新約 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか?   作:虚無の魔術師

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プロローグ

 

これは、遥か昔の話だ。

 

 

古今東西の神々が住む『天界』と多くの種族が生を謳歌する『下界』に分けられていた。

 

 

 

神々は娯楽に飢えており、下界に大きな興味を抱いていた。

 

 

 

 

 

 

 

その神々の中で邪悪な思想を抱く神、『黒き闇の神』は『天界』と『下界』を我が物にしようと企み、生物を襲うモンスターを無限に生み出し、九柱の神を生贄とし『九神魔王』なる存在を使い、下界を蹂躙した。

 

 

 

 

 

 

これを良しとしなかった神々は『下界』へと降り立ち、多くの種族に戦える力、『恩恵(ファルナ)』を与えた。

 

 

 

 

多くの勇者や英雄と神々は『九神魔王』との死闘の末、一体の魔王を消滅させ、残りの八体の封印に成功した。

 

 

 

 

 

そして、『黒き闇の神』とモンスター達を地下の迷宮へと封じ込めた。

 

 

 

 

 

迷宮都市オラリア歴史文書 第1章より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やぁ、僕のファミリアに入らないかい?』

 

 

 

迷宮都市オラリアを訪れた一人の青年にそう声をかけ、手を差し伸べる者がいた。

 

 

 

黒髪ツインテール、そして自分より年下とも思われる少女の言葉を、多くの者は聞こうとせず、手を取ろうとはしなかっただろう。

 

 

 

だが、その青年はその声に答え、手を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴツゴツとした石の壁の洞窟、そこは迷宮都市オラリアの醍醐味であるダンジョン、その内部だった。狭い通路から出て、広間へと変わったその場所で、

 

 

 

片手に長剣を持ったまま棒立ちの状態の青年一人を囲んでいる十匹のゴブリンは各々の腕に武器を握り、目の前の青年を殺さんとしていた。

 

 

 

トンっ

 

 

地面を踏む音が壁に反響し、小さくなって消える。音に反応し動こうとしたゴブリンだったが──遅かった。

 

 

青年は背を低くして一体のゴブリンへと突っ込み、右手に持つ青い長剣を横へと振るった。長剣はゴブリンの胴体をスラリと斬り落とし、地面と壁に鮮血を散らした。

 

 

「────GYAAAAAAッッ!!」

 

 

仲間の呆気ない死と青年の行いにゴブリンたちは怒りをみせ吠える。だが青年は膝を折り曲げ、宙へと跳躍する。直後、彼は長剣を投げ飛ばし、ゴブリンの頭部を貫いた。

 

 

 

 

 

着地する青年に襲いかかる二体のゴブリンは醜悪な笑みを浮かべる。青年の持つ長剣は離れた場所に落ちている。

 

 

青年に自分達を殺す術はないと────

 

 

そう考えたゴブリン達の肌をツンとした冷気が突き刺す。

 

 

 

 

 

 

直後、彼に飛びかかったゴブリン二体は氷像と化した。空中にいた氷像は地面はと落ち、ゴトンッと音を立てる。

 

 

 

突然の出来事に戸惑いを隠しきれないゴブリン達に青年は目を向けた。

 

 

───とっとと失せろ。

 

 

声もなくそう告げる視線にゴブリンは今度こそ困惑した。このまま戦うか、大人しく敗走するか、悩んだ結果ゴブリン達は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武器を強く握り締め、青年へと殺到した。そのゴブリン達の選択に青年は静かに瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数分後、彼は氷像と化したゴブリン達から魔石を取り出す作業を行っていた。

 

 

凍った胴体へとナイフを突き刺し、微かに光る魔石を掴んだ。

 

 

「……………ポーチに入るか?」

 

 

困ったように沢山の魔石が入ったポーチと手の中にある魔石を交互に見て、勿体無いからと詰め込むことにした。

 

 

 

 

 

彼はダンジョンから出た後、ギルドの換金場にてパンパンに膨らんだポーチから取り出した大量の魔石をオラリアの等価であるヴァリスへと換金してもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の稼ぎを懐に入れて自分のファミリアの拠点である廃教会へと着いた彼は妙なことに気付いた。

 

 

「………少し騒がしいな」

 

 

自分がいるファミリアは主神と自分だけしかいないのだ。主神が早く帰ってきたにせよ、外から聞こえる声は誰かと話してるようにも聞こえた。

 

 

 

 

 

 

「帰ったぞ、ヘスティア様」

 

 

 

「おぉ!丁度いい時に帰ってきたね!」

 

 

扉を開けると、勢いよくうちの主神が駆け出してきた。女神ヘスティア、今現在嬉しそうにしている青年の主神の名前だ。

 

 

青年は懐からダンジョンでの稼ぎを取り出そうとした途端、女神の言葉に引っ掛かった。

 

 

「…………丁度いいとき?」

 

 

まるで自分を待ってたという言い方の言葉に青年は気付いた。

 

 

 

女神の後ろに立っている白髪赤眼の少年に。

 

 

 

「ヘスティア様……………こいつはまさか」

 

 

女神の性格と少年の戸惑った態度から客ではないと、青年は察した。客ではない、だとすれば─────

 

 

 

「フッフッフッ、君がダンジョンにいる間に一人だけ勧誘できてね。紹介しよう、新しく僕たちのファミリアに入るベル君だ!」

 

 

「べ、ベル・クラネルです!よろしくお願いします!」

 

 

 

どや顔を見せつける女神を他所に少年ベルは緊張しながらも自己紹介をする。

 

 

 

「俺はキョウ。三ヶ月前にヘスティア様のファミリアに入った冒険者だ。よろしく頼むぜ」

 

 

青年、キョウはそう名乗るとベルの手をギュッと掴み握手をした。

 

 

 

 

これは、少年と青年が歩み、女神が記す。

 

 

 

 

──────【眷族の物語(ファミリア・ミィス)

 

 

 

だが、この物語の結末が希望か、絶望か、

 

 

 

 

それは誰も知らない。

 

 

 

 






もう一人の主人公キョウのステータスとかは次の話で分かります。


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