東方嫉妬王 ~Jealousy of the OOO~   作:秋塚翔

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初詣の時、ふと見た絵馬に……

「ファイナルアンサー!」

と書いてあった。書いた方は一体どんな願いを叶えてほしいんだ?(笑)ミリオネアは終わってるのに。


第038話「創世姉妹と過去と嫉妬のコンボ」

「「「「「キシャアアアアアッ!!」」」」」

 

「「くっ……!」」

 

一大事のパルスィを救いにこころが夢の中へ飛び込んでいった一方でこちらは迷いの竹林。逸早く駆け付けたフランと天子は変身して進軍してくるインベス達に迎え撃っていた。が、いかんせん数が多く幾ら精神的に成長したとは言え2人では厄介そうだ。

 

フラン「! テンコちゃん!」バババババァンッ!

 

コウモリインベス「ギャウッ!?」

 

天子「……!有り難う御座います!それと私の名前は天子ですよ!」

 

それでも何とか劣勢にはならず捌いていくフラン達。そこへ連絡を聞いてきたであろう助っ人達が駆け付けてきた。

 

ザッ!

 

依姫「これは……インベス!?」

 

豊姫「鈴仙は居ないわね。敵が敵だけに良かったかもしれないわ」

 

レイセン「お二人共!手伝います!」チャッ!

 

駆け付けてきたのは綿月姉妹とレイセンの月の都一行。侵攻するインベスの群れを目認した依姫達は援護しようとそれぞれの変身アイテムを取り出し構える。レイセンはメロンロックシードと戦極ドライバー……そして依姫と豊姫は青娥と同じゲネシスドライバーと異なる果実が表されるエナジーロックシードを出すと各々ロックシードを解錠した。

 

「「「変身ッ!」」」カシュウッ!

 

《メロン》!

 

《メロンエナジー》!

 

《ピーチエナジー》!

 

ジイィィィ~~~~~ッ!

 

3人同時に解錠しハンガーを開くと頭上にクラックが開く。そこからそれぞれのアームズが降りてくるとまた各々変身動作を取る。

 

《《《ロックオン》》》!

 

《ソイヤッ》!

《メロンアームズ!天・下・御・免》!

 

《ソーダ》!

《メロンエナジーアームズ》!

 

《ソーダ》!

《ピーチエナジーアームズ》!

 

「「「ハァッ!」」」ジャキンッ!

 

まずロックシードを装着。そしてレイセンはカッティングブレード、綿月姉妹はグリップを手に取りロックシードを展開させる。そうする事でアームズが被さり上半身に纏われる事で3人は変身した。

緑髪に白く染まった服、緑のアームズを纏う斬月レイセンにレイセンと同様の容姿に加え右肩に橙色のプロテクターを着けた『斬月依姫・真』。桃髪に同色の服、薄肌色のプロテクターを右肩に着けた『マリカ豊姫』はそれぞれメロンディフェンダーとソニックアローを武器に持ちインベス軍団に向かっていく。

 

レイセン「たあっ!」ガスッ!

 

初級インベス「グガッ!?」

 

依姫「フッ!」ズザシュウッ!

 

ヤギインベス「グッ!?」

 

豊姫「運動には丁度良い数ね♪」バシュウッ!

 

セイリュウインベス「ギャオアッ!?」

 

同じく向かい来たインベスらをアームズウェポンで返り討ち。レイセンはメロンディフェンダーをぶつけ依姫と豊姫はソニックアローの弦にある刃と矢を喰らわし撃破していく。それに触発されフランと天子も形態を変えてインベスらに挑む。

 

《スイカ》!

《ロックオン》!

《ソイヤッ》!

《スイカアームズ!大玉・ビッグバン》!

 

《アブゾーブクイーン》

《フュージョンジャック》

 

フラン「行くよテンコちゃん!パルシーお姉ちゃんには近付かせない様に食い止めよう!」ダッ!

 

天子「はいっ!……もう直されないなら言わない方が良いんでしょうか?」シュバッ!

