けものフレンズ 軈テ星ガ降ル。   作:ヒトアマゾン

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Ep.23「柳星張の輝き、時のゆりかごへ」

-ホッカイエリア、奥地-

 

ゲンブに連れられて、一行は巨大な洞窟を訪れた。

 

 

ゲンブ『ニホンオオカミ、お主にはこれを授けよう。』

 

ゲンブは、巨大なカメの体内から小さな何かを取り出し、それをニホンオオカミへ渡した。

 

ニホ「これは…勾玉?」

 

その勾玉は銅色をしていて、所々紅く光っていた。

 

ゲンブ『それには、ゲンブの力…そして微々たる物だが、スザクの力も込められている。』

 

ルペラ「スザクさんの?」

 

ゲンブ『あぁ…かつて、起こった異変の後処理によって、我々四神は殆どの力を失った。特にスザクはかなり消耗が激しく、その隙にあのセルリアン…今このパークで起きている異変の元凶、仮に"邪神セルリアン"と呼称しよう。邪神セルリアンがスザクの輝きを奪った。』

 

ルペラ「そんな…スザクさん…」

 

ゲンブ『だが、スザクの輝きの一部をわしが取り込み、匿う事でスザクの輝き全てが奪われるのを防いでいたのだ。その一部の輝きが、その勾玉に込められている訳だ。』

 

ニホ「…あったかい……」

 

ゲンブ『そうであろう、それはスザクの命の炎、あの者がフレンズの姿を保てなくなり、力の殆どを失った今でも、生きるのを諦めぬ限り、その勾玉からは太陽の様な温もりが放たれ続けるであろう。』

 

ニホ「…スザクさんの命……大切にしないと…」

 

ゲンブ『…そうだ、お主らにはコレも渡しておこう。』

 

ゲンブは洞窟の奥から一枚の紙を持ってきた。

 

ゲンブ『お主らの集めている太平風土記だ。』

 

ニホ「えっと…"柳星張の輝き、時のゆりかご・玄武に託す"…?」

 

ゲンブ『うむ……柳星張ときたか、珍しい呼び方だな。それに、わしが時のゆりかご……』

 

光太郎「ゆりかご…うん、そんな感じの雰囲気だね。」

 

ゲンブ『…身体を借りている身ではあるが、それはどう言う意味であろうか?』

 

光太郎「何か…包み込んでくれそうな雰囲気…?」

 

ゲンブ『包み込む…守護する者としては当然だろう。それにしても、随分と軽い口調で話しかけるな。』

 

光太郎「あっ…ごめんなさい…つい、自分と話してるみたいで……というよりも、何だか馴染んでしまって…」

 

ゲンブ『謝る事はない…ただ、久しくその様な口調で話しかけられた事が無くてな。』

 

ニホ「ねぇ…ルペラ…」

 

ルペラ「? どうかしましたか?」

 

ニホ「…何かさ、あの2人が話してる姿を見てると…光太郎が心配になってくるね。」

 

ルペラ「……確かに、側から見れば独り言が暴発してる様に見えますしね…」

 

ゲンブ『…何か言ったか?』

 

ルペラ「いえ!何も…!」

 

ニホ「……えっと、それにしても、柳星張って誰の事? スザクさん?」

 

ゲンブ『あぁ、殆どの場合は呼ばれない名ではあるがな。』

 

少し間を置き、ゲンブはニホンオオカミを見つめた。

 

ニホ「…?」

 

ゲンブ『ニホンオオカミ、お主は守る為に戦う…そう言っていたな。』

 

ニホ「うん、誰も傷つけられて欲しくないの…」

 

ゲンブ「例え、己が身を挺して守らなければならないとしても…同じか?』

 

ニホ「……うん、痛いのは嫌だけど、皆んなが傷つくのはもっと嫌だから…」

 

ゲンブ『そうか……もし、邪神セルリアンの力により、皆が傷つきそうになった時、それらの勾玉と……』

 

ニホ「勾玉と…?」

 

