Modern Pokemon   作:名無しの権左衛門

14 / 21
14:偶然というなのめぐりあわせ

 僕は今、どこにいるでしょうか!

そう……今僕は、予讃線に乗っているんだ。

 

 なんでJRに乗っているのかというと、簡単に言えば疲れたから。

そしてこれから向かうのが、鳥羽動物園。

そう愛媛県の。

 理由はまあ、色々あるんだ。

 

 

 実はポケホで世界に存在するポケモントレーナーが、ポケモン所持数を6体超えたことで、ボックス機能が追加されたんだ。

これに関しては神に選ばれたポケモントレーナーのみで、ほかの一般トレーナーは過剰なポケモンをどこかへ預けることは不可能。

 ちなみに預けられるのは、75体まで。

 結構預けられるんだ。

 

 で、なんで僕が鳥羽動物園に行っているのか。

 理由は簡単で、動物園にいた動物の2割がポケモンになってしまって、それらが檻を破壊して逃げてしまったから。

それと四国内の動物園で唯一カンガルーを飼育しているから。

 コアラはネッコアラ。ほかの有袋類であるカンガルーは、きっとガルーラになっているとおもう。

いや動物がポケモンに変態したことは、あまり聞いていない。

それでもラジオで中国から借りているパンダが、ヤンチャムへ変化していることは

頭数を調べれば容易に判明したことだ。

 

 で、鳥羽動物園のポケモンや動物が逃げたということは、ポケモンに関して言えば所属不明で話が通る。きっと管理や維持をしている飼育員さんも、この混乱で地球産生物への対応に追われているだろう。

だから僕が現地へ行って、ポケモンの騒動を横目にみながらガルーラをゲットするんだ。

 え、助けるべきだ?

 申し訳ないが、そこまで余裕がないし先の見通しが甘くない。

だからまだ何も起こっていない今こそ、レベル上げや厳選を行うべきなんだ。

そもそも僕が市役所に行っていないのは、現状大量のポケモンをただの人間がどうかしようなんて不可能だと思っているからだ。

 

 介入するのならば、知識を持っているとしても覚悟や経験等、現場の雰囲気や空気を体験しておかないといけない。

そうでなければ、相手に威勢ごと呑まれてしまう。

こうなっては自分のペースを崩されるから、継戦活動は続く。もちろん不利な状況で。

 

 わかってくれたかな?

 

 さて……乗り継ぎ乗り継ぎっと。

バス停の場所へ向かっているが、人はまばらだ。

どこもかしこも。

 そしてそこらにいる人はみんな、きょろきょろと周囲を警戒するように見渡して移動している。

 やはり、ポケモンだろうな。

 

 そう思っていると、近くで爆発があった。

 

 みんなパニックに陥ってしまったようで、騒ぎに騒いで一応復活した信号を無視して横断し、車にひかれる人もいた。

右往左往している。

 で、僕はというと、現場に野次馬根性で行ってみた。

ほかにも野次馬根性な人間が、三人いるがすぐに二人逃げた。

なんでそんなに血相変えて逃げたんだと思ったんだ。

 

 でも僕はそいつを見て確信した。

 

 なんて幸運で偶然で必然的な出会いなんだろうって。

 

 事故にあった方には悪いけれど、FRLG的にこの出会いは最高の思い出になるよ。

 

 そう、僕らの目の前には、動物園から逃れたと思われるガルーラがいるんだ。

何故わかるか。

それは動物園で飼育されている動物は、番号札がつけられているから。

 ガルーラは左腕に巻きつけているようだ。

 そんな感じでじっくり見ていると、突然ガルーラが予備動作を行う。

 

 僕は何をするかわかったので、物陰に隠れに全力で走る。

また周辺の人も、僕の行動を見て一拍おいて行動する。

だが遅い。

 頑丈そうなレンガと盛られた土・そこに生えている低木の陰に隠れた瞬間だ。

すぐに豪快な破砕音が、周辺に響き周囲にその破片や衝撃波が飛び散った。

またこの時、いやな音が何回か聞こえる。

 

「うああああアアッ!!」

「ひぐっ!?」

「いでえええ!!!」

「ギャッ」

 

 興味を持った彼らは、その命と引き換えの片道切符のようで、死傷から重症を負う。

 もちろんこの騒動に、すぐに何とかしようとして携帯電話を使って警察や消防を呼んだ。場所や状況、人数とそのケガの状況等。

話しながらガルーラの様子を見る。

 まずおなかの袋に子供がいないこと。

 次に足元を攻撃し、下のほうにある隙間を覗いている事。

つまり子供があの隙間に入っていって、そのあと戻ってこないか帰ってこれなくなったか、だ。

 

 

「出てこい、ツチニン」

「ニン!」

 

 キリッとした表情で出てくる。

任務はわかっているみたいだ。

 

「あの隙間を通って、ガルーラの子供を助けてきて。できるだけはやく」

「ニンニンッ!」

 

 ガルーラの地団駄を避けつつ、隙間の奥に入っていくツチニン。

 そしてガルーラが三回破砕している間、日和見な人や遠巻きに見ている人に叫んで救護を手伝ってもらった。

 また駅員さんにも協力してもらって、出血を止めるための布や縛るための縄を用意してもらう。

次に行うのは協力者の目を盗んで、ポケモンのアイテムを使うこと。

 

 元気の塊を何もせず、そのまま死傷している人にふれさせる。

ああ、死傷とはいってもまだ心臓は動いているよ。微動だけど。

 で、塊を使ったら、塊が白く輝いてその肉体に沈み込んでいった。

そしてその白い光が全身へいきわたっていき、出血とかなくなってある程度の傷が治った状態で、死傷した人が軽傷者になった。

 