 

スイカアームズとジャックフォームになったフランと天子はインベス達の中で立ち回る依姫達に負けじと武器を手に一団へ殴り込む。意識無く眠るパルスィを守らんとする為に───

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

昔々、京の都にとても明るく心優しい町娘が居りました。彼女の名前は瀬織春(せおり はる)、とある織物屋の一人娘として生まれたそれは可愛らしい少女です。

いつも笑顔で人々に元気を振り撒き困っている人が居れば手を差し伸べてしまう春。彼女は悲しい事を好まない正義感の強い娘でした。

 

そう、それ故に悲しみを知らず優しさに反し心が強くなかった程に……

 

彼女には恋人が居りました。女性を惹き付ける容姿の逞しい青年で春は彼の家に出向いては料理を振る舞い共に過ごします。そんな毎日は春にとって掛け替え無く幸せな日々でした。

 

「お春、これからも俺と一緒に居てくれ」

 

「勿論です。愛してますわ○○」

 

婚約を誓い合う2人。この時の春は幸せの絶頂と言った笑顔を彼に見せます……しかしそんな幸せと掛け替え無い日々は長く続きませんでした。

ある日の事、春は夜中に家を抜け出し彼の家へ向かいます。突然彼に会いたいたくなったと言う彼女の恋心からの思い立ちである───

 

しかし彼の家に着いた春が見たのは昼間の自分と同じ様に見知らぬ女性を抱き締める彼の姿でした。

 

指を絡め合い夜の帳が落ちた中で見詰め合う二人の男女。春が真正面からしか見た事の無い愛しいものを見る彼と本来自分の位置である所に当然の如く居座り熱い視線を送る女性の姿がそこにあった。

何で?どうして?疑問が尽きない。今迄の私が一番と言っていた貴方は偽り?そこに居る女の方が良いの?どうしてその女に貴方の愛が注がれてる?

 

───妬ましい───

 

私の愛しい彼に愛されてるあの女が妬ましい。私だけじゃない愛を誰かに向けている貴方が妬ましい。私の知らぬ貴方があって妬ましい。

 

─── 妬 ま し い ───

 

彼女、春は彼が全て。彼と出逢ってから彼が居てこその織津春だった。だけども青年からすれば春は生活の一端、今彼が目の前に置く女性もまた一端でしか無いかも知れないが少なくとも彼にとって春は一番愛する者では無い。それを感じた春は憎しみでは無く『嫉妬』が芽生えました。そんな感情を胸に春はその場を音無く離れると走り去りました。

 

それから所は変わってココは神社。行き着けであり信用ある沢山の神様が住まうと言われるこの神社に着いた春は一心不乱に笑顔が消え歪めた顔付きで手を合わせると祈りを込めました。

 

「社に住まう神様方、妬ましいあの女を取り殺したいので願わくば生きながら鬼神にしてください」

 

神社の中に篭り、そう一心に祈る嫉妬に狂う春。これを聞いた神の一柱はいつも笑顔を見せ織物屋の商売繁盛を祈っていた彼女の様子に不憫を感じこう告げた。

 

「鬼になりたければ姿を変えて宇治川に21日間身を浸けよ」

 

これを聞いた春は人気の無い場所に篭ると長い髪を5つに分けて角を作り顔に朱を、体には丹を塗り頭に鉄輪を乗せてその鉄輪の三つの足に火を灯し両端に火をつけた松明を口に咥えると言う恐ろしい姿になります。そうして春は21日宇治川に身を浸し手を合わせて唯一つを祈り続けました。

 

妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい

 

 

 

嗚呼、妬 マ シ イ───

 

 

 

