Ep.24「邪神降臨」
光太郎「何だよコレ……!」
ルペラ「取り敢えず、何処か身を隠せる場所へ避難しましょう!」
ボス「それなラ、地下駐車場に行こウ」
ニホ「……?」
ニホンオオカミの挙動が、さっきからおかしい。
光太郎「ニホニホ?」
ニホ「…あっちの方……行かなきゃ…」
ニホンオオカミが指差す先には、小さな山があった。
光太郎「何かあるの?」
ニホ「…呼んでるの……誰かが私を…」
ルペラ「…行ってみましょう。」
ボス「それジャ、コースを変更するヨ。道が荒れているかラ、しっかり掴まっていてネ」
バスを走らせていると、次第に海が見えてくる。
晴れていたら、さぞ綺麗な海景色だっただろう。しかし、今ではまともに太陽の光も差し込まない。そこにあるのは、薄暗い海。そして…
ルペラ「光太郎様、アレは一体…」
海に浮かぶ大きな影。
バスに備え付けてあった双眼鏡で見てみると、3つの巻貝を横に並べ、両端の穴からは無数の触手と鋏が、真ん中の貝の穴からは頭…強いて言えば鳥に似た頭が、単眼を赤く光らせながら生えていた。
しかし、様子を見るに、他の部位は海に沈んでいるようだ。
光太郎「…あれが邪神……」
ニホ「……大きいね…」
ボス「あの辺りの海ノ深さヲ考慮するト、あのセルリアンの全高は約150mダヨ…」
光太郎「だとすると、全長もそれなりか…?」
ルペラ「……ッ!?」
光太郎「ルペラ…?」
ルペラ「目が…合いました……」
ニホ「勘違い…じゃないよね。ルペラの眼なら、そんな間違い起きないだろうし…」
光太郎「…もうコッチの存在はお見通しって訳だ……多分、ゲンブさんと接触した時点で、俺達の存在は悟られていたんでしょ…」
ニホ「……だとしても! …ここで退く訳にはいかない…でしょ?」
ルペラ「…ですね。 決して楽観視はできませんが、それでも全力で立ち向かうだけです。」
-山腹-
ボス「光太郎、通信が入っているヨ」
光太郎「分かった、繋げて?」
ボス『……おーい、聴こえてるか? …あら、聴こえてない?』
光太郎「聞こえてますよ。…どなたでしょうか?」
ボス『…あっ、繋がった……俺だよ、俺! アルバn』
ニホ「アルバニーアダーちゃん!?」
ボス『そうそう、アルバニーアダー様だ…ッて違ァう! 何かよォ、急に空がブワァって暗くなったと思ったらよ、スゲェ数のセルリアンが空飛んでんだよ。ンでもって、お前らがくたばって無いかを確認した訳だ!』
ボス『そんな言い方は無いよ、アルバニーアダー。」
ボス『そうですよアルバニーさん。 ごめんなさい…アルバニーさん、正直になれなくて。本当は通信が繋がるまで、ずっとソワソワしていたんですよ。』
ボス『だぁゥるっせぇ! 俺は別に心配してネェからな!」
ニホ「ちょっちょっと待って!? アルバニーアダーはともかくさ、あとの2人は…?」
ボス『ともかくって何だよともかくってよぉ! まぁ…コイツらは……』
ボス『あっ…ごめん、俺はペルシュロン。宜しく。』
ボス『オグロヅルです。 みなさんは、お怪我はありませんか?』
ルペラ「えぇ、私達は無事です。」
ボス『俺達ャ今、このボスに連れられてバイパス?に避難してんだ。お前らも逃げるなら早く逃げろよ。』
ニホ「ううん、私達、やらなきゃならない事があるの。」
ボス『は? 何言ってんだ、早く逃げろっつってんの! ちゅーかお前ら、戦い過ぎだっちゅーの。休め!」
ニホ「そーゆー訳にもいかないの…まぁ、この戦いが終わったら、ゆっくり休むよ。」
ボス『この戦いって……これから何と戦うつもりなんだよ…!』
ニホ「…正直、なんか強そう…でも安心して! 絶対勝つから!」
ボス『どっから湧き出たその自信…でもまぁ…お前が言うんだから……取り敢えず、生きて帰れよ。あん時の借り、まだ返せてねぇからなァ! 切るぞ!』
ニホ「うん! そっちも気をつけて!」
通信が切れた。
どうやらラッキービースト達は、フレンズをバイパスへ避難させているらしい。確かに、空中にセルリアンが蔓延っている以上、地上よりかは安全だろう。
そんな事を考えていると、急にニホンオオカミが立ち上がった。
ニホ「………あっ、あそこ!」
ニホンオオカミの視線の先には、祠があった。
俺達はバスを降り、その祠へ向かった。
ニホ「ここ……うっ…ッ!(何これ…! 頭に何かが入ってきて…!? 割れそう…頭……!!)」
ニホンオオカミはしゃがみ込み、うめき声をあげていた。
光太郎「ニホニホ!?」
ニホ「ぅあ……ぁ……はぁ……はぁ……
ルペラは屈み、ニホンオオカミの背中をさすっていた。
ニホ「ルペラ……ありがとう…」
ルペラ「…無理はしないでくださいね。」
ニホ「うん……」
ニホンオオカミはゆっくり立ち上がると、祠へ向かった。
ニホ「……………」
光太郎「何か…聞こえるの?」
ニホ「うん…ちょっと怖いけど……でも、それだけ必死な声。」
ルペラ「貴女を必要としているのは、私達だけでは無いのですね。」
ニホ「えへへ、そうみたい。 けど、声の主がどこに居るのかが分かんないけどね…」
光太郎「…きっと、昔のヒト達が遺した願いが、ニホンオオカミに声として届いてるんじゃないかな…?」
ニホ「…そっか。これが信仰されるって事なのかな?」
光太郎「どんな感じ?」
ニホンオオカミは悩んでいた。言葉選びに悩んでいるのか、はたまた言葉に出来ない感情だったのだろうか?
ニホ「うぅん…何だろ……正直、ちょっとプレッシャー。けど、みんなの期待に応えたいって気持ちもある。」
ルペラ「なんだか…ニホンオオカミさんらしいですね。」
ニホ「そうなの…かもね。」
ニホンオオカミは祠の前に立ち、深呼吸をした。
ニホ「それじゃ…始めようか。」
懐から紐で繋がれた3つの勾玉を取り出し、首に掛けた。
ニホ(…ちょっと重い…けど、これが託された想いの重みなら…!)
ニホ「纏うは願い、信仰の衣…!」