光太郎「…あ、近くにルペラの脚を休める場所とか無いかな?」
応急処置をしたとはいえ、身体自体を休めなければ、傷は治り切らないから…
…俺も休みたいし、少し暗くなってきたし…
ニホ「そうだね… もう少し進んだ所にロッジがあるから、そこで休もうか。」
ルペラ「…ありがとうございます。」
ロッジか…
…ダメだ。何か思い出せそうなんだけどな…
光太郎「ねぇ、ルペラ?ルペラさえ良ければ、おぶるよ?」
ルペラ「…お願いします。」
ニホ「あ、荷物持っておくね。」
光太郎「ありがと、ニホニホ。 それじゃ、どうぞ、ルペラ。」
ニホニホ、気がきくなぁ…
ルペラ「失礼します。……重くないですか?」
光太郎「大丈夫、安心して?」
…乙女だぁ
ニホ「傷は痛まない?」
ルペラ「はい。光太郎様とニホンオオカミ様のお陰で痛みません。ありがとうございます。」
光太郎「良かった…… それにしても、あのセルリアンは強かったな…」
鳥?の形をしていたな… 俺が初めて出会った個体は…アメーバと言える様な形だったが、他にもいるのか?
ニホ「思ったよりも速くて、始めは追い付けてたんだけど… 体力には自信があるけど、それでもバテちゃったよ…」
光太郎「ロッジに着いたら、ゆっくり休めるね。……ん?」
ニホ「…寝ちゃったね。」
光太郎「ちょっと静かにしておこうか…」
ニホ「うん。」
小さな吐息が耳にかかる。 やっぱり疲れていたんだろうな…
…可愛い。
-ロッジ付近-
ニホ「あれがロッジだよ。」
ルペラ「ん……すみません、寝てしまいました…」
光太郎「あ、おはよ。…まぁ、夕方だけどね。」
あれがロッジか。 随分と綺麗だな… ロッジ、初めて泊まるなぁ…
-ロッジ-
光太郎「失礼します…」
アリツカゲラ「いらっしゃいませぇ! ロッジアリツカへようこそ。お泊りですか?」
光太郎「はい。 一泊でお願いします。」
アリツ「3名様でよろしいでしょうか?」
光太郎「はい。宜しくお願いします。」
対応がかなり丁寧だな…
アリツ「それではまず、お部屋をお選びください!」
ニホ「なるべく広い部屋が良いよね。」
アリツ「それなら、お部屋“みはらし”がオススメですよ!」
ルペラ「みはらし…ですか。 良い響きですね。」
ニホ「みはらし、何か良さそう!」
光太郎「えと、みはらしで、お願いします。」
二人共、少し興奮気味だ。
…こういう、普段とは違う状況になると、テンションが上がる気持ちは分かるが。
-お部屋「みはらし」-
アリツ「はい、こちらがオーソドックスなお部屋、みはらしです。 夜には満天の星空が、朝には美しい朝焼けが見られますよ!」
光太郎「ありがとうございます。」
アリツ「それでは、ごゆっくりどうぞぉ。」
ニホ「広い部屋だね。注文通りだよ!」
ルペラ「はい、トリ仲間の間でも、アリツカゲラ様はお部屋のプロと呼ばれておりますので。」
光太郎「だからか…」
アリツカゲラさんは、部屋の話をしている時、心底楽しそうだった。
ニホ「二人共、お腹空いてない?」
ルペラ「………空きました。」
光太郎「あ、そういえば…」
そうだ、俺は森の中で目覚めてから、まだ何も口にしていなかった。
気付いた途端、急激に、且つ猛烈に…腹が…減ってきた。
ニホ「ちょっと待ってて、アリツさんに貰ってくる。」
光太郎「あ、俺が行くよ。」
ニホ「光太郎は休んでて? 今日は色んな事があったからさ。」
光太郎「ありがとう… じゃあ、任せるよ。」
ルペラ「すみません、宜しくお願いします。」
ニホ「任せて! じゃ、行ってくるね!」
光太郎「…ルペラ、脚の怪我は大丈夫?」
ルペラ「はい、あの時の丁寧な処置のお陰で、傷の治りが速いです。 光太郎様、ありがとうございました。」
え、もう効果が出た?
回復が速い…
光太郎「良かった… で、どうして様付けなの?」
初対面の相手に敬語なのは、良く分かる。ただ、様は… 流石に堅苦しい気がする…
ルペラ「…どうしてでしょう。私にも、良く分かりません… すみません、ご期待に添える回答では無くて…」
光太郎「いや、良いんだよ。 ありがとう。敬語になる気持ち、分かるからさ。」
ルペラ「そうなのですか? 今までの会話では、かなり馴染んでいましたが…」
光太郎「実はね、ニホニホと逢って、俺の記憶の手掛かりを探す事になって、その時にニホニホとは、当分続く付き合いだから、ちょっとずつでも距離を縮めよ。って思ってさ。」
ルペラ「そうだったのですね…」
光太郎「けど、ルペラはルペラのままで良いと思う。 それが本当のルペラなら…ね。」
…勢いで言ってしまった。
大丈夫か?
ルペラ「光太郎様……ありがとうございます。私、今凄く嬉しいです。」
…大丈夫そうだ。
光太郎「そっか。良かったよ。」
ルペラは、あまり表情が大きく変化する方では無いと思う。 ニホニホとは、ほぼ真逆だ。 けれど、笑顔が一番似合っている…可愛いという点は、共通している。