落ちこぼれ魔法使い少女が目指すのは魔女〜魔法はみんなを笑顔にさせる〜 作:光三
現在、10時15分。これから、特別授業2限目が始まる。マリア先生が授業の始まりを告げる号令をかける。
「起立、礼」
『お願いします』
「着席」
全員が席に座っていることを確認して、アクロスは言った。
「アーリア、マリア先生、スー、マリル、リナ、ユリアン聞いてくれ」
「アリスさんのことについて何かわかったのですか?それとも……」
「両方だ」
「……………」
「これって、あの機械音声のこと〜」
「ああ、そうだ」
「リルちゃん、聞きたいことある〜」
「はい、何でしょう?スーちゃん」
「あの時の機械音声って結局何〜?」
「異世界ネットワークとか言う奴に付属してる音声何じゃないのか?」
アクロスが疑問に思っていることのひとつがスーによりクラスメイトと先生に共有される。
「アクリルさん。禁書には、一般人には知られてはいけない知識が記されているのですよね?」
「そうですよ。アーリアさん」
「その基準は、一体どのように決められているのですか?」
「あ……そういえば、そうだね」
「成る程な。大方、それを決める組織みたいなものがあるんじゃないか?」
「よくわかりましたね。アクロスくん。そう、元々禁書とは只の本のひとつに過ぎないのですよ」
「リルちゃん、ひとつ聞いていい?」
「いいですよ」
「何で、リルちゃんのお城にある図書館が禁書庫なの?」
「ん?どういうことだ?アリス」
「ああ!マリルわかっちゃったかも!」
「そうなんだ。なんなんだろう?ん〜??わかんないや!」
リナがわからないと言うと、今度は、ユリアンが言った。
「私もわかったかもしんね〜」
「アリスは、わかるか?」
「もう少ししたら、わかりそう」
「………………あ!そういうことか!?それはそれで新たな謎が増えるが、これが一番ありえそうだな」
「あ!リルちゃん。わかったよ」
「そうですか」
「リルちゃんの家、グランセリア王家はその組織の一員なんだよね?」
「よくわかりましたね。アリスちゃん」
「どうやら、合っていたようですね」
「けどよ〜何で、禁書庫に一般人招いて禁書以外の本を読む図書館にしちまったんだ〜?」
「それは、
「えぇ!?つまり、それは……」
「な!?何言ってるんだ!?アクリル」
「なんかよくわからないけど、リルちゃんがヤバイことしてることはわかった〜」
「な、何でそんなことしたの!?リルちゃん」
すると今までずっと黙っていた先生が言った。
「もしかして、それは現王の意思ですか?」
「そうです」
「もしかして、グランセリア王家そのものがあの組織を?」
「はい。今のあの組織は、何者かの傀儡に成り下がっています。確かに禁書には、一般人が知らない方が良い知識もあります。しかし、やり方が許せないです!」
「強制的な回収に、禁書指定の厳しさ、従わない者への一家全員死刑、禁書に残る可能性のある研究の強制停止などですね?」
「そうです。だからこそ私たちグランセリア王家は、あの組織に楯突くことを選んだのです」
「一体、何様のつもりなのでしょうか?その組織の連中は」
「まあ、頭のイカれまくった哀れな連中ってことだろ」
「明らかに、禁書に指定されるはずがない本も回収されてそうだ」
「もしかして〜研究もそうなんじゃね」
「マリル気になることがあるんだけど……もしかして、その組織何かの情報?真実?みたいなものを隠蔽しようとしてない?」
「マリル、それはどういうことだ?」
アクロスのこの質問は、アクロス自身がマリルの言おうとしていることを半ばわかった上での質問である。
「マリルね、ずっとモヤモヤしてるんだよ。アーリアちゃん達も一緒じゃない?」
「そうね、その感覚はわかるわ。そして、その感覚はあの機械音声を聞いた時からずっとあるわ」
「ああ、たしかにモヤモヤしやがる!」
「ん〜??そういえば、そうかも〜」
「だからマリルはね、いっぱい考えたんだ!いっぱいいっぱい考えたらね、なんだか訳がわからない結論が出ちゃった!てへっ」
「てへっ、じゃねーよ!さっさと結論いえ!」
「わかったよ。ユリアンちゃん。マリルはね、機械音声とリルちゃんが言ってたことをいっぱい考えてこんな結論を出したの!この世界は、何者かによって操られてるんじゃないか?って!」
「はあ?何寝ぼけたこと言ってやがるんだ〜!?」
「いえ、ユリアンさん。マリルさんの言うことは、一見突飛な意見だけど一考の余地はあると思うわ」
「ああ?どういうことだ〜?」
「それぞれの魔女の渾名は、わかるわよね?」
「《勇気の魔女》、《恋愛の魔女》、《遊戯の魔女》、《魅惑の魔女》、《勉学の魔女》、《努力の魔女》の6人だろ〜」
「そうよ。そして、ひとつ質問なんだけど……ユリアンさんは、アクリルさんから話を聞く前と後で何か変わったことはなかったですか?」
「ああ?そんなもんある訳ねぇじゃね〜か!アクリルの話は————は?なんじゃこりゃ!頭の中に2つの記憶?がありやがる!」
