Modern Pokemon   作:名無しの権左衛門

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4:僕のポケモン

 

 どんなポケモンかわからないから、庭先でやってみようと思う。

庭の真ん中に、きのみの湧き水を置いている。

 一応ほのおタイプのために、ある程度距離を置いて縁側で出そう。

 

「出てくるんだ!」

 

 モンスターボールを真上に放り投げ、運動エネルギーが位置エネルギーに変わるところでボールが開き中から光を出す。

その光は僕の目の前まで伸びていき、縁側の床の上で半球状になる。

 役目を終えたボールは一つになって、僕の手の上に戻ってくる。

 

 半球状の光は、徐々にその形を整えていく。

 特徴的な音を発しながら、その体躯を小さなものに変えていく。

 

「ニン!」

 

「ツチニンか! 僕は、佐藤芳樹。よろしくな!」

 

「ニン!」

 

 

 えーと、ハイパーボールがあるから、ヌケニンご招待の準備はできているな。

よかった。

 

 僕はツチニンの前足の片方ずつを握るように片手ずつで持つ。

そして上下に揺らして、自分でも自覚できる興奮と高揚のなか自己紹介して終わる。

 

 

 能力を見てみると、レベル1で初期値としては高い気がする。

多分6V になったんだろうなぁ。

 

技は、ひっかく・かたくなる・にほんばれ・ソーラービーム・こらえる・れんぞくぎり。

特性は、複眼。

 

 大きさは50センチぐらい。でも、そんなに大きくないぞ?

 

「よーし、修行に行こうか」

「ニン?」

 

 僕はニュースとかに関心を持たず、すぐにうっそうとした近くの森に向かうことにした。やっぱり、暗がりが好きなツチニンにとって、炎天下に近い昼間の中で戦闘するのは煉獄のようだ。

 

いや、戦闘はしていないんだけど、日向にいこうとしない。

大きく渋ってる。

 無理やり行かせようとは思っていないけれど、こうもなると早く20にしたいよね。

 でもレベルキャップでいうと、総計は60万だが最初期に必要な経験値は高かったはず。

 

 まあいっか。

楽しくできれば。

 

 僕はツチニンをボールにしまって、駐車場においてある通学に使っている自転車に乗る。そしてそのまま近くの森に漕ぎだした。

 行く途中人の姿は見えないけれど、ところかしこに確認できる鳥系ポケモンたち。

ほかにもゲームの序盤で見つけられるノーマル・虫タイプのポケモンが、

そこら中に跳梁跋扈している。

 

 本来ならば興奮できるんだけれども、残念ながらここは現実世界。

 アナフィラキシーショックを受けてしまうような奴が出てもおかしくない。

もしもそんな人が出てしまえば、ポケモン毒を解毒できる薬や技が必要になるのかもしれない。

 

 あんまり考えたくもないけれど、きっと世界中の株価は急落し大恐慌になるかもしれない。

もしもそんなことが起こってしまえば、世界中はポケモンと融和できなくなってしまう。

そうなってしまえば、僕らポケモンを持つものは異端とみなされるか新たな兵器開発への道筋にされそうだ。

 でもそううだぐだ言っているけれど、個人でどうにかできるもんじゃない。

 だから今できるのは、今持っているポケモンをなるべく強くしてほかの事態に対処できるようにすることだ。

今現在ポケモンにも人にも対処できるのは、ポケモントレーナーだけだから。

 

「うわあ!!」

「あ、あっちいけよ、しっしっ!」

 

 男の子の声が閑静な住宅街に響く。

すぐに僕は進路を変えてそちらへ全力で漕ぎ出した。

もしもここで何か起こってしまえば、もう一人の子に責任が行ってしまう。

 本来ならば、僕が行く必要はない。

 でも混乱している中で、無意味に人を増やしてしまえば……。

 

 最悪の事態しか思いつかない。

 

 僕は叫び続けている少年たちのところへ行く。

 

 そして見つけた。

そこにいたのは大きなケムッソ。

どうあがいても要注意生物だ!

