テイルズオブチェイン   作:シュウ名刀醜血桜

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約束

謎の狐の面をした人物が去ってから数時間後

 

 

「ラナ様!!そろそろ目的の場所に着きますのでご準備を!!」

 

(…そろそろ着くのか……元気かな…ベルベット達……)

 

私は今、対魔士達の船に乗りベルベット達のいるという大陸まで近づいていた。

 

 

遡り数日前の出来事−

 

「ハァ…ハァ…ど、どうですか?シグレさん?」

 

「基礎は中々に様になったじゃねぇか!後は自分でm「シグレ様!!た、大変です!!業魔の回収に向かった対魔士が!!」……そいつは本当か…済まねぇ!!嬢ちゃん!!修業は中断だ!!アルトリウスの所に帰らなきゃ行けなくなっちまった。」

 

「……?は、はい!!分かりました!!ありがとうございます!!」

 

シグレさんと斬り合ってると偵察を任せていた対魔士が慌てた様子で近寄りシグレさんに報告するとシグレさんは驚き荷物をまとめる準備に入り修業は中断された。

 

「ねぇオスカー皆慌ててるけどなんかあったの?」

 

「それはですね…ラナ貴方が倒した業魔の回収に向かわせた対魔士が突然消息を絶ったんです。その件でアルトリウス様がラナ以外の全対魔士達に招集を掛けたんです。」

 

「……?私以外の対魔士全員に?」

 

(何故私以外に……?)

 

「多分だがな…お嬢ちゃんはアルトリウスのお気に入りだからなぁ。犯人だと疑われてないんだろ。」

 

「ええそれに貴方はエレノア達とも行動を共にしてるわ。その件で対魔士全体が怯えていると分かった今、攻め込まれたら如何にアルトリウスといえどもその喉元に刃が届くかも知れないもの。」

 

「…私がベルベット達に言うかも知れないんですよ。なのに何でこんな大事な事を……」

 

「そうね……でも何故か貴方は言わない…そんな気がするのよ……私達は理由は違えど多少なりとも貴方を信頼し始めてる。だから信頼して言ったという理由じゃ納得してもらえないかしら?」

 

「…分かりました。この事はベルベット達には言いません。」

 

ムルジムの真剣な眼差しで本当に自分の事を信頼してくれている事が分かった私は信頼に応えて今聴いた事を自分の胸に仕舞い込みベルベット達には決して話さない事を決めた。

 

 

「よし!!じゃあアルトリウスの所に向かうついでに嬢ちゃんをアイツらの所に送り届けてやるよ!!その方が後々面白くなりそうだしな!」

 

「……!!シグレさん!!あ、ありがとうございます!!」

 

感謝の言葉をし私はシグレさん達の船に乗りベルベット達のいる場所へと船の進路を向け進む事となった。

 

 

 

そして再び現在−

 

「シグレ様!!見えてきました。」

 

「そろそろノーグ温原だな。」

 

(此処にベルベット達が…)

 

業魔が居そうにない程綺麗な湿原の船着場に止めると足場を下ろした。

 

 

「シグレさん、オスカー、テレサ、私は皆が居なかったら死んでいた。本当にありがとう!!」

 

「エレノア達は恐らく此処から真っ直ぐ進んだ先にあるロウライネの塔にいるそしてそこにはメルキオルの爺さんも居るはずだ……用心しろよ。」

 

「気を付けて!!」

 

「また会いましょう!ラナ。」

 

「お達者でラナ様!!」

 

私は対魔士やシグレさん達に頭を下げて先に進もうとしたが−

 

「あぁ〜ちっと待ったお嬢ちゃん。すっかり忘れてたんだけどよコイツも一緒に連れて行ってやってくれ。」

 

(コイツ……?)