最早留まれない所に達した嫉妬心。こうして彼女は人を捨て生きながら嫉妬狂いの鬼になったのでした。

 

~~~~~~~~~~

 

 

 

翡翠「───……それがパルスィの橋姫となった過去。それからの事は今目の前で映し出されてる通りよ」

 

こころ「…………」

 

昔話の様な語り口で話した翡翠は神妙な面持ちで説明を終える。一方で話を聞いたこころは無表情ながらもその心境は翡翠と同じと言った無言で目の前で夢の中にて展開されるパルスィの悲しき過去を見た。

 

青年『すまないお春、お前の気持ちを知らない俺が悪かった……許してくれとは言わないが家族だけは!』

 

春『妬ましいわね……もう遅いわ。貴方の家族もあの女もその家族をも殺してしまった。最後は貴方よ?』

 

青年『や、やめてくれ!すまない!だから命だけは助けてく───』

 

グシャアッ!

 

春「……私をこう迄して命は助けてくれなんて妬ましいわ。フフフッ!アハハハハハハハハハハッ!」

 

それは凄惨な光景。ズタズタに壊れた家で瀬織春とは最早見えぬ姿の鬼が青年の頭を砕く。頭から血をダラダラ流して絶命した青年に春は不気味に笑いながら更にその青年の体に五寸釘を打ち付ける。歪んだ笑みに涙を流す春にこころは無表情の顔を歪ませて心苦しそうにした。

 

翡翠「あれから春は"宇治の橋姫"として更に無差別に人を殺しときた。だけど今話した春にお告げをした神社の神様……"私"は陰陽師に倒されて力の弱った春と一つになって春を今の水橋パルスィにしたのよ」

 

こころ「! 翡翠さん、神様だったんですか?」

 

翡翠「単なる妖怪が人間に利益あるからって崇められただけの神様だけどね。兎に角私が春……パルスィと一つになって癒してきたから今に至れたけど今また過去に向き合ったパルスィは精神的に不安定よ。最悪パルスィは妖怪として死ぬかもしれないわ」

 

こころ「そ、そんな!」

 

物理的な負傷には強い妖怪にとって一番の弱点は精神的なダメージだ。人間が肉体なら妖怪は心が弱く精神が崩壊すれば即ちそれは死を意味する。故にパルスィも心を揺さぶられる過去を再び目の当たりにし危険な状態であった。慌てたこころは翡翠に問う。

 

こころ「どうすればパル姉様を救えますか?」

 

翡翠「……方法は2つよ。1つは貴女の持つウィザードの力らしくパルスィを諭す事ね。最後の希望なんてあの子がすがるとは思えないけどやらないよりマシだわ」

 

こころ「ならそれを……!」グッ

 

そう言われこころは早速パルスィを救おうといきり立つ。しかし翡翠の上げる2つの方法はまだ言い終えておらずこころの意気そっちの気で翡翠は言葉を続けた。

 

翡翠「……後1つは───

 

 

諦めてパルスィを楽にするかよ」

 

 

 

こころ「…………えっ?」クルッ

 

翡翠「妬符『グリーンアイドモンスター』!」バババババァンッ!

 

こころ「ッ!?」グレイズ!

 

 

そんな不可解な言葉に振り返ったこころに待ち受けていたのは緑眼の怪物。大口を開いて襲ってきた翡翠の弾幕にこころは即座に回避して距離を取る。そして面で驚きを示して翡翠に言葉を投げ掛けた。

 

こころ「ひ、翡翠さんどうして!?」

 

翡翠「だってそうした方があの子にとって良いでしょう?また過去に苦しむより楽にさせた方が得策だわ」

 

問い掛けに妖艶な笑みを浮かべる翡翠。そんな彼女にこころは僅かに顔をしかめて反対を返した。

 

こころ「でも!そんなの酷いです!姉様を死なせたくありません!」

 

翡翠「……やっぱり貴女は嫌よね。多分フランちゃんや天子ちゃんもまた反対するでしょう。それなら私は貴女を倒して強行突破するわ」チャキッ

 

こころ「! それは、オーズドライバー!?」

 

そう言いつつ翡翠が見せ付けたのはオーズドライバー。本来パルスィが使うべき物を同じ容姿とは言え翡翠が右手に掲げ出した事にこころは目を見開かせる。対して翡翠はそのこころの反応に微笑を浮かべた。

 

翡翠「だから言ったでしょ?私とパルスィは1つ……本来なら私もオーズの力を使えるのよ───変身」ギンギンギンッ!

 

《タカ》!《トラ》!《バッタ》!

《タ・ト・バ・タトバ・タ・ト・バ》!

 

