規格外が異世界から来るそうですよ?   作:れいとん

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タイトルに意味は無いです。

お待たせして大変申し訳ありませんでした。

仲のよかった方が退会したり、リアルが忙しかったり、血を抜かれたり。(どうせならレティシアに吸い出して欲しい。エヴァにゃんでも可)



FAIRY TAIL

「水樹よ。まとめて吹き飛ばしなさい!!」

「このままでは宮殿が水没するぞ! あの小娘をなんとかしろ!!」

 

“ペルセウス”の騎士たちは真正面から挑んできた十六夜たちを捉えに来たが、それは飛鳥が持ち出したギフト―――水珠によって阻まれていた。

飛鳥の命令一つで水樹は大量の水を放出し、その圧倒的な質量と圧力で騎士たちをなぎ払う。

 

「ええい、小娘一人に何を手間取っている!」

「不可視のギフトを持つ者は残りのメンバーを探しに行け! ここは我々が抑える!」

 

騎士たちに発見されている時点で飛鳥はゲームマスター―――ルイオスへ挑戦することができなくなっている。

彼女の役割は囮。しかし、逃げ回るなど飛鳥の性分ではないし、“威光”のギフトによって同士討ちさせるのもゲームの華が欠ける。

なにより飛鳥に対してすき放題言ってくれた一誠を見返すため、騎士たちが飛鳥を無視できないように“白亜の宮殿”を破壊することにした。

 

「左右から来るわ! まとめて吹き飛ばしなさい!」

 

一喝。

レプリカのヘルメスの靴を所持している騎士が飛鳥に挟撃をしかけるも、飛鳥の命令によって生み出された水流に吹き飛ばされる。

その水流は騎士だけではなく、華美な装飾も飲み込み、格式高い名画たちは水没していった。

そんな様子を飛鳥の傍で姿を消しながら一誠は傍観していた。

 

(やっぱり十六夜や黒ウサギ…………いや、耀と比べても直接的な戦闘力はふた回りくらい劣るな…………まったく、数に頼る雑魚や中途半端に力を持ってる奴はプライドだけ高くて嫌になる)

 

一誠は眼前で蹴散らされている騎士や最奥で待っているルイオスを思い出し、嫌悪感を覚えながらも戦況を見守る。

飛鳥はどこか不機嫌な表情をしながら、水樹に命令をくだす。

自身の力を掌握しきれていないのが悔しいのだろう。

 

(“ギフトを支配するギフト”か。―――あれはそんな生優しい(・・・・)ものじゃない)

 

数多くの奇跡を見てきたからこそ分かる。

飛鳥の“威光”がただ単に支配するだけのギフトではないと。

 

(クハハ。楽しいなぁ、オイ)

 

未知。今まで多くの神秘、異能、奇跡に関わってきた一誠をもってして出鱈目と言える力を誇る十六夜と飛鳥。

特に十六夜の“正体不明”は飛鳥の“威光”と違い本質的なものしか見えない。

それらは言いようのない歓喜を一誠に与えていた。

 

(飛鳥の“威光”は人間よりも神仏や星霊に近い与える力だ。十六夜の“正体不明”は本質的には俺と似通っている(・・・・・・・・)

 

力の規模こそ違うが、一誠は自分の『魔導精霊力』と“正体不明”は似た力だと感じた。

 

(その点、耀の“生命の目録”はつまらない。あれを造った耀の父親が頭のイカレタ天才なのは認めるが、あんな欠陥品じゃあな)

 

誰にも気づかれていない一誠は人知れず失笑する。

当初は“生命の目録”に興味を示していた一誠だったが、この一週間で解析済みなので既に興味がない。

一誠のもと居た世界ならば、耀の父親は異端者として教会あたりに殺されていただろう。

それほどまでに“生命の目録”は危険なギフトだ。

 

(もし仮にあれが『神器』だったら準『神滅具』クラスか。人間の手で作られたものにしちゃ規格外なのもいいところだな。だが、)

 

“生命の目録”はもはや芸術品といっても過言ではない。

解析を済ませ興味が失せたとは言え、もし金で買えるとしたら一誠は耀の言い値の十倍の金額を出したとしても惜しくはないだろう。

それほどの価値があると思うが、しかし、それでも失笑せずにはいられない。

 

(クックック。狂人の発想だな。あんなモノを娘に渡すなんて、耀の父親はどうしようもないクズ野郎らしい)

 

少なくとも、マトモな思考をしていれば“生命の目録”などというギフトは造らず、仮に造ったとしてもそれを娘に渡すような事はしないだろう。

“生命の目録”は耀のもう一つのギフト“ノーフォーマー”があるからこそ扱えるギフトだ。

常人にはとてもではないが、扱えるような代物ではない。

もし扱うとしたら“ヒト”を捨てることになる。

 

(接触した他種族の霊格を系統樹に読み取り、解析。何千、何万年とかけて行われた“進化”をそれひとつで実現する。…………って言えば聞こえはいいが、そんなものを使えば確実にキメラになる)

 

