、だが魔力を帯びている。発光の原因は魔力が漏れ出しているから。そして氷は……地面から魔力を吸収、いや供給されている。
独りでに光り続ける氷から手を離し、夜鷹は思考する。
氷の保有する魔力量からすれば、この発光のペースでは数日で魔力が無くなる。それを留めるために地面──龍脈から
恐らくはこの異常なまでの魔力の濃さによって、この山脈内の物質が魔法的に変化を遂げた結果だろう。意図的に出来ることではあるが、この氷が洞窟中に存在すると仮定すれば、何者かが一つ一つに手を加えたとは考えにくい。
可能性としては──この空間自体を創り出した者がいるか、だ。
……山脈、および南極大陸全域を『異層空間』にする。人間には考えられない規模の変革だが……『
そこまで考え、ふと気づく。
もし原因を見付けたとして──夜鷹はどうすべきだろう。
潤は調査しろと言ったが、解決しろとも、原因を排除しろとも言わなかった。ただ調査してろと言われただけ。
彼女が伝え忘れた、なんていう至極人間らしい間違いを犯すとは思えない。なら、考えられる可能性は一つ。
……好きにしろ、ということか。
まただ。
また『好き』だ。
……理解できない。
脳の創り出す錯覚に、それほどの価値があるのか。脳細胞の活性と脳内麻薬の分泌による『興奮作用』に『喜怒哀楽』というラベルを張り付けた物がどれ程重要なのだ。
何度『好き』や『嫌い』という感覚を探し求めようと、夜鷹の『情報存在』としての検索機能はそれに引っ掛からない。いつだって外れ値を示すのは最優先事項の両親だけ──それすら彼という存在を創り出した人に従っているだけ。固定の目的を設定されていない『石動夜鷹』に、『二人の子供』であるという存在意義を示した二人を優先してるだけ……その事実に彼の体が震えることも、脳が異常を発することも、何もない。
……じゃあ、俺は何なんだ。二人の子供である以外に、俺に意味はあるのか?
──分からない。
自分とは何者なのか、分からない。理解できない。
これじゃあ、『感情』と同じ──。
「──! 誰だ!」
洞窟内に響いた物音に、思考を止めた夜鷹が振り向いた。氷が発光してなお薄暗い洞窟内の奥──少し先の方にその何かがいた。
それは光沢のあるナニカだった。
それは鼠色、もしくは鉛のようだった。
それは流線型を描く丸い膝丈程度の大きさの。
スライムが あらわれた!
「……なんだ今の」
一瞬、謎のテキスト表示が脳裏を過った気がするが、夜鷹は無視した。多分この前やらされたテレビゲームの影響だろう。
改めて夜鷹はスライム? を見る。
氷の影からユルリと姿を表したそれは、地面を這うようにこちらに近付いてくる。緩やかに弧を描くそれはまるで水銀の塊にも類似している。動く度に波面を創る様子は不思議と注視してしまう。
……何だ、これは。
そう思いながら、夜鷹は警戒しながらもスライムに近付く。未だこのスライムの危険性は計り知れないが、それでも彼の目的を考えればこのスライムは何かの手がかりになるかもしれない。
直接触れることが出来れば、情報を取得できる。構成物質や何故動いているのかを調べれば、この南極の調査は飛躍的に進む筈だ。
ゆっくりと、膝を地面につける。
幸いスライムはこちらに向かって来ている。たとえ意識を持つ存在だと仮定しても、敵対的には見えない。そもそもあの質量の存在で行えることは高が知れている。
近付くスライムに、右手を伸ばす。
スライムはゆっくりと近付いてくる。
あと、数センチ──。
3──。
2──。
1──。
右手が溶けた。
「──っ!?」
即座に後ろに飛び退き、スライムから距離を取る。
溶かされた右手はボタリと音をたてて地面に落ち、それをスライムはゆっくりと補食する。それはまるで洪水が建物を呑むように無機物的な動きに違いないが、夜鷹には獣が獲物を食するように見えて仕方がない。
ボタボタと血液を絶え間なく流す右手から、激痛が走るのを感じながら、夜鷹は冷静に左手で懐中電灯を握り──右手の断面に突き刺す。
……『改竄』。
心の内でそう唱えると、次第に痛みは薄れていく。
痛みだけではない。まるで酸に溶かされたように柔らかく変質していた夜鷹の腕は、突き刺された懐中電灯と共に形を変え──数秒で元の右手に戻っていた。
物質の構成材質を変化させ、全く違う物質に改竄する──物理法則を足蹴にするような技術こそ『情報存在』が肉体を得て確立した機能の一つ。
構成元素すら変化させ、核となる物質があればある程度は空気中の物質から代替可能。人の肉体すら彼らにとっては粘土細工と変わらない。
……母さんなら、一瞬すら必要ないが。
文字通り傷付いた事実すら『改竄』できる潤の事を考えつつ、夜鷹は取得していた情報を整理する。
まず自分の右手に何が起きたか──これは単純だ。夜鷹の右手を、スライムが細胞単位で削いだのだ。まるでノコギリが木の繊維を剥ぐように切っていくように、スライムは細胞を高速で剥がしていったのだ。毒でも酸でもない──スライム自体が裁断機のような物だ。
