私達はリオン達の後を追い掛けてカルバレイス港へと向かうと既に船が用意してあり船に乗り込みノイシュタットへと舵を進める事となった。
「またグレバムを、逃してしまいました……」
「俺達全員の責任だ。次こそ、絶対に捕まえよう。」
「……ええ、そうですね。」
「………」
(……ん?リオン?)
「グレバムって、神殿にいた時は、どんな奴だったの?」
「学識があって、信仰心も厚い、とても尊敬できる人物でした。多くの神官が彼を慕い、その下に集まったものでしたが……!そういえば……カルビオラでは、バティスタの姿が見当たりませんでした。」
「バティスタって?」
「グレバムの側近だった、司祭です。私にとっても先輩に当たるのですが……」
フィリアはそこまで言うと顔をうずめて表情が暗くなっていった。
「フィリア?」
「す、すみません。ついぼーつとしてしまって……」
「……」
「どうしたんだ?リオン?」
「……甲板にいる。」
マリーがフィリアに声を掛けると今まで黙っていたリオンはそれだけを言うと甲板に行ってしまった。
「ごめん!スタン!私も行ってくる!!」
「あ、ああ。」
スタンに一言伝えてリオンの後を追いかけ甲板へと向かった。
⭐︎
(いた…!)
甲板へと向かうとリオンは顔色を悪くして首を下に下げてボーッとしていた。
〔坊ちゃん、大丈夫ですか?〕
「ああ、多分……うぷつ。」
「リオン!!大丈夫!?」
〔遠くを見てください。ほら、遠くですよ。〕
リオンが吐きそうになるのを背中を摩り落ち着かせシャルが遠くを見るように言うとリオンは素直に遠くを見て息を吸ったり吐いたりをする。
「はぁはぁ……だいぶ楽になった。」
〔本当に良くなったんですか?船室で少し横になりましょうよ。〕
「なあシャルそれとラナ…僕は本当に正しいのだろうか?」
「ん?何が?」
〔どうかしましたか?坊ちゃん?〕
「いやヒューゴに従ったままというのが正しいのか…スタン達を見ていると分からなくなるんだ…もしかしたら僕のこの決断は間違っているかもしれないって。」
「…実はね私もリオンと同じ様に仲間の中にいたのに裏切ってしまってた時があったんだ…」
〔……へ!?〕
「………!!!」
「でもさその仲間の敵だと思っていた人達も自分なりの信念を持って戦っていた…そうして仲間達やその敵と思っていた人達と関わって思ったのはどっちが正義か悪かなんて人によって変わるものだと私は思うな。」
〔……ラナ〕
「……そうか」
それだけ言うとリオンは部屋へと戻っていた。
⭐︎
リオンに続いて部屋に戻り1時間ほど経った後船が止まりノイシュタットへと着いた。
「此処がノイシュタット……フィッツガルドの中心都市ですか。」
「俺の故郷、リーネの村も、フィッツガルドにあるんだ。だからって訳じゃないけど……早くグレバムを見つけないと。」
「まずはイレーヌの屋敷へ行くぞ。」
〔イレーヌというのは、オベロン社の、フィッツガルド方面支部長の事です。〕
〔有力な手がかりが得られるとよいが。〕
⭐︎
「綺麗な町並みですね。新しくて立派な建物が沢山。」
「オベロン社の資本が入って、ここ最近で急成長したらしいわよ。」
「こんなに発展してるなんて、思いませんでした。もっと……」
「田舎だと思っていた訳ね。」
「そ、そんな事は。す、すみません、スタンさん。」
「別に気にしてないよ……あれ、あいつ……」
「スタン!?」
周りを見渡して正直な感想を口に出し失礼な事を口に出したとスタンに急いで謝るフィリアだったがスタンは気にしていない事を伝えるが1人の青年がスタンの名前を呼び此方へ歩み寄ってくる。
「バッカスじゃないか!」
〔誰だ?〕
「リーネの村の幼馴染さ。いやあ、偶然だなあ!」
「ノイシュタットへ買い出しに来て、お前に会うとは思わなかったぞ!いきなり村を飛び出しやがって。あれから大騒ぎだったんだからな。」
「う……そうか……」
〔つまり家出か。呆れた奴だ。〕
「うるさい。」
(スタンらしいな。)
「それで、いつ村に戻ってくる気だ?」
「……戻るつもりはない。」
「…おい。」
「俺、どうしても、やらなきゃいけない事があるんだ。詳しい事情は話せないけど……兎に角、今は戻らない。」