 

「ち、近寄るな!」

 

 おびえている少年と勇敢な少年が釣り竿を持っている。

 かえってケムッソは、そんな彼らに怒り心頭なようでにらみつけながらにじり寄っている。そして二つの毒針がある後部を持ち上げ、威嚇状態に移行していった。

 

「まずいっ! いけっ、ツチニン!」

 

「ニンッ!」

 

 ボールから延びる白い光線が、少年とケムッソの間に割れこむように向かう。

そして少年を守るようにツチニンが、その白い半球状の光の中から出現する。

 

「な、なんだこいつ!?」

「ま、待った待った!君たち、家に帰ったほうがいい!ここは引き受けるよ!」

「あん!?」

「あ、あの人に任せて帰ろうよ……!」

「え、あ、ちょ」

 

 急に出現したツチニンに驚いたのか、敵愾心をみせつける。

それに僕は自転車で急いで追いつき、急ブレーキして後輪をドリフトさせて急停止し少年たちに話しかけた。ガンをつけられたけど、勇敢な少年の後ろにいた少年が気弱で慎重なおかげで強引に連れて行ってくれた。

ナイス根性!

 

「ケム!」

「ニン!」

 

 っと、安心してる場合じゃないな。

 少年たちの逃げる背中を見送っていたら、ケムッソが”無視すんじゃねぇぞ、ゴルァ!”ってな感じで吠えた。

それにツチニンも吠える。

僕はすぐにケムッソの方へ向きかえって、初めての戦闘をする。

 

 僕はすぐにツチニンを拾って、後部に乗せる。

 

「ニンッ!?」

「ケムッ!?ケムケムッ!」

 

 いきなりのことに驚愕とともに怒るケムッソ。

ツチニンも驚いているけれど、戦術的撤退をしているだけだから大丈夫。

しっかりと攻勢に移るさ。

 

 なんておもっていたけれど……。

 

「ニン!」

「え、ええっ!?ツチニン、連続切りで糸を切るんだ!」

「ニンッ!」

 

 ツチニンの爪が光って、逃げる僕らをとらえようと発してきたケムッソの糸を切り裂いていく。

 糸が尽きるのと同時に、切り刻む音も聞こえなくなる。

 

「ツチニン、日本晴れ!」

「ニンニン!」

 

 日差しが強くなって、初夏の11時頃は真夏ぐらいの厳しい昼になった。

僕は腕で額の汗をぬぐって、すぐに反転。

ツチニンを前かごに乗せる。

 

「ケムゥッ!」

 

 その時だった、後部の光る二本の毒針をもたげて、紫色の細切れな光線を複数放ってきた。

 どう見ても毒針なので、僕はツチニンに迎撃に出てもらう。

 

「ツチニン、ソーラービーム!」

 

 日差しが強いおかげで、すぐに最大出力で放たれる。

大してケムッソは射撃体勢なので、回避に移れない。

少々動いても、トレーナースキルと特性のおかげで、奴は逃げられない。

 

 毒針をソーラービームで弾き飛ばして無効にしつつ、僕は立ちこぎで近づく。

 

 

 そしてケムッソの脇を通り過ぎるその直前。

 

「ツチニン、降下してれんぞくぎりだ!」

「ニィン!!」

 

 前かごから飛び降りたツチニンは、ケムッソの脇を通り抜ける僕を乗り捨ててソーラービームの直撃にひるむケムッソを連続で切り裂いた。

 

「ケムゥ!!」

 

 そしてケムッソは、その場から逃げ出した。

 

「ニンニン!」

「状況終了かな?」

 

 勝利を示すかのようにツチニンは、二つの爪を頭上に挙げた。

威嚇なのか挑発なのかよくわからないけれど、終わったことだしいいか。

 

「ってか、日本晴れなのにツチニンは平気なんだな」

「ニンッ!?ニン~」

 

 戦闘が終わると日差しが弱くなったが、ツチニンはアイスのように溶けて弱る。

 

「お前さんの強さはよくわからんよ」

「ニン~」

 

 ボールに戻して、近くの森に行くことにした。

 




そういえば、相互確証破壊は、ポケモンにも通用するのだろうか。
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