けれどそれよりも夜鷹を驚愕させた事実があった。
……構成材質が不明? データベースには存在しない物質……少なくとも一般に地球上に存在する物質じゃない。
水銀にも鉛にも見えるが、そのどちらを含めた既存の原素ではない。一瞬触れた感覚では、鉛よりも重く、けれど確実に液体だった。
極めて密度の高い、粘性のある液体。
そして付け加えるなら──意思を持っている。
……僅かに、あのスライムの中で超音波を観測した。恐らくは人間の脳が発する電気信号に近い、体の各器官に命令を出す信号……あのスライムに臓器や手足に似た器官があるならの話だが。
コウモリやイルカが超音波を用いて餌の位置を特定したり、意思疎通を図る話は有名だが、あのスライムはあの一個体で信号のやり取りをしているらしい……いや、もしかしたらあの姿も小さな何かの群体なのかもしれないが。
兎も角、夜鷹の中で方針は決まった。
あのスライムがこの調査の手がかりになる事は確実になった。ならば夜鷹がするべきは、あのスライムを捕獲し、調査する事だ。異常な魔力、『異層空間』、龍脈と繋がった氷と謎のスライム。関連性があるようには思えないが、手に入れられる手掛かりは全て取って置くものだ。
確保する方法も、既に決まっている。
……意思があるなら暗示ができる。あのスライムの超音波による行動を逆手に取って強制的に支配下に置く……『改竄』を使えば難しい事じゃない。
問題は時間だ。
『改竄』は情報量──質量や密度が高い物、もしくは有機生命体には使えるが時間が掛かりすぎる。今回は未知の物質であるスライム自体ではなく電気信号に『改竄』を用いるため、恐らくは数秒と掛からない筈だが、未知の存在相手に不足の事態は幾らでも起こり得る。
スライムは今も先程と変わらずゆっくりと近付いてくる。敵意も殺意も無い──ひたすらに機械的な行動。このスライムが何を目的にしているのかは不明だが、物質を極小にスライスする事に、何かしらの意味があるのは間違いない。
逃げるのは容易い。けれど意味はない。
なら──行動する。
先程と同じく膝を着き、今度は両手を伸ばす。情報の解析と『改竄』を効率化するために接触面積を増やすためだ。その分失う代償は大きいが、背に腹は変えられない。たとえ両手が無くなったとしても、適当な土塊で代用は可能だ。
そして指先が──触れた。
──目映いほどの光に包まれる。
それはきっと錯覚。刹那の間に交わされた情報の奔流に、脳が着いていけず視覚を一時的に遮断した証明。
現行のスーパーコンピューターを遥かに越える情報処理速度によってもたらされた結果は、とても小さく静かなだった。
「……上手く、いったか」
スライムから手を離す。いや、そこにもう手は無かった。手首から肘にかけての大部分は見る影も無いほどに削れ、血液が蛇口のように流れ骨が露出している。夜鷹はすぐに『改竄』によって適当に塞ぐと、再度スライムを見た。
見た目は先程と変わらず、流線型を描いた水銀のようだが、腕の補食が途中で止まっていることから、暗示に成功しているようだった。掛けた暗示は『服従』──夜鷹をこのスライムの上位者として設定することで、補食を止めたのだ。
「……つかれた」
その場に尻餅を着き、そのまま寝転がる。洞窟の地面から伝わる冷たい感覚を感じながら、夜鷹は自身の瞼が重くなって来たことを認識した。
万能の力である『創造』も『改竄』も、体にかかる負担は尋常じゃない。どちらも歴とした技術であり、脳や精神には負担がかかるし、その弊害として体は疲弊していく。
夜鷹は両腕を『改竄』によって大気で補填しながら、そのまま目を閉じた。これで起きたときには五体満足──スライムの詳しい解析はその後だ。
……良く食べて良く寝るか……確かに母さんの言う通りだったな。
やはり敵わないな──そう思考しながら、夜鷹の意識は深淵へと落ちていった。
──それはとある存在の手下だった。
それは南極に取り残された存在で主なきそれは、主の残した命令により不毛の大地に文明を築こうとした。
──けれどそれは無知であった。
課された命令しか為したことのなく、群体としての集合意識しか持たぬそれにとって、独立した個体による社会構造は理解しえなかった。
──だから、学習する機能を探していた。
大気中に漂う燃料は既に吸収していた。星から漏れだし、属性を設定されたエーテルは補給された。
だから、次は媒体。
効率的な記録媒体を、能率的な計算媒体を、精密化された作業媒体を。
探す。探す。探す。探す。
認識した全ての物を片っ端から吸収して──模倣する。
あれではない。これでもない。それは違う。どれが良い。
求めて求めて、求め続ける。
──そして見つけた。
自身よりも効率的で、能率的で、精密なそれを。
標本を得た。
なら──あとは模倣する。
そして何時の日か、我らが神に──。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………かみって、だれだっけ?
