テイルズオブチェイン   作:シュウ名刀醜血桜

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どうしてもやりたかったことをやってしまった……後悔はしていない。


対魔士としての初任務

「あの〜オスカー様、テレサ様失礼ですが……このお方は誰でしょうか?」

 

「そうでした……忘れていました。ラナ……ご挨拶を是非してもらっても宜しいでしょうか?」

 

(そっか、自己紹介するのすっかり忘れてた。)

 

と船に乗りラフィーに服の裾を引っ張られ周りの飛び跳ねる魚や海を一緒に見ていると1人の対魔士が見慣れない私がいる事を気になったのか、オスカーとテレサに私について聴こうとしていたのを見た私はまだ自己紹介していないのを思い出し、自己紹介する事にした。

 

「私は昨日から聖寮に来た特等対魔士のラナ・クラウです。皆さん、宜しくお願いします。」

 

と自己紹介すると肩にムウジムを乗せたシグレさんが此方に近づき私の肩を掴み特等対魔士と言う言葉を聴き驚いている対魔士に−

 

「因みにラナはアルトリウスの亡くなった奥さんの妹なんだってよ。つまりラナはアルトリウスの義妹て事になる訳だ。何でもラナは、死んだ奥さんから任された大事な義妹らしいぜ。そんなラナに何かあったら、お前ら全員、アルトリウスに斬られちまうかもな。」

 

「「!?ア、アルトリウス様の義妹!?」」

 

と何処で知ったのか、分からないが、私の対魔士内での素性を語り笑いながら語るとそこに居たオスカーやテレサを含めた対魔士達が私の素性を聴くと更に驚いた。

 

 

「ほ、本当なのですか?本当にアルトリウス様の義妹なのですか?」

 

「それは本当の事なのですか!?シグレ様ッ!!」

 

とオスカー達も信じられないのか、声を荒げながらシグレさんに聞くがシグレさんは「さぁな。そこに居るラナ本人に聴いてみたらどうだ?」と言うと船に乗っている全員が私に詰め寄り私に次々言葉をかけ始めた。

 

 

「皆さん!落ち着いて下さい!!」

 

と詰め寄ったオスカーやテレサを含めた対魔士達に落ち着く様に周りに大声で叫ぶと徐々に落ち着いていき、完全に落ち着いたタイミングで私は私の素性について喋る事にした。

 

 

(アルトリウスとベルベットの事を義兄さん、お姉ちゃんて言った方が信憑性はあるよね。)「まず私は確かにアルトリウス……いや、義兄さんの妹です。」

 

「じゃあ何故あの時、監獄島に居たのですか?」

 

「あの時、監獄島に居たのは故郷の村を離れていて、村に戻ったら対魔士に業魔と勘違いをされて収監されて助けを待っていたらそこにお姉ちゃんがやって来て助けてくれて、一緒に行動してました。」

 

「成る程、つまりその時に僕は、会ったのか……」

 

「そうだね……その時にオスカーに会ってるね……そしてローグレスに来たという情報を義兄さんが得て私を保護してもうこの世にいないお姉ちゃんの遺言が書いていた手紙に従って特等対魔士になった……という訳です。」

 

と話すと皆が納得して、この話は終わり対魔士達やオスカーとテレサはこの場を離れてそれぞれ別の事をし始めた。

 

 

(ふう……やっと終わった〜それにしてもよく疑われなかったな……)

 

と嘘がばれなかった事をホッとしていると−

 

「…………」

 

ラフィーが私に向かって睨んでいた。

 

 

「ど、どうしたの?ラフィー?」

 

「………別に。」

 

「別にって顔じゃないけど……どうかしたの?」

 

「じゃあ一つ聞くけどさ、僕の事忘れて皆と話してたでしょ?」

 

「そんな事はないよ。」

 

と言うとラフィーは私に顔を近づけて−

 

「ラナお姉ちゃんは僕のモノだから他の醜い人間風情と話しちゃ駄目だよ……ラナお姉ちゃんも穢れちゃうから……」

 

と私を抱き締めながら私にそう言うと顔を私の身体にすり寄せて蹲まり「誰にも渡さない……」と呟くと私の身体を離れ何時もの様な笑顔で「もう大丈夫!!」と言うと海の方を眺め始めた。

 

(本当に大丈夫かな?)

