?2「私? へへっ、ニホンオオカミだよ!」
?「ニホン…オオカミ?」
…不思議だ。 不思議と身体全体…特に右腕が痛む。
ニホンオオカミ「あなたの名前は?」
まぁ、そう来るだろう。流石に相手に名乗らせておいて、自分は名乗らない。なんて失礼な事はしない。
?「俺は……」
失礼な事はしない…が、名前がはっきり思い出せない。もどかしい。
ニホ「もしかして、生まれたてかな?」
生まれたて? まさか、俺には過去の記憶がある。
…一応。
?「名前…光太郎……秋月 光太郎。」
何とか絞り出せた名前。まぁ、もし本名ならこのままで良いし、本来の名前を思い出せたら訂正するし。
ニホ「光太郎…ね。 宜しくね、光太郎!」
光太郎「こちらこそ、宜しくお願いします。ニホンオオカミさん。」
ん?宜しくお願いします?…まぁ、少なくとも記憶がしっかり甦るまでは一緒にいる事になるだろう。
ニホ「住処は何処なの? そこまで送るよ。」
光太郎「それが、実は…」
俺は、ニホンオオカミさんに今の俺の状態を、お互いが分かる範囲で話した。
ニホ「そっか…記憶喪失?ってヤツなんだね。それじゃ、大体の事が思い出せるまで、私が案内するよ!」
光太郎「良いんですか? いつになるか分かりませんよ。もしかしたら…」
そう、もしかしたら永遠に記憶が蘇らないかもしれない。そんな宛の無い旅に、こんな優しい子を巻き込む訳にはいかない。
ニホ「…なんか、色々悩んでるみたいだけど、私は大丈夫だよ?」
光太郎「えっ…?」
ニホ「私、あなたの事が無性に気になるの!」
光太郎「…そう…なんですか?」
ニホ「不思議とね。だから、何でかを知る為にも、あなたについて行きたい。良いかな?」
光太郎「ニホンオオカミさんが良ければ…」
意思弱ーい
ま、まぁ、本人の意思も尊重すべきだろう。
ニホ「やったー! 改めて宜しくね、光太郎!」
光太郎「…宜しくお願いします。」
ニホ「それじゃ取り敢えず、森から出よっか!」
光太郎「はい。お願いします。」
ここから旅が始まるのか…
なんて、一人で勝手に考え込んでいる内に、ニホンオオカミさんとの距離が開いてしまった。
一人は怖い。
そう思って、俺は小走りでニホンオオカミさんの所へ向かった。
普通に追い付いた。
-道中-
ニホンオオカミさん…身体の距離が近い。歩く度に、尻尾が俺の脚に当たる。
…悪い気はしないが。
ニホ「そういえば、どうして敬語なの?」
光太郎「初対面だから…ですかね。」
そうだ。初対面だからだ。 初対面でタメ口を聞ける程、俺はヒト付き合いが上手く無い。
ニホ「そっか…」
あっ…
急に距離が開いた。身体的にも、精神的にも。
光太郎「…あの! ニホンオオカミさんさえ良ければ、タメ口で話しますよ? 始めはぎこちないですけど…」
ニホ「私は良いよ! じゃあじゃあっ、私の事、好きに呼んで良いよ?」
光太郎「そうです…そうだね……じゃあ、宜しくね、えと……ニホニホ。」
ニホニホ… 急に距離を縮め過ぎたか?
ニホ「ニホニホかぁ…ありがと! あ、光太郎、もうすぐ森の出口だよ!」
あ、何か気に入ったみたい。
無性に嬉しい。
光太郎「あ、本当だ。大分明るくなってきた…」
-森林出口-
ニホ「やっと出口だ……ん?」
光太郎「どうしたの…ニホニホ?」
ニホ「あ、あそこ!」
光太郎「あー…あれか。」
そう言うと、彼女は空に浮かぶ二つの点を指差した。
あれ…ヒト型のを……セルリアン?が追いかけている?
不味いなぁ…