こころ「……!」ジリッ

 

微笑を浮かべる微笑は右腰のオースキャナーでドライバーをスキャンして変身。オーズパルスィと似た姿をしたオーズ翡翠になった。その変身にこころが身構えると翡翠はトラクローを展開し襲い掛かる。

 

翡翠「ハアッ!」ヒュバッ!

 

こころ「!? くっ!」ゴロゴロゴロッ!

 

振るわれたトラクローにこころは戸惑いつつも転がって回避。そうしながら防衛の為に変身リングをハンドオーサーに翳す。

 

《シャバドゥビタッチヘンシーン》!

《フレイム プリーズ》!

《ヒィ・ヒィ・ヒィヒィヒィ》!

 

翡翠「せいやッ!」ヒュオッ!

 

こころ「!」ギキィンッ!

 

ウィザードに変身したこころは続けて振るわれた翡翠の攻撃をウィザーソードガンで受け止める。そしてまだ戸惑った様子で翡翠にまた問う。

 

こころ「やめてください!パル姉様を死なせるなんてダメです!姉様も私達みたく自分を受け入れて覚悟すれば過去を乗り越えられますよ!」キィンッ!

 

翡翠「そうかもね……でも可能性での話でしょ?それに私はパルスィの苦しんだ姿を見てられないの」チャリッ

 

ギンギンギンッ!

《タカ》!《クジャク》!《コンドル》!

《タァ~ジャ~ドルゥ~》!

 

翡翠「ハッ!」ボボボボボォンッ!

 

こころ「くうっ!」バッ!

 

弾かれたのを利用して翡翠は再びメダルを入れ換えてコンボチェンジ。タジャドルになると火炎弾をこころに目掛けて放った。こころはやはり防戦としてまた回避し尚も説得を試みる。

 

こころ「確かに、私も姉様が苦しんでいるならそれを見てられません。でも……だからと言って翡翠さんは姉様を殺して良いと思うんですか!?二人は一心同体なんでしょう?」

 

翡翠「ええ、私とパルスィは1つ。妖怪になってから幾百年共に過ごした半身よ……だからこそ思ったの。あの子を苦しませる位なら半身を失ってでも救いたい、ってね!」ガチャッ

 

《タカ》!《クジャク》!《コンドル》!《ギン》!《ギン》!《ギン》!

 

《ギガスキャン》!

 

翡翠「ハアアアアアァッ!」バッ!

 

ドバアアアアアンッ!

 

こころ「ッ!」チャッ

 

《ディフェンド プリーズ》!

 

そう言葉を返しつつ翡翠はタジャスピナーにメダルを装填しオースキャナーで読み込む。そうしてマグナブレイズを撃ち出したのにこころはディフェンドで壁を出して防ごうとする。しかし解る通り極大の火炎に基本スタイルのディフェンドでは防げようが無い……故に防壁は直ぐ様破られた。

 

ズガアアアンッ!

 

こころ「うくあっ……!?」ズザァーッ!

 

翡翠「あら流石。今のを防ぎ切れなくともダメージは抑えたのね。貴女をココに連れてきて良かったわ……そんな貴女を負かせば私も心置き無くパルスィに引導を渡せそう♪」

 

こころ「つッ!ひ、翡翠さん……」

 

翡翠「それじゃあ貴女もパルスィを諦められる様に手伝ってあげるわ。この、嫉妬心から作り上げた『コアメダル』のコンボでね♪」チャリッ

 

こころ「……!」

 

倒れるこころに翡翠は称賛しながら言って懐から見知らぬ3枚のコアメダルを取り出して見せてきた。緑色の配色は虫系より深い色で描かれる動物は蛇が2匹と犬が表されているそのメダルを膝を着いて立ち上がるこころを余所にドライバーの鳥系メダルと入れ換え『嫉妬系メダル』を装填。オースキャナーを手に取ってゆっくり読み取らせた。

 

 

 

ギンッ!

 

《ネタミ》!

 

 

 

ギンッ!

 

《ソネミ》!

 

 

 

ギンッ!

 

《ウラヤミ》!

 

 

 

《ネ・タ・マ・シ・イ~~~ッ》!

 

一枚ずつスキャンしオースキャナーを胸に当てると3つのメダルの紋章が縦に並ぶ。そして一つに合わさり続いて翡翠にも合わさると緑のオーラに包まれ翡翠の姿は歌と共に変わった。

髪型はそのままに緑色へ染まり瞳は爬虫類を思わせる瞳孔に、頬には蛇の鱗を模した装甲が着けられ全身に甲冑じみる鱗の装甲が纏まれて両足は毛皮に覆われた姿になると翡翠は妖艶な笑みで驚くこころに言う。

 

翡翠「オーズ翡翠・ジェラシーコンボ、って所かしら?嫉妬狂いの前に倒れなさい希望の魔法使い♪」

 

こころ「くっ……!?」ジリッ

 

