Modern Pokemon   作:名無しの権左衛門

12 / 21
12:旧暦でいうに一日の始まり

 

「あー、くそ重い」

 

 僕はプレートなどの重いものを納屋にしまって、家に入る。

 

「ただいまー」

 

 家は暗い。

寝ているのかな?

 

 今日は両親共に仕事で、きょうだいは部屋にこもっている。

 そのはずだから、僕は手洗いうがいして自室に戻る。

 

「さぁて、今日のアイテムはー?」

 

・あなぬけのたま ・あおいグミ ・カイスのみ ・パークボール 

・プレミアボール ・ウルトラボール

・マスターボール ・各種アメ ・ガルーラナイト2 ・きのみブレンダー 

・キーストーン*2

・せいなるはい ・かいふくのくすり ・ポイントマックス ・でかいきんのたま

・古代の金貨 ・みどりのプレート ・げんきのかたまり ・おまもりこばん

 

 

 見てわかると思うが、ポロックが作れるんだよな。

 でも、残念ながら、きのみを育てる場所がないから意味がないんだよ。

 

……あ、埋める場所あるわ。

 

 今家には松竹梅と植えられている中で、果樹も植えている。

その中でサクランボだったか?そのサクランボの根が、ダンゴムシと土壌にやられちまって先週引っこ抜いたばかりなんだ。

 そんなわけで、カイスを植えてみようと思う。

 これは地球生物と地球の土壌に、ポケモン世界の植物が適応するかの実験だ。

 

 

 

 すでにきのみの湧き水で、土壌は改変されているんだけどな。

 

 

 次。

 

 えーと、突っ込みどころといえば、ポケモンダンジョンという二次創作に出てくるアイテムかな。

 

 あなぬけのたまは、あなぬけひもと同じような効果を持っている。

ただ効果は違うようで、その場半径5M以内の使用者と同じ種族であり、そのものが持つポケモンを安全地帯へ移動させるものだ。

 あおいグミは、おなかを回復させる効果はなくて回復効果だけ。

 かしこさが上がるらしいが、すごく賢くなってそこらへんの壁を破壊して移動するのはやめていただきたい。

 

 パークボール。

 これの効果は、逃がされたポケモンを確実にとらえるボール。

ほかのポケモンだと、モンスターボールと同じ効果のようだ。

 

 キーストーン。

 なぜか二つも手に入ったが、使うのはリザードンのみ。

それ以外のポケモンは、進展次第で考えよう。

 

 ガルーラナイト2。

 普通のガルーラナイトよりも力強く輝いていて、ガルーラの潜在能力を引き出すらしい。

 

 でかいきんのたまと古代の金貨。

 握って親指と中指が、あともうちょっとでくっつくくらい大きい。

純金製なので、ポケモンの世界よりも売れるだろう。

 古代の金貨も同じく比較的大きく、しっかりとした印字なのでマニアに見せれば言い値で買ってくれるだろう。

 

 お守り小判。

 戦闘勝利時、賞金が二倍になるらしい。

これで給料も増えないかな?ちょっと試してみよう。

 

 

 最後はみどりのプレートなんだけど。

 

 こいつは外で確認しようか。

 

 

 僕はサンダルを縁側で履いて外に出る。

そして納屋の重い戸を開けて、中身を確認する。

そこにはいかずちプレートとみどりのプレートが、それぞれのタイプの色に淡く発光しながら壁に立てかけてあった。

 鎮座しているというか、くそ重いからここに置いてあるだけなんだよなぁ。

 しかしこれで二種類だ。

あとは14種類。

 

 このまま集めても何にもならないと思うんだけど。

 

 さすがにアルセウスがけしかけてくるなんて、ありえない夢物語だ。

 でもアイテムコレクター精神で語れば貴重なアイテムの一つだから、無碍にできない。

 

 あー、色々と確認したなぁ。

 

 

 ……今思ったんだけど、初夏の6時30分頃は夕焼け小焼けで日が暮れる頃合いなんだよ。

 普通はどこもかしこも、蛍光灯やLED・フィラメント球がついているはず。

なのに街灯はもちろん、住宅地や押し釦信号の光が灯っていない。

それに今日、踏切の音は聞こえたのか?