 このことに僕は心底驚いて、みんなの目を盗んで満タンの薬や回復の薬を使った。

 

 スプレーという霧吹きなので、霧状の液体を肉体に直接当てた。

 軽症者はただの健常者になり、重傷者は軽症者になる。

満タンの薬は、血肉を再生させる効果がある。

回復の薬は血肉の再生といろんな効果を除く効果があった。

 ただ万能粉やなんでも直しという専門特化ではないらしく、一部の症状が残ってしまう。

 この症状というのは、にきびとかそういうたぐい。

 

 なんというか、回復の薬は満タンの薬の上位互換。

ただ専門には負けるという印象。

 

 そんなわけで、一人はおばさんで他は若い男性の二人に、なんでも直し等の実験台になってもらったんだ。

 彼らの犠牲のおかげで、またアイテムの効能を知れた。

君たちは英雄だよ。科学の進歩にギセイは必要なのデス。

 ちなみにおばさんの方は、目の下のクマとか垂れた皮とかシミ・老化した肌・ほくろ・にきび等、女性にとっての敵すべてを解消できて、すべてが終わった後”誰?”って思った。

 

これは売れる。

 

 そういえば、なんで人が破片で重症から死傷しているのに、平気なのか言っておこうか。

 

 

 他人なんて、どうでもいいからだよ。

今はガルーラだ!

 

 

 そんなわけで、傍目から見てツチニンがガルーラの子を救助しているのを確認する。

 僕はパトカーのサイレン音をBGMにしながら、ガルーラに近寄る。

 

 ガルーラは子供を笑顔でおなかの袋に収める。

ツチニンも嬉しそうに笑顔だ。

 

「よくやったな、ツチニン」

「ニン!」

 

 手の甲を挙げられるツチニンの左前足に当てる。

次に僕はガルーラの方を見る。

 

「ケガないか?」

「ガルァ」

「ふむ。一応、これでもかけとくか」

 

 ケガやにじみ出る血が見える子に、満タンの薬をかける。

すると体からエフェクトがでて、ケガがすべてきれいさっぱり消えてなくなる。

 

「どうだ?」

「ルーラ、ラァ!」

 

 子供がはしゃいでいる。それを見て、母親ガルーラは子供をしかりつける。

でも怒っているわけじゃない。しょんぼりする子供を、母親は次はやらないように諭しているんだろうか。

次はやらない、みたいな感じのやりとりをしているように見える。

 

「なあ、ガルーラ」

「ガル?」

 

 少し警戒を解いてくれているのか、意見は言えそうだ。

ツチニンは出したままだ。

 

「今ここにいても、お前と子供は無事に済まないと思う。

君は人間に危害を与えてしまったんだ。故意じゃないのはわかる。

でも、ここは人間の領域だ。君たちは邪険に扱われる」

「……」

 

 静かに僕を見ている。

 

 僕はGSボールを取り出す。

適当に仕舞っていたのを、丸いからという理由で手探りから手でつかんだんだ。

 

「ここで子供と死にたいのなら、別にいい。

でも子供が立派になるのを見たいのならば、僕とともに来てほしい」

 

 GSボールを地面に置く。

 

「これは君の人生で、君の選択だ。僕とともに来てくれるなら、この中心にある釦を押してくれ」

 

 僕は別に何もしていないけれど、ツチニンという救世主を導いたのは僕だ。

だから最終的な帰結は、僕にあると思われる。

そんなわけで、あとは任せる。

 ポケモンは聡明だ。意図は容易に分かってくれる。

正直そこらへんの泡沫で末端な人間よりも、有能だ。

 

 

 警察車両が奏でる鐘の音がとまり、救急車の緊急走行音もうるさくなってから治まった。

 きっとガルーラは後ろにいる人々の様子を見たんだろう。

 入らなければ殺されるという感じの危機感を抱くほどに。

ガルーラの表情はかわりないが、視線を横にずらした。

 そして彼女は前に歩み、ボールの釦を押して自ら捕獲されにいった。

 

 僕はゆっくりとボールに近づいて、手に取る。

 

「ありがとう、ガルーラ」

 

 よっしゃ! ガルーラゲットだぜ!

でも展開はよくないんだよなぁ。

僕は後ろを振り返らずに、前に進みツチニンと一緒にその場から抜け出そうとした。

 

「待て」

「なんでしょうか」

 

 自転車を取り出したところで、低いトーンの男性の声が耳に入る。

 

「君はポケモントレーナーか?」

「それがなにか」

「国内ではポケモントレーナーは6人と聞いている。それぞれ県内で、ポケモンショックへの対応をしていると聞いている」

 

 そりゃそうだろうね?

 たった6人に、一億二千万人の期待がのっかってんだ。

最初の起点として、故郷を重点的にやるだろう。

わからなくもないさ。

 

 でもさ、それが如何に自分たちじゃ収拾付けられないからって、銃口を向けて降伏を勧めてくるなんて、正気の沙汰じゃない。

 

「巡査長!?」

「黙れ。今はこれしかないんだ」

 

「私の人権を無視するのが、警察の役目なんですかね?」

 

「国家存亡の危機に、たかが人間一人の命を天秤にかける前提なんぞない」

 

「交渉は不可能ですかね?」

「不可能だ。即刻、上申する」

 

 香川県なんだけど、四国はJRのおかげで一応環状線として機能しているから、

四国の要石にするだろう。

ははは、笑えない。

 

 せっかくガルーラを育てられると思ったのにな。

 

 僕は愛媛県警察本部に、任意同行(強制)となった。

 

 でも僕はあきらめないよ。

ガルーラと仲良くなって、メガシンカしてやる。

 

絶対にだ!




ポケモンに罪はない。なぜなら、法の適用外だからだ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。