テイルズオブチェイン   作:シュウ名刀醜血桜

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ベルベットのハト真似を聴いたときに可愛くて悶えてしまったのは私だけではないと思う。


ベルベットに似た少年

(ここがローグレスの近くの港か…)

 

それから何事もなく私達は港に、付き船着き場に船を停船させて、降りた。

 

「いやぁ、新鮮だな!真面に港に着けた。」

 

(…確かに前は酷かったもんね…)

 

「坊や、良かったのー。サメの餌にならずにすんで。」

 

「うん、良かった。」

 

「もう!マギルゥもからかうの止めなよ!」

 

「それよりも良いの?海賊船がこんなに堂々と」

 

そうこうしているとアイゼンが一人の男の人と話し始め、ベルベットがアイゼンに海賊船が堂々と留まっていたら良いのかと聞くと大丈夫だと言うと彼との会話に戻ったのでその言葉を信じる事にした。

 

「北の海はいかがでしたか、アイゼン副長?」

 

「ヘラヴィーサと;海門要塞;が沈んだ。当分、ノースガンド領の流通は大混乱するはずだ。」

 

「それは耳よりな。早速手を打たせていただきます。」

 

「と言うことは船長の手がかりがあったと?」

 

その言葉を聞くとアイゼンは、何時しなく真剣な顔付きで彼に聞いた。

 

「はい。大分前の噂ですが、アイフリード船長は、タイタニア島に送られたとか。」

 

「対魔士が管理する監獄島だな。分かった、行ってみよう。」

 

「何時も通り、我が社の商船として停泊届を出しておきましたが、お気をつけて。ローグレスで盛大な式典があるせいで、ここも人目が多くなっておりますので。」

 

「成る程。情報が;船止め;の見返りって訳だな。」

 

その話を黙って聴いていたロクロウが納得したように言う。するとライフィセットが首を傾げながら一緒にいたマギルゥとベルベットに見返りについて聴こうとしていた―

 

「情報が……見返り?」

 

「最新情報をいち早く教えてやれば、商人は稼げる機会を得られるでしょ。」

 

「……!だから、海賊でもかばってくれる。」

 

「アイゼン達は、あちこちの港にこういうコネをもっているんだろうな。」

 

「聖寮の規律でも、人の;欲;までは縛りきれんという事じゃ。」

 

「……そうなんだ。」

 

それから此方に話し終えて帰ってきたアイゼンに対してベルベットが自分達は監獄島に居たがアイフリードはそこに居ずメルキオルというお爺さんの対魔士が連れ出した事を告げるとアイフリードについてアイゼンがどういう人物なのか話を始めた―

 

「……海賊バン・アイフリードは、俺達の船長だ。アイツの失踪には、聖寮の上層部が絡んでるようだな。」

 

 

「その本部とやらは王都にあるのかの?」

 

その話を聴いていたマギルゥが王都の場所を聞くとその場所を見たことがあるライフィセットが王都のローグレス離宮にあると言った。

 

「ベルベットの目的も;そこ;にいる男だろう?」

 

「…目的は同じというわけだな。」

 

「謝らないわよ。巻き込んでも。」

   

「それは此方の台詞だ。」

 

「そういえば私達が乗ってた船はどうしたの?」

 

そう私がアイゼンに聞くとどうやらアイゼン達の仲間が乗り込んでどうにか海門要塞を抜けれたということを言った。そしてベルベットに対して;探索船;として使わせてもらうことを言うと勝手に乗ってきたモノだから好きにしろと良い船についての会話は終わった。

 

 

「報告!偵察部隊が、強力な業魔を発見!」

 

色々な買い物や話を聴きながら街道に続く門へ行くと対魔士達が強力な業魔を発見したと言う話を伝達しているのを目撃した。

 

「警戒レベル;甲;と判定しました!」

 

(…?;甲;ってなんだろ?)

