「で、ダイルはどこに居るんだろうね。」
「うーむ分からんぞ、そもそも業魔はそんな犬みたいにお互いの場所が分かったら苦労はせん。」
「そうだよね。」
洞窟に入ったのは、良いのだが肝心の場所が分からないので本当になんとなくだが同じ業魔のロクロウなら分かるかもしれないと思い聞いてみたのだがやはり分からないらしい。
「何無駄話をしてるの?そんな暇があったらダイルを探す事に集中しなさい!」
「うん分かったよ。」
(そうだった対魔士もダイルを探してるもし先に討伐されたらこっちの目的が果たせなくなっちゃう忘れるところだった。)
「ありがとうねベルベット。」
「な、何で礼を言うのよ?私は別に何もしてないんだけど…」
(あっ、しまったつい思った事を口に出してしまった。「いや何でもないよベルベット。」
「……?まあそんな事はもう良いわ取り敢えずダイルを探して捕まえに行くわよ。」
「うん!」
そうして少し進むと甲殻類?に似た業魔が現れ鋏のような腕で切り掛かってきた。
(!?これは避けられない!?)
不意を突かれた私は避けられない事を悟りガンブレードを出そうとするも間に合わず、
(直撃するッッ!!)
ガギィン
私の目の前で鈍い音がして反射的に目を閉じてしまった私が目を開けるとそこにはロクロウが二つの小太刀で受け止めていた。
「ラナ!大丈夫か?」
「大丈夫!ありがとねロクロウ。」
「応!気にするな…それに俺も早く戦いたくて仕方なかったんだ…ベルベットッ!コイツは俺が貰うけど良いよな!」
「好きにすれば……」
「応!なら好きにさせて貰う…ラナ!お前も手を出すなよ。」
「うん。」
私達が了承したのを聞くとロクロウは嬉しそうな笑みを浮かべて、業魔に斬りかかった。
「グギャォォ」
「好きにさせんッッ捉えられまいッッ!」
(戦ってるロクロウって初めて見たけどなんか生き生きとしてるな…)
本来のロクロウはこんな感じの業魔なんだと考えていると尻尾の部分を引き千切られ業魔が息絶えていた。
「なんか業魔を倒すのが早いねロクロウ。」
「…そうでもしないとアイツに勝てないからな。」
(アイツ?)「ねぇロクロウアイツてd「二人とも静かに!対魔士が来たッ!隠れるわよ!」
ロクロウが言っていた人?について聞こうと思ったのだがベルベットに複数の対魔士が来た事を聞くと直ぐに隠れて様子を伺った。
「この洞窟に業魔はいる!対魔士の誇りにかけて討伐せよ!」
「「了解」」
〔見たところ5人ぐらいだなで、どうするんだベルベット?〕
〔その為の囮よ…アンタ囮になって奴らを引き付けなさい!倒しても構わないわというより寧ろ倒して来なさい!〕
そうコッチを向きベルベットは私に囮になるように言った。
(なんかもう言っても行かされるんだろうな……)
そう思った私は諦めベルベット達に先で合流する事を言うと彼らの前に出た。
「ん!?なんだ貴様は、一般人か?この洞窟は危険だ早く離れなさい!」
「貴方達には悪いけど先には進ませない!」
「仕方がない実力行使する!」
ガンブレードをパンドラから出し、剣先を向けながら言うと私に向かって、5人が一斉に襲ってきた。
「当たらないよッと」
ドドドドッッ
「「ギャァ」」
向かってきた5人の内3人にガンブレードを3回引き3発を発射し対魔士に銃弾を撃ち当てた。
「馬鹿な特攻隊がこんなにもアッサリとやられるとは……貴様対魔士にこんな事をして許されると思っているのか!?」
「先に仕掛けてきたのは貴方達の方でしょ?私はただ正当防衛をしただけなんだけど…」
「黙れッッ!」
ガギィンッッ
「ッッ!?危ないなもう人が話してるのに斬りかかるなんて…まして女の子を斬るのはダメじゃないかな?」
「黙れ!黙れ!黙れッッ!」
ガギィン ガッキ ガギィンッッ
(もうダメだこの人達話聞いてくれない)
そうガンブレードで少し大柄の男の対魔士の剣を受け止めながら話し合いが通じないと悟ると油の臭いが臭ってきた。
(近くに油がある……これは使えるかもしれない。)
油を使った作戦を立てた私は、距離を置いて対魔士達を油がある方へ誘導した。
(もうちょっとで「ッッ!!今だ!くらえっっ竜神楽ッッ!」
「どこ向いて打っている……!?しまっtギャァ熱い熱い熱いィィィ」
「ハァハァ何とか勝てた。」
見事に油に竜神楽を当てて燃やす作戦が上手くいき対魔士は燃えていく。
(それにしても二人とも仲間がやられて逆上していなかったらもし冷静だったら私が負けていた。危険な賭けだったけれども成功して良かった。後は戦いの最中に見つけたこの油に付いている僅かな足跡を辿って、ベルベット達の元に向かおう。)
油に僅かな足跡が残っておりそれを頼りにしてベルベット達の元に向かった。
少し歩くと見覚えのある背中を見つけて声をかける。
「ハァハァベルベットッッ!」
「対魔士は倒してきたんでしょうね。」
「うん!倒したよ。」
「そう……行くわよ。」