他種族の霊格を取り込む。

言葉にすれば大したことなさそうだが、それは言うほど簡単ではない。

事実、歴代の赤龍帝や白龍皇の多くは『覇龍』によって命を落としている。

人間の脆弱な霊格では他種族の霊格に飲み込まれ暴走するのが落ちだろう。

 

(“ノーフォーマー”か。…………一体どうすればあんな不出来な人間が生まれてくるんだか)

 

一誠は手元を歪ませ、亜空間から小さな試験管を一つ取り出す。

その中に入っている耀の血液を見つめながら思う。

 

(これを思えば十六夜が“フォレス・ガロ”とのゲームに参加しなかったのはラッキーだった。十六夜と飛鳥の血液も採取したいところなんだが…………まぁ、その内チャンスは来るだろ。あと、耀以外に“ノーフォーマー”のギフトを持っている奴がいたらそいつらの血液も欲しい。いや、探せば奴隷として売られているのがいるかもしれないか。研究素体として最低でも2~3体、できれば20体以上欲しいな)

 

一誠個人としては“生命の目録”よりも“ノーフォーマー”の方が遥かに興味高い。

それこそ高位の魔法使いたちキメラに関する研究者、一誠の居た世界の吸血鬼たちならば喉から手が出るほど欲しがるだろう。

 

(いっそ耀の血液(これ)を使って人造人間(ホムンクルス)でも造るか? いや、しかし)

 

一誠は難しい表情をしながら耀の血液を見つめる。

 

(自然発生した“ノーフォーマー”が子孫にも遺伝するのか知りたい。やはり男女で見つけて繁殖させるのが一番か)

 

人でありながら“人間”という霊格を確立できていない“ノーフォーマー”について思考する一誠。

しかし、そこまで考えてハッと一つのことに気が付く。

 

(…………冷静に考えれば、白夜叉辺りに“ノーフォーマー”に付いて書かれた資料がないか聞けばいいだけじゃねぇか。箱庭にだってキメラを研究してるマッドの二、三人くらい居るだろうし。もし上層にしかそれがなかったとしたら…………まぁ、一年もあればなんとかなるか)

 

当分は十六夜、飛鳥、耀の力の解析、強化が最優先かと考えを纏める一誠。

試験管を再び亜空間へと戻し、飛鳥へと視線を戻す。

一誠がほんの少しばかり思考していた数十分で、だいぶペルセウスの騎士たちは倒されていた。

その成果にどこか満足そうな笑みを浮かべている飛鳥。

だが―――

 

「がっ!!?」

「油断大敵だ。敵の数が少なくなっているからって油断すんな」

 

不可視のギフトと空飛ぶ靴の両方を使い、飛鳥を背後から襲おうとした騎士を一誠は蹴り飛ばす。

接近されたことに気がつかなかった飛鳥は驚愕し、一誠の存在に気がつかなかった騎士たちは動揺した。

 

「気をつけろ! 小娘以外に誰かいるぞ!!」

「気づくのが遅せえよカス」

 

一誠がパチンと指を一回鳴らすと、その場にいた不可視のギフトを持たない騎士全員が凍結した。

ほんの一瞬の出来事に、その場に居た誰もが驚愕する。

 

「あれ、生きているの?」

「一応生きてるな。まぁ、凍結を解除しない限りずっとあのままだが。それより飛鳥」

「何かしら?」

「もう少し頭を使ったらどうだ?」

「なっ!?」

 

いきなりのダメ出しを喰らって、言葉を詰まらせる飛鳥。

確かに一誠に助けられたが、それまでに十分なほど成果を上げていたのだ。

しかも頭を使えときた。

 

「そこまで言うのならお手本を見せてもらえるかしら?」

 

飛鳥には一誠の姿が見えているが、ペルセウス側には見えない。

笑顔と共に青筋を浮かべながら飛鳥は一誠にそう言い返す。

せめてもう少し柔らかい物言なら飛鳥も一誠の言うことを聞き、素直に礼も言っただろう。

 

「よく見とけ」

 

一誠は飛鳥に分かりやすいように指を振りながら水を操る。

今まで水樹によって放出されていた水を利用し、空気中に大量の水分を含んだ霧を発生させる。

その霧によって不可視のギフトを所持していた者たちの輪郭が顕になる。

そして騎士たちの足元から水流の槍が飛び出し、四方八方から襲う。

空飛ぶ靴を所持していた者は飛んで逃げようとするが、まるで未来でも読んでいるかのように補足され、墜とされていく。

その光景を飛鳥は悔しそうに見ていた。

 

「せめて今みたいに水を上手く使えば不可視の敵程度なら補足できる。さっきもそうしていれば不意を撃たれることはなかったはずだ。もし悔しいなら力を磨き、知識を付け、慣れろ。修行して経験して見解を広げろ。才能一つだけでどうにかなるほど甘くないからな」

「…………ええ」

 