 

「了解。聖寮に;甲殻警戒業魔;として登録を要請する。近隣に非常警報を発令せよ!」

 

「ハッ!」

 

そう言い立ち去っていく対魔士を見てベルベット管理とやらも大したことないという―

 

 

「ふん、王都の近くでも業魔が暴れているなんて聖寮の管理とやらも大したことないわね。」

 

「アイゼン、;甲殻警戒業魔;ってなんだ?」

 

(それは私も気になる事だ。)

 

「聖寮が特別手配した業魔だ。最新の情報では、各地に十数体確認されてる。」

 

「ほう、手強そうだな。」

 

「ロクロウて強い敵と戦うの楽しみにしてるよね。」

 

「まぁな。」

 

「行くわよ。くずぐずしてると聖寮の警備が強まるわ。」

 

そのベルベットの言葉を聴き私達は門を開け、街道を進む事にした。

 

 

それから少し歩いているとロクロウがマギルゥに歩きながら話しかけようとしていたので首を捻って聞いてみることにした―

 

「お前何でまた戻ってきたんだ?」

 

「主らが寂しがると思ってのー」

 

「全然寂しくないけど。」

 

「裏切り者を探すとか言ってたのはどうなった?」

 

(裏切り者?誰かに裏切られたのかな?)

 

「取り逃がした……手がかりもない。」

 

その言葉を聞いたベルベットが魔女なんだから魔法で探せばいいと言うとマギルゥが笑顔で自分よ魔法は自分と裏切り者の二人三脚方式だから発動出来ないと言った。

 

(…何というか不便だな~)

 

「成る程つまり共犯者ありのペテン魔法というわけだな。」

 

「違うわい!!」

 

「その裏切り者を探す手伝いはしないわよ。」

 

「バナナで釘が打てるほどの冷たさじゃのー」

 

「そんなバナナがあったら見てみたいかも…」

 

「いやいやラナ!それは例え話であって本当には打てないぞ。それよりもそいつの他に仲間は居ないのか?」

 

「はて……おらぬのー」

 

その言葉を鵜呑みにしてしまった私にロクロウはツッコミそれよりもその仲間以外にいないのか聞くと少し考えるような素振りをして頭に人指し指を指しながら答えた。

 

「帰りたい故郷はないのか?」

 

「ないのぉ……」

 

「魔法の他に、やりたいことはないのか?」

 

「ないのぉ……」

 

そんなやり取りをしているとずっと黙ってたライフィセットが小さく声を上げた。

 

「あ……」

 

「どうした、ライフィセット」

 

「うん……マギルゥの話聞いてたらなんだか胸がモゾモゾして……鼻がつんとした……」

 

「友も、居場所も、目的もない空っぽの人生を送る魔女を、お前は憐れだと感じたんだ。」

 

「憐れ……?」

 

「相手を可哀想と思う気持ちの事だ。」

 

「……マギルゥは憐れ……」

 

「そういう目で儂を見るでない~!そしてお主ら儂を置いていくな~」

 

その目線に気付いたマギルゥがライフィセットを見ながら叫ぶ。そんなマギルゥを置いて先に進んだ。

 

 

「わぁ……あの壁……凄く大きい」

 

(…確かに大きい。)

 

それから私達は真っ直ぐに道を歩き橋を通った当たりで目の前に巨大な門と城壁が立っていた。

 

「この門を超えるとこの国の王都ローグレスだ。巨大な城壁で街を囲み、業魔の侵入を防いでいる。」

 

「聖寮をこき使う事によって、人は身の丈以上の文明を手に入れたのじゃよ。」

 

「あ!マギルゥやっと追い付いたんだね!何かしてたの?」

 

「追い付くも何も遅れたのは、お主らが置いていくからじゃ!」

 

 

「初めてじゃないだろ、ライフィセット?」

 

「前にも来たことがあるけど、その時は、僕は今みたいじゃなかったから……」

 

そう私がマギルゥをからかっているとライフィセットが自分はこの景色を見たことがないと言っていた。その言葉を聞いてロクロウは何か気が付いたように言う―

 