「お前は一度言い出したら、聞かないからな。だったらせめて、家族に手紙でも書け。リリスちゃん、心配してるぞ。」
「……分かった。」
「じゃあ、俺は行くからな。」
「ああ、元気でな。余計な心配かけたくなくて、グレバムの事黙ってたけど……」
〔それで正解だ。〕
「マリーの姿が見えないわね。」
スタンとバッカスの話を皆が聞いていて気がつくとマリーの姿がなかったのだが直ぐに機嫌良く此方に歩いて戻ってきた。
「何処に行ってたの?」
「アイスキャンディー屋。」
「……なに1人で買い食いしてるのよ。」
「美味しかった。」
「……さっさとイレーヌの屋敷へ行くぞ。」
⭐︎
町で情報収集してイレーヌの屋敷の場所が分かり入ると、私たちの姿を見てメイドが奥の階段から降りてきた。
「どちら様でしょうか……?あ、もしかして。リオン・マグナス様と、ラナ様、それとそのお連れ様でいらしゃいますか?」
「そうだ。イレーヌはいるか?」
〔我らに関する情報が、既にある程度伝わっているみたいだな。〕
「お嬢様は、所用で出掛けております。すぐに戻るとの事でしたが。」
「なら此処で待たせてもらう。」
「かしこまりました。」
私達は屋敷の中でイレーヌが帰ってくるまで待つ事にした。
⭐︎
それから1時間程経った。
「…イレーヌとかいう人、遅いわね。待ちくたびれたわよ。マリー、アイスキャンディー屋って、何処にあるの?」
「街の広場だ。」
「ちょっと行って来るわ。じっとしてるのも退屈だし。」
「一緒に行こう。」
「俺も。アイスキャンディーって、食べた事ないし。」
「私も行きますわ。」
「リオンとラナはどうする?」
「ここでイレーヌを待つ。」
「私も待ってるよ。」
「そっか、誰かが残らないといけないもんな。なら、2人の分を買ってきてやるよ。」
「いらん。大体なんでこの町に来たのかをお前達は忘れてるんじゃないだろうな。」
「たまには目的から離れて休む事も大事だと思うけどな。だからリオンも気を張るのはよして一緒に行こう。な?」
「それでも僕は行かない。」
「何よ…やっぱりノリの良くない奴…ラナはどうするの?」
「私はリオンが心配だから残るよ。」
「そっ…来たくなったらいつでも来ていいからね。さぁ行くわよ!!」
「ルーティ!ありがとう。」
ルーティに礼を言うと私の方を向き頷いてルーティ達はアイスキャンディー屋へと向かっていった。
⭐︎
それから更に一時間程
〔誰も帰ってきませんよ、坊ちゃん。〕
「シャル、なんだか少し熱くないか?」
(そういえば私も少し熱くなってきた。)
〔熱いかどうかなんて分かりませんよ、剣ですから。〕
「……喉も渇いたな。」
「それでは、お茶をお持ちいたしましょうか?」
「冷えたものか?」
「あ、いえ、すぐにお出しできるのは温かいお茶ぐらいしか……」
「そうか。」
「冷たいものと言えば、街のアイスキャンディー位しか……」
「だが、この家には無いんだろう?」
「はい。もし良かったらですが私が急いで買ってまいりますよ。」
「待て、家の者が誰も居なくなるのはマズイ。だからと言って、僕達がここを離れてイレーヌと入れ違いになっては困るしな……」
「よろしければイレーヌ様がお帰りになられましたら、皆様の事をお伝えし、イレーヌ様には皆様のお帰りを待って頂くのはどうでしょうか?」
「それで良いのか?」
「はい!大丈夫ですよ!」
「ならば少し出ていく事にしよう。」
「はい、いってらっしゃいませ。」
そうして私達はメイドさんの気遣いによって外でアイスキャンディーを買う事にした。
⭐︎
「取り敢えずマリーが言っていた広場に向かおうよ。」
「ああそうだな。」
〔坊ちゃん、坊ちゃん。〕
「なんだ。騒々しい。」
〔あいすきゃんでぃーってどうな味なんでしょうね。気になっちゃって。〕
「そうか……シャルは食べられないんだったな……」
「人の姿に戻れないの?」
〔ええ。僕の身体はもう1000前程に死んでますから……〕
「なんか……ごめん。」
〔全然気にしてませんよ!1000年前にもきっとあいすきゃんでぃーに負けない程美味しいモノがありましたから!〕
「へぇ〜そう聞くと行ってみたくなってきたな。」
〔ははは!それこそ時を超えない限りは無理だと思いますよ!!〕
