東方嫉妬王 ~Jealousy of the OOO~ 作:秋塚翔
CV.くぎゅキャラの中で誰が好きですか?自分は逢坂大河です。
パルスィ「はぁ~あ、忙しい奴らが妬ましくて仕方無いわ」チャリッチャリッ
橋の手すりに腰掛けてコアメダルを弄びながら河川を眺めるパルスィ。欠伸を噛み殺し実に暇そうだ。
パルスィ「ヤマメもキスメも勇儀も地上に行ってて居ないし退屈だわ。誰も来ないのに橋守で動けないから暇過ぎて死にそうよ」チャリッチャリッ
誰に言った訳でも無いが一人呟いて足をブラつかせるパルスィ。暫くし思い付いた様に手すりから下りると数枚のセルメダルを取り出した。
パルスィ「仕方が無い。退屈凌ぎに旧都へ買い出しに行きましょうか。少しの間だけならコイツらに仕事を任せる事が出来るだろうし」グッ
そう言いセルメダルを三本指で挟み指先に力を入れる。そしてメダルが歪曲し割れようとしたその時───
???「う、うううッ……」ドサァッ!
パルスィ「んっ?」ピクッ
突如苦しそうな呻き声と倒れる音が尖ったエルフ耳に届いてパルスィはその方向を向く。すると地上方面に一人見覚えがある配色な服の少女がうつ伏せに倒れていた。
パルスィ「さ、さとり?」
???「…………」
パルスィ「いや、けど少し違う……大体さとりは外出をしてない筈だし髪もこんな長くないわよね?」
地底の奥地に建つ地霊殿の主である古明地さとりと似てる長髪の少女。それは良く見たらお面を横被りする単に色合いが似てる別人であった。
パルスィ「ちょっと、どうしたの?しっかりしなさいアンタ」ユサユサ
???「うっ……」パチッ
ひとまずパルスィは少女に近付いて身体を揺さぶる。すると反応があり仰向けになって目を微かに開いた。
???「コ、ココは?」キョロキョロ
パルスィ「地底よ。嫌われ者が棲む地上人は縁の無い地獄だった場所」
それに安心したか皮肉も交えさせて居る場所を明かすパルスィ。少女は傷だらけの体を労る様に起き上がり彼女へ顔を向けて頭を下げた。
???「そうですか、すみません。ご迷惑をお掛けしてしまって……」
パルスィ「私に謝られても困るわ。済まないと思うんなら早くココから去る事ね?見た所付喪神の様だけど部外者なら攻撃する奴も居るし」
上体だけ起こす少女の無事を確認し橋へ振り返って忠告するパルスィ。と、刹那地上へ出る穴に通じる道が赤く輝いたのが視界に入った。
ボワアアアアアァァァァァーッ!!
パルスィ「なッ!?くっ……!」バッ!
???「ふえ?」グイッ
バババババァァァァァンッ!!
瞬間、真っ赤な火焔が少女を狙って見て判る高温の炎熱で襲い掛かる。いち早く気付いたパルスィは駆けて少女を抱えると横っ飛びに回避して炎は目測を誤り地面を焼いた。
???「……あ、助けてくださって有り難う御座います」ペコリ
パルスィ「もう少し驚きなさいよ!?何そのポーカーフェイス!」ゼェゼェ
素性を知らぬパルスィはこの展開に無表情の少女に逆に驚いて怒った。そんな二人の背後から足音が聞こえ振り返ったパルスィは身構える。
?????「ハンッ、避けられたか……たかが女だと甘く見てたが幻想郷は中々骨のある奴らが居んな?」
その足音の主は二つ首の犬の怪人。黒い体躯に鎖を巻き付けた獰猛さと威圧を感じさせる姿をしている。
パルスィ「……アンタ、ヤミー?」
?????「ハンッ?残念だが違ぇよ。俺の名はオルトロス。ヤミーなんて比べものにならんファントムさ」
パルスィ「? ファントム……?」
怪人ことオルトロスはそう名乗って視線を後方の少女の方へと向けた。その瞳は獰猛そうに光る。
オルトロス「ハンッ、俺が誰であろうとお前には何の関係も無い事だがな。黙ってそこに居る女を引き渡したらココから大人しく去ってやるよ」
人差し指を向けて言うオルトロス。それにパルスィは訝し気な顔をして少女の方に向き直った。良く見ると体中傷だらけで怪人を睨むその顔は無表情ながら恐怖と敵意が何となく見て取れる。
パルスィ「それは別に構わないけど敵視してる相手に渡して恨まれたら後味悪いし面倒だけど無理ね」
オルトロス「ハンッ!そうか。見た感じ利口そうに見えたが勘違いだな……俺の邪魔する死にたがりは焼かれて灰になりやがれッ!」ガパッ
ボワアアアアアッ!