──昔の夢を見た。
母さんと眠る夢だ。
双子の姉である日向──といっても
いつか必ず父さんも一緒に──そんなことを言いながら、俺達二人を両手で抱いて眠る母さん。
俺は父さんが居ても居なくても、変わりはしないだろうと言った。会おうと思えば会える距離にいるし、たとえ居なかったとしても俺が二人の子供であるという事実は変わらない。なら、共に眠るという行為に意味など無い──今でも俺はそう思っている。
だから、母さんが俺達と寝る意味も理解できなかった。
けれど。
共に眠る意味は理解できなかったし、今でも感情という物は意味が無いと考えているけれど。
──人の体温の暖かさをちゃんと認識できたのは、あの時が初めてだった。
目が覚めた。
重かった
両腕の再生は既に完了しているようで、感覚も正常になっている。冷たく乾燥した空気に肌はカサカサとして、温かくスベスベとした感覚はまるで人肌のよう──。
……?
気付けば、体に何かが乗っかっている感覚がした。重さにして四十キロ程度、例えるなら人間の子供の体重程度の重さ。
ふと、頭を起こす。
それは夜鷹の体にのしかかっていた。
それは肌色、ベージュ色のようだった。
それは手足が生えていて全体的に丸みがかかった夜鷹の足から脇腹程度の大きさの。
やせいの ようじょが あらわれた!
「……だから何だ今の」
脳が受信した謎電波を無視しつつ、夜鷹は自分の腹の上に乗っかる幼女を改めて観察する。
まず目に入ったのは氷のように透き通った空色の髪の毛──彼女の腰辺りまで伸びた長髪は仄かに発光して辺りを照らしていた。一糸
けれど、夜鷹を驚かせたのはそういった事柄ではなかった。
幼女の姿──もっと言えば手足と背中が、人間の物では無かった。
まず両腕は肘の辺りから指先までが鉛色に輝いていた。まるで艶やかな金属光沢を持った金属の塊が、人間の手の形をして肘から生えているようだ
次に膝から足元にかけて、腕のように金属で出来ていた。こちらはそもそも人の形ではない。例えるなら──岩石のようにデコボコとした動物の足だ。どこか獣の爪のような
最後に背中から生えている氷だ。紋章を描くパズルのように嵌め込まれた幾つかの氷と、肩甲骨の辺りから突きだした柱状の氷。冷気を放ちながら発光する姿は、洞窟を覆う氷と瓜二つだ。
……ひとまず、状況と情報を整理しよう。
幼女に押し倒されて指をしゃぶられている──もとい見知らぬ幼女がこの場所に存在するということ。
なら次にすることは情報の取得だ。
夜鷹は起き上がると、幼女はそのまま彼の膝にコロンと転がる。それでも咥えた指を離さない幼女の執着には脱帽するが、夜鷹はさっさと指を口の中から抜くと、ヨダレでベトベトになった手をハンカチで拭った後に幼女の肩を右手で掴んで体を起こさせる。
子供のスベスベとした質感を感じながら、全裸の幼女を正面から観察する。露になった胸や腹を左手で触診しながら『情報存在』としての情報を集積し、とりあえず彼女の胴体が人間と同一の構造をしていることを把握した。
そして体の内側──内臓などの器官だが……どうにも正常に動いていない。心臓も動いていなければ、血液が巡っている訳でも筋肉が収縮しているわけでもない──なのに見た目にそれらの異常が全く見られない。まるで作り物の臓器を体の中に嵌め込んでいるようだ。
次にそのまま彼女の顎を夜鷹の肩の辺りに乗せ、背中の氷に触れる。素手で触ると仄かに冷たく──けれど氷ほどの冷たさはない。温度にして10度前後程度の氷は、どうやら彼女の骨と繋がり──完全に一体化している。
「(まるで骨そのもの……だが固さは段違いだな。組成は解析不能だが、モース硬度にして9か10程度……しかもダイヤのように衝撃に弱そうでもない。どう考えても普通の氷じゃ)……って、やめろ。耳を噛むな」
分析をしている傍ら、耳を噛みだした幼女に声をあげるが、止める様子はない。寝惚けているのか、そもそも言葉が通じているのか……夜鷹は
金属的な見た目に反して、その腕は驚くほど軽かった。おそらく同体積の子供の腕よりも軽い両手は、軽く叩くとコッコッという金属音を響かせる。こちらは背中の氷よりも柔らかい──おそらく金槌で叩けばへこんでしまう程度だ。続いて足に触れると、こちらは予想以上に重い。見た目通り岩石のように重く、鉄のように硬い物質で脚が出来ている。
特徴的な鼠色、もしくは鉛のような色彩に夜鷹は見覚えがあった。
……あのスライムと同じ──いや、あのスライムそのものか。それにしては腕と脚で重さと硬度が違うのはどういうことだ?
