もっと長く上手く小説を書けるようになりたいなぁ
「あの、ライフィセット、アイゼンが言う死神の呪いってなんなのですか?」
「ん?」
ワァーグ樹林に向かう途中の橋で姉弟の様に仲良く二人で話しているエレノアとライフィセットの方を振り返るとエレノアがライフィセットに死神の呪いについて聴いていた。
「…アイゼンは自分の周りの人達を不幸にする力を持ってるんだって。」
「それは…聖隷の特殊な力ですか?」
(確かにそこの所どうなんだろ?)
エレノアの言葉を聴き私も気に求めてなかった事に疑問に思うと−
「ただの不幸ではないぞ。海門要塞では、突然業魔病が大発生したし、海賊団にも、多くの死者が出ておる。」
「マ、マギルゥ!いつの間に!」
いつの間にか私の横にいたマギルゥが私の肩に顎をのせながらエレノア達に今まで起きた死神の呪いについて思い当たる出来事を言った。
「そんな話…にわかには信じられません。」
「死神の呪いは本物でフー!!僕がエレノア様から引き剥がされ、マギルゥ姐さんにフん捕まったのも呪いのせいでフー!」
「そう…なの?」
(いや…多分だけど違うと思うよ…エレノア…)
「エレノア様の涙が乾くよう、頬をフーフーした日々が、恋しいでフー。」
「エレノア!!そんな事してたの!?」
「えっ!?ちょっと……!」
「此処でエレノア様に再び会えたのも不思議なご縁改めてエレノア様の元へ……」
「好きにするが良い。」
「良いんでフか?」
「止めはせぬ。乙女の秘密をペラペラ喋る聖隷が欲しいならのー」
「結構です!私にはライフィセットという守るべき聖隷がいますから!!」
「そんなぁ〜!今はライフィセットに、涙をフーフーしてもらってるんでフーか〜?」
「してもらってませんってば!もう、貴方なんて知りません!」
「ビエ〜ン……!」
(泣いてっちゃった……)
エレノアが頬を赤く染めながら否定するとビエンフーは泣きながらどっか行ってしまった。
「ふぅ……」
とエレノアが困ったように溜息をつくと−
「…………」
(ベルベット?)
「………」
「………」
ベルベットが何時もより目を細めて此方をジッと見ていた。自然に気づいたエレノアが真顔で見返すと−
「………」
「…何ですか?」
「ライフィセットには、そういう事させないでよ。」
「させません!というか、以前もそのようなことは……!」
「ああ…!もう!!」
「これも死神の呪いかの……」
「………ハァ」
ライフィセットをエレノアから離して自分の近くに引き寄せてエレノアに言うとエレノアは否定したがベルベットには全く聞き入れられずに話は終わってしまった。
「エレノア、気分は悪くない?」
「ええ、今の所は大丈夫です。」
「なら良いけど、アイゼンの『死神の呪い』は甘く見たら駄目だよ。」
「その;呪い;って、本当なんですか?どうしても信じられないのですが……」
体調に気遣いつつも死神の呪いを軽く見ちゃ駄目だと言うライフィセットにエレノアはそう聞いてもまだ信じられない様子だった。
「そういう事を言っておると、急に腹痛になったり、靴連れしたり、口の中に虫が飛び込んだりするぞ。」
「虫……!?」
「姉さん、適当な事を言ってエレノア様を怖がらせちゃダメでフ〜!これまでにバンエルティア号を取り締まった海軍の軍艦が四隻も行方不明になってるとかアイゼンが泊まった島の男が業魔病になったとか、肩のぶつかった人が笑いが止まらなくなって死んだとか……」
「止めてください。そっちの方が怖いです……」
マギルゥが適当な事を言ってマギルゥの言った言葉をビエンフーが訂正するが−
「作り話だ。軍艦は七隻、島民は男だけでなく全員、ぶつかった奴は笑いじゃなくしゃっくりだからな。」
「ひぇ……っ!?」
「こ、怖いでフ〜……!」
そう更に訂正したアイゼンに対してエレノアとビエンフーは怯えて少しアイゼンと距離を取ってしまった。
「だが、壊賊病に関しては心配いらんだろ。サレトーマの花を絞って飲めば良いんだから。」
「花が咲いてれば、ね。」
「ああ、それはそうだ。」
「嫌な予感がしますね……」
そう言うベルベット達の会話を聞いてエレノアは頭を抱えてしまった。
「だ、大丈夫だよ。流石にそんな事はないと…思うなぁ……」
「…そこはハッキリ大丈夫だと言ってもらいたかったです。」
「ごめんね無責任に言って……」