 

 まさかと思うが……。

 

 僕は納屋にプレートを片付けたら、すぐに自室に戻って本棚の上にある四国電力主催のイベントでつくった手回しラジオを数年ぶりに使う。

 モーターを回して電気を発生させて、FMなど周波数を合わせる。

 するとそこからとんでもない情報が入ってきた。

 

「こちら伊方原発です! 御覧ください、コイルといわれるポケモンとその同種族がたくさん集まっています。

ポケモントレーナーの情報によりますと、彼らは電気を食料としているらしく大容量発電施設である原発にたくさん集まり、電気を生み出した直前に食べられることで大規模停電に陥りました!

 現在、水力・火力・風力・波力で、随時発電しているとのことですが回復の見込みはないと発表されています!」

 

 

 まずい……。

 

 

「今私たちは徳島県に来ています。この場所に来たのは、今後においてより深刻な被害になる問題を、皆様に公表するためです。

 この徳島県は電化されておらず、非電化の汽車が走っています。

 これらの汽車は重く、線路に重圧をかけておりメンテナンスをかかせば、すぐに膨張や縮小による金属疲労で軌道が破損してしまう可能性があります。

 しかし問題はこれだけではありません。

山奥ではココドラ・コドラというポケモンが、線路を含めた鉄分を含むものをむさぼっているのです。

結果線路の枕と砂利が残るだけの廃線風景が、一面に広がってしまいます。

 

 現在この風景が日本のいたるところで確認されており、国の対応が急がれます」

 

 たしか、ポケモンが来てから三日だよな。

 うん、腹が減っているだろうから、大量に食われるよな。

食われた鉄はどこに行くのか。きっと酸化鉄として排出されるんじゃないかな?

 

 とにかくこのままだと、鉄道大国日本のインフラは大打撃を受けて、倒産する会社が出てくるだろう。

 警察や国家は、非常に鈍足だから実力行使ができるポケモントレーナーが現場に行くしかない。

しかし相手は自然だ。絶対にあきらめざるを得ない状況が発生してしまうだろう。

 国鉄として、国営化するか地方鉄道への援助資金を頼るしかないな。

つーか僕も、県からの補正予算を考えないあたり、人口減少と経済低迷にもだえ苦しむこの県に愛想を尽かせているなぁ。

 

 

 ブー。ブー。

 

 ん? 僕のスマホがバイブレーションで揺れているな。

 誰からの電話だろうか?

 

 手に取って出てみた。

 

「お兄……兄貴、今どこいんの!?」

「え? 家だけど」

「今までどこ行ってたんだよ……お母さんが兄貴を探してるよ!」

「そもそも、みんなどこにいったんだ?」

「小学校に避難してんだよ!」

 

 あー。避難勧告が出てたかぁ。

 そりゃそうか。でも公共施設だったら、プライベートを犠牲にすれば

一人当たりに必要な電力は減少するから、比較的住居効率はいいよな?

 でもその分精神的なダメージが増えて、集団ヒステリーになりやすい。

しかも集団感染とかもあるから、ほかの面でみるとはるかに良くない。

 

 うーん。

 

 よし、夏季と冬季のバイトで作らざるを得なかった口座を使って、原発へ遠征しよう。

電車だけじゃなく列車や旧型電車を持っているJR四国なら、少々ダイヤが乱れるだろうが自転車を漕いでいくよりか楽な移動ができると思う。

 

 実際、JR四国の線路で見かける車両には、うずしおやワンマンカーといった汽車ばかり。旧型の爆音もいるしなぁ。

 でもマリンライナーといった電車もいる。

 あ、貨物列車も走っているんだよなぁ。

幼いころに瀬戸大橋記念公園から見上げた時、その長蛇の列が見えたことがあるし

列車の整備工場より西へ十キロぐらいに貨物積降・積載所がある。

 

「うん、わかった。あとで行くわ」

「ちょっと待って、どこかわかって――」

 

プッ

 

 電子音を鳴らして通信拒絶っと。

 

 次に深夜23時まで運行しているJR高松駅へ、超速自転車で10分かけていく。

その途中で何円か積み下ろしておいて、グーグルマップやYahooJapanの鉄道乗換案内を確認。

伊方原発に一番近い路線を確認する。

 

 これ……時速計算なんぼだ?

