けものフレンズ 軈テ星ガ降ル。   作:ヒトアマゾン

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Ep.11「夢」

-森林北部-

 

 

シフゾウ達と別れてから30分が過ぎた。時間が経つ程に、皆に不安が募る。

 

光太郎「ニホニホ、アルバニーアダーの匂い分かる?」

 

ニホ「………向こうの方! 変な匂いもする…」

 

ルペラ「まさか…光太郎様、急ぎましょう!」

 

 

 

 

ニホンオオカミが先導し、アルバニーアダーの匂いがする方へ向かう。

 

 

 

 

ニホ「この辺りだと思うんだけど…」

 

ルペラ「……まさか、アレですか…?」

 

ルペラが指差す先には、大樹の様な何かが唸っていた。

 

ニホ「アルバニーアダー…今行くからね!」

 

光太郎「ちょっ、ニホニホ!?」

 

 

 

-森林?部-

 

 

 

霧深い森の中、一本の大樹がニホンオオカミ達を待ち構えていた。

 

ニホ「ハァ…ハァ……アルバニーアダー!」

 

光太郎「待って、不用意に近づくのは…」

 

光太郎の言葉を聞き終わる前に、ニホンオオカミはセルリアンに向かって行った。

 

ボス「危険! 危険! コノ辺リニハ、セルリアン由来ノ ガス ガ撒カレテイルヨ。」

 

ルペラ「それはどういう…」

 

 

ニホ「このぉ…アルバニーアダーを返…せ……」

 

 

だんだんと意識が薄れ、助走の勢いを殺しきれずに躓き倒れるニホンオオカミ。

 

 

 

 

 

 

 

 

-?-

 

 

 

 

ニホ「んぅ…ここ…どこ?」

 

ニホンオオカミが辺りを見回すと、さっきまで自分が倒そうとしていたセルリアンも、助けようとしていたアルバニーアダーも、光太郎・ルペラも居なかった。

 

ニホ「みんな…どこなの? 誰か…居ないの?」

 

不安に駆られるニホンオオカミ。

 

ニホ(あの時の光太郎も、こんな気持ちだったのかな…)

 

ふと、光太郎と出会った時の事が頭を過ぎる。

 

そんなニホンオオカミが、背後に何かの気配を感じた。それは、懐かしさを感じるものだった。

 

ニホ「…みんな………居るの?」

 

ニホンオオカミが気配のする方を振り向くと、何匹もの"ニホンオオカミ"が居た。

 

ニホ「……そっか…」

 

ニホンオオカミは、一匹のニホンオオカミへ近付くと、ゆっくりと頭を撫でた。

 

ニホ「…これが太平風土記に載ってた、偽りの楽園ってヤツなんだね…」

 

ニホンオオカミはゆっくり立ち上がると、一匹一匹に目を合わせた。

 

ニホ「……例え幻でも…あなた達に逢えて本当に良かった。 ありがとう。」

 

 

ニホンオオカミはゆっくり目を閉じ、光太郎やルペラの元へ戻りたい。と強く願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ホニ………ニホニ……ニホニホ!」

 

ニホ「…光太郎?」

 

二人は、セルリアンから少し離れた茂みに居た。

 

ニホ「ルペラは?」

 

光太郎「…セルリアンと戦ってる…」

 

ニホ「そうなの!? 早く助けに行こう!」

 

光太郎「…ニホニホ、大丈夫なの?」

 

ニホ「私なら…全然大丈夫だから! さ、行こ!」

 

 

-セルリアン付近-

 

 

セルリアンの根が届かない上空から、光太郎達の方へ攻撃が向かない様、セルリアンを攻撃しつつ誘導するルペラ。しかし、その体力は周囲に漂うセルリアン由来の花粉で、少しずつだが確実に削られていた。

 

ルペラ「……そろそろ…時間切れですかね………ふふっ…ゴマバラワシ様が沢山見えますよ……」

 

光太郎「ルペラ!! お待たせ!!」

 

ルペラ「あぁ…光太郎様………」

 

ニホ「ルペラはちょっと休んでて!」

 

ルペラ「ありがとうございます…二人とも、ご武運を………」

 

何とか体勢を立て直して着地するルペラ、それを確認した瞬間、光太郎・ニホンオオカミは行動を開始した。

 

どうやらセルリアンの花粉は、時間が経つにつれ効果が薄れるらしい。

今のところ、数分間だけなら大丈夫そうだ。

 

ニホ「私はアルバニーアダーを引っ剥がしてくる! もしアルバニーアダーを剥がせたら、アルバニーアダーは光太郎に任せるよ!」

 

光太郎「分かった!」

 

光太郎の返事を書き終える前に、ニホンオオカミはアルバニーアダーの方へ向かった。

 

アルバニーアダーの全身に絡み付いたツタを引き千切り、アルバニーアダーが怪我をしない程度に力尽くで引き剥がした。

 

ニホ「光太郎! アルバニーアダー助けた!」

 

光太郎にアルバニーアダーを引き取ってもらうと、光が溢れ出た眼でセルリアンを捉えた。

 

ニホ「セルリアン…アンタのお陰で良いもの見れたよ……お礼にさ、今ここで…楽にしてあげるよ!」

 