握りこぶしを作り、悔しそうにしながらそう返す飛鳥。

プライドの高い彼女は悔しいのだろう、自分自身の不甲斐なさが。

今まで人を操るしかできず、ようやく他の使い道を見つけたと思ったらまだまだ殻つきのヒヨコ並みの力しか発揮できず、戦闘面においても経験不足が目立つ。

 

(まぁ、経験不足なのは飛鳥に限った話じゃないが)

 

一誠からしたら耀やジンは勿論、十六夜や黒ウサギも経験不足な面が見える。

格上との戦いはおろか格下との戦いすら少ししかしていないのだろう。

例え格下であろうと場数を踏むのは重要なことだ。

それが命懸けの戦いだとしたら尚更。

そこら辺は今後の課題だなと一誠が思考の片隅で考えた瞬間。

 

「Aaaaaa…aaa……a…………」

 

遠くで甲高い女の声の響きと共に、巨大な気配が生まれた。

それを感じ取った瞬間、既に一誠は行動に移っていた。

 

「飛鳥」

「なに? ―――っきゃ!?」

 

いきなり呼ばれたかと思えば、一誠は飛鳥は片腕で乱暴に抱きしめた。

いきなりの事に硬直し、異性である一誠に抱きしめられたことに頬を赤く染める飛鳥。

 

「いきなり何を!?」

「離れるなよ」

 

混乱し、腕の中から出ようと藻掻こうとした次の瞬間。

壁を透過して褐色の光が二人を襲った。

 

◆◆◆

 

「星ひとつの力を背負う大悪魔。箱庭最強種の一角―――星霊が僕の切り札だ」

 

“ペルセウス”のリーダー“ルイオス=ペルセウス”によって放たれた“アルゴールの魔王”

―――“アルゴル”とはアラビア語でラス・アル・グルを言語とする“悪魔の頭”という意味を持つ星のことだ。

同時にペルセウス座で“ゴーゴンの首”に位置する恒星でもある。

また、“アルゴル“とは酒、つまり“アルコール”の語源でもある。これは“酒は人を自堕落にさせる悪魔の飲み物”という意味から生まれたものであり、星霊アルゴルがアルゴールとなったのも、飲酒を楽しむ者たちからの信仰によるものだろう。

他にも“原初の悪魔(リリス)”とも呼ばれており、あらゆる悪魔の母と云われている。

 

「これが星霊・アルゴール…………! 白夜叉様と同じく、星霊の悪魔…………!!」

 

黒ウサギは戦慄しながらアルゴールの姿を見る。

体中に拘束具と捕縛用のベルトを巻いており、女性とは思えないほど乱れに乱れた灰色の髪。

 

「GEEEEYAAAAaaaaaaaaa!!!」

「下がってろよ、御チビ。守ってやれる余裕はなさそうだ!!」

 

ジンにそう言い残し、突っ込んできたアルゴールと壮大な殴り合いを始める

十六夜に対し、申し訳なさそうな表情をするジンと黒ウサギ。

星霊が相手だと言うのに手助けできないのに罪悪感を感じているのだろう。

 

「やれやれ、本当に人間かい? 星霊と正面から殴り合うなんて正気の沙汰じゃないね」

 

上空で傍観を決め込んだルイオスは黒ウサギ達に話しかける

アルゴールと殴り合う十六夜を呆れた表情をしながら見つめる

 

「貴方は参加しないんですか?」

「おいおい、それじゃ面白くないだろ? 君たちは初めて最奥までたどり着いたプレイヤーなんだ。もう少し楽しませてくれよ」

 

一週間前と違い、落ち着いた雰囲気を見せるルイオス。

目の前でアルゴールが殴り飛ばされているというのに冷静な彼を見て、黒ウサギはどこか薄ら寒いモノを感じた。

 

「その余裕が何時まで続くか見ものデスネ。貴方が敵に回したのは名だたる英傑にも劣らない―――最強の問題児なのですから!!」

「確かに、ただの“名無し(ノーネーム)”風情だと思っていたことは謝罪しよう。けど、本当にその程度で勝てると思ってるの?」

 

ルイオスが軽薄な笑みを浮かべながらそう言った瞬間、彼の横をもの凄い勢いでアルゴールが吹き飛んでいった。

首をコキコキと鳴らしながら近づいて来る十六夜に、ルイオスは口元をヒクつかせる。

 

「うわぉ」

「おいおい、星霊の力はこんなもんじゃないはずだろ。続けようぜ、ゲームマスター」

「…………君、本当に人間かい?」

「失礼だな。俺は正真正銘純粋培養の人間だぞ」

「やれやれ、君みたいな人間がいるものか。まあいい。―――アルゴール! 宮殿の悪魔化を許可する!!」

「RaAAaaaaa!! LaAAAA!!」

 

謳うような不協和音が世界に響く。

途端に白亜の宮殿は黒く染まり、壁は生き物のように脈を打つ。

宮殿全体にまで広がった黒い染みから、蛇の形を模した石柱が数多に襲いかかる。

 

「ああ、そういえばゴーゴンにはそんなのもあったな」

 