 

シグレさんの引き止める声に足を止めて振り向くと−

 

「ラナお姉ちゃん!僕も行くよ!!」

 

そこには私の対魔士の服とお揃いの服を着たライフィセットが立っていた。

 

(ラ、ライフィセット!?いや違う……)「ライフィセットじゃなくて、ラフィーだよね。」

 

「うん!!当たってるよ!!流石だね!ラナお姉ちゃん!!」

 

私がラフィーだと当てるとライフィセットの顔のラフィーは笑顔になり自身の顔に触れる。するとライフィセットの顔が黒い泥に塗れ顔の部分が崩れ落ちラフィーの顔が露わになる。

 

「シグレさんどうして……」

 

「ラナの元に彼を向かわせる……アルトリウスの命令でな。」

 

「伝えるべき事は伝えたからな!!じゃあなラナ!!また会うのを楽しみにしてるぜ!!」

 

「はい!!ありがとうございますシグレさん!!」

 

「そろそろ良いかな……急いで行くよ!!ラナお姉ちゃん!!」

 

「うん!!頼むね!ラフィー!!」

 

ラフィーに行動の全てを任せるとラフィーは私の身体に噛み付き前の様に液体を傷口から流し込み私の身体から闇が溢れ、膨れ上がり暴発し、周囲の生物を業魔化させながら神衣する。

 

「「楽しくなってきた!!」」

 

神衣したラフィーは身体を回転しながら翼を出しながら空に上昇し限界まで上昇したタイミングで6枚の翼を羽ばたかせ風に乗りベルベット達の元に急行すべく空を飛ぶ。

 

 

それから数分後−

 

「「見つけた!!」」

 

私達の飛んでいる下にベルベット達とザビータそれと、少し離れた場所に帽子を被った老人が居た。

 

「「まずはご挨拶かな‼︎」」

 

『待って!!ラフィー!!一般人も居るんだよ!!』

 

少し離れた場所にいる老人もろとも急降下し一撃を加えようとガンブレードを出したラフィーを止めるが

 

「「ん?ああ……ラナお姉ちゃんは知らなかったか…あの老人がメルキオルだよ。」」

 

『え?そうなの?』

 

「「そうそう!!だから思いっきりやっても誰も死なないよ。」」

 

『それでもやりすぎない様に手加減してね。』

 

「「分かってる♪分かってる♪」」

 

軽く頷きながらラフィーはガンブレードを構えて急降下しようとすると−

 

「うわあああっ!!」

 

『!?聖隷や対魔士が!?業魔に!?』

 

メルキオルが部下であろう対魔士や聖隷らに、黒い光弾を飛ばし、それが当たった対魔士や聖隷達は、苦しみ闇に飲まれ闇が晴れると、ドラゴンの業魔へと変貌していた。

 

『ラ、ラフィー!!お願い!!止めて!!』

 

私は身体の主導権を握ってるラフィーにメルキオルを止めるように説得しようとするがー

 

「「メルキオルがいるんだったら……ラナお姉ちゃんの事紹介しよっかな♪♪」」

 

ラフィーはまるで聞く耳を持たずにメルキオルの近くに降下した。

 

「死神の力が連鎖させたか……大した負の影響力だ。」

 

「逃すかよ!!」

 

「「メルキオル!!って…あ、行っちゃった。」」

 

降り立ったラフィーがメルキオルに声を掛けようとするとザビータがラフィーの事を見向きもせず横を通り追いかけて来たのを見ていたメルキオルは踵を返して行ってしまった。

 

 

「「なんだよ〜もう〜紹介したかったのになぁ〜ラナの事をさ!!」」

 

『それよりも!!ラフィー!!あのドラゴン達をどうにか人間に戻してあげれない!?』

 

「「どうして?ラナお姉ちゃんにはアイツらは仲間でも何でもない関係ない奴らでしょ?」」

 

『それでも…それでも私は助けれるなら、助けたい!!お願いラフィー!!手を貸して!!』

 

「「ハァ…本当にお人好しなんだね…ラナお姉ちゃんは…良いよ…他ならぬラナお姉ちゃんの頼みだし今回限り助けてあげる。」」

 

『……!!あ、ありがと!!ラフィー!!』

 

私の頼みを拒んだラフィーに私の想いを伝えると私のお人好し加減に呆れながらも私の頼みを承諾してくれた。

 

「「でも僕がアイツらの前に姿を現したら面倒臭い事になるからなぁ…どうしようかなぁ……!!よし!!」」

 

そう呟きつつも何かを閃いたのかガンブレードを出し腰鞘があるかのように構える。

 

『ラフィー!?何をするつもりなの!?』

 

「「離れた此処から居合で衝撃波を出して業魔の穢れを吸収する。必ず成功するかどうか分からない…僕もやった事がないからどうなるか賭けだけどもやってみる価値はある。」」