申告した所のジェラシーコンボにコンボチェンジした翡翠にこころは歯噛みし後退るも身構える。嫉妬を表す蛇とリヴァイアサン、犬の力を携えたオーズ翡翠と未だ困惑しているウィザードこころの戦いは激しさを増して繰り広げられた……!

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

 

《ソイヤッ》!

《メロンスパーキング》!

 

レイセン「甜瓜『メロン衝波』!」

 

《メロンエナジー》!

 

依姫「真符『ソニックボレー』!」

 

《ソーダ》!

《ピーチエナジースカッシュ》!

 

豊姫「桃斬『エナジースラッシュ』!」

 

ドガアアアアアンッ!

 

「「「「「キシャアアアアアーーーッ!?」」」」」

 

一方で迷いの竹林ではフラン達がインベス達と戦いを繰り広げている。ブレードを3回下ろしたレイセンはメロンディフェンダーから衝撃波を放ち依姫はソニックアローにロックシードを填めてエネルギーの矢を、豊姫はグリップを一回押してソニックアローの刃でインベスの一団を撃破。彼女達と対峙していたインベスは一掃された。

 

シカインベス(強化体)「ガオアアアァァァッ!」ガサァッ!

 

「「「!」」」

 

と、そこへ強化体のシカインベスが竹藪から雄叫びを上げて飛び出してきた。巨体を躍動させ現れたシカインベスに依姫達は力を抜いた体を力ませて身構える……が、そうする必要は無かった。

 

《ソイヤッ》!

《スイカオーレ》!

 

フラン「西瓜『大玉キック』!」

 

《キック》《サンダー》

 

天子「天剣蹴『Jライトニングブラスト』!」

 

《ライトニングブラスト》

 

ドカァァァァァッ!

 

シカインベス(強化体)「グオオオオオォッ!?」ドゴオオオオオンッ!

 

同じく藪より音声と共に2つの影、スイカアームズのフランとジャックフォームの天子が飛び出しシカインベスを猛襲。どうやら彼女らと交戦していて依姫達の前に出てきたらしいシカインベスは2人のキックに堪え切れず爆散する。シカインベスを撃破し着地したフラン達は依姫達の姿を見付けて駆け寄った。

 

依姫「そちらも片付きましたか」

 

フラン「うんっ、貴女達が手伝ってくれたお陰で何とかね♪」

 

レイセン「手伝ってくれたと言うのはこちらですよ。本来貴女方は来客で私達が率先すべきなんですから」

 

豊姫「だけど助かったわ。初級や上級でもあの数は骨が折れるもの」

 

どちらも襲い来たインベスを一掃できた様で言葉を交わす5人。そうしていると不意に天子はハッとし4人に問いを投げ掛けた。

 

天子「そう言えば幻月さん達はどうしたんでょう?パルスィさんがあんなで現状が現状ですし合流した方が良いと思うんですが……」

 

依姫「彼女達なら少し前だけど反対の方で見ましたね。レイセンの念話で妖怪兎達に彼女達へ集合する様に伝えるのを指示させられる?」

 

レイセン「はい、やってみますね」

 

言ってレイセンは玉兎特有の念話で妖怪兎らに念を飛ばそうとする……が、その時事態は変じた。

 

 

 

ドガアアアアアンッ!

 

 

 

「『うあぁっ!?』」ドシャアーッ!

 

「「「「「!」」」」」

 

そんな念話を遮る形で巻き起こる爆発音と転がり出てくる少女、と言うか夢幻Wの声。それにフラン達5人が振り向くと倒れる夢幻Wに加え竹藪から歩み来る2体の怪人が居た。

 

デェムシュ「温イ!温イゾ!一匹デ我ラニ挑モウナゾト愚カナ奴メガ!」

 

レディエ「ダケド玩具ニハ丁度良イ。楽シマセテモラウヨ♪」

 

幻月「くっ!こ、このぉッ……!」

 

天子「幻月さん!夢月さん!」

 

依姫「!? あ、あの怪人共は!」

 

地に伏す夢幻Wに歩み寄ってきた赤と緑色の怪人2体はオーバーロードインベスのデェムシュとレディエ。現れたその2体の姿を見た依姫は目を見開かせて驚愕する。と言うのも先程交戦したインベスらに加えて依姫達の住まう月の都に何かしらの原因で侵攻してきたのが何を隠そうこのデェムシュらだからだ。しかし今はそれを言及する時は無くフラン達は夢幻Wに集まる様にデェムシュらオーバーロード2体に対峙した。

 

ザザザッ!

 