「そうか。対魔士に使役させている聖隷は、景色を見ることもままならないんだな。」

 

「次にままならなくなるのは、儂らじゃがのー」

 

「……?」

 

「王家も聖寮の本部にある国の中枢じゃ。王国兵も対魔士もあちこちで見張っておる。儂ら悪党にとっては、居場所のない街じゃ。」

 

「居場所なんていらない。アルトリウスの居所さえ分かれば、それで良い。」

 

 

 

それから私達は門の前に立ちどうしようか悩んでいるとアイゼンが堂々と門に向かっていった。

 

「ちょっと!アイゼン!大丈夫なの?」

 

そう私がなんの策もなく行くアイゼンに聞くと此方を振り返りながら―

 

「全員を調べるものじゃない。自然に躱すぞ。」

 

というのでアイゼンを信じ、皆で入り口近くまで行くことにした。

 

 

 

(よし!何事なく行けた。)

 

そう安心して歩いていると後ろから先程の衛兵に声を掛けられた―

 

「そこの黒コートの女と甘栗髪の女。;手形;を見せて貰おう。」

 

「ええと……」

 

(どうしよう?そんなの持ってない…こうなったらベルベット!なんとか誤魔化して!)

 

「どうした?聖寮が旅人に発行する;通行手形;だ。」

 

(どうしよう……え?)

 

それを黙って見ていたマギルゥがいきなり―

 

 

「……おりゃ!」

 

「!?」

 

―ベルベットの頭を叩いたそして言葉を続けた―

 

「この未熟者!奇術師見習いの基本は、ニッコリ笑顔と教えたじゃろーが!」

 

「奇術師?」

 

「イカにも!ご覧の通りクセ者揃いの我が一座。その名も;マギルゥ奇術団;と称しまする~♪」

 

「………」

 

それを聞いたベルベットがマギルゥを見て無言で睨みつけていた。

 

 

(ベルベット!頼むよ!ここで話を合わせないと私達捕まっちゃう!)

 

「式典の余興か?」

 

「タコにもその通り!いやはや、我が馬鹿弟子達が失礼いたしました。ほれ、兵士様の御不審を解くのじゃ。お前達の得意芸、ハトをだしてみせよ!」

 

「「はぁ!?」」

 

「済みません、師匠……仕込みを忘れました。」

 

その言葉に思わず私達二人は声を荒げてしまった。だがベルベットはマギルゥを見て直ぐに頭を下げながら仕込みを忘れた事を謝罪した。

 

(……!?成る程!そういう設定ね!)

 

その話に私も合わせることにした。

 

「済みません私もです師匠…」

 

「な、な、なんと情けない奴じゃ!芸の道をイカに心得ておるか~!」

 

「待て……こんな所でハトを出されても困る。」

 

(良かった~助かった~)

 

と安心しベルベットと二人で顔を合わせて安堵しているとマギルゥが―

 

「いいや、勘弁できませぬ!お詫びにハトのモノマネをせいっ!」

 

―更に事態をややこしくした―

 

(……マギルゥ!?何考えてるの!?ベルベットは!?)

 

そう思いベルベットの方を向くと―

 

「………ッッ!」

 

マギルゥを殺気を出して睨んでた。その殺気に気が付かないのかマギルゥは一言一言威圧しながら急かした。

 

「ハ・ト・マ・ネ!」

 

(…もう完全にキレてるよベルベット。)

 

そう思っているとベルベットが口に手を当ててハトの口を真似しながら―

 

「ポッポ……」

 

―ハトの真似をした―

 

(ベルベット…可愛い!)