ゴーゴンには様々な魔獣を生み出した伝説がある。

そもそも“星霊”はギフトを与える側でもあるのだ。今や白亜の宮殿は魔宮と化し、その全てが“ノーネーム”の敵だ。

上空から見下しながら、ルイオスは十六夜へと話しかける。

 

「もはやこの宮殿はアルゴールのチカラで生まれた新たな怪物だ。君にはもはや足場の一つも許されない。怪物と化した宮殿と魔王が相手だ。このギフトゲームの舞台にいる限り、君たちに逃げ場はないよ」

 

その言葉を証明するかのように数千の蛇が十六夜に襲い掛かり、その身を飲み込む。

宮殿そのものに飲み込まれた十六夜は、その中心でボソリと呟いた。

 

「―――……そうかい。つまり、この宮殿ごと壊せばいいんだな?」

 

十六夜は無造作に振り上げた拳を、黒く染まった魔宮に向かって振り下ろした。

数千の蛇蝎は一斉に砕け、十六夜の周りから霧散する。

それだけに留まらず宮殿全体が震え、闘技場が崩壊し、瓦礫は四階を巻き込んで三階まで落下した。

 

「わ、わわ!?」

「ジン坊ちゃん!」

 

崩壊に巻き込まれそうになったジンを黒ウサギが受け止める。

今まで余裕の表情を保っていたルイオスも、流石にその惨状に息を飲んでいた。

 

「ふざけているね。一体どんなギフトを持っているんだ?」

「ギフトネーム“正体不明”。悪いな、俺もよくわからないんだ」

「ふーん。――――終わらせろ、アルゴール!!」

 

星霊・あるゴールは謳うような不協和音と共に、褐色の光を放つ。

これこそ“アルゴルの悪魔”を魔王に至らしめた根幹。

天地に至る全てを褐色の光で包み、灰色の星へと変えていく星霊の力。

その褐色の光を十六夜は真正面から見据え―――

 

「―――ハッ! しゃらくせえ!!」

 

褐色の光を踏みつぶした。

それは比喩でもなんでもなく、文字通りの意味だ。

アルゴールの放った褐色の光は、十六夜の一撃でガラス細工のように砕け散り、影も形もなく吹き飛んだ。

 

「本当に出鱈目だね」

「褒め言葉として受け取っておくぜ? まさかこれで終わりじゃないだろうな?」

 

肩の調子を確かめるようにグルングルンと回しながらルイオスの方へと歩いていく十六夜。

十六夜に対して応答したのはルイオスではなく黒ウサギだった。

 

「残念ですが、これ以上のものは出てこないと思いますよ?」

「なに?」

「アルゴールが拘束具に繋がれている時点で察するべきでした。…………ルイオス様は星霊を支配するには未熟過ぎるのです」

「―――チッ。所詮は七光りと元・魔王様。長所が破られれば打つ手無しってとこか」

 

黒ウサギの言葉に言い返さず、俯き、全身を震わせているルイオスを見て、失望したと吐き捨てる十六夜。

しかしこのままでは面白くない。

十六夜がこの上なく凶悪な笑みを浮かべ、ルイオスを追い立てようとしたその時―――

 

「―――フフフ、アハハハハハハハハハ」

 

いきなり爆笑し始めた。

追い詰められすぎて精神がおかしくなったとか、そんなのではない。

ガレキにまみれた闘技場の上空で笑うルイオスから、えも知れぬ悪寒を感じさせる。

ひとしきり笑い終わったあと、ルイオスはギフトカードからではなく、懐から小瓶を一つ取り出した。

その小瓶の中身は黒く、傍目からはわからない。

 

「お望み通り続けてあげるよ。―――クソ“名無し(ノーネーム)”風情がアッ!!!」

 

先程までとは一転、歪んだ狂気の笑みを浮かべながら小瓶を握り潰した。

中に入っていた小さな数匹の蛇がルイオスの手首を噛みちぎり、彼の体内へと侵入する。

その蛇は血管を伝い、体の中心へと消えていった。

そして――――

 

「ハハハハハハハハハ。すばらしい!! これ程までに力が漲るのは初めての経験だ。初めはあの商人に騙されたと思ったけど、素晴らしいじゃないか!!」

 

ルイオスの霊格がありえないほど膨張した。

今も膨張し続ける霊格が大海だとすれば、先程までの彼の霊格は水たまりにも等しい。

現在のルイオスの霊格は四桁、三桁の英傑にも劣りはしない。

 

「あ、ありえません!! なんですか、この急激な霊格の膨張は!!?」

 

黒ウサギはひどく混乱していた。

十六夜の奇跡を宿しながら奇跡を破壊する矛盾するギフト“正体不明”の出鱈目さにも思考が追いつかなかったというのに、次の瞬間にはルイオスの急激なパワーアップ。

しかも上層の英傑クラスときた。

箱庭で長く暮らしていたからこそ、彼女の混乱は一入だろう。

しかし、自体はそんな彼女を無視して進む。

 

「アルゴーーーーール!!!」

 