アルバニーアダーを引き剥がした跡に向かって飛び込むニホンオオカミ、どうやら、内部から破壊するらしい。…相当頭に来ていたようだ。

 

 

 

 

始めは内部からの衝撃に耐えられずに暴れていたセルリアンが、次第に動きが悪くなっていった。

 

 

 

 

 

内部から破壊され、セルリアンの体が枯れた植物の様に朽ちていった。

 

 

鈍い光を放ちながら崩れ落ちるセルリアンの中で、ニホンオオカミが満足そうにセルリアンの核を握りしめていた。

 

 

 

 

 

 

-森を抜けて…-

 

 

幸いな事にアルバニーアダーは救出後、すぐに立てるまでに回復した。

 

アンインに夕陽が差し込み、辺りを紅く染めていた。

 

無事、アルバニーアダーを救出出来た割には重い雰囲気が立ち込め、沈黙が続いていた。

 

 

 

アルバニーアダー「………なぁ…何で俺を助けた…? あのままほっといてくれりゃ、俺はあいつらと…」

 

ニホ「それは…アルバニーアダーに生きててほしかったから…」

 

アルバニーアダー「…は? 俺が死のうが何しようが、アンタらには関係無いだろうが…」

 

ニホ「……関係あるよ!」

 

アルバニーアダー「何だよ…仲間だからか? 俺の仲間はあいつらだけなんだよ!」

 

ニホ「…じゃあさ、何で仲間の気持ちを考えてあげないの?」

 

アルバニーアダー「どういう事だよ…」

 

ニホ「あなたの仲間は、あなたに生きててほしかったから…絶対に生きててほしかったから……」

 

アルバニーアダー「…それで、死んだって訳か…? 何でだよ…意味なんてない…結局辛いだけじゃねぇか……」

 

ニホ「意味はあるよ…私は、意味無く死んじゃった人なんて居ないって信じてる…あなたも、色んなフレンズと会って色々と感じて…それだけでも意味があるんじゃ無いかな…」

 

アルバニーアダー「…俺にとっては全部辛いんだよ! こんなに苦しむなら…いっそあいつらにも会わなければ……」

 

 

ニホ「……………バカ…」

 

アルバニーアダー「…今何つった? え?」

 

ニホ「バカバカバカバカバカ!!!」

 

 

 

光太郎「ちょっニホニホ…」

 

ルペラ「光太郎様、ここは彼女に任せましょう。」

 

 

 

ニホ「もっと自分を大事にしてよ! そりゃ大切な人が死んじゃったら悲しいよ、辛いよ! けど、その人達が命を懸けて護ったあなた自身を、自分で傷つけてどうするの!? お願い…………うぅ……みんなで仲良くしてたいよぉぉ!!! あぁ…ぁ……」

 

泣き崩れた。あのニホンオオカミが。泣き続けた。

 

 

アルバニーアダー「……分かったよ…俺が悪かった………だからそんな泣くなって、な?」

 

ニホ「…もう…自分を傷つけない…?」

 

アルバニーアダー「しないしない…まぁ…今思うと、あんなの俺様らしく無いからなぁ…」

 

ニホ「うん……ありがと…」

 

アルバニーアダー「…あそこまで本気で言ってくれたのは、あいつら以来だな…」

 

 

ニホ「そっか……あのさ……お友達になってくれない?」

 

アルバニーアダー「んぁ…唐突だな…でもまぁ、友達…か。 良いかもな。」

 

ニホ「本当? やったー! 光太郎!ルペラ!私、友達が増えたよ!」

 

 

 

 

-アンインアリア、出口付近-

 

 

ルペラ「光太郎様、シフゾウ様にアルバニーアダー様のこと、伝えてきましたよ。 どうやらあの後、シフゾウ様達は他のフレンズにも協力を仰いでいたようで、そのフレンズ達にアルバニーアダー様が見つかったことを報告してまわっているそうですよ。」

 

光太郎「ありがと、ルペラ。ごめんね、わざわざ伝えにいってもらっちゃって…」

 

ルペラ「大丈夫ですよ、この辺りの地形を把握する、良い機会にもなりましたしね。」

 

光太郎「なら良かったよ。」

 

ボス「モウ直グ日ガ暮レルカラ、ソロソロ出発シヨウカ。今夜ハ移動シナガラ夜ヲ過ゴスヨ。」

 

ニホ「そっか…アルバニーアダー、また会えるよね?」

 

アルバニーアダー「どうせ、このパークん中だし。どっかしらで会えるだろ。」

 

 

ニホ「じゃあ……またね。絶対だよ!」

 

 

アルバニーアダー「あぁ…そん時を楽しみにしてるからな!」

 

 

光太郎達はバスに乗り込み、アンインエリアをあとにした。

 

 

 

薄暗い夕闇の中、バスを見送ったアルバニーアダーはただ、空を見ていた。

 

アルバニーアダー「……ったく、こんな湿っぽいのは俺様らしく無いっちゅーの…」

 

 

 

 

?「あの…」

 

?「ここの事、教えてくれないかな…?」

 

 

 

アルバニーアダー「誰だ? まぁ、俺様に任せと……け…?」

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