 よくわからないけれど、3時間12分の219kmだ。

 

 マッハ自転車は最高速度、65km/hだ。

で、簡易に計算すると、219÷3=73。

途中のこともあるから、自動車のほうが速い。

 しかし深夜帰宅のこともあるから、なるべく脚は休ませておきたい。

 そういうわけで、3時間かけて松山市に行って22時くらいで着く。

そこから73.2kmを65km/hで走り抜けて、伊方原発へ向かう。

 

 本来ならば市役所に行って申請すればいいんだろうけど、

こんな面倒な事態になるとポケモントレーナーが過労死してしまう。

まあ希少な存在だから、あるていど生命の維持や確保はしてくれるだろう。

ま、割に合わないから、市役所に行かないんだけどね。

 

 そんなことをするのならば、ポケモンを育てるほうが楽しい。

 

 さて、行く前に携帯の電源を回復するために、電池とそのためのソケットを買っておかないと。

来る前にもいろんなスーパーやコンビニ・電機店に、たくさんの人が来ていた。

 なんかもう、すごかった。

 ダイエーなんて、発電機を購入して軽トラックに積み上げているところを見てしまったくらいだ。

 

 あとはYahooトピックやMSN(Microsoft news)で、薪・木炭・石炭・石油などの電気に変換できる燃料の購入が活発化し、シーレーン崩壊に伴う価格高騰で都心ではすでに1リットルあたりの値段が、目も当てられないことになっているとか。

 あ、中韓や違法滞在者による国内の略奪が起こってる。

 国内でこれなんだから、外国はもっとひどそうだ。

 

 でも自然豊かなところは、あまり関係なさそう。

 

「いしづち23号 特急 松山行き 7番ホーム まもなく発車いたします」

 

「やっべ」

 

 すぐに乗り込んだ。

 

 誰もいないんだよなぁ。

僕が乗り込むのを確認すると、車掌さんも車内に乗り込んだのかすぐに扉が閉まり車内放送が始まる。

 

「特急いしづち23号にご乗車いただきまして、誠にありがとうございます。

この電車は現在、社内における非常電源で動いております。

出力の関係で到着時刻が遅れますこと、お客様のご理解の下ご了承くださいませ……」

 

 電車内のポケモンによる被害が深刻なことが分かってしまう。

 

 そしてたまに……。

 

 

 ドドンッ!

 

「わあっ!?」

「のわあ!」

 

 ほかの駅から入ってきたお客さんが、合計3人になったとき突然の衝撃!

理由はすぐに分かった。

線路わきに2体のニドランが、肉体を欠損してくたばっていた。

 

「ポケモン……か」

 

 お客さんの一人がつぶやく。

 本来ならば運行してはいけないが、相手も結局は動物。

特別に強い力を持っただけの動物だ。

机上でいえば、運行停止は認められない。

 

 だが現場でいえば、くそったれ!だろう。

 

 僕も……よくわかったよ。

 

 たまに?

いや、自然が増えれば増えるほど、衝突回数が増えていく。

 

そしてしまいには……止まってしまうわけだ。

 

 

「走行不能!」

 

 切られているはずのマイクが切れていない。

そのせいで、乗客総勢二人に衝撃が走る!

もちろんそのままの意味で。

 

ドスン!

 

「ってえ!?」

 

 衝撃が電車の進行方向からあった。

たぶんこれは、ココドラの上位であるコドラの可能性しかないと思う。

窓際からちらほら見えてたんだよ。

 サイドンの可能性を考えろ?

脱線して死んでるな。

 

 僕は最前列車両に走って、窓を開けたあと外へ体を乗り出しそのまま前転の容量で外へ出ていく。

となりのトトロでさつきちゃんが、三輪トラックから降りた時にやったあれだよ。

乗客の一人はおびえたように自己保身してる。

 目撃者が少なくなったから、非常にありがたい。

 

 さて、状況なんだけれど、まあ安心だ。

コドラ1匹とココドラ5匹が、倒れたココドラ2匹を守るためにせめぎあっているというところだ。

 

「出てこい、カリキリ・ツチニン!」

「キリ!」

「ニン!」

 

 ボールエフェクトをまき散らしながら二匹は出てくる。

そしてツチニンが出てきた瞬間、雲に隠れた上弦の月が夜天を照らし始めた。

きっと日本晴れの夜においての効果なんだろうな。

 効果範囲もわかるくらいだ。

 星が分からないくらい雲に覆われていたが、500mくらいだろうか?