ルイオスがアルゴールの名を叫んだ瞬間、彼女にも変化が訪れていた。

今で全身を縛っていた拘束具は尽くちぎれ、彼女人身の体格なども変化していく。

先程までふた回りほど大きかった体格は十六夜と同じくらいに。

乱れに乱れた灰色の髪も美しく整い、表情も悪魔から人間の女のそれへと変わっていく。

全ての変化が終わった彼女は、それこそ黒ウサギさえ寄せ付けないほどの絶世の美女だった。

途方もない威圧感と、まるで“美”という概念が擬人化したようなアルゴールの姿に、ジンや黒ウサギ、十六夜の三人は眼を奪われていた。

そんな三人に対し、ルイオスはただ一言。

 

「やれ」

「LAAAAAAAAaaaaaaaaaaaa!!!!」

 

先程までと違い、只々美しい声を響かせるアルゴール。

瞬間、星の一撃が三人を襲った。

 

◆◆◆

 

ほんの数十分前。

 

「…………助けてくれてありがとう」

『気にするな』

 

突如襲いかかってきた褐色の光を防いでくれたフェンリルに礼を言う耀。

周囲に石像とかしたペルセウスの騎士たちを見て、冷や汗を流す。

 

「耀、無事だったか」

 

いきなり背後から話しかけられ、びくんと肩を震わせる耀。

臭いも気配も何も感じずに背後から話しかけられたのだからそれも仕方ないだろう。

しかし、声の主が一誠だと気づき振り返る。

 

「うん。そっちもだいじょう―――」

 

ぶだった? とは最後まで言えなかった。

原因は一誠にお姫様だっこされ、着ている服装に負けず劣らず赤面している飛鳥だった。

 

「…………なんでお姫様だっこ?」

「これ以外の方法で抱き上げたら文句を言われそうだからな」

 

確かに脇に抱き抱えたりなんかしたら、このプライドの高い友人は文句を言いそうだ。

しかし、それを理解したとしても何故か面白く感じない。

 

「むぅ…………」

「どうした?」

「…………何でもない」

 

ぷいと一誠から視線を逸らす耀。

わけが分からずに首を傾げる一誠。

 

「いい加減、下ろしてくださる?」

「ああ、悪い」

 

忘れていたといった感じに飛鳥をゆっくりと下ろす。

下ろされ、深呼吸を何度かし、気持ちを落ち着ける飛鳥。

 

「鈍器か何かで殴られたか? 骨が何本か折れているな」

「うん、思いっきり殴られた」

「ちょっと、大丈夫なの?」

 

脇腹を抑えている耀の手をどけ、軽く摩りながら触診する一誠。

骨が折れている事を確認したが、特に治療などはしなかった。

いや、それ以前にそんな事をしている暇がなかったというべきか。

 

「LAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

三人の中でも特に耳が良いわけではない飛鳥の耳にも確かに聞こえた。

とても美しく、とても―――恐怖を感じさせるそれを。

遥か上層にいると言うのに、飛鳥と耀の二人は体の震えを抑えきれなかった。

精霊の―――星一つの殺意が無差別に振りまかれているのだ。

眉一つ動かさずに平然としている一誠の方がおかしい。

 

(この感じ、『蛇』か? ルイオスって奴のオーラが桁違いに上がってやがる。それにこの威圧感。流石は『原初の悪魔(リリス)』、いや、流石は“星霊”といったところか)

 

ルイオスはともかく、今現在のアルゴールの力は封印される前の二天龍に届かないくらい。

オーディン、ゼウス、インドラ。

数多の主神格と比較しても謙遜ないほどにアルゴールの力は高まっていた。

 

「飛鳥、耀。今すぐ十六夜たちの元に飛ぶ。近くにいろ」

 

フェンリルを自身のギフトカードに収納し、足元に一つの魔法陣を起動させる。

飛鳥と耀の二人が魔法陣内にいること確認した一誠はすぐさま魔法を発動し、転移した。

 

◆◆◆

 

十六夜たちの元へ転移した一誠たちを迎え入れたのは星の一撃だった。

ただただ乱暴なまでに振るわれたその一撃を、一誠は焦ることなく冷静に受け止めた。

“ノーネーム”の危機を間一髪で防いだ一誠は十六夜たちに一瞥すらせずにルイオスを注視する。

 

「お前、その蛇を何処で手に入れた?」

「これを知っているのかい? これはレティシアを売りに来た商人が寄越したものさ。最初は胡散臭かったけど、想像以上だ!!」

 

新しいおもちゃを買ってもらった子供のようにはしゃぐルイオス。

強大な力を手に入れたことにより、その力に酔っているのだ。

 

(新型の『蛇』か。オーラや魔力などではなく霊格を肥大させる。存在が大きくなるんだからそれに伴って身体能力の大幅アップか。…………今度『赤龍帝の贈り物(ギフト)』でも試してみるか?)

 

霊格に干渉する手段を幾つか模索しようとする一誠。

しかし、それ以上に気になる事がある。

 

(オーフィスが“箱庭”にいる? 居たとしても何故『蛇』を与えるだけで誓をたてさせない? もしくは“商人”とやらが何かしらのデータを取るためか?)