 

そしてその個人的に破壊力の強い真似を私が聞き可愛いと思っているとマギルゥはその真似を待っていたのか腕を振るすると紙吹雪と共にハトが舞った。

 

「「おおお~!」」

 

「斯様に泣く子も笑うマギルゥ奇術団!ローグレスの皆様に御挨拶の一席でございました~♪」

 

「分かった。その黒コートの女は良い…だがその甘栗髪の女は少し残ってもらう!」

 

「何故じゃ?此奴も我が;マギルゥ奇術団;に必要なのじゃ!どうしても駄目かの~」

 

「いやまだこの女は信用できな-うん?どうした?そんなに慌てて急用か?だったら後に-何!?本当か!?」

 

「ああ!本当だ!その女はアルトリウス様から見つけ次第に;通行手形;を確認せずに直ぐに門を通せとの命だそうだ!」

 

そうマギルゥが理由を聞くと他の衛兵が慌てたように走ってきて二人で話し始めた。そして此方を向き-

 

「…だそうだ今の話通り甘栗髪の女!理由は分からんがアルトリウス様がお前を通せとの命が出ていらっしゃる!今回限りは不問にして通せとの命に従い通す事にする!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「お前達もこんな所に何時までもいるな!さっさと散れ!」

 

「かしこまり~♪」

 

 

 

 

「ははは!中々の手口だったな、マギルゥ!」

 

「あんな子ども騙しは、今回限りポッポ~」

 

「………」

 

「おお、怖い怖いポッポ~……」

 

「だからといって私の後ろに来ないでください。」

 

ふと横を見るとライフィセットが未だに上を見ていたので訳を聞いてみることにした。

 

「?どうしたの?ライフィセット?」

 

「ハト、凄かった。」

 

「その子供騙しで入れた。王都も大したことないわね。」

 

「それだけ守りに自信があるんじゃろうて。ライフィセット、王都の戦力を知っておるか?」

 

いつの間にか私の横にいたマギルゥがライフィセットに聞くとライフィセットは対魔士の人数と守備兵士について話し始めた-

 

「王都に配備された対魔士さ……対魔士は千人以上。守備兵士は二個師団。」

 

「……流石は王都だな。油断ではなく余裕と見るべきだろう。」

 

(千人以上は多いからなんとか分断する手を考えた方が良いかな…)

 

「そういえばラナ、お主…何故アルトリウスに捜されておるのじゃ?」

 

「な、何故って!そ、それは私が聞きたいですよ!」

 

と思っているとマギルゥがさっきの警備の者に言われたアルトリウスに何故捜されているか聞かれたのだが身に覚えがないので曖昧な答えで返してしまった。

 

「確かにラナはただの人間だ…何故アルトリウスが捜すのかは見当がつかないな。」

 

「ま、どうでも良いわ…最悪コイツを囮にすればあの男も現れるだろうから……」

 

 

「そんな事より民衆がニコニコなのも納得じゃの。業魔に怯えまくっておった数年前とは大違いじゃわー」

 

「デカい式典があると言ってたしな。そんな余裕があるほど、ここは平和なんだろ。」

 

「……その平和は……ラフィの……」

 

「………ベルベット?」

 

 

 

そのベルベットの呟きをライフィセットにはどう響いたのか今の私は知るよしもなかった。

 

 

それからかなり歩くと前方に街の人達が集まって城壁と扉の前でミッドガンドの名前を呼び讃えていた。

 

「「ミッドガンド!!ミッドガンド!!ミッドガンド!!ミッドガンド!!」」

 

「凄い歓声じゃのう。躾が行き届いておるわ。」

 

それからミッドガンド聖導王国第一王子パーシバルという人の演説が始まりどう侵入するかを考えているとベルベットが壁を指を指して昇る案を出した。

 

「昇るのはいいが、ここで襲うのは無謀―」

 

その言葉を最期までロクロウが言うよりも前に―

 

「誰あろう……アルトリウス・コールブランドである!」

 

その名前をベルベットが聞いた矢先―

 

「!!」

 

階段を昇り走り出してしまった。

 

「ッッ!ベルベット!皆はここに居て!私が連れ戻してくる!」

 

私はアルトリウスの元へと行ったベルベットを止めるために後を追いかけた―

 

 

 

(何処行ったの!?ベルベット!!)

