〜5年後〜
-ニホンオオカミのにっき-
はかせたちにおしえてもらった日っきをかき始めてから1ヶ月。
今日は、タイリクオオカミたち"オオカミれんめい"のあつまりを休ませてもらったよ。
だって、今日は光太郎とさよならをしてから5年たったから。
ルペラといっしょに、光太郎のおはかにいくよ。
じかんは、いっぱいたったけど、まだ治らないよ。ときどき、むねがすっごく苦しくなっちゃうよ…
また、あいたいよ、光太郎。
-ルペラの日記-
ニホンオオカミ様と一緒に始めた日記、先日ゴマバラワシ様に見つかってしまい、みんなの前で読まれそうになりました…
来月、ハクトウワシ様率いるスカイインパルスとレースをする事となりました。 大勢のフレンズ様達が観に来られるそうで…
しかし、今日だけは練習を休ませてもらいました。
今日は、光太郎様との別れからちょうど5年。
私は忘れない、貴方の声、温もり、笑顔……その優しく純粋な心…
貴方は、覚えていてくれているでしょうか…
また…会いたい。
-サバンナ付近、林-
ルペラ「ニホンオオカミ様、お久しぶりです。」
ニホ「久し振り、前よりも大人っぽくなった?」
ルペラ「ニホンオオカミ様こそ、少し会わないだけでも凄く変わってみえますね…」
ニホ「じゃあ…行こっか。」
ルペラ「オオカミ連盟の方はどうですか?」
ニホ「楽しいよ、みんな優しくてさ…そっちは?」
ルペラ「あれから、イヌワシ様も加わって正式にスカイダイバーズとして活動を始めました。 スカイインパルス様達とは、互いに磨き合う様な関係で…」
-光太郎の墓-
ニホ「久し振り…光太郎。」
ルペラ「見てください、このお花。皆様が持たせてくれたんですよ…」
ルペラが、両手で抱えた花束を墓石の前に置いた。
ニホ「みんなさ、光太郎に会いたいって。 けど、これだけは言える。一番光太郎に会いたいのは、私達だよ…」
ルペラ「光太郎様…貴方は、自分の命と引き換えに私達を救ってくれました。私は、貴方の命に見合った日々を過ごせているのでしょうか…」
ニホ「不思議だよね…光太郎との旅って凄く短い間だったのに、もう光太郎のいない毎日が考えられなくてさ…今でも信じられないよ。」
ルペラ「貴方の温もりは、今でも鮮明に思い出せます。 ですが、もう一度貴方の温もりを感じたい…」
ニホ「あのね、来月ルペラ達がハクトウワシ達とレースをするんだって。 光太郎と一緒に観たかったよ…」
ルペラ「5年の月日が経って、周りの風景は少し変わりました。貴方とお揃いの御守りも、少し錆びてしまいました。ですが…手放そうなんて気は、微塵も湧きません。」
ニホ「これが、今の光太郎との繋がりに思えてさ。あーあ…これから光太郎の声が聞こえてこないかなぁ…」
首から提げた御守りを握りながら呟くニホンオオカミの声は、少し震えていた。
ルペラ「光太郎様…最近、私自身を少しだけ許せる様になりました。 皆様が、何時も支えてくれていて…」
ニホ「あのねあのね、最近また気になる物ができたんだよ。どうして誰かを好きになるか…なんてね。」
2人は、墓石に向かって…否、光太郎に向かって、近況を語っていた。
いつの間にか時は過ぎ、宵の明星が空に輝き始めた。
ニホ「じゃあ、そろそろ行くね。 また会おうね…光太郎。」
ルペラ「いつか、私をお迎えに来てくださいね…」
-林、出口付近-
ニホ「けど、本当に不思議だよ…今でも光太郎が隣にいる気がしてさ。」
ルペラ「もしかしたら、本当に居るのかも……なんて。」
ニホ「ルペラ、冗談も言える様になったんだね。」
ルペラ「そうですか? 少し社交的になったのでs……」
2人は、歩みを止めた。
ニホ「……ルペラ、不味いよ。」
ルペラ「まさか…この大きさのセルリアンがまだ居たとは…」
セルリアン「!!」
セルリアンの触手が、木々の枝を断ち切りながら2人へ迫ってくる。
その時、火山から輝きが放たれた。
-墓石-
…此処は何処だ?