パルスィ「ッ!」グレイズ!
口を開いて火炎を放つオルトロス。真横へ飛びグレイズしたパルスィは少女へ再び目を向け声を掛ける。
パルスィ「ちょっとアンタ!アイツどうしてアンタを狙ってるのよ!?」
???「いいえ、全く判りません」
パルスィ「判らないって……!」
オルトロス「ハンッ!随分と余裕だな?お喋りしてる暇は無いぜ!?」
ボボボボボワァァァァァンッ!
パルスィ「ああもう!どうして私がこんな目に遇うのよッ!」グレイズ!
放たれる火炎弾を避けるパルスィ。すると少女がパルスィの正面に出て腰の掌を模すベルトに手を掛けた。
???「逃げてください。私の事に他人の貴女を巻き込めませんから」
パルスィ「はぁ?何言ってんのよ。もう充分巻き込んでるじゃない……大体私はココの橋守だから逃げたら給料が減るじゃないのよ」チャキッ
しかし、それを押し退けパルスィは懐のオーズドライバーを取り出す。そして腰へと巻き付けメダル三枚をセットしオースキャナーでメダルを勢い良くスキャンさせた。
《タカ》!《トラ》!《バッタ》!
《タ・ト・バ・タトバタ・ト・バ》!
パルスィ「だから倒してあげるわ。橋に近付く迷惑な奴は私の敵だし」
オルトロス「ハンッ?」ピクッ
???「……ライダーの力?」
オーズの姿へと変身したパルスィ。それを見てオルトロスと少女はそれぞれ驚愕の表情を露にした。少女の口振りを察するに訳知り顔の様だ。
オルトロス「……ハンッ、その女以外にライダーの力を使う奴が居たのか?丁度良い。その女も纏めてボスへの手土産が増えたぜッ!」ダッ!
パルスィ「!」ジャキッ!
同様にオルトロスもそう言って笑い駆け出す。パルスィはトラクローを展開して中腰に迎え撃つ。
オルトロス「オラァッ!」ドガァッ!
パルスィ「っ……!?」ズザザザーッ!
走りながらオルトロスは右腕を振るう。それを両手で防御するパルスィだが棍棒を叩き付けられた様なその力強い威力にガードしたまま数メートル後方へ地を擦りながら吹き飛ぶ。それでも気圧されず体勢を立て直すとバッタの跳躍力を生かしてオルトロスへと飛び掛かる。
パルスィ「はあっ!」ズバッ!ザァンッ!
オルトロス「ガアッ!?グッ……!」
そしてトラクローで一閃する。鎖を巻く身体の隙間を狙い切り裂いた。
オルトロス「この……!」ボボボボボンッ!
パルスィ「っ!」ザザザザザンッ!
オルトロス「ハンッ……!?」
お返しとばかりに火炎弾を放つオルトロス。だが落ち着いた様子でそれをトラクローで叩き切る。
パルスィ「はあああッ!」ズザァンッ!
オルトロス「ぐあっ!?」ドザァーッ!
そして飛び上がり頭上からトラクローで切りつけるパルスィ。オルトロスは倒れて地面に揉んどり打つ。
パルスィ「甘いわね。そんな熱いだけの薄い弾幕なんて幻想郷で妖精クラスよ。私でも効かないわ」
オルトロス「……ハンッ、本当に甘く見てた様だな俺は」ジリッ
???(凄い……あの人、あのライダーの力を上手く使いこなしてる)
予想以上の軽快さでオルトロスをあしらうパルスィ。少女はその迫力に無表情ながら目を見開かせる。
オルトロス「ハンッ……確かに侮れないぜ。だがどうやらメダルチェンジをしない所を見るに完全に力を扱えてない様だな?覚醒はしてないか」
パルスィ「? 覚醒って何よ?」
オルトロス「ハンッ!それを容易く言うと思ったら甘いぜ?それに知らなくてもその力は俺が頂く……テメェは黙って燃やされなッ!」ガパッ
ボガガガガガアアアァーーーンッ!!
