TFSPにハマっていたり、バイトが忙しっかたりしているんだ(´・ω・`)
久々に書いたせいで色々おかしい所があると思うけど、優しく指摘していただけるとありがたい。
「…………ふぅん」
ペラペラと紙をめくる音が響く。
割り当てられた部屋は薄暗く、ランタンの僅かな蛍光しかない。そんな部屋で一誠は書物を読みふけっていた。
ただし読んでいるのは童話や寓話などの類ではなく、前“ノーネーム”が書き残した手記や日記である。
これらの書物は人避けなどの“恩恵”によって厳重に保管されていた代物だ。
恐らく、前“ノーネーム”のメンバーが色々な事態を想定して残しておいたのだろう。
「“
前“ノーネーム”が東側でも屈指のコミュニティだったというは本当なのだろう。
手記や日記にはこれまで受けた“ギフトゲーム”や開発、入手した“恩恵”。
更には、ある程度ではあるが戦ったことのある“魔王”の攻略法や考察まで書かれていた。
(“人類全てを滅ぼす要因α”。北欧のラグナロクやインドのカリ=ユガ、キリスト教の“最後の審判”。所謂“終末論”。それが“
一誠が読んでいる手記には“
ただし、“閉鎖世界”の方に関しては打倒した事は書かれていた。
そしてその手記の最後はこう締めくくられていた。
“彼らを打倒するには膨大な知識量と発想の飛躍、そして不可能に挑み倒そうとする覚悟と勇気が必要となる。”
「くだらない」
どこか不機嫌にも見える表情で、鼻を鳴らす。
読んでいた手記を閉じ、読み終え無造作に積んだ本の一番上へ置く。
そしてそのまま立ち上がると、部屋のドアを開けた。
「で? お前はさっきから人の部屋の前でうろうろと何をしているんだ。黒ウサギ」
呆れた様にそう呟く。
そこにはビクリと肩を震わせ、申し訳なさそうな表情をしている黒ウサギが居た。
一誠の顔色を伺いつつ、口を開いては閉じる仕草を数度する。
何時までたっても要件を言わない黒ウサギにイラついているのだろう。
一誠の顔には青筋が幾つか浮いている。
「あの、その…………実は白夜叉様が一誠さんを呼んでいまして。一人で来るようにと……」
申し訳なさそうにそう伝える黒ウサギ。
どうして呼ばれたのか両者とも心当たりがある為、一誠自身はそれほど気にしていない。
黒ウサギとしては昨日の今日なので、一誠に休んでいて欲しいのだろう。
昨日の“ペルセウス”とのギフトゲームで一誠に対して恐怖を覚えていたが、それよりも同じコミュニティの同士なのだからと自分を恥じていた。
「わかった。…………あの吸血鬼は目を覚ましたのか?」
「いえ、それがまだ…………」
「そうか。まぁ、強引に石化を解除したからな。もうすぐ意識も目覚めるだろ」
そんな黒ウサギの心情を察したのかどうかは分からないが、一誠は軽い調子でそう応え、自分の部屋を後にする。
そんな一誠の後ろ姿を見送る黒ウサギ。
◆
(随分機嫌が悪いな、相棒)
大通りを歩き、“サウザンドアイズ”の支店へと向かっている一誠に話しかけるドライグ。
歩幅を変えず、淡々と街道を突き進みながらドライグと会話をする。
(『己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、我らの”箱庭”に来られたし』そんな謳い文句に誘われて来たこの世界はなんだ? 初めこそ未知の異世界に心躍らせたが、実際には
店頭の商品を景品に“ギフトゲーム”を開催している露店に軽く視線を向ける。
“ノーネーム”が“ペルセウス”に勝ったことと、一誠たち問題児組がここら辺の“ギフトゲーム”を荒らしまわっていたせいか、全て出禁を食らっている。
(何が“
(…………つまりは、ご大層な売り込みの割に周りが大したことが無いからイラついていると。まぁ神仏どもに甘やかされている連中なぞ、そんなものだろう)
甘やかされている。二人は“箱庭”の住人をそう判断していた。