ベルベット達と合流しまた3人で足を揃えてダイルの元へ向かった。
「ロクロウ、アンタの剣捌きはさすがね。」
「いや、まだまだだ。この程度じゃー」
先に進みながら話すベルベットに、剣捌きを褒められたロクロウは、自分の拳を見て自分の腕がまだまだだと謙遜しつつ言った。
(そんな事はないと思うんだけどな…)
それを聞いた私はそんな事を思った。
「アンタってどんな業魔なの?」
「夜叉だよ。戦いの鬼神だ。」
そう聞くとロクロウは何時もとは違った鋭い目で答えた。
「戦いの鬼神……どうりで」
「ベルベットこそ、なんなんだ?随分と変わった業魔みたいだが……」
「喰魔よ」
「喰魔?聞いたこともないがどういう業魔なんだ?」
「敵を喰って力に変える化け物。それ以外は知らない。」
「ふうむ……女で、敵を喰らうというとー
オニババの一種かな。」
「はぁ?」
そうベルベットをロクロウが茶化すとロクロウを本気で睨んだ。それを見たロクロウはそれっぽかったと言ったが私も、
(確かにそれっぽいかな。まあ本人には言えないけども…)
「それよりさベルベットはどこの流派なの?」
それを雰囲気を変えるようにベルベットに剣技について聞いてみた。
「確かに気になるな誰に教わったんだ?」
「我流よ」
「それにしては太刀筋も良いし、基本もきちんとしてる。それなのに蹴り技をいきなり使うのが面白い。」
「だから、我流って言ってるでしょ。」
(そうなのかな…?なんか嘘をついてる感じはするんだよなぁ…まあ今は聞かないでおくかな。)
「アンタこそなんなのその二刀流?;命の太刀;とやらを抜きもしないで」
「抜かないから良いのさ」
「……は?それも、ランゲツ流の教えってヤツ?」
「応、「借りたものは返す」ー全てはその為にある」
「わけわからない……」
(なんだかんだいって私から見たら普通にベルベットも女の子なんだな多分年も私と近いだろうし。)
そんなやり取りをしている二人を見てそんな事を思っていた。
少し進み、ロクロウがベルベットに先程の味がしないことに対する質問した。
「お前、前に味がしないと言ったが匂いはどうなんだ?」
「なんで?」
「味覚ってのは嗅覚とセットみたいなもんだ。鼻をつまんで食うと、味がわからなくなるだろ。」
(確かにロクロウの言うとうりだ。)
「……匂いは、人間だった頃よりも敏感かもね。アンタは違うの?」
「俺も五感は鋭敏になってる。しかし、匂いがするのに味がしない、か。ううむ……お前は、自分の事を喰魔と言ったが、随分と寂しい食生活だな。」
「そう言うアンタは、何食べてるのよ?」
「主に心水だな」
「飲み物じゃない。寂しいのはアンタもでしょ……まあここにいる中でまともな人間なのはこの子だけだわね。」
「確かにラナは人間だものなぁ…どうだ?いっそのことお前も業魔になるって言うのは?」
「い、いや遠慮しとくよ。」
そうこう話して進んでいくと、油の川があり、そこに見慣れた服装の人が沈んでいた。
「対魔士?」
「うっかり落ちたのか?」
そう二人が話していると足を音が聞こえた。
その方を振り向くとトカゲの業魔が唸り声をあげこちらを睨んでいた。
「ウガゥ!!」
「こいつに落とされたか!!」
そうベルベットが言うとトカゲの業魔ことダイルが襲ってきた。
「こいつが例の殺人犯だな!」
「ヘラヴィーザのクソ野郎共が!俺を狩りに来やがったのか!」
「そのようね!ッ紅火刃ッッ!」
「グォァッッ!!」
ダイルとの話が最後まで聞かずベルベットは、火を纏った刺突刃でダイルの言葉ごと身体を切り裂いた。
「喰らい尽くすッッ!!インフェルノブルー!」
怯んだ隙を逃さずにダイルの肩に異形の腕を突っ込んで力を奪うとベルベットは飛び蒼い炎でダイルを焼き尽くした。
「まだ死ねねぇ……ヤツらに復讐するまでは…!」
火が消えて膝をついたダイルがまるで復讐するべき相手かのようにこちらを睨む。
「復讐?」
その言葉が気になったベルベットが聞くとダイルは説明し始めた。
(成る程責任を押し付けられたと言うわけか…確かに冷静に考えると一人では船は仕切れないかな。)
その話を聞いて考えているとベルベットがいきなりダイルの尻尾を斬った。
「ギャァ何するんだ!?」
「尻尾を届けて、アンタは死んだと報告する。そうすれば、対魔士も警戒を解くはず。」
「どうしてだ?」
「こっちの都合よ。ひとつは、船を修理する為で、あたし達が出発した後、騒動を起こして追っ手を足止めしてくれたら好都合。」
「………そういうことならご期待に応えるぜヤツらに一泡吹かせられるしな。」
(確かにベルベットの言うとうり都合が良くなるしそれにダイルを殺さなくて済むからこれで良いかな。)
交渉が終わり私達は、ヘラヴィーザに戻る事にした。
また遅れてしまい申し訳ございません。
次の話は遂にテレサとの対決の予定になっております。
それでは次回でお会いしましょう〜マギンプイ