新約 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか? 作:虚無の魔術師
「はいっ!キョウ君も来たから、ベル君に【恩恵】を刻もうか!」
互いの挨拶も終わり、ヘスティアは手を叩いて声をあげた。椅子に腰かけたキョウも、そうだなと頷いた。
ヘスティアに促されベルは服を脱ぎ、半裸になる。ベッドにうつ伏せになるベルにキョウは語りかけた。
「………【恩恵】について説明させてもらうぞ」
正式名称 『
それはファミリアの主神が自身の眷族の背中に【
「───というわけだが…………どうだ?ヘスティア様」
説明を終えた直後、ベルの背中に【神聖文字】が刻まれる。ヘスティアはその【神聖文字】を読み解き、紙へと写した。
「はい、これがベル君の【ステイタス】さ」
ベル・クラネル
Lv.1
力0
耐久0
器用0
敏捷0
魔力0
《魔法》
【】
《スキル》
【】
「ですよねー」
「まぁ、最初は皆そんなもんだろ」
自身のステイタスを見て項垂れるベルにキョウは肩を叩く。最初の【ステイタス】はゼロが普通だと教えられる。
「さて、次はキョウ君のステイタスだね」
同じように半裸になったキョウの背中の【神聖文字】を紙に写したヘスティアは彼に渡す。
気になったベルはキョウの握っている紙へと目を向けた。
キョウ
Lv.2
力 H116→125
耐久 I95→97
器用 H123→135
敏捷 H160→180
魔力 G215→248
《魔法》
【■■刻印】
・─────。
【■■降臨】
・─────。
《スキル》
【
・氷属性の技を使う時の補正。
・氷属性の威力と耐性が上昇し、魔力消費量を減少させる。
「…………………え?」
キョウのステイタスを見たベルが呆けた声を漏らす。ステイタスの主であるキョウは不満をこぼす。
「チッ、
「どうしてこんなに………まさかだけど十層くらいに行ったわけじゃないよね?」
「十層には行ってない………………………十層には」
問い詰めてくる女神の詰問にキョウは目をそらし逃れようとする。
「Lv.2って…………どうやって」
「まぁ、とにかく経験を積むのが一番だろ」
驚愕と感嘆の視線を向けるベルだったが、Lv.2のキョウは適当に誤魔化そうとしていた。彼がそうしたのには理由がある。
彼も知っているが、昇格をしようとして命を落とす者も少なくはないのだ。
冒険者になりたいと言っていたベルも危ないかもしれない、そう思ったからだった。
「僕も早く、兄さんみたいに…………」
彼の耳にベルの呟きが聞こえた。その呟きの意味を問おうとしたが、夜中だということを思い出した。
「…………とりあえず、もう寝ようか!」
女神ヘスティアの言葉に二人は首を縦に降り、賛成の意思を見せた。
ダンジョンの奥深く、
キャンプなどが建てられた休憩場所にとある団体が休んでいた。
活気溢れている者達から離れた場所にその人物はいた。大木に背中をかけ、ボロボロの手記を手に取っている白髪赤眼の男が。
大人しい、そんな印象とは違うくらいの覇気を男は知らずの内に辺りに放っていた。
「……………何してるの?」
無言を貫く男に一人の少女が歩み寄ってきた。長い金髪を揺らし、感情が感じられない────人形のような少女が。
男は自らの赤い眼を細めると少女は首を傾げる。可愛げな行為に溜め息を吐いた男は手記をポケットへと押し込んだ。
「………ここに来る際に爺さんに預けた家族のことを思い出してな」
「心配なの?」
「………まさか」
表情を変えない少女の一言に男は苦笑いを浮かべる。その目には揺るがない決意があった。彼は地面に突き刺してあった自身の等身並みの大剣を引き抜き、肩に乗せた。
「………行くか」
「……………」
男の言葉に少女はコクリと頷いた。少女は男へと羨望の眼差しを向けて、男は何かへの渇望を抱いていた。
Lv.7 【
Lv.5 【
迷宮都市オラリアの冒険者の中でも『あの男』に並び、最強と謳われる男と、オラリアの中でも数少ない女剣士の少女は次の戦いの為に向けて仲間の元へと向かっていった。
ベルには、兄がいるんだよなぁ。
オッタル並みにヤバイ兄が。