ゲンブ『……お主の命を使い、強力な結界を張る事が出来る。』

 

ルペラ「それって…!」

 

ゲンブ『ニホンオオカミ、お主が人柱となるのだ。』

 

ニホ「っ…!?」

 

ゲンブ『本来なら、その勾玉に込められたわしら四神の力でも充分な結界を張る事が出来るのだが、今回の場合はスザクの力が欠けている故、勾玉だけで結界を張る事は難しいのだ…』

 

ニホ「そっか……なら、仕方ないよね。」

 

光太郎「仕方なくないよ…!」

 

さっきまでの少し哀しげな表情から一転し、光太郎の顔はより複雑な心境…怒りと悲しみを混ぜ合わせた様な表情となった。

 

光太郎「そんなの……だったら、俺が代わる。他のフレンズに比べたら、俺は無力だから…せめて、その時だけでも…ッ!」

 

ゲンブ『…それは叶わぬ願いだ。』

 

光太郎「どうして…俺が弱いから!?」

 

ゲンブ『それは違う。お主には、お主にしか出来ない事がある。』

 

光太郎「だったらどうして…!」

 

ゲンブ『ニホンオオカミは、かつて信仰の対象とされていたからだ。』

 

ボス「狼信仰ダネ。かつて日本デハ、魔除けや獣害除けトシテ狼信仰が行われテイタヨ。」

 

ゲンブ『信仰されていた故、大神とされていた故に、よりわしらに近い力を持つ事が出来るのだ。』

 

ニホ「うん……言葉の意味はよく分からないけど、私にしか出来ない事なら、私はやるよ。」

 

光太郎「ニホニホ……」

 

ニホンオオカミは光太郎に駆け寄り、そっと肩を掴んだ。

 

ニホ「光太郎、安心して? 私、あんまり無理はしないから!」

 

そう言うと、ニホンオオカミは笑ってみせた。

 

ニホ「それに! 私達ならきっと大丈夫だよ! なんだかんだで勝ってきたし。」

 

ルペラ「ですが…今回も同じようにいくかは…」

 

ニホ「んーッ! どっちにしろこれから戦わなきゃならないなら、クヨクヨするよりも、勝つ事を考えよ! それに良く言うじゃん、戦いはノリの良い方が勝つッて!」

 

そういうニホンオオカミの手は、微かに震えていた。

 

 

-ホッカイエリア出口付近、ホートクエリア側-

 

 

ゲンブ『…………そうか。』

 

ニホ「どうしたの…?」

 

ゲンブ『…流石に力を使い過ぎたらしい。そろそ…頃合いだ……もっていたが…』

 

ルペラ「そんな…ですが、今までずっとスザクさんの輝きを護り続けていたんですもんね…」

 

ゲンブ『……!?』

 

大地が轟き、一本の触手が巨大なカメ…ゲンブの本体を貫いた。

 

ニホ「ゲンブさんッ!?」

 

ゲンブ『…そうか………貴様が…貴様が邪神なんだな…!』

 

ゲンブは力を込めると、力を振り絞って叫んだ。

 

ゲンブ『例えこの身が砕かれようと…! 貴様の野望は必ず叩き伏せる!』

 

その声と共に、ゲンブの本体から熱が発せられ、触手を焼き切った。

 

ゲンブ『行け!! スザクの輝きを繋いでくれぇッ!!!』

 

光太郎達はバスへ乗り込んだ。

 

ニホ「どこへ!?」

 

ゲンブ『…この地の中心………パークセントラル…!!』

 

ルペラ「了解です!」

 

ボス「ココからハ、バイパスを通ろウ!」

 

バスが地を駆け、バイパス内を走る。

 

いつの間にか、ゲンブの声は聞こえなくなっていた。

 

 

-カントーエリア-

 

 

バイパスを抜けた光太郎一行。

 

 

その瞬間、3人の身体に悪寒が走る。

 

 

 

ニホ「………空が…」

 

 

空が、大量のセルリアンによって覆い隠されていた。

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