箱庭都市を覆う大天幕。“階層支配者”によって与えられる試練と恩恵。
そしてそれによって育まれる下位のコミュニティ達。
(次がある試練なんぞクソくらえ。端から“恩恵”を与える為だけに用意されたものを“試練”と言えるか? 万人ではなくひと握りの英傑が乗り越えられるからこそ意味が有る)
下層で行われているギフトゲームは基本的に誰でもクリアすることができる様なものばかりだ。
それは“階層支配者”が開催するギフトゲームであったとしても例外ではない。
命懸けのものとなると皆無と言ってもいい。
(土壇場で勇気振り絞り、一歩を歩み出すのは難しい。しかしそれが出来るからこそ人々は“英雄”と言う。誰も彼もそうであれと言うつもりはねぇ。だが、向上心もなく格上だからと端から勝負を諦める連中に“恩恵”なんぞ不要だろ)
人を超えて初めて参加資格を得る“
確かに能力だけ見れば人を超えているだろう。
だが、それだけでは意味がないと一誠は思う。
(力もいる、才能も必要だ。だが、それ以上に重要なのは意志だ。…………せめて十六夜達みたいなのが各コミュニティに一人でも居ればなぁ)
逆廻十六夜 春日部耀 久藤飛鳥。
才能は人類最高クラス。プライドが高いが相応に根性もある。
彼らのようなひと握りの英傑に相応しい人材がもっと居ればと思ってしまう。
(はぁ、オーフィスでも攻めてこねぇかなぁ)
いっそ自分が魔王にでもなろうか? そんな物騒なことを終いには考え出す一誠。
此処まで不機嫌なのはまともにギフトゲームに参加できていないからだろう。
ただでさえフラストレーションが溜まっていたのに“人類最終試練”などという最高に面白そうな存在を知ってしまった。
それなのに今の一誠の周りには有象無象しか居ないので余計に不機嫌になっていく。
(随分と物騒な事を考えるな。まだ箱庭に来てひと月と経っていないんだ。もう少し辛抱してみたらどうだ?)
(…………はぁ)
(それよりも俺は気になるんだが、何故オーフィスはあんな事をしているんだろうか?)
どうにか一誠の機嫌を持ち直し、話題を転換するドライグ
長い付き合いだからか、それなりに楽しみながらもドライグは苦労していた。
(これは推測だが、オーフィスの目的がグレートレッドの排除なのだとしたら、おそらく―――)
そこまで言いかけて、一誠は会話を切る。
“サウザンド・アイズ”の支店に着いたからだ。
白夜叉に言われているのだろう、店の前に立っていたいつもの店員が一誠に話しかけてくる。
「お待ちしておりました。中で白夜叉様がお待ちです」
女性店員はそのまま店の中へと入っていく。
一誠もそれに続くように暖簾を潜り、店内へと足を運んだ。
店員と一誠は互いに無言で、すぐに白夜叉の部屋に着いた。
「白夜叉様、お連れしました」
「うむ、ご苦労。おんしは業務に戻るが良い」
女性店員は白夜叉に一礼すると、一誠とは視線も合わせずに去っていった。
そんな女性店員の態度に白夜叉はため息をつきながら一誠に話しかける。
「態々呼び出してすまんの。その…………」
「別に何時ものことだ。気になんかしてねぇよ」
苦虫を噛み潰したような表情し、言葉を濁す白夜叉に一誠はきっぱりとそう告げた。
その言葉を聞いて、白夜叉はバツが悪そうな申し訳なさそうな表情をする。
二人共気づいていた。女性店員が一誠に向けた視線が、まるで化物を見るようなものだったことに。
「いいからとっと本題を話せ。つまらねぇ用事だったらすぐ帰るからな」
「すまんの。…………さて、本題に入るか。おんしには聞きたいことが2つある」
双女神が描かれている扇子を一誠に突きつけながら、白夜叉は鋭い眼光を一誠に向ける。
「ひとつ目、“ペルセウス”とのギフトゲームで使用された未知の“恩恵”。二つ目、ルイオスを治すことが出来るかどうか」