パルスィ「! くっ……!?」
口から一層高温度の炎を吐いてパルスィを襲う。より勢いを持って吐かれた炎はパルスィを覆い尽くす。
???「あっ……!」
オルトロス「ハンッ!最初に引き渡してれば死なずに済んだのになァ?まぁ俺としちゃ抵抗してくれた方が楽しめるし良いんだがな」
声も無く炎に巻かれるパルスィの影絵に驚きの声を上げる少女と眺めて笑うオルトロス。そしてパルスィが倒れるのを確認し収まりかける炎の中へオルトロスが入ろうとしたその時───
《スキャニングチャージ》!
????「欲爪『タトバネイル』!」
ズザァァァァァンッ!
オルトロス「ッ!ぐあああああッ!?」
突如背後から音声と声が聞こえ人影がオルトロス目掛けて背中を切り裂いた。それに悶絶するオルトロスの目に映ったその人影は───
パルスィ「フンッ……妬ましい」
たった今燃やされて炭になった筈の水橋パルスィ本人であった。
オルトロス「ハンッ!?テメェ何で……」
パルスィ「だから甘いのよ。偽者にも気付かないなんて私じゃ無きゃ一回休みだけじゃ済まないわよ?」
オルトロス「!? 偽者だとォ……?」
火傷どころか服には焦げ目すら無く平然と腕を組んで立っているパルスィ。オルトロスは彼女のスペカ、舌切雀『大きな葛籠と小さな葛籠』の分身を燃やしたのだ。
オルトロス「ハンッ、やられたぜ……!だがこの程度で負ける俺jグウッ!?」ガクッ
反撃しようと動くオルトロス。しかし予想以上のダメージを受けた様で背中に激しい痛みが走る。
パルスィ「どうする?このまま退くなら見逃すけど戦うなら次は首狙うわよ?」ジャキッ
トラクローを構え殺気を見せるパルスィ。数瞬の時間を経てオルトロスはフッと皮肉そうに笑い一歩一歩地上側の通路へ後ずさる。
オルトロス「ハンッ、怖ェな……本当に殺されそうだなこのままじゃ。ならココは一旦退かせてもらうぜ。だがな───」ニヤリ
言葉を途切らせオルトロスは一杯に口角を上げて笑う。そしてパルスィ達に見ながら言葉を続ける。
オルトロス「そのままでも俺を倒せるだろうが覚醒もしてないライダーの力を持つお前らは俺達のボス『麟音様』に敵わねぇ!幾らお前らが足掻こうと麟音様は幻想郷を支配する……それだけは覚えておくんだな幻想郷のライダー共ッ!」バッ!
そう言い捨ててオルトロスは一飛びし地上へと逃げる。それを見てパルスィはオーズドライバーを平行にし元の姿へ戻った。
パルスィ「全く、最近本当地上から変な奴らが良く来るわね……仕事が増えて仕方無いわ」
そう言ってパルスィ少女の方に目を向ける。そして手を差し伸べた。
パルスィ「ほら、立てる?」スッ
???「? ああ、有り難う御座います……」ギュッ
少女はパルスィの手を取り起き上がる。その顔は依然無表情でも頬には赤らみがあった。
パルスィ「本当ならこのままアンタも帰すけど傷だらけで追い払う程私も人間を捨てちゃいないわ。取り敢えず私の家に来なさい」
???「えっ、良いんですか?」
パルスィ「アンタが良いならね……私は水橋パルスィ。アンタは?」
???「あ、はい。私は秦こころ。ウィザードの力を持つ付喪神です」
互いの名を名乗るパルスィと少女……秦こころ。この出逢いから彼女達に波乱が待ち受けている事をまだ彼女達は知らない───
ここからパルスィとこころを中心に異変を解決して行きます。この先どうなっていくのかは毎度の事ながら考えてません(苦笑)