 

それから直ぐ追いかけたのだがベルベットの姿を見失ってしまった。

 

(一旦皆の元に戻ろう……)

 

そう思い戻ろうとすると―

 

 

(ッ!あれは!?業魔!?なんでこんな所に!?)

 

3匹程の業魔が金髪の白い服を着た少年を襲おうとしているのが見えた―

 

「き、キミッ!危ない!」

 

(間に合え!!)

 

私は咄嗟にガンブレードを出してスライディングをしながら少年を抱きかかえつつ業魔の一体に向かって斬りつけた。すると業魔はその一撃で呆気なく消滅した。

 

(何時もより手応えがなかった…いやそれよりも!)

 

「危なかった!!キミ!怪我はない!?」

 

手応えのなさより少年に怪我がないか聞くと、少年は冷静に「大丈夫だよ…」と答えると少し離れた場所に歩いて移動した。

 

(ん?この子何処かで見たような……それよりも今は残りの業魔を倒さないと!)

 

少年の姿を見た私は少年を既視感を覚えたがそれよりも先に業魔を倒す事にした。

 

 

(まずは飛んでいる飛蝗?型の業魔から倒した方が良いかな…飛蝗だから多分火に弱いはず!)

 

そう思いエウメニデスを出して対処する事にした。

 

(ずっと考えていた…竜神楽だけじゃ駄目だって…)

 

「これこそが私だけの新技!喰らえ!龍狼!」

 

エウメニデスを上に降り勢いよく地面に叩く―

すると地面から炎で出来た龍と狼が飛び出し勢いよく飛蝗?の業魔に食らい付くと飛蝗?の業魔は為す術もなく食い千切れ消え去った。それを確認した龍と狼は陽炎となって消えていった。

 

(次はコイツか!)

 

深呼吸をしてサイ?の業魔にパンドラにエウメニデスを戻しガンブレードを持ち向き合う。

 

(コイツは恐らくサイの業魔!一撃でも食らうと致命傷になりかねない!なら!)

 

「これでも喰らっとけ!ガンルーレット!」

 

サイ?の業魔の突進を避けながら回転しながら四方八方にガンブレードをトリガーを何回も引きまくり四方八方に撃ち込みまくる―

 

(今だ!)「いっけぇぇ!!」

 

私の合図で四方八方に撃ち込まれた弾が相手に向かい間髪開けずに次々と当たっていったそれを全て受けてしまったサイ?の業魔は地面倒れ動かなくなった。

 

「もう大丈夫だよ!」

 

それを確認した私は隠れていた少年に声を掛けた。すると少年は隠れていた場所から出て来て私の事が興味が湧いたのか話し掛けてきた―

 

「凄いね。お姉ちゃん。あんな強そうな業魔を一人で倒すなんてさ…もしかして対魔士なの?」 

 

「…いや違うかな。そういう君は?何してるの?」

 

「僕?僕はねお義兄さんが式典に出て暇だからここで時間を潰してたんだ。そしたらさっきの業魔に襲われて…」

 

「ああそんなに辛いなら無理して話そうとしなくて良いよ!」

 

「おい!こっちだ!……これは!?業魔!?一体誰が……」

 

そう話してると騒ぎを聞き付けたのか対魔士達が現れた。

 

(対魔士!?ベルベット達の為にも見つかる訳には行かない!)

 

「お姉ちゃん!こっち!」

 

そう思い逃げようとすると少年に引っ張られ走りなんとか対魔士達から逃げられた。

 

 

 

「ハァ!ハァ!あ、ありがとう!お陰で逃げられたよ!」

 

「…何でお姉ちゃんは対魔士から逃げているの?」

 

「そ、それは…その…」

 

「ああ答えたくないなら良いよ別に答えなくて。」

 

それから落ち着いた所で二人で座り少年の顔を見るとさっきの既視感を感じた理由が分かった。

 

(やっぱりこの子ベルベットとライフィセットに似てる…)

 

そう覗き込んでると少年が不思議そうな顔で私に何で顔を見たのか理由を聞いてきた―

 

「どうしたの?お姉ちゃん!なんか僕の顔に付いてる?」

 

「い、いや何でもないよ!」

 

「……?」

 

(そうだ!ベルベットを捜さないと!!)

