落ちこぼれ魔法使い少女が目指すのは魔女〜魔法はみんなを笑顔にさせる〜   作:光三

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第9話 色々な謎増え解き明かしまた謎増える(後編)

「マリルさん、みなさんも………ここからの話は、禁書でも御伽話や伝承などといった、曖昧で実際あったことなのかわからない話になりますがそれでも聞きますか?」

 

「ああ、頼む。聞かせてくれ」

 

「わかりました」

 

「マリルさんが言った人物ですが、その方は、『外なる神』と呼ばれています」

 

「マリル、気になることがあるの。あのね、異世界があるこの『空間の外』があるの?」

 

「ああ、だから『外なる神』なのね」

 

「沢山ある異世界が存在する為には、神族というシステム、『空間』という概念が必要というのはみなさんわかりますね?」

 

「空間が無いところに物質は存在出来ないってことだよね?」

 

「はい。そういうことです。空間を創造し、そして、その神はある人物を創造しました。その者は、イルバールという名前を与えられ、不老の存在となりました」

 

「ちょっとまて!アクリル、それは外なる神が人族を創造したってことか?」

 

「そういうことです。そして、神により名前を与えられた人族は不老の存在となり、更には神族のように概念世界を創造することもできます。つまり、人族でありながら神族でもある存在ということです」

 

「でも、その神は何でそんなことしたの?」

 

「それは、寂しかったからですよ」

 

「寂しかったから、ですか?」

 

「はい。この空間の外には、外なる神しか存在していませんでした。だから、イルバールを創造したのです。そして、そのイルバールは、神界という概念世界を創造しました。イルバールもまた、外なる神しかいないというこの状況に寂しさを募らせていきました。なので、イルバールは、自分以外の7人の人族を創造しました。残念ながら名前までは、禁書に書かれていないのでわかりませんが、イルバールはそれぞれに名前を与え、人族でありながら神族でもある自分と同じ存在を得たのです。それから何万年か後、突如として7人は姿を消してしまいます」

 

「また、一人きりじゃね〜かよ。イルバールってやつ」

 

「そうですね。そして、その更に何万年か後、イルバールは概念世界を創造することを決意しました。イルバールは、神界から自らの手で創造した世界を楽しんで欲しいと思い、観察を続けていきました。始めは、自分が創造した世界を眺めているだけで寂しさが紛れていましたが、所詮はその場しのぎの行動だった為、寂しさと同時に虚しさがイルバールの『心』を蝕んでいきました。しかし何億年か後、神界で様々な世界を見るだけの概念上の存在になりかけていたイルバールは、ふとある人族の存在に気付きました。その人族の名前は、『垣畑 楓』というらしいです。イルバールは、一人で寂しそうに見えた楓さんを神界に呼ぶことを決意しました」

 

「神界に、人族が入れたんだな」

 

「普通は、入ることは出来ません。神族に許可を得た人族でなければならないのです」

 

「成る程」

 

「そして、神界に入った楓さんは神界という概念、異世界という概念世界が存在するということを知り、大いに驚きましたが直ぐに適応し、イルバールと友達になりました。楓さんは、地球という天体がある概念世界の住人の為、戦う力がありません。そのためイルバールは、『加護』を与えました。その行為により、楓さんは不老の存在となりました」

 

「それって、人族であり神族でもある存在になったということですか?」

 

「いえ、一部のイルバールの力を使うことができる人族になりました」

 

「ああ、どうちげ〜んだ?」

 

「まず、楓さんは概念世界を創造することが出来ません」

 

「そうなんだ」

 

「そもそも、人族を神族にする為には神族が人族に名前を与えるしか方法がありません」

 

「成る程な。楓さんに与えられたのは『加護』であり、『名前』ではない。だから、神族の力を一部使用出来る人族ってことか?」

 

「そうです。そして、神族の力を一部使用出来る人族のことを『神の使徒』といいます」

 

「マリル気になることある〜」

 

「神族同士、神族と他種族って子供産めるの〜?」

 

「へ?」

 

「何で、そんなこと聞くんだ?」

 

「あ〜なるほどな。マリルは多分、イルバールは神族と結婚して子を産んだのか、それとも、人と結婚して子を産んだのかってことを聞きたかったんじゃね〜か」

 

「その頃神界には、イルバール以外の神族はいないはずだから人族との子を産んだのね」

 

「ところで、外なる神が世界を創造する為の空間を創造したということでいいんだよな?」

 

「はい、そういうことです」

 

「イルバールが創造した概念世界の名前を仮にイルバールとしようか。マリルの疑問については話を聞いて成る程と感じた」

 

「それは、何故ですか?」

 

「今のままだと神界という概念とイルバールと地球という天体がある概念世界しかないことになる。本当にそれだけしか概念世界はないのか?イルバールは、寂しさと虚しさで心が蝕まれてそのままだと人としての部分がなくなって本当にただ概念世界を管理するだけのシステムに成り下がってしまうはずだ。だが、アクリルの言い方だとその一歩手前のところで踏みとどまっていたとも取れる。何故そんなことが可能だったのかそれは、わからないが推測いやもはや妄想と言った方がいいかな?俺は、こう考えた。イルバールと地球という天体がある概念世界しか無いはずなのに突然概念世界が創造されたらアクリルだったらどうする?」

 

「とりあえず、観察します……成る程、そういうことですか」

 

「その謎の神族仮にAとしておこう。Aが創造した概念世界を観察することにしたイルバールは、とりあえず心の崩壊を免れ、何億年か後『垣畑 楓』という人族と出会い友人となったことで心は救われた。神族は心を持ったシステムであることを考えると、心をなくすというのは、神族にとっての『死』と同義なのかと思った。だが、ここで矛盾が生じる。Aは、一体いつからいた?つまり、Aは神族同士か神族と他種族の子であるという仮説を立てた」