何にしても、情報が少なすぎる。どれだけ解析しても手に入るのは表面上の情報──その物質の物理的性質ばかりだ。それが何であり、どういう成り立ちを以て形成されたかは全く分からない。
人の胴体を持ち、けれど臓器は作り物のよう。金属の手足を携え、背中からは魔力の籠った氷が生えた幼女──想像の範疇を越える事態だ。
一度潤に指示を仰ぐべきか──そう夜鷹が考えていると、もぞりと彼女の体が動いた。何やら手をニギニギと動かして体を捩らせながら体を起こし、そしてゆっくりと目を開けた。
焦点の合わない瞳がこちらに向け、虫のように首をクリクリと動かし始める。夜鷹にはそれが、何かを調節しているように見えた。
……仮にあのスライムが彼女の正体だとするなら……変身ではなく模倣? あのスライムの体を粘土のように変化させて人間の体を模したと仮定すると──あの補食行動はサンプルを取得していたということか?
生物の生体や細胞を研究する際に、しばしば薬品を用いて肉片や繊維をバラバラにすることがある。一つの大きな塊を研究するよりも、小さくバラバラにした細胞の方が扱いやすいからだ。
だとするなら、あの補食行動は
夜鷹がまた思考に没頭していると、幼女は改めて此方を向いた。焦点のあった瞳には仄かに知性の光が見え、赤みがかった頬は普通の人間と瓜二つだ。
彼女は此方を向きながら、口をパクパクと動かす──が、声が出ない。何秒か色んな形に動かしてはいるが、唇が開閉する小さな音だけがその場にあるだけだった。
「……声が出ない? ……いや、声帯を正確に再現していないのか」
よく見れば喉元が震えていない。声を形成する器官が正常に動いていない証拠だ。
──さて。
喋る努力をしたということは、意思疏通を試みたということだろうか。
自ら喋ってくれるならそれに越したことはない。通常の人間なら脳波を読み取れば思考が解析できるが、この分だと脳機能を正常に再現できているかも疑わしい。
この南極についての情報を集めるならば彼女には──この元スライムには限りなく人間に近づいてもらう必要がある。あの補食行動が情報取得方法の一つなら、恐らく声帯一つを丸々補食させれば完璧だろうが──生憎これ以上負傷して調査を滞らせるのも困り者だ。
どうしたものか──そう考えている内に、彼女は口を動かすのを止めて、此方を──正確には唇を見た。
観察するかのようにじっと見詰めた後……おもむろに夜鷹の唇に自身の唇を重ね始めた。夜鷹の体温よりも冷たい唇が容赦なく、貪るように押し付けられて口内を擦り、粘膜を
……暫く好きにさせておくか。
夜鷹は肩の力を抜いて幼女の好きにさせると、彼女の勢いはますます強くなった。彼女の歯がぶつかったと思えば唇を甘噛みされ、舌を絡ませてきたと思えば唾液をすすられ、口内という神経の集中する粘膜を刺激されて、夜鷹の体は言葉に出来ない感覚に襲われる。
──夜鷹はこの時初めて、肉体を介した原始的な快感というものを知った。
やがて攻め立てるようなキスはゆっくりとしたものになり、静かな洞窟には次第に水音が響き始める。彼女の口からは模倣したであろう唾液が分泌し始め、喉奥から音が漏れ出す。
そして彼女は満足したかのように唇を離す。唾液の糸が橋を架け、彼女はそれを舌で舐めとると。
「……ぇけ?」
そう可愛らしく声をあげた。
夜鷹は彼女の喉に触れ、次にお腹に手を当てる。喉には無事に声帯が形成されており、さらに先ほどまで滅茶苦茶な物だった臓器は正常に動き出していた。解析しなくても、掌へ伝わる心臓の鼓動は一定のリズムを刻み始めていた──そもそも先ほどまで動いていなかったにも関わらず、身体を動かせていたことの方が不思議だが。