豊姫「まさかオーバーロードも居てくれるとはね?ウチの副隊長を良くも殺ってくれたじゃない」

 

依姫「気を付けてくださいお姉様。一筋縄には行きませんよ?」

 

対峙したオーバーロードらを見やり持ちうる『斬月・真』の力によって手強さを知る依姫はそう豊姫に注意を促し身構える。それは勿論『マリカ』と『鎧武』の力を有する豊姫とフランは解っておりデェムシュが剣を振り上げて対峙した5人に先鋒として襲い来た。

 

デェムシュ「フンッ!数ガ増エヨウトモ我ラニハ敵ワヌワァッ!」グワッ!

 

「「「「「っ……!」」」」」バッ!

 

ズガアァンッ!

 

力の限り振り下ろされた剣撃にフラン達は反射的にバックステップす。そうして地面へ喰らわされた攻撃は竹の葉が敷き詰められた土を裂いて土煙を巻き上げた。そんな土煙に後退した依姫は好機と見てデェムシュに目掛けて飛び掛かる。

 

依姫「はあああぁッ!」ヒュバッ!

 

デェムシュ「ヌウウウッ!」ギィンッ!

 

自ら巻き上げた土埃に視界を遮られている所を依姫のソニックアローが振るわれデェムシュはそれを防御。そのまま鍔迫り合うが相手が相手なだけに依姫はデェムシュに力負けしソニックアローを弾き返される。

 

デェムシュ「ムゥンッ!」ガキャアンッ!

 

依姫「っ!」ザザザァーッ!

 

「「「はあああああッ!」」」バッ!

 

レディエ「フッ♪」チャキッ

 

その一方でフラン・天子・レイセンの3人はレディエに跳んで掛かる。対する緑色のハルバートを構えたレディエは向かい来るフラン達へ嬉しそうに鼻で笑うと竹の合間を縫いヘルヘイムの植物を操り出す。

 

バシバシバシィッ!

 

「「「うあっ!?」」」ドシャアッ!

 

操られた植物の蔓は鞭の如くしなり標的のフラン達を強襲。返り討ちされた3人は後方に弾き返されてしまい立ち上がるも続いてレディエはおもむろに右手を振り上げて、

 

ジイィ~~~ッ!

 

「「「クワアァウッ!」」」シュザッ!

 

レディエ「行ケ♪」スッ

 

「「「ガアアアッ!」」」ダッ!

 

「「「! くっ!?」」」

 

右手が合図かの様にレディエの左右にクラックが開き上級インベスがそこから3体降り立つ。腕試しだとそのインベスらにフラン達を指差して指示するとインベス3体は勢い良く襲い掛かってくる。それにフラン達は身構える……しかしそこへ、

 

《ロックオン》!

 

豊姫「下がってなさい貴女達?」

 

「「「……!」」」バッ!

 

豊姫「桃符『ソニックボレー』!」

 

《ピーチエナジー》!

 

バシュシュシュシュシュウッ!

 

「「「グガアアアアアァァァッ!?」」」ドガアアアアアーーーンッ!

 

唐突として背後で控えていた豊姫がソニックアローのソケットにロックシードを装着させつつそうフラン達に声を掛けてきた。それで横っ飛びにフラン達3人が避けたのを見計らい豊姫がソニックアローから何発もの矢を発射。飛び掛かる上級インベスらはエネルギーの矢に串刺しされ爆散した。名前を表記されなかった上級インベス3体、哀れ。

 

レイセン「豊姫様!」タタタッ

 

豊姫「やっぱり普通のインベスよりも一線越えて一筋縄じゃ行かなそうね……3人共手加減は無用よ?そんな事したら多分倒れてるのは私達」

 

フラン「うん、夢の中で鍛えてくれた僕達の力を出して戦うよ!」

 

天子「パルスィさんに危険を近付けさせはさせませんっ!」グッ!

 

一旦豊姫の元へ集まり彼女の言葉で改めて戦う為の覚悟を決する3人。そうした4人は悠然と立つレディエに相対した。が、その時!

 

 

 

ドバアアアンッ!

 

「「きゃあああぁッ!?」」ズザァーッ!

 

 

 

「「「「!」」」」

 

またも爆発音と共に今度は2人の少女が竹藪より転がり込んで現れた。それに反応したフラン達が見やるとそれはカブトとファイズに変身している輝夜と妹紅で豊姫は倒れている彼女達に声を掛けた。

 

豊姫「? どうしたの貴女達」

 

輝夜「の、暢気な質問ですわね……見ての通り情けない事に吹き飛ばされて倒れてる次第ですわ」

 

妹紅「気を付けて。私達を襲ってきた奴らは相当強いわ」グググッ

 