「あの英雄もどきが使った『蛇』についてなら知っている。生み出したやつもな。直接渡したのかどうかは知らん。治療については恐らくだが可能だ」
“ノーネーム”と“ペルセウス”の戦いが終了してから三日が過ぎた今でもルイオスはミイラの様な状態になっている。
“ペルセウス”は恥を忍んで“サウザンドアイズ”にルイオスの治療を依頼した。
しかし、ルイオスの状態は前例がなく、詳しく状態を確認しようとしたら上層に行くしかない。
今の“ペルセウス”には伝手が無いのでルイオスの治療が不可能なのが現状だ。
「そうか。―――“ペルセウス”はルイオスを治せるなら出せるものは何でも出すと言ってきている。治療するつもりならそこら辺の交渉は自分でしてくれ」
「治せとは言わないんだな」
「ふん、あのお坊ちゃんにはいい薬だわい。正直、あの時おんしが止めなければ私があいつを殺していたところだ。―――おんしが言う『蛇』に付いて詳しく聞かせてもらえるか?」
不機嫌な表情から一転、白夜叉は今までに見たことがないほどに真剣な表情をする。
一誠は面倒くさいと感じながら口を開こうとし、閉じる。
そこでふと、一誠にある考えが浮かぶ。
「…………? どうした?」
「なぁ、白夜叉。俺は確かにあの『蛇』についてよく知っている。だが、それをタダでお前に教えるのはつまらないと思わないか?」
「何が言いたい?」
「“ギフトゲーム”をしよう。もしお前が勝てたら情報はくれてやる。だが、お前が負けたら…………」
「おんしは現状を理解しているのか!? ルイオスの小僧すら上層の英傑に匹敵させる“恩恵”。もしこんなのが無差別にばらまかれたらどれだけの被害が出るか! もしかしたらその被害は“ノーネーム”にさえ及ぶかもしれんのだぞ!」
殺気すら飛ばして一誠にそう怒鳴りつける白夜叉。
気の弱いものならそれだけで失神してしまいそうな状況で、一誠は冷笑を浮かべる。
「知るかよ。“ノーネーム”に被害が出たら? だったらどうした。俺にはそんなことどうでもいい」
「おんしは―――」
「やるのかやらないのか、選ぶのはお前だ白夜叉。ハンデが欲しいと言うのなら幾らでもくれてやる。お前の望むルールでゲームをやらせてやるよ」
「っ!、いきがるなよ小僧!!」
次の瞬間二人は同時に立ち上がり水平に太陽が廻る世界、白夜叉の持つ雪原のゲームフィールドで相対していた。
そして一誠の前には白夜叉の“主催者権限”によって作られた“契約書類”が現れる。
『ギフトゲーム名 “赤と白の競演”
プレイヤー一覧
・兵藤一誠
勝利条件:“
敗北条件:“
禁則事項:行為による殺害
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。
″サウザンドアイズ″印』
「ふん、随分と生ぬるいルールだな。ハンデはくれてやると言ったろ?」
「百年も生きてない若造に遅れを取るほど落ちぶれておらんわ!」
「ハッ。ならせいぜい楽しませろよ、白夜叉ァ!!」
獰猛な笑みを浮かべた一誠は白夜叉へと突っ込み、
白夜叉もまた、一誠を迎撃しようと動き出す。
刹那―――二人の“怪物”は白い湖畔の上で激突した。
◆
「「「じゃあこれからよろしく、メイドさん」」」
ノーネームの本拠にて、目覚めたレティシアを迎えたのは問題児三人組のそんな言葉だった。
突然の事に唖然とするジン、黒ウサギ、レティシアに問題児たちは持論を語る。
ゲームで活躍したのは自分たちなのだから所有権は自分たちにある。
所有権は等分して
ちなみにこの等分に関してだが、問題児組は一誠に一切の相談なしで決めていた。こういった事に興味なさそうな一誠ならば問題ないだろうと判断してのことだった。
ツッコミが追いつかない黒ウサギに更なる混乱が襲う。
なんとレティシアがその事について承諾してしまった。
まさかの事態に思わずウサ耳をへにょらせる黒ウサギ。そして喜々としてレティシアの服装を用意し始める問題児たち。