…悲鳴が聞こえる。 守らなくては…
例え、何が相手でも…守るべき、愛した者は守る…
輝きに照らされた、その人型の何かは金属の棒を持って歩きはじめた。
-林、出口付近-
ニホ「あれ…サンドスターだよね…」
ルペラ「光太郎様のお墓の方に落ちて…」
セルリアンは、林の奥の輝きを見つめていた。
サンドスターの輝きが、夜の林を照らしていた。
その中から、人影が一つ。だんだんと大きくなりながら、濃さを増しながら…
その動きが止まったと思った瞬間、その影はセルリアンに向かって走りだした。
セルリアン「!!!」
影「トゥアッ!」
セルリアンの仕向けた触手を、金属の棒で弾き返し、一気にセルリアンとの距離を縮め、蹴りを一発。
影「今だっ!」
ルペラ「は、はい!」ニホ「分かった!」
影が作り出した隙を的確に突いていき、セルリアンを追い詰める2人。
ニホ「月まで届け…私の声! ダブルムーンエコォォォォォ!!!」
その声は木々の葉を揺らし、セルリアンの動きを止めた。
ルペラ「空の私は止められませんよ………ダイブ…全方位乱れ撃ちっ! この名前、どうにかなりませんかね…」
ルペラは空高く舞い、セルリアンが姿を見失った頃、セルリアンに向かって急降下し、身体の周りに作り出したサンドスター製の羽を纏いセルリアンに突っ込んだ。
どうやらこの一撃が石に響いたらしく、光を漏らしながらセルリアンは砕け散った。
その破片の一部が、影にぶつかった。
影「痛っ…」
その後、少しの沈黙が続いた。
影「…ずっと泣いてたんだよね。 そんなに泣かれちったら、呑気に死んでる場合じゃないよ……」
ニホ「泣いてなんか…泣いて…なんか……」
ルペラ「あ…ぁ……」
涙を堪えようとするニホンオオカミ、泣き崩れるルペラ…
影「やっと言える……」
光太郎「…ただいま。」
ニホ「光太郎ぉぉっ!! 会いたかったよぉぉ!!!」
ルペラ「光太郎様……光太郎様ァァァァ!! ぁぅ…ぇぅ……」
勢いよく、そして力強く光太郎を抱きしめる2人。
光太郎「まって…ちょっ…苦しい……」
余りにも力強い介抱で逝きかけた光太郎の顔は、どこか嬉しそうだった。
ニホ「…光太郎、前よりもさ…」
光太郎「うん?」
ニホ「可愛くなったよね。」
ルペラ「それに、声も可愛く…」
…あれ、そういえば…
俺、何で生き返ったんだ?
……あ。
光太郎「ちょっ、ちょっと待ってて…」
ニホンオオカミとルペラには、その場で少し待ってもらい、俺は林の影に入った。
もし仮に、サンドスターの影響で生き返ったとしたら……
恐る恐る、ズボン及び下着の中を除いて見た。
無い。オスの印が無い。
サンドスター去勢されてしまった。
ニホ「どうしたの?」
光太郎「うぉぁあぅ……えと…」
ルペラ「光太郎様…あの……ブツ、無くなりましたね。」
えぇ、ブツが消えましたよ。あたしゃビックリだよ。
これではまるで、ブツを犠牲に生き返った様じゃないか。
ニホ「…どーゆーこと?」
光太郎「まぁ…女の子になっちった。」
ルペラ「ですが、光太郎様は光太郎様ですよ…ね♪」
光太郎「まぁね。 こんな俺……私?だけど、これからも宜しくね。ルペラ、ニホニホ。」
ルペラ「はい!」ニホ「うん!」
タイリクオオカミ「…という話を、次の漫画で描こうと思ってるんだが、どうかな?」
ロッジの一室。 タイリクオオカミが話しかけている先には、二色の羽飾りを付けた帽子を被被り、背中に何かを背負っている中性的なフレンズと、大きな耳を持ったフレンズが居た。
?1「凄く良いと思います! けど、そんなに話しても大丈夫なんですか?」
タイリクオオカミ「そっちの旅のお土産も貰ったし…そのお礼だよ、かばん。」
?2「このお話、もっと聴きたい! ねぇタイリクオオカミ、その後はどうなるの?」
タイリクオオカミ「サーバル、良い反応だね…こっちまで嬉しくなるよ。 それで、この話の続きは…」
?「オオカミさぁん、オオカミ連盟の会合を覗きに来…あれ、まだ始まってない…? それに…お客さん……失礼しましたぁ…」
タイリクオオカミ「ちょうど良かった… 紹介するよ、かばん、サーバル。 このヒトが、私が話した新作漫画"軈テ星ガ降ル。"の主人公のモデル…というか主人公の… 秋月 光太郎だよ。」
光太郎「えっ…かばんさんが…えっ、ちょっ、ルペラァ! ニホニホォ!来てぇ!」
ルペラ「どうしたんですか?」
ニホ「なになにぃ?」
かばん「あなたが、もう一人のヒトのフレンズさん…ですか?」
光太郎「はい…その…ずっとお会いしたかったんです! あの、あ、握手…良いですか?」
かばん「あ、良いですよ。 それにしても…ぼくたちの行った所を巡っていたんですね。 みなさん、元気そうでしたか?」
光太郎「えぇ、とっても… 」
サーバル「ねぇねぇ、何処から来たの?」
ニホ「えっとね、森林の方から来たの!」
ルペラ「サーバル様達は、旅でどの様な事があったのですか?」
光太郎「え、それ俺も聴きたい!」
サーバル「かばんちゃん、一緒にお話ししよっ!」
かばん「うん! サーバルちゃん、何処から話そうか…」
光太郎のヒトとしての旅は幕を閉じた。
だが、新たにヒトのフレンズとしての旅が始まった。
己の愛する者のために命を燃やした彼は、その瞳に再び何を写すのか。
まず、此処まで約8ヵ月の間この作品を見て頂き、本当にありがとうございました。
少しでも楽しんで頂けたでしょうか?
何を血迷ったか書き始め、投稿し始めたこの作品。完結まで漕ぎ着けたのは、皆様が一度でも見て頂いてくれたおかげです。
重ね重ねになりますが、私の稚拙な文で書かれたこの作品を最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。