さながら日常会話のテンションでのその問い掛けに輝夜達は少し気抜けるも取り直して注意を促す。その忠告にフラン達も輝夜達の向く方向へ目を向けると程無くし藪を掻き分けて2つの影が現れた。それは、

 

《マンゴスチンアームズ!極上・プレステージ》!

 

白夜・姫「…………」ズザッ

 

《アセロラアームズ!武士道・オンエア》!

 

黒天・武「…………」ザッ

 

フラン「あ、あの2人って!?」

 

天子「少し見た目が違いますが……もしかして神社に向かう途中の!?」

 

それぞれ白と黒のライドウェアを身に纏うアーマードライダー。その見覚えある面影にフランと天子は声を上げる。正しくその2体のアーマードライダーは先刻フラン達が博麗神社に向かう途中で襲ってきた椛とぬえが変身する白夜と黒天だ。但し面影を残すのみで先程とは外見が異なっている。

ブラックロックシード(通称ブラックシード)と呼ばれる内のマンゴスチンロックシードにより椛の変身する白夜は紫がかる赤いアームズより透き通る純白の衣が伸びて、まるでドレスを彷彿とさせる『白夜・姫(ひめ)』に。同様のアセロラアームズによりぬえの変身する黒天は赤い武士じみたアームズに同色の脇差しを備えた『黒天・武(もののふ)』となっていた。グランによりもたらされたブラックシードでフェイスプレートが変じて全く新しい白夜と黒天になった白夜・姫と黒天・武は姿を現すや無言で身構える。

 

豊姫「仮面ライダーも相手なのね。これは良過ぎる運動になりそうだわ」

 

レイセン「くっ!依姫様を手助けへ行きたいのに……!」

 

フラン「数が対等になっちゃった……1人1体ずつ相手しないと」

 

天子「ッ!」グッ

 

明らかな強敵の追加に豊姫らやフラン達は一層警戒し身構える。そうすると同じく身構える白夜・姫と黒天・武はほぼ同時に動作を取った。

 

《ソイヤッ》!

《マンゴスチンスカッシュ》!

 

《ギュイーンッ》!

《アセロラスカッシュ》!

 

「「「「「!」」」」」

 

瞬間、白夜・姫と黒天・武の二人が地面を蹴りフラン達に迫る。カッティングブレードを下ろし2つのブラックシードのエネルギーを充填された攻撃が放たれた───

 

 

 

 

 

永琳「……ふぅ、駄目だわ。外側からも働き掛けてるけど一向に意識は戻らないわね」ギシッ

 

パルスィ「──────」

 

そんな頃、フラン達の防衛が突破されればインベス軍団の侵攻を待つばかりな永遠亭では過去を映す夢に苛まれるパルスィを目覚めさせようとアプローチを掛ける永琳が居た。しかし即席で作った申し訳程度の中和剤を用いても目覚める様子は無く遂に永琳でもお手上げとなり席に腰掛ける。精神的なものが原因であれば薬を施し尽くした薬師の彼女にもう為す術は無い。

 

永琳「後は彼女達がやってくれるのを待つしか無いかしらね……」

 

背凭れに上体を任せてそう一人ごちる永琳。彼女達、それは言わずもがなこころと翡翠の事で夢の中での現状を知らぬ永琳はパルスィを救おうと向かったこころ達を待つばかりだ。

しかし一方で実はライダーの力を持つ永琳は依姫達の応援に行きたい……だが主治医として眠る患者を1人残すのは気が引けた。故に待つと言う現状の行為にもどかしさを感じている永琳である。

 

と、そんな彼女に突然声が掛けられた。

 

鈴仙「八意様、失礼します」スッ

 

永琳「! 鈴仙……と、てゐ?」

 

てゐ「……」ギュッ

 

言葉を掛けつつ診療室に入ってきたのは鈴仙。何やら制服の裾を掴むてゐを引き連れた鈴仙は入室するや傍らで横たわるパルスィを見やった。

 

鈴仙「…………」ジッ

 

パルスィ「──────」

 

ただ眠りに堕ちている様に見えて実は徐々に心を喰われてるパルスィを見下ろし鈴仙は眼帯に覆われていない右目を細める。それに永琳は敢えて何も言わず聞かずで鈴仙の行動を見守った……すると不意に鈴仙は永琳に目を向けて口を開く。

 

鈴仙「───八意様、この患者の事は私に任せてください。なので早く依姫様達の所へ」

 

永琳「……!」

 

そうしてまるで心中を見透かしていたかの様にそう言い放つ。図星を突かれた様に驚いた永琳だったがすぐに平静となり言葉を鈴仙へ返した。

 

永琳「良いの?貴女に任せても」

 

