〜翌朝、砂浜〜
そこには、海を眺める3匹の影があった。
ニホ「ねー、本当に帰るの?」
光太郎「一応ね。ちょっと博士達に見せたい物が出来たし…」
ルペラ「…随分と早い出発ですが…仕方ないですね。」
リオ「み、皆さん! えと…お土産です!」
両手に袋を持ったリオが、草むらから出てきた。
ルペラ「こんなに沢山…ありがとうございます。」
リオ「いえいえ、あのセルリアンは野放しにはしておけません…皆さんのお力があったからこそ勝てました。こちらこそ、ありがとうございました!」
?「そうだぞ…俺も、あの戦いは遠くから見てたが…凄かったな! 因みに、そのお土産の中には俺が選んだ物も入ってるからな! ……またとないチャンスだな…」
何処からか声が聞こえる…
ルペラ「え、誰…ですか?」
ニホ「…嗅いだこと無い匂い…」
?「折角だから ハ ム ハ ム させろォ!」
草むらから誰かが飛び出して来た。怖いわ。
ルペラ「え、何をッ…! アッ…ァゥ…んッ……」
光太郎「そんな……俺でさえ、尾羽を舐めた事すら無いのに…」
ニホ「……ルペラの羽、美味しいの…?」
?「噛み心地はまぁまぁだな…ただ、香ばしい香りがする…」
ルペラ「ぃゃ…んぅ……」
リオ「え、あ、ハブちゃん! 困ってるよ…」
ハブ「んー…そっか、悪かった…」
ルペラ「いえ…突然だったので驚いてしまって…」
ルペラの尾羽は、ハブの唾液でかなり濡れていた。
ニホ「ねぇハブ、ルペラの羽って美味しいの?」
ハブ「そうだな…結構イケるぞ!」
ニホ「へぇ…」
…ニホンオオカミの鋭い眼光が、ルペラを貫いた。
ニホ「ルペラ、羽食べてもi」
ルペラ「ダメですよッ! 別に、光太郎様なら考えますけど…」
光太郎「ンー何カ言ッタカナー?」
ルペラ「んぁ! 特には何も…」
\ はい可愛い。 好き。 /
シロナガスクジラ「まぁまぁ…流石新婚旅行の初日ね。ラブラブねぇ!」
ニホ「でしょ! 光太郎とルペラと一緒にいるの楽しいもん!」
光太郎「ニホニホ…(あーもう、何でこんなに可愛いのかなニホニホはねぇ教えてくれよ頼むよ本当に好きだよ健気な所とか元気な所とかetcあの尻尾揉みたいなぁ何なら頭突っ込んで深呼吸も有りだな何だかんだで総評はニホニホ大好き。」
ニホ「所々よく分からないけど…光太郎、ありがと! 私も大好き!」
光太郎「えっ…あ、うん、ありがと。………俺、何か言った?」
ルペラ「…私の事も、少しは触れてくれても良いのでは…」
マイルカ「おかーさん! ずっと気になってたんだけど…しんこん…って何だったの?」
シロナガスクジラ「それはね…大切な誰かと、ずっっっっっと一緒に生きる約束をしてすぐの事…みたいな感じかしらぁ?」
マイルカ「じゃあ私は、おかーさんとしんこん?になりたーい!」
イッカク「ちょっ、マイルカ…」
シロナガスクジラ「嬉しいわぁ! けど、新婚になるにはマイルカちゃんは、ちょーっと早いかなぁ。」
マイルカ「えぇー…」
-船上-
リオ「もう…行ってしまうんですね…」
光太郎「えぇ、突然来てしまってすみませんでした…」
リオ「いえ、そんな事無いですよ。とても賑やかで、楽しかったです。 また…来てくださいね、色々と紹介し足りないので…」
光太郎「はい、事が済んだら…必ず。」
シロナガスクジラ「そろそろ出発するわよぉ!」
リオ「あ、あ…さようなら!」
光太郎「さよなら!」
〜数時間後、ジャパリ図書館〜
博士「…随分と早いお帰りだったのです。」
助手「お前たちもお疲れ様なのです、帰ってヨシ。なのです。」
ぞろぞろと帰っていく海獣さん達。マイルカがスッゴイ手ぇ振ってる…
博士「で、何かあったのですか?」
光太郎「そうだそうだ…コレ何ですけど…」
光太郎は懐から太平風土記を取り出し、博士達に渡した。
助手「これは…」
博士「…まさか、原本を見る事が出来るとは…」
ニホ「そんなに凄いの?」
博士「えぇ、とても。」
ルペラ「どの様な物なのですか?」
博士「そうですね…ダチョウがやってる予言が、より大規模になった物なのです。 そして、これが貴重な理由は…」
光太郎「理由は…?」
助手「これが書かれたのは、ヒトが居た時代の中でも、かなり昔に書かれた物なのです。」
光太郎「歴史的価値…ってやつですか?」
助手「そんなもんなのです。因みに、それは…」
博士「助手…?」
助手「はい、何か。」
博士「良い所を持ってくんじゃネーのです。」
助手「……博士、説明の続きを。」
博士「…お前たち、旅は好きなのですか?」
光太郎はルペラ、ニホンオオカミの方を見て、小さく頷いた。
博士「ならお前たち、他のエリアに行って、この太平風土記の残りのページを集めて来るのです。 多分、他のエリアでも似たような感じで保存されていると思うので。」
助手「軽く読んでみましたが、やはりページが所々飛んでいるのです…」
ルペラ「やはり…という事は、ページが欠けているのは分かっていたのですか?」
博士「…今の我々よりも前の世代の博士や助手が、代々引き継ぎ続いていた本があるのです。その中に、パークの各地に予言書が散らばっている。という事も書かれていたのです。」
助手「我々は、この島の長なので無闇矢鱈と島を離れる訳にはいかない上、そもそも本当に存在するかも分からないので、探しには行きませんでした。」
博士「最近になって、それらしい蔵は見つけたのですが…噴火に巻き込まれていたのでしょう、ぶっ壊れていたのです… 何とか太平風土記のページらしき物は見つけたものの、やはりボロボロだったのです…」
光太郎「…予言書と言ってはいましたが、具体的にはどの様な事が書かれているんですか? まさか、全部セルリアン関係…?」
博士「…らしいですね。一応、この本の事は色々な物で取り上げられてはいたので、内容の雰囲気は分かるのです。」
助手「ただ、全部がこれから起きる事とは限らないのです。 我々が見つけたページに書かれていたのは、読み取れる限りでは黒セルリアンの事が書かれていたのです。」
ニホ「黒セルリアンって、かばんちゃん達が戦ったっていうセルリアン?」
博士「その通りなのです。…結局、本を書いた時は未来でも、それが我々にとっては過ぎた過去になっている… そーゆー事もあるので、あまり気張らなくても良いと思うのですよ。」
助手「とりあえず、はじめにゴコクエリアに行ってもらうのです。その後にアンインエリアからホッカイエリアに向かって…」
博士「…そんなとこなのです。出発は…まぁ好きなタイミングにするといいのです。」
さて、準備しますか。