Ep.1「目覚め」
-森林内廃墟-
此処は、何処だ? 俺は確か…
?「……森?」
取り敢えず、立ち止まっていても仕方がない。
?「歩こう…」
俺は、誰かに逢える期待を胸に、歩き出した。
…が
?「宛が無い…」
幾ら歩いても、誰にも逢え無い。このままだと、疲労で倒れ、最悪そのまま死ぬ。
?「あのまま、誰かが来るのを待った方が良かったか?」
少し前の自分に会いたい。会って、歩く選択をした自分に一発お見舞いしたい。
?「後悔していても、仕方ない… 取り敢えず拓けた所まで……ん?」
何か物音…具体的に言えば茂みの揺れる音が聞こえた。風の仕業では無い…誰か、居る。
?「誰か、居るのか?」
茂みから誰か出て来た…が、期待していた者とは全く違う。者というよりは、物だ。無機物だ。なのに、俺に向かって来る。
?「味方なのか?違うのか?…答えてくれ…」
淡い期待を込め質問を投げかけたが、悪しき予想通り一切返事が無かった。
?「やめろ…やめてくれ…」
“それ”の持つ眼からは、一切生気を感じなかった。…蛇に睨まれた蛙……正に今の状況だな…
?「………」
仕方ない。このまま宛も無く彷徨い続けて、不安で精神が押し潰されそうになりながら、野垂れ死ぬよりはマシだ。
?「……………?」
しかし、いつまで経っても、その時が来ない。焦らしているのか?…意地悪だ……
…それの眼が、俺よりも後ろを視ていた。
?「…ん?」
俺も、それと同じ方向を見た。というよりも、音がしたので半ば反射的に振り向いた。
…今度は何だ?
?2「危ないから離れて!」
?「! え、あ、はい!」
今度は生き物だ…しかも大体、俺と同じ姿。そう、“大体”だ。
?2「もぉ、セルリアン! 最近多いなぁ!」
セルリアン…あの無機物な奴か…
セルリアンが…退いていく。
?2「残念だけど、逃がさないよっ! えいっ!!」
突然現れた、俺と似た姿の人?の一撃を喰らったセルリアンは、正直爽快感のある音を立てながら砕け散った。
あれ? 破片がこっちに…
?「痛っ!」
?2「あっ!大丈夫? 怪我とかしてない?」
?「はい…一応……」
頭を打たれてしまった。しかし、そのお陰か、何か思い出せそうな気がする。
?2「良かった…セルリアンには気をつけてね?」
?「は、はい…ありがとうございます…」
今は、この様な返事しか返せない。何せ、記憶喪失の様な状況下で急に、色々な事が目の前で繰り広げられていたんだ。それに…
?「あの…」
?2「ん?どうしたの?」
自分と似た姿とは言ったが…茶色の髪、ブレザー、ピンクのネクタイとスカート、そこまでは良いんだ…
それに加え、自分には絶対に無い、大きな耳、そして立派な尻尾が生えている者が、今自分の目の前にいる。
この状況、動揺するしか無い。
?「貴方は、誰なのですか?」