鈴仙「ええ、見ての通り私が応援に向かおうにもてゐが引き留めていますから。ならば私が残りますので八意様が行ってください」

 

てゐ「うううっ……」キュッ

 

永琳(…………)

 

冷淡に問いへ答える鈴仙の背後でてゐは永琳に申し訳無く思ったのか小刻みに震える。それを見た永琳はてゐの『鈴仙に危険な事をこれ以上させたくない』と言わん心中を察しつつ鈴仙の自身への気遣いと、それとは別にある考えを察した。と共に数秒どの選択が最善か考えると決心し行動に移る。

 

永琳「解ったわ。ココは貴女に任せる……彼女と、彼女の精神内に居る娘達の事を頼んだわよ!」タッ!

 

そう言って永琳は変身ドライバーと何故かジャラジャラ音の鳴る薬箱を持ち診療室を後にする。残される鈴仙とてゐ……すると鈴仙はそっと呼び掛ける様に言った。

 

鈴仙「キバット」

 

キバット「おう、何だ鈴仙?」バサッバサッ

 

鈴仙「てゐを頼んだわよ。危なくなったらアンタが私の代わりにてゐを守って」

 

てゐ「れ、鈴仙ちゃん……」

 

呼び掛けに応じて飛んできたキバットにそう言う一方でてゐは心配そうに鈴仙を見上げる。その垂れた耳を更に垂らして泣きそうな顔を鈴仙は対照的に見下ろす。

 

鈴仙「アンタはアンタの心配をしなさい。私はコイツを目覚めさせた後に行くからアッチは頼んだわよ」

 

てゐ「うん……」

 

どうやら状況を理解するに鈴仙を怪人が侵攻しつつある場に行かせたくないてゐと自身がやるべき役目だからと駆け付けたい鈴仙。彼女達は鈴仙が戦力になるパルスィを目覚めさしこころ達を含めた4人で来るのなら行っても良いと言うてゐの約束の下でこうして来た様だ。それでも鈴仙を危険な目に遇わせたくないてゐはこの約束が果たされた場合の事で不安な表情を浮かべるも鈴仙は諭す様に彼女へ言う。

 

鈴仙「大丈夫よ。私はもう永遠亭の皆を、てゐを守る為なら笑顔を奪う事はしない。だから私が行けない間は任せたわよ」

 

てゐ「…………」グッ

 

鈴仙「但し無理はしない事。幾ら実力のあるアンタでも怪人相手じゃ無理があるわ……私の為に何でもするなら私が守りたいアンタが怪我しない様になさい。良いわね?」

 

てゐ「! うんっ!私、頑張る!」

 

鈴仙「……それが出来たら今日は屋敷で一緒に寝ても良いわ。だから無理せず頼んだわよてゐ」

 

てゐ「解った♪約束だからね!」

 

そうして諭され明るさを取り戻したてゐはキバットと共に永琳の後へと続く。その後ろ姿を見送った鈴仙は振り返り未だ眠るパルスィに歩み寄る。

 

パルスィ「──────」

 

鈴仙「……全く、逆撫でしてきて迄言ってきといて自分は過去に囚われてるの?とんだ自分の事は棚に上げて、ね」フゥ

 

パルスィ「──────」

 

鈴仙「…………でもそんなアンタを見てたら私は他人の振り見て我が振り直せ、だわ。アンタを助けたら私も過去から脱せるかしら?物は試しね」スッ

 

物言わず眠るパルスィに独り言気味にそう呟くと彼女の額へ手を翳す鈴仙。過去に囚われているパルスィを他人とは思えず彼女の接触が自身の心境を僅かに変えたのを切っ掛けにパルスィを助けようと至った鈴仙は能力により精神の波長をシンクロさせる。そして……

 

鈴仙「───『精神介入(サイコダイブ)』」ブゥンッ

 

意識を体から離しパルスィの精神内に飛び込ますと鈴仙は立ったまま意識を失う。こうして意識のみをパルスィの心へ侵入させた鈴仙はこころと翡翠が交戦する場へと駆け付けていくのであった───




斬月・真が依姫でマリカは豊姫……理由は依姫が真面目だけどいざとなればポンコツそうな印象からと豊姫は彼女と言えば桃だからです(笑)

しかし白夜・姫と黒天・武はこころの追加スタイル同様この嫉妬王の問題児的存在です。個人的に適当過ぎる感じで自信がありませんぜな(汗)

そして遂にパルスィの過去が明かされた訳ですが話の元は逸話にある橋姫からです。瀬織春と言うのはオリジナルの名前でこれもまた橋姫の逸話から抜粋して頂きました。

更にそれに伴い翡翠がこころと戦い登場しましたコンボ名も歌も諦めましたジェラシーコンボ!能力については次回明らかですぜ。
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