「そうだよね!!」
「〔ははは。〕」
「何を2人で笑い合っている!探しにいくぞ!!」
この時の私は知るよしも無いが、この時は冗談だったが本当にこの世界の時を超える事になるのはほんの少し後の話だった。
⭐︎
そんなたわいのない話をリオン(主にシャル)と話していると広場に出て周りを見渡すとアイスキャンディーのマークが入った車のようなものを見つけ買う為に前に立ち順番を待ち店員の前まで来る。
「いらっしゃいませ。どの味になさいますか?」
「………」
「お客さん……?」
「………」
「お客さん!」
「あ、いや僕は別に食べたい訳じゃ……」
〔坊ちゃん、恥ずかしがってないで買いましょうよ。〕
「いや…僕は……」
(代わりに頼んであげるかな。)「あの済みません!!アイスキャンディーを二つ下さい!!」
「はいよ!!お客さん味はどういたします?」
「じゃあ二つともバニラでお願いします!!」
「あいよ!!アイスキャンディーバニラ二つ注文入りやした!!」
注文してから少し程経ちアイスキャンディーを持ちリオンの所に行くとリオンは考え込む様に立っていた。
「どうしたの?リオン?」
「あ、いや、広場に先に来ているはずのスタン達の姿を見かけないのはおかしいと思ってな。」
(確かに…見かけない…どうかしたのかな…)
〔大丈夫ですよ!!スタン達なら!!〕
何事も無くアイスキャンディーを食べ終わりスタン達を探そうとすると−
「きゃああーーーー!」
(!?)
「何事だ!!」
女性の悲鳴が聴こえ当たりを見回すと女性が一体のモンスターに襲われていた。
〔ラナ、坊ちゃん、助けましょう!〕
「行こう!リオン!シャル!」
「ああ!」
女性を助ける為走り出そうとしたその時−
「!?」
(これは!?)「ッ!リオン!危ない!!」
〔ラナ!?〕
目の前にナイトメアがベルベットや私を襲撃した闇が溢れる扉が目の前にいきなり現れ扉が開き闇から異形の手が伸びてリオンを捕まえようとするが、咄嗟にリオンを突き飛ばし、突き飛ばした私を掴み扉に入れると同時に闇が溢れる扉がこの世界から消えた。
⭐︎
「ん………」(此処は…?)
扉が閉じ、状況を把握する為に周りを見渡すと無数の砂時計が漂って砂を地面に垂らしている場所に辿り着いた。
(兎に角此処を脱出しなきゃ!…でもどうやって?)「う〜ん?どうしよう?」
そう考えていると−
「余所見なんぞしてるんじゃねぇェェェェェ!!!!」
(斧!?)「ッッッ!?避けられな……!!!」
獣の様な雄叫びが聞こえる方向を向くといきなり斧が首に向けて振られなんとか避けようとするが通常よりも大きい斧の柄腹に胴体が当たり、吹き飛ばされてしまう。
「ハァ…ハァ…!何!?」
「チッ!外れたか!運が良いな!!小娘!!」
なんとか受身を取り切らした息を整えながら前を見ると長いウェーブの青髪の青と黒を基調のタイツを来ている褐色肌の男性が巨大な斧を肩に担いでいた。
「立った所聞くが小娘!!貴様がラナで間違い無いなぁ?」
「ええ…そうですけど…「ならば死ねェェい!!!」ッ!?」
独特な喋り方で私の名前を聴きそうだと答えた瞬間また斧が首めがけて振り下ろされる。
「ちょっと!?話を……」
「問答無用!!つべこべ言わずに死ね!死ね!死ねぇえぇィ!!!」
(話が通じない!?)「くっ!!ガンブレード!!」
「ほう…!やる気になったらしいが…そんな程度の力では俺の前では虫ケラ同然!!」
(この人…凄まじい程強い!!私じゃ勝てない…でもココで逃げたらリオン達が殺される。なら私が!!)
纏う気配で強さが分かり自分では勝てない事を悟るがリオン達に迫る最悪の事態を考えると逃げるという選択肢はなくなった。
「小娘…一つ教えといてやる!俺を前にした時逃げるなどという甘ったれた考えは考えるな!!考えていたならば殺す!!」
「そう考えてたんだけど貴方を見てると無理だという事が嫌でも分かるよ…。」
「ほぅ…いざぎよさだけは褒めといてやろう。まぁ『英雄スタン』の様にどの道貴様に明日はないがなぁ!!」
「貴方スタンを知ってるの!?」
「あぁ…俺が殺してやった…もう一人の『英雄ルーティ』も同じ様になぁ!!」
(え……?殺した…?ダレヲ?ダレガ?)