 

『うん!!頼んだよ!!ラフィー!!』

 

「「いくよッッ!!醜き汚れ達よ!!この一閃で全て消えろ!!消し飛べ!!アトレッドドライブ!!」」

 

「「!!!?」」

 

 

凄まじいスピードでガンブレードを抜刀し振ると無数のVの字を描いた衝撃が音速を超えたスピードで飛びベルベット達の背後から迫り業魔達のみに当たってく。

 

「「もう一つオマケだよ!!喰らえぇぇ!!」」

 

その様子を見ていたラフィーはダメ押しと言わんばかりにもう一度ガンブレードを腰に当てて構え大きく一閃すると巨大な横長い衝撃波が業魔達を包み込み光が溢れ出す。

 

 

 

 

 

 

『…やったの?ラフィー?』

 

光が収まり状況をラフィーに聞くとー

 

「う、私は生きて……?」

 

「レジェンドワイバーンが!?元に!?」

 

「「何とかなったっぽいね。」」

 

『良かったぁ。』

 

業魔から元の姿に戻った対魔士や聖隷を見て安心していると−

 

「え!?」

 

「!!?フィー!?」

 

『しまった!!もう一体!!』

 

ラフィーの衝撃波が当たっていなかった3体のドラゴンの業魔の内の一体ががフィーに襲おうとするが−

 

 

「大丈夫か?坊主?」

 

「ザビータ!!」

 

間一髪の所でいつの間にかメルキオルを縄で抑えたままこの場にいた放ったザビータの銃撃が当たり業魔が倒れた。

 

「策士策に溺れるってやつだな、ジジイ」

 

「溺れたのはどっちかな?」

 

「?」

 

勝ち誇った笑みを浮かべ銃を突きつけたザビータにメルキオルがベルベット達の方に眼を向け言いザビータが気になり視線を移すと−

 

「はっ!!」

 

「ふっ!!」

 

「…………」

 

「何ッッ!?」

 

「倒れたもう一体は私がやる。」

 

そう言ってベルベットは静かに喰らう為に歩み寄るが−

 

「ッッ!?なっ!!」

 

『ザビータ!?』

 

怒りの表情を露わにしたザビータがメルキオルを突き飛ばして、ベルベットに近寄りワイヤーのようなもので軽くあしらい吹き飛ばす。

 

「レジェンドワイバーンを庇った!?」

 

「あっさり殺しやがって!それが、テメエらの流儀かよ!!そんなお前達の流儀は俺は認められねぇ!!」

 

怒りの感情を顔に表してベルベット達の流儀を否定してレジェンドワイバーンに乗ろうとすると−

 

「素晴らしい。;ジークフリード;まさに求めていた力だ。」

 

高揚したメルキオルの声がし皆が当たりを見渡している中メルキオルは手を叩き光のような物を出してザビータの手の中に握られていた銃を読み取り始める。

 

「何?」

 

「目的は達した。」

 

「何をしやがった!!待ちやがれ!!」

 

「奴らを追うぞ。」

 

「先に行ってなさい…私は野暮用があるから後から行くわ。」

 

「…?分かりました!!」

 

読み取り終わり逃げたメルキオルをザビータが追うのを見たベルベットを除いたアイゼン達はザビータの後ろを追いかける。

 

「「皆行っちゃったね。」」

 

『そうだね』

 

「「僕もそろそろアーサー兄さんの元に戻らないと」」

 

『そうだよね。』

 

「「今神衣を」」

 

「お待ちください。」

 

『!?』

 

「「…メルキオル」」

 

ベルベット以外が去った後隠れて見ていたラフィーが神衣を解こうとすると去ったはずのメルキオルが近くにいた。

 

『何で!?去ったはずじゃ!?』

 

「「ラナお姉ちゃんこれはメルキオルの分身体だよね」」

 

驚く私にラフィーが声を掛けて説明しながらメルキオルに手を伸ばすと触れる事なくすり抜けた。

 

「そうでございます。この娘が貴方の…」

 

「「うん!新たな作り直した世界の女神になるラナお姉ちゃんだよ!!」」

 

『め、女神!?』

 

「そうでございますか。それよりもこの場に来たのはただ一つラナ様の腕輪を解析する為に参上いたしました。」

 