 

一誠はこの時知らなかったが、“主催者権限”や“星の主権”も無しにこれ程霊格を高めるギフトは箱庭には存在しない。

仮に“主催者権限”や“星の主権”を持っていたとしても、此処まで霊格を高めるのは本当に極小数だ。

 

(まぁいい。今の十六夜たちにこのレベルの相手は早い。面倒くさくなってきたし、さっさと片付けるか)

 

無造作に一歩踏み出し、そのままアルゴールとルイオスに攻撃を仕掛けようとする一誠。

しかし、後ろから十六夜が話しかけてきたので踏みとどまる。

 

「おい一誠。漸く面白くなってきたところなんだ。邪魔すんな」

 

闘志を漲らせ、隙だらけな構えをしながら十六夜はそう言う。

そんな十六夜に感情を感じさせない瞳を向けながら一誠は応える。

 

「そうか。ならお前に譲ろうか」

「…………やけにあっさりしてるな」

 

拍子抜けした表情で一誠の方を向く十六夜。

 

「別にお前が犬死した後にやっても構わないからな」

「犬死だと?」

 

一転、怒気を含ませた瞳が一誠を貫く。

しかし一誠は相変わらず冷めた瞳を十六夜に向ける。

 

「犬死だろ? お前があれに勝てると思っているのか? 一方的に虐殺されて終わりだ」

「別に方法がないわけじゃない」

「相手を即死させるギフトでも持ってるのか? 仮にそんなのがあったとしても、態々そんなのに当たってくれると思うか?」

 

その言葉に口を噤む十六夜。

確かに彼には当てるだけで勝利を得られる奥の手が存在する。

しかし、それを全盛期に近い星霊に当てるのは、今の十六夜には至難の技だ。

十六夜の戦い方はあくまで“喧嘩”の延長でしかなく、技術もへったくれもない。

しかし、だからこそ今の十六夜の相手にルイオス=ペルセウスは丁度いい。

 

「アレとやっとけよ。今の十六夜には丁度いい」

「…………っち。一誠、今度俺と戦えよ!!」

 

返答を聞かずに空を飛んでいるルイオス目掛けて突っ込む十六夜。

そんな十六夜に呆れた表情を浮かべながらも、どこか面白そうな笑みを作る一誠。

 

「やれやれ、こっちはこっちでとっと終わらせるか」

「LAAAAAAAAaaaaaaaaa」

 

歌のような叫び声をあげながら一誠に攻撃を仕掛けるアルゴール。

しかし―――

 

「―――邪魔」

 

一瞬の閃光。

そして、

 

「LA……aa……a……a…………」

 

アルゴールの胸元に直径3センチ程の穴が空いていた。

先ほどとは打って変わって、微かな悲鳴と共にアルゴールは倒れた。

 

(星一つの力を背負った悪魔といってもこの程度か。まだサーゼクスの方が楽しめるな)

 

バアル家の特徴である『滅びの魔力』の化身とも言えるサーゼクス・ルシファー。

膨大な魔力量を誇り、本気を出せば周囲を無差別に消滅させていく彼と比較すれば、今のアルゴールはさした驚異ではない。

 

(せめて理性があれば違ったのかもしれないが。…………あんなお坊ちゃんの言われるがままに力を振るうだけじゃなぁ)

 

サーゼクス・ルシファーの様に強大な力を練磨と才能によって十全に発揮して戦うのではなく、只々力任せに振るうだけ。

それではダメなのだ。

時間を費やし、才能と長き歴史により培われた“技術”でなければ一誠を楽しませることは出来ない。

或いは『忘却の王(エンドレス)』の様に、一誠と同等かそれ以上の力を振舞う存在でなければ楽しめない。

 

(ああ、勿体無い)

 

十六夜とルイオスの戦いを見て、一誠はそう思う。

あれだけの才能がまともに磨かれていないがゆえに。

 

(飛鳥も耀もだ。世の中には何十、何百年と死ぬような修行をして尚己の非力を怨み、外法に身を落す者が多くいるってのに。贅沢な話だ)

 

神滅具に莫大な魔力を宿す一誠は、その力を羨む凡愚に嫉妬や増悪などの感情を向けられてきた。

自分にも才能があれば、なぜ自分には力がない、何故何故何故。

家族に知人、身近な誰かを守りたい。敵を伐ちたい、あいつに勝ちたい、他人よりも特別な力が欲しい。

それら叶わず、増悪と怨嗟の声を上げ『怪物(ばけもの)』になる者は数え切れない程にいる。

そんな彼らが羨むほどの(才能)を十二分に扱えない十六夜たちを見て、一誠は心底もったいないと感じる。

 

「…………まぁ、でもこれからか」

 

出鱈目な力を振り回す十六夜を見て、そう呟く一誠。

しかし、その瞳はとうてい仲間を見るようなものではなかった。

 

◆◆◆

 

(ありえません)

 