 

「そんな事よりもさ、見てみてよラナお姉ちゃん!!やっぱり海って良いよね!岬で景色を見るよりもやっぱり船で見る景色の方が綺麗だよね。」

 

と心配する私の手を掴み海の景色が綺麗だと眼を煌めかせながら私に言った。

 

「ラフィーは海が好きなの?」

 

「うん!昔は身体も弱くて岬で海を眺めるだけで航海に必要な羅針盤も持ってなかったんだけどさ。ずっと布団の中で海に行く事を考えててね……いつか羅針盤を買って海に行くんだ!って思ってた事があってね。だから今海を眺めているだけでも凄い嬉しいんだ。勿論今でも羅針盤は欲しいんだけどね……」

 

「そっか。じゃあ今度羅針盤を私が買ってあげる。」

 

「本当に?」

 

「本当だよ!」(値段は高そうだけど……まあ多分買えるよね……)

 

「ありがとう!!ラナお姉ちゃん♪今度一緒に2人で船で旅に出ようね。」

 

「うん!買ったら一緒に行こう!!」

 

と私が言うとラフィーは笑顔で「うん!約束だよ!ラナお姉ちゃん♪」と言い完全に機嫌が治った。

 

(それにしても私を睨んでいる時の表情……ベルベットに似ていたな……)

 

とラフィーにベルベットと似た部分を感じていると対魔士の1人が私の方に来て「ラナ様!!ブリギット渓谷にそろそろ着きます!そろそろご準備を!!」と声を掛けられ準備をする事にしたのだがふとラフィーの事が気になり聞く事にした。

 

「ラフィーてさ他の人に存在をバレちゃいけないんだよね?対魔士達には誤魔化したけど……もしもベルベット達に鉢合わせたらどうするの?」

 

「ああその事なら大丈夫だよ。ラナお姉ちゃん。僕はこうするから。」

 

と言い私の身体に手を当てるとラフィーが光に包まれて私の身体に光が当たると私の身体の中に光が吸収された。

 

「ラ、ラフィー!?何処に行ったの!?」

 

と焦りラフィーを声を出して探すが−

 

《僕はここに居るよ。》

 

と姿の見えないラフィーの声が私の耳に聴こえてきた。

 

「ど、何処に居るの?ラフィー?」

 

と聴くとラフィーは−

 

《ラナお姉ちゃんの身体の中に居るよ。》

 

とさも出来て当然の様に言ってのけた。

 

「わ、私の中にってどうやって……」

 

《ラナお姉ちゃんは僕の契約者だからね。というかラナお姉ちゃんかアーサー兄さんしかこんなこと出来ないんだけどね。》

 

「つまり契約者の私だからこうやって入れるって事だよね。」

 

《大体は合ってるかな。まあ身体とかには害はないから気にしないで。》

 

「というかラフィーとどうやって喋ってるのか気になるんだけど……」

 

《ラナお姉ちゃんの心に直接喋ってるんだよ。だからラナお姉ちゃんが心で僕に話しかける事も出来るよ。》

 

と言ったので試しにやってみる事にした。

 

(ラフィー聴こえてる?)

 

《うん♪聴こえてるよ♪》

 

(確かにこっちの方が周りに聞かれる心配もないから安心だね。)

 

《そうだね。そろそろ着くよ。行こ!ラナお姉ちゃん♪》

 

(うん!行こう!!)

 

と船を見えにくい場所につけて、ブリギット渓谷に着いた私とラフィーは、一足先に降りていた対魔士達やシグレさんの後に続いて降りて上陸した。

 

 

上陸すると業魔がウヨウヨとしているのが見え一匹の業魔が此方に気づきそれに続く形で何体もの業魔が私達に目掛けて襲ってきた。

 

「さぁてと狩るか!!」

 

とシグレさんが走り刀の柄で鳥の業魔を叩き落とし、先陣を切り業魔の集団に突っ込んで行き豪快に刀を抜かずに業魔を叩き、弾き潰して業魔の攻撃を掻い潜りながら口元に笑みを浮かべ業魔を倒していき、シグレさんの姿が業魔の中に消え見えなくなっていった。

 

(後先考えないで敵を倒す所はロクロウにやっぱり似てるなぁ……)

 

《来るよ!!ラナお姉ちゃん!!》

 

「私も行かないとね!!」

 

とシグレさんに負けずに気合を入れガンブレードを出して私も業魔達に突っ込み戦いを始めた。

 

「踊り狂え!!ガンバースト!!」

 