そんな彼らを嬉しそうに見つめていたレティシアは、ふと思い出したように黒ウサギに話しかける。
「そういえば黒ウサギ。私はまだ会ったことないが、もう1人新しい同士がいるのだろう?」
「そういや、一誠はどうしたんだ?」
「また部屋に引きこもって読書でもしているのかしら?」
「…………呼んでくる?」
一誠を呼びに行こうとする問題児たちに、黒ウサギは慌てたように事情を説明する。
「一誠さんは白夜叉様に呼ばれて、“サウザンドアイズ”へ行っています」
レティシアを除いた四人は、合点がいった表情をする。
前回のギフトゲームでルイオスに起こったことについてだろう。
自分たちではよくわからないが、あれは“箱庭”の世界に長く居た黒ウサギでも聞いたことがないそうだ。
東側の秩序を司る“階層支配者”として、事情を知らなければならないのだろう。
首を傾げているレティシアに、黒ウサギ達は“ペルセウス”とのギフトゲームについて語っていく。
◆
太陽が水平に廻る白銀の世界。
見る者を圧巻させる壮大なフィールドは、今や無残な姿へと変わり果てていた。
「どうした白夜叉ァ! テメェはこの程度か!!」
「おんしこそ先程までの威勢の良さはどうした!」
その元凶である一誠と白夜叉の二人は壮絶な笑みを浮かべながら戦闘を繰り広げていた。
それこそ四桁の英傑達ですら巻き込まれただけで消し飛んでしまいそうなほどに激しく。
―――白夜叉から放たれた炎波がまるで蛇の様にうねり、一誠へと襲いかかる。
見た目こそ綺麗な色をしているが、その破壊力は想像を絶する。
白夜叉が放ったのは太陽コロナ、その温度は百万度を優に超える。
鉄すら跡形もなく蒸発させる超高温の炎に対し、一誠は臆さずに攻め込む。
そのまま炎を何もせずに打ち破り、魔力によって構成された槍を白夜叉に振るう。
(幾らなんでも出鱈目すぎるじゃろ! 100万度を超えるコロナの中を無傷で突っ切るなぞ!?)
(なるほど、太陽の“星霊”ね。確かに強力な力を振るう。俺が知るどの太陽神どもよりも遥かに強い。それこそ
白夜叉は鉄扇で、一誠は槍で鍔迫り合いをしながら、お互いの力量をより細かく把握していく。
(私の力が及ばない“恩恵”? なんだ、それは。こやつの力の正体がまるで見えん。しかし、どこか近親感を感じる…………?)
(能力の相性上、俺の方が有利だな。その上、白夜叉は力を抑える為に仏門に帰依しているんだったか。抑えられた状態でこれだけの力を扱えるんだ。全盛期のこいつはオーフィスやグレートレッドの
正体の分からない一誠の力に冷や汗を感じながら、白夜叉は後退する。
白夜叉を追い、進撃してくる一誠に対し、七千度程する火球を数十発即座に打ち込む。
周囲の氷が溶ける事すらなく蒸発する中、爆炎の中から無傷の一誠が飛び出してきた。
今度はお返しだとばかりに数発の魔力弾を形成し、白夜叉に対して放つ。
白夜叉は高速で後ろに下がりながら、火球を同じだけ放つ。
魔力弾と火球はぶつかり合い相殺…………されずに、火球を難なく打ち破った魔力弾はその勢いを落とすことなく白夜叉へと殺到した。
「ちぃ!!」
自身の攻撃が相殺すらできなかったことに舌打ちをしながら鉄扇で魔力弾を全て弾く白夜叉。
ほんの一瞬だが、意識がそれた白夜叉の背後を取った一誠は、そのまま槍を振るおうとして、
白夜叉の周りから先ほどのコロナよりも遥かに強力な火柱が立ち上がった。
その火柱からまた火柱が、その火柱から更に火柱が発生し、網目の様に重なり、一誠を捉えようとする。
それに対し、一誠は
飛ぶのではなく跳躍。
原理的には耀やグリフォンとあまり変わらない。
彼らが旋風を操り空を踏みしめるように、一誠も魔力を操り足場を作って跳躍しているのだ。
火柱の一本一本が大きいので、一誠一人が網目の隙間を抜けるぐらいワケない。