 

「その神族って…………まさか!」

 

「イルバールが創造した7人の人族の中の一人が人族と結婚し、生まれた子こそAだと思う」

 

「成る程、アクロス君の言いたいことはわかりました。だいぶ粗が目立つ話でしたが、面白いと思いました。そして、ここからが本題です。外なる神が人族という概念を創り出し神族という概念を創り出しました。イルバールが神界という概念世界を創造し、神族の世界を創り出しました。外なる神によって創り出されたイルバールは7人の人族を創り出し、それぞれに名前を与え、神族になりました。7人は概念世界を創造し、しかし、姿を消してしまいます。マリルさん、質問です。イルバールが創造した7人はどのような性格をしてるとおもいますか?」

 

「ん〜、わからない。けど、それぞれ違った『個性』があって、でも根本のところでは『同じ』みたいな感じにマリルは思うかな」

 

「はい、その通りです。8人が創造した概念世界は根本のところでは『同じ』でした。そして、8人が創造した世界と似た世界が創造されることもありました。しかし、8人が創造した世界とは真逆の命が軽く扱われる世界も創造されます。これを見ていた『外なる神』は『カテゴリー分け』をすることに決めました。8人が創造した『命というものを重く見る世界』と『命が軽く扱われる世界』というふうに分けました。外なる神が決めたカテゴリー分けによって両者は互いに干渉出来なくなりました。世界の『軸』が定まった状態です。因みに前者を『α世界軸』、後者を『β世界軸』と名付けたようです」

 

「マリル、気になることがある。命を重く見る?命を軽く見る?どういうこと?」

 

「本当に聞きたいですか?マリルさん、みなさんも」

 

「ああ、聞かせてくれるか」

 

「先生も聞きたい………かな」

 

「うん。聞きたいよ」

 

「あ〜、とりあえずききてぇ」

 

「マリル、気になるから聞く」

 

「わかりました。覚悟はしてくださいね?」

 

『???』

 

「命を重く見る世界というのは、この世界アムヌネジアを考えてみるとわかりやすいと思います」

 

「つ〜か、わたしら、この世界のことしかしらね〜」

 

「確かに」

 

「…………」

 

「…………」

 

「??」

 

「そうだね」

 

「さて、聞かせてくれ」

 

「はい、この世界であなた方が盗賊にあった時どうしますか?」

 

「ああ?捕縛するに決まってるじゃね〜か」

 

「捕縛する〜」

 

「はい、捕縛します」

 

「うん、わたしの場合捕縛出来る自信無いけど………」

 

「アリス……まあ、捕縛するが」

 

「何故ですか?盗賊は、あなた方の命を奪おうとしています。あなた方に殺されたとしても文句は言えないと思いますが?」

 

「?なんで向こうが命を奪おうとしたらこっちが命を奪わなきゃならないの?マリルわからない」

 

「人は、殺してはいけないですよね?」

 

「リルちゃん、人は殺しちゃいけないよ?」

 

「(そういう話か………思った以上にきついなぁ)」

 

「??」

 

「あー、わかっちまった〜。…………胸糞悪りぃ、クソが!」

 

「そういうことか、だとしたらユリアンの言う通り胸糞悪いな」

 

「はい、私もそう思いますよ。いかに自衛の為とはいえ(・・・・・・・・)人を殺すというのは(・・・・・・・・・)死罪にあたります(・・・・・・・・)

 

「そうだな。でも命が軽く扱われる世界っていうのは、自衛の為に人を殺すことが出来てしまうってことか?」

 

「はい、むしろ、『抑止力』として盗賊殺しを推奨している世界もあります。残念なことですが………」

 

『………………』

 

「外なる神も両者の世界軸は、決して相入れることは無いと考えたからカテゴリー分けを行ったのだと思います。余りに違いすぎる『価値観』は軋轢の種になりますから」

 

「そう考えると、外なる神というのはそれぞれの世界軸を守ったということね」

 

「そうなります。イルバールもまた神界に対しカテゴリー分けを行いました」

 

「なるほどな。あくまで外なる神が行ったカテゴリー分けは、数多ある世界の空間だけに作用した。だから神界もカテゴリー分けを、しないといけないということか?」

 

「はい、そういうことです。禁書によるとイルバールは、カテゴリー分けをしたその何万年か後『垣畑 楓』さんと出会い友人となりました」

 

「成る程な」

 

「また少し時間を遡りますが、外なる神は空間を『魔素』で満たしました。いずれ創造されるであろう概念世界に『魔法』という『抑止力』を概念化させる為に。しかし、デメリットも存在しました。動植物が魔素を吸収すると『魔物化』してしまったのです。幸いにして、人族には余り影響はありませんでした。しかし、人族の中には種族が『変化』してしまう者が現れたのです。その結果、他種族という概念が創造されました」

 

「ところでスーさんの疑問である機械音声のことだけど、それも外なる神が創造した概念?」

 

「いえ、イルバールと『7人の使徒』が創造しました。と言っても『神の使徒』は概念創造出来ませんから7人の使徒が提案し、イルバールがその提案を受け入れたということでしょう」

 

「リルちゃんありがとう。教えてくれて〜」

 

「いえいえ」

 

 ここまでで、2限の特別授業は終わりを迎えた。




今回の話で私が投稿している小説が『不殺』の世界観であるということがわかったと思います。
もしこの考え方が理解出来ない場合は、私の投稿する小説は見ないほうが得策だと思います。
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