ガンブレードを魔女の様な箒に乗った業魔に向かい勢いよく突き刺しガンブレードのトリガーを二回引き突き刺した状態で散弾を数発撃ちガンブレードを引き抜く。すると業魔は箒から落ち上半身を爪で引っ掻き苦しみ始め数秒後に体内から爆発し消滅した。

 

「火の龍よ!!この剣に力を与邪魔する敵を斬り燃やせ!火龍飛翔斬!!」

 

 

巨漢の業魔に向かいながらアポカプリプスを出して花びらに触れ火を纏わせアポカプリプスを上に投げ飛ばしガンブレードを出し空に飛びアポカプリプスをキャッチして、地面に向かってアポカプリプスを投げつけるとアポカプリプスから火が噴き、龍の形になると巨漢の業魔に向かい巨漢の業魔の肉を喰らい空に上がりガンブレードに吸収させるとそのエネルギーを纏ったガンブレードで一気に地面に向かい加速し斬り下ろすと巨漢の業魔は内部から爆発して消え去った。

 

《じゃあ次は僕の番かな!ラナお姉ちゃん少し借りるよ!!》

 

(え……ラフィー!?)

 

とラフィーが言うと私の身体から紙葉が現れ私の身体が勝手に動き始めた。

 

「重圧砕け!ジルクラッカー!!漆黒渦巻き軟泥捕えよ!!ヴォイドラグーン!これで終わりだ!!爪牙連なり裂傷乱れよ!ダークネスファング!」

 

複数の空を飛んでいる業魔にライフィセットと同じく腕を向けるとライフィセットのとは明らかに規模が違う地割れが起き空を飛んでいた業魔達は全員叩き落とされ何とか飛び上がろうと羽でもがくが起き上がれないのを確認し地面に両手を当てると泡が湧き立つ漆黒の沼が現れ業魔達を飲み込み引きずり込まれる所に両手を業魔達に向けると色がない牙の様な衝撃波が次々と紙葉と共に業魔達を襲い業魔達は跡形もなく消滅した。

 

《ふう……まぁこんなもんだね。ラナお姉ちゃんが観てくれてるからちょっと本気出しちゃった。》

 

(い、今ので全力じゃないの!?)

 

《うん♪そうだよ。まだまだこんなモノじゃないよ。いつかラナお姉ちゃんに見せてあげるよ。僕の全力をさ!》

 

(うん。楽しみにしてるよ。)

 

「此方は終わりました。シグレ様。」

 

とあらかた業魔が片付くと別の業魔の所に行っていたのか、オスカーとテレサが私とシグレさんに話しかけてきた。

 

「応!其方も終わったのか?」

 

「ええ。シグレ様終わったのですが……その…言いにくいのですが…刀狩りの業魔は倒したのですが……倒す前に『俺は対魔士達をやってない!やったのは俺の弟の刀斬りの奴の方だ!!』と言うものでしたから念のためどちらが強いかと聴いたら此方が倒した刀狩りの兄の方が強いらしいです……本当に申し訳ございません!」

 

とオスカーが言った事をシグレさんは聴くと「んだよ。じゃあ興味はもうねぇな。」と言い退散しようとすると私達の崖の下から声が聞こえ下を見るとそこには恐らくオスカーが言っていた刀斬りの業魔と−

 

(ッッッ!?べ、ベルベット!?)

 

何故かエレノアさんと行動を共にし刀斬りの業魔と戦ってるベルベット達が見えた。

 

「あ〜エレノアか。アイツ裏切ったのかね〜それとも業魔に捕まったのか……まあ俺にはどっちでも良いか。て事でラナ、俺は暇潰しにここの辺りの業魔を潰して遊んでるわ。来るんなら構わねぇぞ。オスカーとテレサはアルトリウスに帰って報告してくれ。」

 

「シグレ様!!」

 

と何人かの対魔士を連れてシグレさんは何処かに行ってしまった。

 

シグレさんとオスカーとテレサが居なくなり私は1人で(まあラフィーもいるけど)ベルベット達の事を観ながら考え事をしていた。

 

(ベルベット達は私の事を心配してるのかな……多分してないだろうけど……ベルベット達にとって今でも私は囮なのかな……そう思われてたら少し寂しいなぁ……)

 

と思ってると静かだったラフィーが口を開いた−

 

 

《……許さない》

 

(ラ、ラフィー?どうしたの?)

 

《ラナお姉ちゃんを苦しめて自分達は楽しそうに笑ってるアイツらは許さない。》

 

(私は大丈夫だよ!)