それくらいの穴が雲の中にできて、遠方からはきっと月による光の階段ができているだろう。満月は昼と同じであるのならば、上弦であれば夕方くらいだろう。

 

 おかげで真夜中でもはっきりとコドラたちを視認できる!

 

 新月?   

 

 

 気にするな!

そもそも現代人がそんな中で活動するなら、光源をもつだろう?

現に電車のヘッドライトが前方を照らしている。

 ただし電車のバンパーに値する場所くらいしか高さがないコドラたちを

照らして、情報を得ることはできないがな!

 

「奴らは頑丈だ! 時間差ソーラービーム!」

「キ……リイィィィ!」

「チ……ニン!」

 

 二つの光線は、収束させず時間差で射撃。

現在も駆動させている電車の勢いを殺そうとしているコドラたちは、

僕らの攻撃を受け流せずそのままはじけ飛んだ。

 すると圧力から解放された電車が勢いよく発車。

そのままココドラ一匹が、車輪に押しつぶされ二分割するが何も問題はない。

 

 電車は数十メートル行って停車し、誰かが下りてきた。

まあ、車掌さんなんだけど。

 

 まだ上弦の月が照らしているから、僕の存在もわかるだろう。

 

「ポケモントレーナーの方でしたか!」

 

 駆け寄ってきて喜色の面で対応してくる。

 

「はい。用があって愛媛へ行っているところだったんです」

「……そうですか。とにかく、ありがとうございます。扉を開けましたので、ご乗車ください」

「わかりました」

 

 彼の表情は訝しんでいるといっても過言ではない。

そもそも、四国に用があって足を運ぶポケモントレーナーなどいないだろう。

基本的に生まれ故郷を最優先に行動させるだろう。

 なのにここにポケモントレーナーがいる。

 

 初老の車掌さんは、与えられた仕事だけに専念するのか詮索はしてこなかった。

 

 

 この後も、僕は何度かポケモンの襲撃を遠距離で妨害して、電車の運行を妨げないようにした。乗客は寝ていた。

 

「あ、お客さん」

「え、あ、はい?」

「ポケモントレーナーからもらった薬です。やけど・まひ・毒に効きます。

不安でしたら病院で、この薬の薬効を調べてもらってください」

「そ、そっか。あんたが……まだ若いだろうに……」

「ありがとうございます。ですが、今も苦しんでいる人たちがいます。

僕も決心がつきました」

「え?」

 

 そして扉はしまった。

 

 僕が彼に渡したのは、なんでもなおし*5。

                      ・    ・

 余談だけど、いままでばんのうごなのことを、ばん の うごな とよんでた。

本当は万能粉だったんだね。アクセントを二か所つけてた。

 

 

 

 そして最後の着駅を経過し、終着駅に到着した。

時間は駅の消灯時間と同時刻ぐらいになってた。

すでに最低限のLEDしか点灯していない。

 

「……よし、行くぞ」

 

 閑静で真っ暗な現代都市である松山市。

松山駅はもちろん、周辺に光はほとんどない。

自動車は1台くらい。それでもトラックは複数台走っている。

 

 僕はすぐに自転車を出して、そのまま70分かけて伊方原発へ向かう。

 

 途中困難はあったけれど、車掌さんのポケモントレーナーへの安心感は異常だった。

 宗教ならこんな状態でも、夢想していれば心でつくった有象無象に助けてもらうだろう。だが現実主義者だったり、資本主義にいきる僕らは心のよりどころは金しかないと思う。

 

 家族?論外だ、バカもの。

 

 

 ……ポケモントレーナーとして選ばれたのならば、やってやるよ。

 




現代ポケモンのテンプレで、面白さが減衰するだろう。
というか、政治が絡むと法律・地政学・確執関連で面倒になって、やる気が減退するんですが……。
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