一誠は即座に安全圏へとルートを導き出し、即座に行動した。
一瞬、本当に一瞬で火柱の包囲網から一誠は逃れた。
一誠の今の速度を神速とするならば、春日部耀の速度は亀の一歩にも等しい。
状況判断、力の使い方。それら全てが長い時間で培われた熟達のそれだと分かる。
一誠が今まで相手をしてきた連中を思えば、実戦経験で一誠と並べるのは“ノーネーム”でもレティシアくらいだろう。
しかし今現在一誠が対峙しているのは凡百の存在ではない。
天動説として、嘗ては全ての
神々としての神威と、魔王としての王威。その二つを生まれた時から手にして発生した星霊最強個体・箱庭席次第10番。
白き夜の魔王・白夜叉。
今現在の彼女は仏門に帰依することよって力を抑えている状況である。
それこそ全盛期に比べれば遥かに弱体化している。
しかし、箱庭の黎明期から存在した最古の魔王である彼女の経験は、一誠を遥かに凌ぐ。
一誠が安全圏と判断し、着地した場所から火柱が上がる。
それは攻撃の為ではなく捉える為のもの。
そう、一誠は誘い込まれたのだ。
「っ! これは―――」
「小僧、死ぬなよ!!」
炎によって拘束されている一誠を囲む様に十四本の火柱が立ち上がる。
その火柱は倒れるように一誠へと襲いかかった。
ここに一誠と白夜叉以外の存在が居れば、一誠が炎の槍で串刺しにされたように映っただろう。
一誠を中心に炎は集まっていき、次第に丸みを帯びていく。
それを見たものは全員が等しくこう思うだろう―――“太陽”と。
「ハァハァ…………っ」
肩で息をしながら太陽を見つめる白夜叉。
力を抑えられている今の彼女の限界以上の力を使ったのだからそれも当然だろう。
「…………此処までやっておいてあれじゃが、死んでおらんよな?」
顔を真っ青にして、思わずやってしまったという表情をする白夜叉。
久方ぶりの強敵を相手に、白夜叉もタガが外れてしまったのだ。
実は途中から白夜叉も結構ノリノリで楽しんでいた。
しかし、そんな白夜叉の心配も杞憂に終わった。
「は?」
普段の白夜叉なら絶対に見せないであろう、口をポカンと開けて呆然とした表情をしている。
なぜなら、バン! と空気が破裂するような音と共に太陽が砕け散ったからだ。
そして中から首をポキポキと鳴らしながら、無傷の一誠が出てきた。
「いや…………いやいやいや! 幾らなんでも無傷はありえんじゃろ!?」
「ああ、おかげで少し焦げ臭くなった」
「
白夜叉が此処まで取り乱すのも仕方がないだろう。
なにせ先ほどの白夜叉の攻撃は、
核融合によって形成される太陽核の温度は約1500万度。
仏門に帰依する前の白夜叉なら“拝火教”の悪神・善神すら焼き殺す事が可能な程である。
「私は未だかつて、此処まで理不尽な存在を聞いたことも見たこともない」
「お前も周りからしたら大差ねぇだろ」
「いいや、おんしほど私は酷くないもんね!」
「もんとか言うな気色悪い。年考えろロリババア」
「ぶち殺すぞクソガキィ!!」
「やれるもんならやってみろ」
お互いに獲物を構える二人。
しかし、今度は溜息と同時にどちらからともなく武器を下ろした。
「やめじゃ、やめやめ。今の私ではあれ以上の力は出せん。私の負けだ」
「…………まぁいい。俺もだいぶ満足したからな。『蛇』についての情報はくれてやるよ」
「それはありがたいんじゃが…………流石に私も疲れた。また後日、頼む。あー、それと。おんし何か望むものはあるか?」
「いきなりどうした?」
怪しげな物を売る商人を見るような目で白夜叉を見る一誠。
そんな一誠の様子に、白夜叉は酷く疲れた表情をしながら応える。
「成り行きとはいえ、これは私が開催したゲームだ。ならば私は“
白夜叉のその言葉に、一誠は納得した。
本意ではないといえ自分が開催したゲームなのだからクリアした者には相応の物を与える。
どのような状況であれ、“
そんな白夜叉の姿勢に、一誠は好感を抱いた。