「ユリアンさん、アクリルさんから話を聞く前までは魔女は何人いましたか?」
「3人だ!《努力の魔女》、《魅惑の魔女》、《遊戯の魔女》の3人だけだ!畜生!誰が私の頭の中弄りやがった!くそがっ!」
「アクリルさんの話では、魔女、異世界、異界、神界等の情報は、どれも禁書指定の本の情報ではないということでした。そして、機械音声の言っていたことですが、《?????》という人物とその組織は繋がっているのではないでしょうか。これが、マリルさんが言いたかったことですよね?」
「うん!そうだよ。マリルね、《?????》ていう人がその組織と協力して世界の在り方を変えてしまったんじゃないかって思ったの!流石にこれ以上は、わからないや」
「そうか」
「そういえば、スーさん機械音声のことを聞いていましたよね?」
「リルちゃん。あの機械音声について何か知ってる〜?」
「はい。禁書指定の知識なのでみんなに聞かせるのをためらったのですが、もういいです。教えましょうあの機械音声について」
「やった〜」
「ふふ、それでは話します。まずはみなさんこの世界は、どのように出来たと思いますか?」
「神界の人達が創った〜」
「はい。正解です。ですが、少し違います。この世界は、アムネシアという神族1柱で創造されました」
「成る程な、その神族が死んだらこの世界はどうなるんだ?」
「この世界を創造した神が死ねば、
「文字通りか?」
「そうです。文字通り、消えます。人族、亜人族は」
「あれ?リルちゃん。魔女族は?」
「魔女族は、本来、下界には居ないの」
「あっ!もしかして!魔女界って、魔女が住んでる世界?」
「そうよ。でも、そんな魔女達でも世界の消滅には抗うことは出来ない。そもそも、魔女達は余程のことが無い限り下界には来ない。魔女界から下界の様子を眺められるから」
「まじか!神族みたいだな」
「ええ、そうね。そもそも魔女族と神族の違いって、システムかシステムじゃないか、世界を創造できるか、出来ないかの違いしかないです」
「ちょっとまて、今システムって言ったか?もしかしてアレは……」
「違いますよ。アクロスさん、アリスちゃんも」
「そうなのか?」
「そうなの?」
「ん〜?一体何の話〜?」
「急にどうしやがった?」
「何か知ってるのですか?」
「ああ、知ってる。でも先に話を聞いてしまおうか」
「そうですね」
「では、話を続けますね。神族が死んだらこの世界は消えると言いましたが、ひとつだけそうならない為の方法があります。それは、他の神族に世界管理権限を全て移譲するというものです」
「なぁ、何で神族が死んだらこの世界は消えるんだ?」
「どういうこと?アクロス」
「確かに管理者がいなくなれば、滅びに向かうことは理解出来る。でも、アクリルの言い方だと神族が死んだ瞬間に世界が消えてしまうって聞こえるぞ?」
「そういえば、そうだね」
「そもそも、世界世界と言いますが、世界とは何だと思いますか?」
「世界とは何か?ですか?」
「ああ?わっかんね〜………ああ?もしかして、そういうことじゃね〜よな?」
「何かわかったのか?ユリアン」
「確証はね〜けどな、神族はシステムなんだろ。教科書に書いてある内容だからわかるだろうけど、システムでプログラミングされた計算式とかそういうもんは、その元のシステムが消えれば、消えちまうってよ。んで、神族というシステムが消えればその神族が創造、プログラミングした世界は消えちまうってことにならね〜か?」
「成る程な」
「大体正解ですね。因みにその創造作業を『概念創造』といいます。そして、こうして出来た世界は『概念世界』といいます」
「今までの話をまとめると、神族が創造した概念世界はその元になる神族が死ぬと消えるってことだな」
「はい、そうです」
「ん〜??……………アレ?……んん〜??」
「突然唸りだすなよ!?何なんだ、何か引っかかることがあるんじゃね〜のか?マリル」
「マリルね、疑問に思うことがあるんだ!神族ってううん、それよりももっともっと前?そもそも、世界を作る空間をどこの神族?んん?神族よりも、上?そんなのがいるのかわからないけど、創造したの?」
「へ?ちょっとわからなかったな。どういうことだ?」
「う〜説明難しい!」
「ゴメンマリルちゃん。私もよくわからないや」
「(やはり、賢い人達が揃っていますね……マリルさんの疑問はもしかして……)」
「マリルさん。それは、もしかして世界を創造するシステムを作り出し、魔女と人族、その他の種族の概念を生み出した者のことを知りたいのですか?」
「ううん、違うの!マリル、この話も気になるけどそういうことじゃないの!」
「それでは、こちらの方がマリルさんが言いたかったことですか。おそらくマリルさんは、神族が世界を創造する為の『空間』は一体どこの誰が創造したの?ということが言いたかったのでしょう」
「そう、それが言いたかったの!」
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