東方短編集   作:堤防道路

1 / 2
東方ss集いち

【雪】

 

「積もってきたわねー、魔理沙ぁ魔法でちゃちゃっと雪溶かしてよ」

 

「その場合半径50mが灰燼と化すがいいか?」

 

「いいわけないでしょ火力バカ。雪だけ溶かせないもんかしらね」

 

「その場合お前の結界で神社を包んでおけばいいじゃないか。初めから積もらせなければ雪かきに悩まされることもないぞ?」

 

「結界の維持も楽じゃないのよ。それに参拝客が来れるように雪をどかすのに結界はったんじゃその参拝客も神社には入れないじゃない」

 

「もとより人が来ないだろう、この神社」

 

「うるさいわよ」

 

 

 

 

「霊夢?みかんまだあるか?」

 

「あんたどんだけ食べるのよ…いやほんとよく食べたな!?もうないわよ」

 

「えー、じゃあ後は出涸らしの茶しかないっていうのかい巫女さんよぉ」

 

「出涸らしはあんたが新しく淹れないからでしょうが。今度来るときみかん持ってきなさい、いいわね?」

 

「へいへい、善処しますよ」

 

「あんたの家の”雪かき”を私がやってもいいのよ?」

 

「持ってきます!!」

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

【雪2】

 

冬、幻想郷にも雪が降る。昨日まで見えていた地面や草は、今朝方には一面の銀世界に変わっていた。

「う~寒いわね…」

呻きながら、何度も布団にくるまりさながら蛹のような様子でごろごろとしている。ようやく上半身を起こすと霊夢はやっとの事で布団から出た。雪が朝日を反射し眩しい。今日は晴れのようだ。晴れの朝はとびきり冷える。もう一度布団に潜りたくなるのを我慢する。

霊夢は眠さと眩しさに目を細めながら朝の支度を始めた。

 

朝食を終えてようやく体も温まり調子が上がってくる。こたつに入り。食後のお茶を入れた湯呑みをカイロのように両手で包んでいる。

 

ふと声が聞こえる。どうやら神社右側の林の上空あたりで妖精たちが遊んでいるようだ。大方、チルノあたりが雪ではしゃいでいるのだろう。

それ以外は静かな境内、静かな神社だ。

 

(落ち着く…)

 

霊夢は身も心もホッと一息つい

「霊夢っ雪だぜーーーー!!!」

 

一息つかせろ。

 

この寒い日に御構い無しに上空を箒一つで飛ぶバカ魔理沙がやかましさも一緒に連れてきた。

 

「あーさみい、霊夢、茶くれ」

 

「こんな日に飛べば寒いに決まってるでしょ、自分で淹れなさい」

 

ちぇーと言いながら魔理沙は常設された自分の湯呑みを取りに行く。勝手知ったる人の家というところだ。

 

「さっきチルノに出くわしてな、ちょいっとノシてきたぜ」

 

朝から元気のいいことである。

 

「あんた寒さで動けなくなるとかないのね、ちょっと羨ましいわ…」

 

「寒けりゃ動けばいいのさ、あったまるだろ?」

 

「寒かったらじっとこたつにこもりたいわよ」

 

そうして霊夢はお札作り、魔理沙は持ってきた魔術書を読んでいる。

 

 

「みかんないか?」

「買ってきてよ」

「次な」

 

 

昼時になってきたところで、霊夢がお勝手に向かった。

 

 

「お皿出しといてよ」

「わかったぜ」

 

 

昼食も済ませて再び、霊夢はお札作り、魔理沙は今度は手帳にペンを走らせている。

 

 

そうこうしているうちに夕方になってきた。こたつの火がほとんど消え、こたつの中が冷たくなってくる。

 

 

「なんか冷たくなってきたな」

 

「外行って動けばいいじゃない。あったまるんでしょ?」

 

魔理沙はうーんと首を傾けて答えた。

 

「あったまるからここがいいぜ」

 

霊夢は軽くため息を吐いて答えた。

 

「じゃあちゃんとみかん持ってきなさいよ」

 

 

end.

 

 

 

*****

 

 

【冬の雨】

 

冬の雨は、好きではない。

科学的には雪が降る時よりも気温が高いから雨になるのだろう、でも雪より雨の方が冷たい感じがする。

雨は冷たい。雪は優しい。

一人の時、雪はそっと寄り添ってくれる。雨は、私を突き放す。

 

でも本当は一人でなんていたくない。一緒にいたい。

寒い時ほど温もりが欲しい。

身を衣服で包んでも、心が寒くては体も寒いままだ。

 

寂しがりやは寒がりだ。

 

一人では暖まれない。

 

 

 

「あー降られちまったぜ、さみいほんとさみい、アリスちょっと入るぜー?」

 

 

 

ーーーこいつは。

 

人の気も知らないで。

 

ばか。顔が緩みそうだ。

 

「もう入ってるじゃない、ああもう濡れた格好で歩き回らないで!」

 

「やーあったかいなーアリスん家は、なぁなんか飲むものないか?」

 

「話を聞きなさいよ…」

 

そう言いながら上海を使って、乾いたタオルとココアを用意する。準備をするふりをして顔を隠した。

ココアを入れたマグカップを二つテーブルに置く。髪を拭く魔理沙の向かいに座ってココアを飲む。

 

 

本当は、隣に座りたいのだけれど。

 

 

そんなことを思ってぼーっとしていたら手を滑らせてしまった。まだ半分ほどあったココアが服にしみる。

 

「あっ」

 

「おま、大丈夫か?らしくないぜ」

 

そう言いながら魔理沙はアリスの側の椅子に座り、持っていたタオルでアリスの服からココアを染み出そうとする。

 

「髪拭いたやつだけどいいよな、やけどしてないか?」

 

「ええ、平気よ」

 

 

 

全然平気じゃない。

 

魔理沙の前でみっともない失敗をしてしまったし何より、ーーー

 

 

 

ーーーこいつは!人の気も知らないで、もう!

 

 

 

end

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。