黒ウサギは今日起こったことが現実だとは思えなかった。

大雑把に理由を上げるとしたら3つ。

1つ、“ルイオス=ペルセウス”の霊格の肥大化。

2つ、

 

「ガアアアッ!?」

「ヤハハハハハハハ、どうしたどうした英雄サマ! 今のは本気の悲鳴に聞こえたぞ!!」

「―――っ?! 調子に乗るな、“名無し(ノーネーム)”風情があアアッ!!」

 

今のルイオスは黒ウサギと互角とまではいかないまでも、それに近い運動能力を見せている。

しかし、肥大化した今の力に体が慣れておらず、時折自分の移動速度に目が追いついていない。

自身のイメージ以上に体が動いてしまうための弊害だ。

これが歴戦の戦士だったら僅かな時間で慣れたであろう。

しかし下層では“ペルセウス”に敵うコミュニティは少なく、アルゴールを破れる者がほぼ皆無なため戦闘の経験が少ない。

それでも驚異的な力を振舞うルイオスを相手に一方的な勝利を収めつつある、“正体不明”という出鱈目なギフトを所持する逆廻十六夜

そして3つ目は――――

 

(星霊・アルゴールを一瞬で。全盛期の“アルゴールの魔王”は各神群の闘神や戦神…………護法十二天に匹敵する程だと聞き及んでおります。それをあんな簡単に…………っ?)

 

兵藤一誠の存在である。

“護法十二天”とは最強の武神衆で、各神群の武神や闘神によって構成された上層の魔王討伐を旨とする連合コミュニティ“天軍”を仕切っているほどだ。

黒ウサギの主神である“帝釈天(インドラ)”を筆頭に“火天(アグニ)”“焔魔天(ヤマ)”“羅刹天(ラクシャーサ)”“水天(ヴァルナ)”“風天(ヴァーユ)”“毘沙門天(ヴァイシュラヴァナ)”“伊佐那天(イシャーナ)”“梵天(ブラフマー)”“地天(プリティヴィー)”“日天(スーリヤー)”“月天(チャンドラ)”の十二の善神。

十二天と同等となれば、それは確実に最強種だ。

“星霊”“生来の神霊”“純血の龍種”。

箱庭の上層ともなれば最強種クラス(・・・・・・)の強者は数少ないが、それなりに存在する。

しかし“最強種”は文字通り格が違う。

霊格、ギフトは勿論、殺すことはおろか傷つけることさえ非常に困難なのだ。

インド神群“風神(ヴァーユ)”の息子である“猿神(ハヌマーン)”、ゾロアスター神群の悪神“アジ=ダカーハ”、クマルビ神群の怪物“ウルリクムミ”辺りが顕著だろうか。

神話において、タダの人間が神を殺すというのはほぼ皆無である。

それこそ“ペルセウス”の様に“半神半人”の英雄か、主神級の神仏から恩恵を授かった一部の“聖人”くらいだ。

不老不死の恩恵(ギフト)を与える話も枚挙に暇がない。

魔法の鞘を得た“アーサー王”、“悪竜ファーブニル”の血を浴びた“ジークフリート”。“斉天大聖”などの様に特殊な例もあるが。

“星の年代記”や“宇宙心理(ブラフマン)”である彼らを殺そうとしたら、それこそ人類史を終わらせるか星を消し飛ばす一撃(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)を与えねばならない。

特に“星霊”は最強種の中でも頂点に位置しており、それは戦闘能力の問題ではなく人類の発祥とは無関係に必ず誕生するためである。故に“星霊”を完全に殺すことは無限に存在する世界を破壊し続ける様なでたらめな力でない限り不可能である。

“ハルパー”の様に星霊殺しの恩恵を使ったわけでもなく、“主催者権限(ホストマスター)”を使い霊格を取り込んだわけでもない。

唯々純粋な力でアルゴールを殺したのだ。

ルイオスに隷属しているので純粋な星霊に比べれば難易度が幾分か低いのも事実だ。しかしだからと言って、それが容易いかと聞かれたら、答えは否だ。

先ほどの一瞬にして放たれた一誠の攻撃は世界を破壊するのに値する一撃(・・・・・・・・・・・・・・)だった。

 

(それほどの攻撃にもかぎらず、息切れ一つ起こさずに涼しい顔をしている。しかも周囲に影響は一切なし。そんなのは“星霊”でも不可能なはず。一誠さん、貴方は一体―――)

 

何者なんですか? そう思った瞬間、黒ウサギの思考は中断させられた。

原因は十六夜と戦っていたルイオスだ。

 

「アアアアアアアアアァァァァァァァァァァッ」

「―――っ? どういうことだ、これは!?」

 

十六夜も驚愕の声をあげる。

なにせ、先程まで戦っていたルイオス=ペルセウスが萎んだ(・・・)のだ。

霊格が急激に減少し、一瞬でジン以下にまで落ちた。

それだけでは終わらず、体は枯れ、髪は白くなり輝きを失う。

一瞬で老人、いや、もはや生きたミイラと言った方が適切か。

 

「黒ウサギ! 何がどうなってやがる!?」

「わかりません! でもこれって…………?」

「あ…………ァ……ぁ…………」

 