「「……良いよ。」」

 

「では…失礼します。」

 

メルキオルはザビータの銃と同じ様にパンドラを読み取り始め少し経つとパンドラに似た色が無い腕輪がメルキオルの手元に現れた。

 

 

「終わりました。」

 

「「お揃いだ〜」」

 

「お喜びになられたらば何よりでございます。」

 

 

頭を下げるメルキオルを他所にラフィーは、一人跳ね回ったりしてはしゃぐ。

 

『良かったね。ラフィー』

 

「「うん♪」」

 

「アルトリウス様がお呼びです…急ぎお戻りを…」

 

「仕方ないなぁ…じゃあね!ラナお姉ちゃん♪」

 

「うん…じゃあね!!ラフィー!!」

 

神衣を解除したラフィーは私に手を振ると、翼を広げて天井から飛び去っていった。

 

 

(さぁてベルベット達と、どう合流しようかな…)

 

 

そう悩んでると−

 

「…何やってんのよ。」

 

「ベ、ベルベット!?」

 

いつの間にかベルベットが私の顔を覗き込んでいた。

 

「アンタと逸れて皆心配してたのよ。さ、後を追うわよ。」

 

「うん。」

 

歩く脚を揃えてベルベットと共に追いかけようとするが−

 

「下らない友情ゴッコだな…ベルベット・クラウ…」

 

「「!?」」

 

後ろから聞き覚えのない声が聞こえ振り返ると、狐の仮面をつけた人物が佇んでいた。

 

「…アンタは何者?」

 

「私か…私は『悪夢』…いやナイトメアとでも呼んでもらおうか…ベルベット・クラウ…お前の力を奪いにやってきた!!」

 

そう名乗ると同時に、ベルベットに瞬時に近づきパンドラと瓜二つの腕輪が光りガンブレードに似た武器を出し振り下ろす。

 

「!!ベルベット!!危ない!!」

 

「!?くっ!!」

 

間一髪防いだベルベットだが腕から血が噴き出す。

 

「…簡単にはいかないか…まあ良い…奪う機会はまだある…」

 

「ベルベット!!血が!!」

 

血が出て腕を抑えてるベルベットに駆け寄りエウメデスを出し傷を癒そうとするがベルベットに手で遮られ止められる。

 

「私は大丈夫よ…」

 

「でも!!」

 

「そんな弱さでは私どころかアルトリウスも倒せはしない…死にに行くようなものだな…ラナお前の強さでもな…さてそろそろいかなければならない…ではまた他の世界で会おう…ラナ…」

 

(!?あれは……!?)

 

そう言いナイトメアは私がこの世界に来た時に通った扉に酷似した闇が溢れる扉を開き消えていった。

 

それから数分後−

 

「他の世界って何なの?ラナ?」

 

「それは…その…」

 

私はベルベットに私が何処から来たのか聞かれどう答えようか悩んでいた。

 

 

(どう答えよう…)

 

「ハァ…もう良いわ…でも一つ確信したわ…ラナ…アンタは今は私達と行動しない方が良い。」

 

「……!?何で…!?」

 

「今のままじゃ私もアンタもナイトメアやアルトリウスだって勝てない…それで何となくナイトメアの言葉を聞いて思ったの…アンタはこの世界じゃない他の何処かから来たんだってね。」

 

「…!?それは!?」

 

「そしてその腕輪からシアリーズの力も感じる事から推測するとアンタの力は自分の力じゃなく例えるなら…そう『絆』の力なのよ。だからもっと旅をして強くなりなさい。そして必ず戻ってきなさい。約束よ。」

 

「……ベルベット。うん!!分かった。絶対に強くなって戻ってくる。」

 

--アタシはエリーニュスアンタの力になってあげるわ--

 

ベルベットと硬く握手を交わし約束し、新たな力が芽生えるのを感じるとパンドラが光りを放ち、五人の男女が一人の男に向けて剣を向けているのが描かれた扉が現れる。

 

「フィー達には私から上手く伝えとくわ。お別れね…また会いましょう…ラナ…」

 

「ベルベットこそ元気でね。」

 

ベルベットに別れの言葉を告げて次の世界へ向かう為扉を勢いよく入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 




これから先にラナが次に巡る世界のヒントは扉で分かります。

次回もお楽しみに

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