その言葉を聴いた瞬間私の頭の中が真っ白になり涙が溢れて地面の砂に次々と落ちていく。
「まぁそう泣くな。今日の俺は紳士的だ。お前も同じ場所に送ってやる!!」
私の身体めがけて斧が振られるが−
〔生きる事を諦めるな!!ラナ!!〕
「ッ!?貴様は!?」
(誰…?)
赤い光が私と男性の合間に入り徐々に光が薄れていき青髪の髪の長い別の男性が現れ手に持っている剣で斧を受け止めていた。
「久しぶりだな!!バルバトス!!」
「やはり貴様かァァァ!!ディムロス!!!」
(ディムロス!?)「その声…いやでも、ディムロスなの!?それよりもなんで身体が!?」
「それについては後で話す!!まずはこの状況をなんとかするぞ!!」
「うん!!」
バルバトスと言われた男の言った一言で前を向きディムロスと言われた男性を向きディムロスだと声で分かり確認するが事態が事態なのでバルバトスの方へ何も言わずに向くと次々と青、緑、黒、黄色、紫の光が私とディムロスの前に現れそれぞれの光がディムロスの様に薄れていくと様々な年齢の男女がそれぞれ剣を持ち立っていた。
「誰?」
「酷いじゃないですか!!ラナ!!僕の事忘れちゃったんですか!?ほら僕ですよ!!」
(もしかして!?)「シャル!?」
「良かった〜本当に忘れていたらショックでしたよ〜焦りました〜!!」
黒の光から現れた爽やかな青年にいきなり迫られ右手を掴まれ片手でブンブンと振りながら自分の事を指差してアピールされ声でシャルと気付くと首を項垂れて息を吐き私の手を何度も叩く。
「シャルティエ!!もうお辞めなさい!!ラナだって困ってるでしょ!!」
「痛ったぁ!!痛いですよ〜アトワイト大佐〜!!」
「アトワイトなの?」
「そうですよ…本当に無事で良かった。そして…やはり女性の扱いがなってませんねバルバトス…。」
私に名前を呼ばれたアトワイトは頷き私に目を合わせやんわりと笑うとバルバトスに対して睨み付ける。
「まぁラナが無事ならば問題は無い。だがまさかお前が生きてるとはな…バルバトス。」
「ごめん…本当に誰?」
「そうか…俺とハロルドとはまだ会っていないのか…ならば自己紹介が必要だな。俺はイクティノス・マイナード適当に名前を呼んでもらって構わない。」
「うん。よろしくね。イクティノス!」
「ふ〜む……」
イクティノスに自己紹介され軽く握手を交わしているとピンク髪の禍々しい剣を持ったハロルドと言われた女性が腕に着いたパンドラの事を指で突いたり首を傾げたり不思議そうに眺めたりしていた。
「あの…何してるんですか?」
「いやぁ!!見れば見るほど興味深いね!パンドラの名の通り分解したら厄災が解き放たれるか…それとも希望があるのか…未知すぎて分からない…グフフ!面白い!ラナ!!是非とも私にパンドラのデータを取らさせてくれないか!!」
「え?え?」
「状況を考えぬか!!ハロルド!!すまんのぉラナ!どうにもハロルドはこういう癖があっての…悪気は無いんじゃが…どうにもな…」
「クレメンテ。」
「ホホホ気付いてくれたか!最後に話して良かった甲斐があるの〜。」
「ハハハ。」
「貴様達…俺を舐めてるんじゃねぇェェ!!!」
「「!!!」」
何が何やら分からない状況で半笑いしてるのと同時にバルバトスは怒りを露わにして鍔迫り合いの状態だった斧を強引に押しディムロスを叩き付けようとするがディムロスは剣を引き後ろに跳び、私の隣に立ち構える。
「貴様達の死に場所は此処だァァァ!!」
「来るぞ!!!」
かつての『ソーディアン』と共に絶対に負ける訳にはいかない『暴斧のバルバトス』との死闘が始まった。
書いていてラナ一人ではうん!殺されるだけだ(絶望)となったのでかつてのソーディアン達に本来想定していた展開よりも早く登場してもらいました。何故彼等がちゃんと肉体を持っていて助けに来たのかそして彼等は本当にラナの知っている『ディムロス達』なのかは後々という事で!
ではまた次回の更新で会いましょう♪