「大丈夫です!コレぐらいはなんとでもなります!さあ行きましょう!ラナ!」
「う、うん。」(逆に励まされちゃった。)
歩きながら自信なくそう言って励ます私にエレノアは自信を持っていって欲しかったと言われて無責任な言葉を言ってしまったと謝るがそんな私をエレノアは励まし、結果的に逆に励まされる形となってしまった。
それから更に歩き森に入ると目の前に蒼い魔法陣が立ち塞がっており道を塞いでいた。
「コレは……聖寮が新しく開発した;二重結界;です。」
「なるほど。連動する二つの結界か。」
「一般人の立ち入りを禁止する為にしては、随分念入りだな。」
「……確かに……」
ロクロウの一言にエレノアが疑問を抱き考えていると目の前に蒼い紋章の入ったスイッチの様なモノが置いてあるのが見えた。
(こんなに直ぐに解く仕掛けが置いてあるなんて怪しい。)「ベルベット!何か仕掛けがあるかもしれないから慎重にね!!」
「……分かってるわよ……」
ベルベットが私が言った通りに慎重に触れると結界か紅くなり手前の結界が砕けて消える。
(……何にもなかった。私の考えて過ぎか……)
自分の思い過ごしで良かったと思い進もうとするが−
「「!?」」
目の前で砕けた筈の結界が蒼色の光を放ち私達を包み込んだ。
(今のは一体!?いやそれより!)「ベルベット!!」
光が収まり自分の身体は無事である事を確認して真っ先に最も光の近くにいたベルベットに駆け寄り声をかけるが−
「喰らい尽くす!!」
「!?」(ど、どうして……)
私に向けて業魔の腕を振い攻撃してきた。
「どうしたの!?ベルベット!?」
業魔の手で次々と攻撃してくるベルベットをなんとかいなし何度も何度もベルベットを呼びかけるが−
「うぉぁぁぁッッ!!」
(駄目だ…こっちの言葉が聞こえてない……)
呼びかけに反応せずにひたすらに叫びながら私を殺す為に業魔の腕を振る。
(なんとかベルベットを元に戻さないと…!!)
と明らかに普段とは様子がおかしいベルベットを取り押さえようとするが−
「ふん!!」
「白黒混ざれ!!シェイドブライド!!」
「裂駆槍!!続いて下さい!!ロクロウ!!」
「応!!朧舞!!」
「コレでトドメ!!喰らい尽くす!!アンヴィバレンツ!!」
「ガバァ!!」(他の皆まで…)
(……訳が分からない。なんで皆…取り敢えず今は逃げないと!!)
続く形でマギルゥ以外の全員から攻撃をくらい最後にベルベットの業魔の手で刺され3回切り裂かれた私は血を吐き出しながら脚を引きずり逃走しようとすると−
「そこまでだ!!」
「対魔士!?」(…もう駄目だ…)
無数の対魔士達に囲まれ、絶体絶命の状況に諦め死を受け入れようとするが−
「ラナ様!!お逃げ下さい!!此処は我々が!!」
「真っ直ぐいけばシグレ様やテレサ様達がおります!!」
「邪魔をするなァァァ!!」
私を庇う様にベルベット達に立ち塞がり私の退路を確保してくれた。
「…あ、ありがとう…」
礼を言い此処を対魔士達に任せて言われた通りに脚を引きずりながら真っ直ぐ逃げる。
「ハァ!!ハァ!!」(も、もう追って来てないよね…)
なんとか脚を引きずり逃走してベルベット達の追って来ていないことを確認すると近くの木に寄り掛かり座り息を整える。
(やっぱり思い返してもあの光を浴びてから皆がおかしくなった…あの光は一体…)
息を整えながら状況を整理していると−
「!?」
目の前の木が雷を纏った大剣によって切り裂かれ私に迫る。
「ご、業魔!?」
なんとか交わし目の前を見ると目の前に漆黒の鎧を纏った騎士の業魔が此方を覗き込んでいた。
(不味い!!視界がボヤけて!!)
ガンブレードを構えて業魔の動きを伺うがベルベット達傷付けられた傷から大量に血を流したせいか視界がボヤけて前が見えなくなっており何とかボヤけている視界で戦うが全てを避けきれずに斬撃をくらってしまう。
「ハァ!!ハァ!!ゲホッ!!」(このままだと…確実に死ぬ!!)
口から大量に吐血しながらどうにか倒す方法を考える。
(脚を負傷して思う様に動けないこの状況…相打ち覚悟で相手の一撃の威力を利用してカウンターの一撃を当てるしかない!!)
そう考えガンブレードの剣先を業魔の目に向けて構え業魔の攻撃を誘うとそれを隙と捉えたのか業魔は肩に向けて大剣を振り下ろす。その一撃を私は−
「ガバァ!!」(コレで私の間合いになった!!)