黒ウサギも詳しくは分からずに困惑している。

今にも死にそうなルイオスと困惑している黒ウサギの両者を見て、十六夜は思わず舌打ちをする。

 

「ちょっと、何があったの?」

「いきなり叫び声が聞こえてきたけど、大丈夫?」

「黒ウサギ、一体どうし―――」

 

ルイオスの奇声を聞き取り、黒ウサギたちへと走り寄ってくる飛鳥、耀、ジンの三人。

三人ともルイオスの姿を見て、息を呑む。

ジンは動揺しながらも黒ウサギに話しかける。

 

「黒ウサギ、これって―――」

「YES。ルイオス様の霊格が縮小しています。しかも急激に」

「こんな事ってありえるの?」

「わかりません。人類史の発展と共に否定され、霊格(そんざい)が縮小することは珍しくありません。しかし、これ程急激に減少するなんて聞いたことがありません」

 

人類史や化学技術の発展と共に存在を否定されたモノは数多く有る。

例えば白夜叉。

“天動説”としてあらゆる神群の宇宙観の中心に居座っていた彼女だが、今現在は一介の太陽神と同格の霊格しか残っていない。

例えば雷。

古くは紀元前まで遡るが、今日まで数多くの科学者たちにより科学的に解明されている。勿論、各神群の主神級やその眷属位でなければ扱えないほどに強力な恩恵(ギフト)ではあるが。

以上のことからも分かるように、本来霊格の縮小とは長い時間をかけておこなわれるものなのだ。

 

「違うな。恐らくだが縮小ではなく“喰われて”いる」

「一誠さん…………ッ!」

 

いつの間にか屈んでルイオスを調べている一誠。

突然の事に驚く皆だが、黒ウサギはそれ以上に“喰われている”という言葉が信じられなかった。

 

「ありえません! 霊格とは魂そのもの、それを本人の同意なく奪うなど―――」

「だから言ってんだろ、“喰われている”と」

 

そう言われ、言葉に詰まる黒ウサギ。霊格を喰われるなど聞いたことがなかったからだ。

驚愕に満ちる周囲を無視して、一誠は考察を続ける。

 

「確か、霊格を引き上げるには“神格”を付与されるか“似像”の規模を広大させるなりしなければならないんだったか? でもこれは。…………ああ、なるほど。擬似的な“神格”…………いや、“加護”の付与と限定的な“似像”の広大を同時にしているのか。そして“霊格”の膨張がピークに達したとき、魂ごとそれを『蛇』が喰らう。上手くいけば“恩恵”まで奪い取れるわけか。クハハ。力を奪う『蛇』、ね。そんなモノを創るとは。『サマエル』にやられたことをそのまま応用したわけか。オーフィス」

 

くつくつと楽しそうに笑う一誠に、誰も何も言えない。

この惨状を楽しそうに笑う一誠に得体の知れない恐怖を感じているからだ。

ひとしきり笑ったあと、一誠は立ち上がり黒ウサギへと視線を向ける。

 

「見ての通り、“ペルセウス”のゲームマスターは行動不能だ。このゲーム、俺たちの勝利でいいのか?」

「え? あ、はい。少々お待ちください」

 

突然そう問いかけられて、反射的に箱庭の中枢へ判定を調べる黒ウサギ。

ほんの数秒ウサ耳をピクピクと揺らし、

 

「はい。ギフトゲーム“FAIRYTALE in PERSEUS”はホスト側ゲームマスターであるルイオス様が打倒されたと判断されました。よって勝者“ノーネーム”となります」

 

黒ウサギがそう宣言した瞬間、割れるような音と共にゲームフィールドからペルセウスの本拠へと戻された。

時刻は既に夕方に近く、赤い太陽の光が六人の姿を照らす。

ゲームに勝利したおかげか、彼らの近くに石化したレティシアが居た。

しかし、ルイオスの状況が状況なので、石化を解く方法がない。

そのことに気がつき、途方にくれたような表情をする黒ウサギ。

一誠はレティシアに近づき、コンっと軽く体を叩いた。

叩かれた処を起点に亀裂が走り、最後は割れるような音と共に石片が宙を舞った。

石化が解かれると共に、気絶したレティシアが倒れそうになるが、一誠が受け止める。

そのままレティシアを抱き抱え、そのまま転移魔法を発動し、全員まとめて本拠へと飛んだ。

“ノーネーム”は無事にレティシアを取り戻せた。

しかし、一誠を除いた全員が納得できない結果ともなった。

ジン、耀、飛鳥の三人は自分の不甲斐なさに。黒ウサギは一誠に対して恐怖と不安を。十六夜はルイオスにおこったことに。

そして一誠は歓喜する。“箱庭”にオーフィスが居る可能性と未知のギフトに。




日数かけてチマチマ書いていたせいか文章が安定しませんね。
文才が欲しいと本当に思います。

8000字書いたからすぐに終わるかと思ってたらそんなことなかった。
最終的に一万四千字超えでした。
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