 

《嘘だよね……ラナお姉ちゃんと繋がっている僕には分かるんだ……本当は寂しいんでしょ?囮と思われているのが嫌なんでしょ?何より仲間だと思われたいんでしょ?》

 

(確かにそうかもしれないね……でも良いんだ。私はこれで……)

 

《ラナお姉ちゃんが良いと思っても僕は許さないよ!!アイツらの事を。》

 

(でもラフィーにどうにか出来るわけじゃないでしょ?ベルベット達と会うわけに行かないしさ。)

 

と聴くといきなり私の身体から光が溢れて光が収まると隣にアルトリウスの服に似た紋章がある服を着てハイヒールの様な靴を履いたラフィーが立っていた。

 

「どうしたの?ラフィー?何かあった?」

 

「いや良い案を思いついたんだよ。ラナお姉ちゃんは僕の身体に手で触ってそのままでいて。」

 

「……?こうで良いの?」

 

「うん良いよ。ラナお姉ちゃん♪そのままね。」

 

とラフィーの身体に触れそのままでいるとラフィーが私の肩を掴み口を開けて私の肩に噛み付いた。

 

「ッ!い、痛い!!」

 

「このままで居て!!ラナお姉ちゃん!!動くと危ない!!」

 

と肩を噛まれた痛みから逃れる為に動こうとするがラフィーに押さえつけられてそのままラフィーの口から黒と白色の液体の様なものが溢れ私の身体の傷から送り込まれるとラフィーと私の身体から闇が溢れ始める。

 

「ラフィー!!」

 

とラフィーを心配し声を掛けると「大丈夫!!もうちょっとで……」と言った瞬間私の身体から溢れていた闇が消えラフィーと私を光が包み込み私の意識は闇に消えた。

 

私が目覚めると目の前の景色が見えるが身体を何度動かそうとするが私の意思では動かなくなっていた。

 

《な、何が起きたの?》

 

と私が状況が飲み込めないでいると−

 

 

「「こうなったんだよ」」

 

と私の口が勝手に開きラフィーと私の声が重なり困惑している私に答えた。

 

《ラフィーなの!?》

 

「「うん♪そうだよ。僕だよ。」」

 

《何がどうなってるの?》

 

と聴くとラフィーは−

 

「「今の僕は、僕の身体と、魂が、ラナお姉ちゃんと融合した状態なんだよ。僕がラナお姉ちゃんの身体を操っていてラナお姉ちゃんは、ラナお姉ちゃんの身体の中に心だけある状態になってるんだよ。まあさっきまでの僕みたいな感じと捉えて。ちなみにこれはアーサー兄さんが研究している『神衣』ていう奴なんだけどまだまだ未完成でね。ま、僕と一つになってるって考えてくれれば良いと思うよ♪」」

 

今の私は知る由はなかったがこれが聖寮の開発中の切り札でもあり、そして『後の時代の導師』の使う『神衣』が初めて使用された瞬間であった。

 

 

《成る程……で私は元に戻れるの?》

 

「「僕が離れたいと思えば離れれるよ……ただ離れるのはアイツらにラナお姉ちゃんと同じぐらいの苦しみを与えてからね。」」

 

《私が何を言ってもやるんだよね……ベルベット達は殺さないでね》

 

「「うん♪分かってるよ♪でも行く前にラナお姉ちゃんに一回身体の主導権を渡すね。」」

 

《なんで?》

 

「「今のラナお姉ちゃん凄く綺麗だからラナお姉ちゃんにも観て欲しいからさ。」」

 

と言うと私の身体が私の意志で動く様になりじっくり観てみると私の髪の色が甘栗色からラフィーの様な綺麗な薄い金髪になっており、髪の長さもショートヘアーから伸びておりラフィーの様な髪型になっていた。私の服もラフィーから貰った対魔士の服に紋章が伸び身体中を巡っていた。靴をハイヒールの様なものになっており、そして上半身と頭の上には魔法陣が薄く展開されていた。

 

《そろそろ良いかな?》

 

「あ、うん!大丈だよ。もう一回言うけどやり過ぎないでね……」

 

と言い交代すると神衣した私の身体を使ったラフィーは(私は普通にラフィーと呼ぶことにする。)羽を背中から出現させ−

 

 

「「分かってるよ♪さぁて行こうかな……醜い穢れを消しに……」」

 

 

ベルベット達の後を追いかけその羽を羽ばたかせ後を追いかけた。




次回ベルベット達対ラナ(ラフィー)が激突します。

ベルベット達に勝ち目はあるのか……!?

次回もお楽しみに。

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