 

「ごめんね!キミ!私捜してる人が居るからこの辺で!」

 

そう言い離れようとすると―

 

「もうちょっとだけ話をしようよ!お姉ちゃん。」

 

引き留められてしまった―

 

「で、でも」

 

「じゃあお姉ちゃんがここに居るって対魔士を呼ぶよそれでも良いの?」

 

(そ、それは困る!)

 

「…分かったよ。少しだけね!」

 

そう少年に脅され私だけではなく皆に迷惑がかかると思い少年の話し相手になることにした。

 

 

「ねぇお姉ちゃんってさ…兄弟とかは居るの?」

 

「うん?どうしたの?急に?」

 

「いやね僕のお姉ちゃんがお義兄さんの事が憎いと言っててね。お姉ちゃんの兄弟とはどうなのかなと思ってね。」

 

(兄弟かそれは……!?)

 

少年に兄弟がいるか聞かれた途端頭が響くように痛んだ―

 

「大丈夫?お姉ちゃん?」

 

「だ、大丈夫だよ!」

 

「なら良いんだけど…それよりお姉ちゃん!面白い腕輪をしてるね!触って良い?」

 

「うん良いよ!」

 

その言葉を聞くと少年はパンドラに触り何回か触ると「…成る程。」と言うと手を離した。

 

「触らしてありがと!」

 

「いやいや礼を言われる事はないよ!」

 

「じゃあお礼にこれをあげる!」

 

そう言って少年はポケットから指輪のようなものを渡した。

 

「これは…指輪?」

 

「うん!と言っても僕でも買える安物だけどね!」

 

「じゃあ、有難く貰っておくよありがと!」

 

そう言って指輪をパンドラに仕舞うと頭の中で見たことのない武器のイメージと前にも声が響いてきた。

 

 

--僕の名はアポカリプスていうんだ。ま、僕の力を使いこなしてみなよ--

 

(…これは?いやそれよりも今のはエウメニデスの時と同じ……)

 

そう考えていると遠くに皆が集まってるのが見えた。その中にはベルベットの姿もあった-

 

(…!?ベルベット!?良かった皆が見つけてくれたんだ。)

 

 

「ごめんね!私捜してる人を見つけたから行くね!じゃあね!気を付けて帰るんだよ!」

 

「うん!あ、お姉ちゃん!名前は?」

 

「私はラナって言うの!また見失っちゃう!じゃあね!元気でね!」

 

そう言って少年と別れベルベット達の方へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「あ~面白かった~。」

 

ラナが離れて少し経った後少年がサイの業魔の前に立っていた。

 

「やっぱ食事を与えないで衰弱した業魔じゃ駄目か~まあ予想はついていたけどね。それにしてもラナお姉ちゃんか…」

 

そう少年がラナの名を呟くとサイの業魔が立ち上がり少年を襲うが-

 

「よくやったね。でも、お前はもう用済みだよ。」

 

少年が振り向いた瞬間ガラスのようにヒビが入り崩れ去り跡形もなく消え去った-

 

「それにしてもあの;腕輪;を触った時、中に『セリカお姉ちゃん』の力も感じた。ていうことは僕の力の一部も……ハハ!楽しくなってきた!」

 

業魔を消したことよりも少年にはラナの方が興味があるらしく先程の少年のからは考えられないような顔をして狂ったように笑っていた。

 

「念の為に僕の力を込めた指輪を渡しておいたから何時でも場所が分かるからまた会いに行こうかな!楽しみにしていてね。『ラナお姉ちゃん』」

 

この場にはいないラナに言い、満面の笑みを浮かべて少年は消えた-

 

 




ラナといた少年-一体何フィセットなんだ?

そして彼に渡された力とシアリーズに託された力が今後の物語にどう影響を及ぼすのか……次回もお楽しみに!

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