だから―――、
「―――なら白夜叉。俺に隷属しろ」
「!!?」
一誠は遠慮なく
◆
白夜叉とは後日に色々と話し合うことを決め、一誠は“サウザンドアイズ”を出た。
かなり時間が経っていたのか、周りは既に暗くなっていた。
周りの商店が次々に店を閉めていく中、店から出てきた一誠に近づいてくる人影がある。
「レティシア=ドラクレアだったか?」
「ああ、会うのは初めましてだな。 これからはコミュニティの同士としてよろしくお願いします、“ご主人様”」
「…………その格好と俺に対する呼び方はお前の趣味か?」
プラチナブロンドの長髪が栄える美少女はメイド服を着ていた。最後は綺麗な笑みを浮かべながらそう伝えるレティシア。
一誠の態度に、レティシアは首を傾げながら事情を伝えた。
「つまり、レティシアに関する所有権は俺らで等分。俺の持分は6割で他の連中の希望でメイドをすることになったと」
「うむ」
「…………しかも俺とは話したこともなかったから態々一人で迎えに来て、それ知った十六夜達にそう呼ぶように言われたと」
「気に召さなかったか? マスターが『やはは。メイドが嫌いな男なんて居ねえよ。更に笑顔で“ご主人様”って言えば好感度アップだな』と」
「ああもういい。事情はよくわかった」
レティシアから事情を聞き、後で
一誠はため息が出そうなのを我慢して、レティシアに話しかける。
「俺の名前は兵藤一誠だ。兵藤でも一誠でも好きに呼べ」
「では主殿と呼ばせてもらおう」
「もういい…………好きにしろ」
若干ゲンナリしながらもそう応える。
レティシアは天然なのだろうか? と疑念に思う一誠。
彼女からしてみたら今の自分は使用人の立場なのだからそう呼ぶのが当然だと思っての事だった。
「しまった、急がないと遅れてしまうな」
「?」
「新たな同士を迎えた“ノーネーム”の歓迎会を開くんだ…………っと、始まってしまったか」
レティシアが頭上を見上げながらそう呟く。
一誠もつられるように上を見上げると、星が一つ、また一つと流れて行き、やがて流星群となっていった。
「主たちが“ペルセウス”を倒したからな。敗北した為に“サウザンドアイズ”を追放され、あの星々からも旗を降ろすことになったんだ」
レティシアの言葉に疑問を抱いた次の瞬間、星空を見上げていた一誠は驚愕し、絶句した。
一際大きな光が星空を満たしたかと思えば、そこに存在してあったはずのペルセウス座が流星群と共に完璧に消滅していたのだ。
それこそ嫌と言うほど奇跡を嫌と見てきた一誠といえど、今回の件は驚きを隠せなかった。
「クックク、ハハハハ」
一誠は思わず笑ってしまった。
それは歪んだ笑みではなく、心底面白いもの見たような、そんな純粋な笑いだった。
そんな一誠の心情を察してか、レティシアは嬉しそうに話しかける。
「主殿、“
「ああ。此処まで面白く感じたのは久しぶりだ」
「それはよかった。だが、これ以上に主殿を楽しませられるものが“箱庭”には沢山ある。私が保証しよう」
「くっくっく。そうかい。そいつァ最高に面白そうだ」
未だに振り続ける流星群を心底面白そうに見つめる一誠。
そんな一誠に嬉しそうな笑みを浮かべるレティシア。
二人はお互いに笑みを浮かべながら“ノーネーム”へと歩いていく。
レティシアと白夜叉、どっちがヒロインに見えるのだろうか?
ちなみにこの後、黒ウサギといい雰囲気で星空を見ていた十六夜くんは一誠により折檻されました(`・ω・´)リアジュウシスベシジヒハナイ
タグが一杯なのでここで報告します。
問題児組以外にも約一名強化する事にしました。
誰を強化するか分かる人には分かるんじゃないかな。
訂正です。一名ではなく2名です。
もしかしたら今後増えるかも
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