けものフレンズ 軈テ星ガ降ル。   作:ヒトアマゾン

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Ep.12「砂漠の旅! 時代は遺産をも消し去るのか!!」

アルバニーアダーと別れ、サンカイエリアの中心へ向かうバス。

 

砂漠の夜は寒く、バスの車内も冷え込んでいた。

 

月光に照らされる中、バスの車内では光太郎達が眠りについていた。ただ一人を除いて…

 

 

ニホ「……はぁ……」

 

 

窓枠に肘を突き、ぼんやりと月を眺めていた。

 

いつもの様な明るい表情はそこに無く、むしろどこか悲しげな表情だった。

 

 

ルペラ「…ニホンオオカミ様?」

 

ニホ「ルペラ? …ごめん、起こしちゃったかな…」

 

 

ルペラは、ニホンオオカミに寄り添う様にした。

 

 

ルペラ「いえ、どうせなら夜風も感じていようと思いまして……先程の事が、気掛かりですか?」

 

ニホ「……うん。 あの時は勢いで色々言っちゃったけど、アルバニーアダーを傷つけちゃってないかな… 私、アルバニーアダーに酷い事言っちゃった…」

 

ルペラ「………確かに、責め立てる様な言い方にはなっていましたね…」

 

ニホ「だよね……私がもっと、気持ちを伝えるのがうまければ…」

 

ルペラ「…ですが、あの時ニホンオオカミ様が何も言わなかったら、私もアルバニーアダー様に一言二言、言っていたかもしれません…」

 

ニホ「ルペラも…?」

 

ルペラ「えぇ、折角与えられた命、それを投げ出そうとするのは…私には贅沢に思えてしまうので。」

 

ニホ「…ルペラ……辛い事、思い出させちゃった…?」

 

ルペラ「いえ、私は変えられない過去よりも、今この瞬間に出来る事を考えている…そうしたいんです。 だから今、私に出来るのは…」

 

ルペラは、ニホンオオカミを背から優しく抱いた。

 

ルペラ「今、私に出来るのは、あなたの心の支えになる事…私では不十分だとは思いますが…」

 

ニホ「…そんな事ない…私、嬉しいよ……?」

 

ルペラ「ニホンオオカミ様…あなたはもう、独りではありません…辛い事があったら、私達を頼ってください…」

 

ニホ「…ルペラ…ありがと………んぅ…あったかい…」

 

ルペラ「アルバニーアダー様も、あなたの言葉に…ぬくもりを感じた、と思いますよ。あなたの、心の底からの言葉に…」

 

ニホ「ぬくもり…?」

 

ルペラ「えぇ、優しさや誰かを想う気持ち…一言では言い表し難いのですが、そういった…愛の生み出したもの…ですかね。」

 

ニホ「そっか…じゃあ、今私が感じてるのもルペラからの…ぬくもり…?」

 

ルペラ「…そうかも、しれませんね。」

 

ニホ「ルペラ……居なくならないでね…絶対だよ…?」

 

ルペラ「唐突ですね…もしかして、この感覚が癖になってしまいましたか?」

 

ニホ「それもそうだけど…私、ルペラとずっと一緒に居たい…光太郎と、ルペラと私…みんなで一緒に居たい。」

 

ルペラ「私も、そうしたいです…永遠に……」

 

ニホ「ねぇ…ルペラ?」

 

ルペラ「何でしょう?」

 

ニホ「…月、綺麗だね。」

 

ルペラ「……えぇ、とても…」

 

 

 

 

-サンカイエリア中心部、朝-

 

 

 

朝日が昇り、地上を明るく照らし始めた頃、バスはサンカイエリアの中央付近を通っていた。

 

光太郎「…このエリア、こんなに建物少なかったっけ…?」

 

光太郎が、まだパークの職員だった頃…パークセントラル等に比べたら建物の数は少なかった。だが、少なくとも管理局が点々と建ってはいた筈。

 

ニホ「ねぇ、アレなんだろ?」

 

ニホンオオカミが指差す先には、一本の岩の様なものが刺さっていた。その形は、まるでクワガタの大顎の様だった。

 

ルペラ「セルリアンの一部…でしょうか?」

 

光太郎「うぅん…ラッキー、アレってセルリアン?」

 

ラッキービーストは、何やら電子音を鳴らし始めた。岩の様な何かと、セルリアンの特徴とを照らし合わせているのだろうか。

 

 

 

ボス「…アレハ、セルリアンノ一部ダネ。タダ、カナリ結晶化画進ンデイルカラ、アソコカラ セルリアン ガ生マレル可能性ハ低イヨ。」

 

光太郎「なら、ひとまず安心ってとこかな。」

 

 

 

 

ルペラ「…ニホンオオカミさん、向こうに見えるのはフレンズでしょうか?」

 

ニホ「多分…フレンズだね。うん?」

 

ルペラ「どうかなさいましたか?」

 

ニホ「今…何て呼んだ…?」

 

ルペラ「…ニホンオオカミ"さん"ですよ♪」

 

ニホ「それって…」

 

ルペラ「この様な、距離の縮め方も有りかと思いましてね。」

 

ニホ「ルペラ…やったぁぁっ!!」

 

 

 

 

光太郎「…良いなぁ…俺もそうやって呼んでほしいなぁ…」

 

光太郎は、自身の出せる最大限の甘ったるい声を出した。

 

ルペラ「そうですか?……光太郎…さん?」

 

 

 

 

光太郎「…」

 

 

光太郎は思った。 今、自分の感じている幸せを世界中にばら撒けば、世界がとてつもなく平和になる。

 

そして、ルペラの新しいあだ名を考え始めた。…が、結局はルペラが一番だった。

 

だんだんと、目の前が明るくなって行く。天へ還る時が来たのだ。

 

 

 

 

光太郎「我が生涯に、一片の悔いな……!」

 

 

 

?「なのなー!!!」

 

光太郎は現実に引き戻された。

 

 

ニホ「元気だね! 名前は?」

 

?「サイガ! サイガなのな!」

 

 

ルペラ「サイガ様、この辺りに建物ってありますか?」

 

サイガ「たて…もの……あっ、もしかしたらあるのなー!」

 

 

サイガの案内で、光太郎達は地下施設へたどり着いた。

 

 

 

-地下施設-

 

 

 

サイガ「ここなのなー!」

 

光太郎「………んぁ、ここって…」

 

 

どうやら、地下シェルターらしい。 

 

 

ニホ「ここ…広いねぇ…」

 

ルペラ「…暗いですね……」

 

光太郎「ラッキー、ここの照明ってまだ使える?」

 

ボス「試シテミルネ…」

 

 

 

パァン!!

 

 

 

何かが破裂する様な音が聞こえた。

 

 

ニホ「ボス…大丈夫なの?」

 

 

大体、この様な場合は悪い予感が的中する。いつだってそうだ。期待は外れるのに、嫌な予感ばかり当たる。

 

 

気付いた時には遅かった。

 

 

 

シェルターの扉は殆ど閉まっていた。

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