敢えて受け大剣が肩に突き刺さり大量に血が飛び散る。
(ッッッ!!!今だァァァ)「ランゲツ流桜花一閃!!」
意識が飛びそうになるのをなんとか堪えて逆に肩から斜めに斬り下ろし業魔を真っ二つにし業魔は呻き声をあげて血溜まりに倒れ込み鎧ごと消滅した。
「ハァ!ハァ!何とか倒した!!ってあれ!?身体が!?」
業魔を倒し息を吐くと身体が傾き倒れ込みそうになるが−
「おっと!!大丈夫か!?お嬢ちゃん!!」
「ラナ。貴方この私の腕の肉球が見えるかしら?」
「…見えるけどかなりボヤけてる。」
「…まだ見えるならまだ大事には至ってはいないようね。もう少し見つけるのが遅れたら出血多量で死んでいたわね。間に合って良かったわ。」
「取り敢えず拠点に向かう。拠点に向かえばテレサ辺りが手当て出来るだろよ。」
いつの間にか側に居たシグレさんに肩に手を回して倒れそうな私の肩を支え身体を引き起こすとシグレさんの肩から降りたムルジムが私に対して冷静に肉球を見せ見えるか、確認し見えると私が言うとムルジムはひとまずは安心してシグレさんの肩に戻ったのを確認して私の肩を貸し拠点に向かい歩き進み始めた。
「…シグレさん。どうして此処に?」
「部下から連絡があってな。お嬢ちゃんが仲間達に襲われて傷を負ったまま逃げていたってな。」
「そうして向かって追いつくと貴方が私達の任務の討伐対象である業魔と血を流しながら戦ってるんだもの…焦ったわ。」
「見てたんならどうして…」
「それはな。確かめてたんだよ。」
「確かめてたって…何をですか?」
「それは…お前に「シグレ!!急がないと本当に死んじゃうわよ。そしたら貴方の考えてる事も出来ないわよ!」あ〜分かってるよ!悪い!お嬢ちゃん!!後で必ず話す!!今は拠点に向かうぞ。」
「…はい。分かりました。」
肩を借りながら拠点に向けて進むシグレさんに見ていた理由を聴くと脚を止めシグレさんが答えようとするがムルジムが言葉を遮り私の身を案じて急かすとシグレさんは謝り必ず話すと約束して脚を再び動かして拠点に向かって歩き出した。
「……着いたわね。」
「お〜い!!誰か此処に怪我人がいるんだが治療してくれ〜!!」
「どうしたのですかシグレ様…ッ!?ラ、ラナ!?姉上!!大変です!!ラナが!!」
「ラナ!?コレは一体……取り敢えず治療を!!」
それから五分ぐらい歩いてると簡素なテントが無数に張っている場所に辿り着きシグレさんが無数にあるテント中に聞こえるように叫ぶとオスカーがテントから出て私を見ると慌てて隣のテントに入りテレサを呼ぶと少ししてテレサがテントから顔だけを出して此方を見た瞬間服を急いで整えながら駆け寄りシグレさんの肩から慎重に私の腕を離しそのままゆっくり地面に横たわらせ緑色の光が私を包み込み少しずつ傷を治していく。
光に包まれて30分程経ち光が収まると完全に傷が塞がり身体が治っていた。
「テレサ!!ありがとう!治ったよ!!」
「いえいえ大した事はしてませんよ。それよりどうして傷を負ってシグレ様に支えられて此処に?」
「ああそれは……」
簡単に状況を説明するとシグレさんは「成る程な」と言い一人納得し空を見上げて私に告げた。
「そりゃ何時間前にいたメルキオルの爺さんの仕業だな。」
「メルキオルさんの?」
「ああ…あの爺さんの仕掛けた術にハマったんだろうよ。で、お嬢ちゃんが他の奴らから見たら業魔に見えていたって訳だ。」
「成る程…だから…」
「でもシグレ…ラナだって;人間;でしょ?業魔のお嬢ちゃんやロクロウや聖隷の坊や達、それにエレノアも掛かっていたのにラナだけが術にかからなかったのはおかしいわよ。」
「確かにそうだなぁ。ああ!!頭使って考えんの疲れた!!この話は止めだ!止め!!」
シグレさんの言葉を聞きあの時何故私が襲われたのか理由が分かり納得するとムルジムが疑問をぶつけるとシグレさんはめんどくさくなって話を強制的に終了してしまった。
「それよりもお嬢ちゃんに相談なんだが……」
「……?相談って何ですか?」
改まった態度で相談事を持ち掛けてくるシグレさんに聞くと−
「あのな嬢ちゃんさえ良ければランゲツ流を学んでみる気はないか?勿論俺が手取り足取り教えるからよ。」
「……え?」
私にとっては予想外の提案をシグレさんから受けた。
お待たせしました!!(待ってくれた方本当に申し訳ありません!!)
次の話も作成中なので早めに投稿できると思います。