落ちこぼれ魔法使い少女が目指すのは魔女〜魔法はみんなを笑顔にさせる〜 作:光三
『魔女』とはなんなのだろうか?ふと、疑問に思ったある1人の人物がいた。遥か昔の人物で『異世界』からやってきた来訪者だった。その人物は、男である。1人の女の魔法使いと話をしている。
「ねぇ、———あなたは、これからどうするの?」
「これからもずっとお前のそばに居たい。だが………」
「えぇ、残念だけどそれはもう無理ね」
彼女は、『不老』の存在となってしまった。何故なら、『魔法』を極め過ぎてしまったからだ。今も、全身から大量の『魔力』を放出している。決して暴走状態というわけではない。これで通常状態なのだ。しかしながら、只人には影響が大きい。彼女に近づく人間はことごとく気絶や嘔吐し、次第に『魔女』と恐れられるようになっていった。
「授業は、ここまでです」
「起立、礼。ありがとうございました」
『ありがとうございました』
アクレ魔法使い養成学園は、アクリル・イル・グランセリアという人物が入ってきたことにより、大きな一歩を踏み出すことになった。
「アクリルさん、少しいいですか?」
アーリアは、気になっていたことを聞いた。
「アクリルさん、あなたは先生たちの隠し事について何か知っていることはありますか?」
「やはり、アーリアも知ってたんですね?」
「いえ、知っていたというより疑問なんですよね。そもそもどうして、あの先生がたはこんな辺境の何も無いようなところに魔法使い養成学園をつくったのかなと」
「ああ、疑問からですか?成る程、つまりアーリアはこう思っているわけですか?」
「………」
「この学園も先生も私たちすらもアリスの為に存在していると………」
「………そうです」
「不安ですか?」
「はい………なんだかアリスがアリスじゃなくなる気がして……」
「α世界軸とβ世界軸の話ですか?」
「ええ、この世界でさえ人を殺すような人がいるのに『異世界』に行かなきゃ憧れの存在にすらなれないなんて!αだからって全員が全員そんな気持ちじゃないのはわかってるわかってるけど!!」
「アーリアさん、よく聞いて下さい。あなたは『魔女』になりたいですか?ちなみに私はなりたいです。なって、『魔女』のことをもっと知りたいんです」
「アクリルさん………でも、不安なんです。私だって、ひっぐ……私だってなりたいですよ『魔女』に!!でも、でもぉ!」
〈申し訳ありませんアーリア様、『魔女』に関する情報があなたに不安を植え付けるとは思いもよらず………〉
「ううん、気にしないでください」
「アーリアさん………あなたはなんの為に『魔女』になろうとしているのですか?もし、アリスの為にというのであれば、今すぐに『魔女』を目指すのをやめなさい迷惑ですから。みんなにも、アリスにも。『覚悟』を見せてください。そして、あなたが『魔女』にどうしてもなりたいその根源たる『理由』を見つけてください!」
「………」
結局すぐには答えが出せなかったアーリアは、逃げるように話を打ち切り1人で帰っていった。
今の話を少し離れた場所で、聞いていた2人の人物がいた。
「アグネス、あの子たちを頼んだわよ」
「わかった。とりあえず、魔物を討伐させるとしますか。冒険科と魔女科合同で!」
「ふふ、それにしてもあの子たちも青春してるわね〜。凄く昔のことを思い出しちゃった」
「『魔女』になりたい『理由』に『覚悟』か…………流石王族って感じだなへへ」
「ふふ、自己満足とも言い換えることが出来るわね。自己を満足させない限り他人を助けることは出来ないし、善を謳うだけでは悪よ。真に善たり得るのは、お人好しや偽善者と称される者たちだけ。道化とも言えるわね。『異世界』ではこんな言葉もあるそうよ。『やらない善よりやる偽善』てね」
「『やらない善よりやる偽善』かぁ、はは、いい言葉だな」
「それじゃ頼んだわよ」
「了解」
アーリアは、昔のことを思い出していた。
「シクラ、来てください。『魔法』って詠唱で発動するものですよね」
「じゃあ、どうしてここに書かれている『魔導書』には詠唱文がのってないの?」
「書き損じ?それにしては、随分と具体的にどういう『魔法』か書かれているわね」
「
「ふふ、それじゃあここまでにして晩御飯にしよっか」
「うん、アーリア姉」
そう、アーリアとシクラは姉と兄の関係だった。父親のアグニは、冒険者で、母親のシールは魔法使いだった。彼女の頭脳明晰さや若くして『詠唱魔法』で、上級の魔法を打てる才能は血筋の影響だった。無論、彼女の努力の賜物でもあるだろう。しかし、魔法使いにとって血筋というものは重要な要素になり得る。
「シクラ兄………私どうしたらいいのかなぁ。もう、わからないよお父さんお母さん」
アーリアは、再び過去を思いかえす。
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