「声が出せるか……言葉は理解できるか?」
「? り、りっ!」
「……どっちなんだ? 脳波で喜んでいるのは理解できるが……思考が読めないのは不便だな」
出来ないものは仕方がない、そう考えることにした夜鷹は膝をついて立ち上がる。バランスを崩しそうになった彼女は、夜鷹の首に腕を回す。冷たい金属が地肌に触れ……そして微かに動いているの感じる。
……腕も修正しているのか? いや、というよりは元々が可変式……なるほど、やけに柔らかいのは
「り、り、り!」
彼女は嬉しそうに微かに口端をあげる。
……嬉しい、楽しいか。感情を理解しているのか、それとも元々持っていたのか……どちらにしろ、まさかスライムに先を越されるとはな。
夜鷹ですら未だに理解出来ていない感情というものを無意識に示す彼女に、何故だかため息を吐きそうになる。
ひとまずこれで意思疎通の準備は出来た。観察していたところ、学習能力はかなり高いようなので、言葉については調査の傍らに教えれば良い。付きっ切りで教えれば、恐らくは数日とかからず日本語を覚えるだろう。
「……名前が無いのは不便だな」
「? あ、まえ? り?」
「……リリ、でいいか」
「りり?」
「そうだ、リリだ。今日からお前の名前はリリだ。理解できたか?」
「りり……りりっ! なま、え。りり!」
夜鷹の身体をよじ登って肩に足を回したリリは、「いあ、いあ!」と感嘆の声をあげながら騒ぎ始める。夜鷹はバランスを崩しながらも、彼女の岩のような脚を腕で固定しながら歩き始める。
洞窟はまだ長く、暗い。
けれどリリの陽気な声に、夜鷹は小さく口角を上げた。
副題
『世界龍脈調査〜南極編〜 前編』
石動夜鷹
今回の主役。天然系クールっぽい。
ある意味サブ主人公。世界龍脈調査では彼が主に出てくる。ボーイミーツようじょが彼の生き様。
本編で何か犯罪臭漂う行為してるけど、夜鷹は生(製)後一歳なので何の問題もないです。彼はロリハーレム枠です(大胆なネタバレは作者の特権)。
スライム改めリリ
今回の主役。つるぺたようじょ。
つるつるペタペタな可愛い幼女。作者の趣味の塊。それもこれもメイドインアビスが面白いのが悪い。
賢明な読者には正体がバレバレだが、どうやらそれだけではない様子で……?
石動潤
今回のチョイ役。大体コイツのせい。
実は結構ちゃんとお母さんしようとしてるが、色々と迷走中。一年経っても子供が『感情』を理解できてないらしいので旅に出す。可愛い子には何とやらである。
石動日向
夜鷹のお姉ちゃん。そのうちこの子も出ます。
神蔵御染
今作の主人公。何にも知らないお父さん。
いつの間にか大学生にして二児の父。いつか結婚したら子供は二人、男の子と女の子がいいよなぁ、なんて話をしてしまったばっかりに……。
でーたべーす
『創造』と『改竄』
出力装置である肉体を『情報存在』が手に入れた際に確立した歴とした技術。物理法則は宇宙的ローカルルールの前では無意味である。
『創造』は情報から物質を生み出す技術。本編で例えた通り設計図からそのまま物体を創りあげる感じ。
『改竄』は情報を書き換えることによって物質を変革させる技術。その辺の石からダイヤモンド創ったりできる。
石動潤は『創造』によって夜鷹、日向の両名を創造したが、しかし無制限に人を創れる訳ではない。生命体の情報のブラックボックスである『魂』を解析できない彼女には、自身の『魂』をほぼコピーした存在しか創り出せない。その不安定さ故に、夜鷹達は『情報存在』としての機能を引き継いでしまった。
次回はやっと主人公のターン。といっても何時もの日記から始まるやつです。日記形式は本当に楽で助かります……。
今月中には、たぶん? 投稿します。