転生破壊者のヒーローアカデミア   作:ハッタリピエロ

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王の再誕、そして何千年の愛

ソードアートオンラインの世界から帰ってくると冬夜がリーニエでの騒動を解決した後だった。

 

まあ俺は特に関わらなかったので原作と同じだったとか。

 

一番の問題はユウキを連れてきてまたジト目を向けられたことだ。

 

エーテルリキッドの製造も順調らしい。

 

さーてと……そろそろかな……

 

と俺が思った矢先に電話が冬夜からかかってきた。

 

俺は着信ボタンを押すと

 

『真司!産まれるぞ!』

 

冬夜の大きな声が聞こえてきた。

 

いよいよか……

 

俺は分娩室の隣の隣の部屋で待っていた。

 

時々苦しそうな王妃様の声が聞こえてくるような気がするんだが……

 

んで俺はというとただーボケーっとしていた。

 

だってすることないんだもん……俺が出来るのはただ無事に産まれてくれるのを待つだけだ。

 

俺は時間は巻き戻せるが早送りはできない。

 

だからこうして待つしかないと思っていた時おぎゃあ、おぎゃあと元気な声がかすかに聞こえてきた。

 

国王陛下が慌てて飛び出したのに続いて俺も部屋から出た。

 

そして分娩室の前で待っているとレムが出てきて

 

「産まれました。元気な男の子ですよ、母子ともに健康です」

 

「そうか、そうか!男か!」

 

国王陛下が嬉しそうに声をあげる。

 

そして俺と公爵、冬夜の3人で外で待っていると

 

「見てくれ!我が国の跡取りだ!」

 

「おめでとうございます、兄上」

 

「おめでとうございます」

 

俺とユミナが結婚したらこの子は義理の弟になるわけだ。

 

親戚になるかもしれない男の子に俺は不思議な感情を抱いていた。

 

「それでな、真司殿。この子の名前を決めてくれないか?」

 

「あー……とその前に……エンデ入ってきて」

 

俺がそう言うとエンデが入ってきた。

 

「あのですね……喜んでるところ悪いんですが……王の核を取り出したいと……」

 

「あ……」

 

俺の言葉に国王陛下は思い出したかのように顔が一気に真っ青になる。

 

「真司殿……どうか……!」

 

「わかりました。あとは任せてください。冬夜、頼むよ」

 

「わかった。プリズン」

 

無属性魔法プリズンで王の核を摘出したらフレイズの響命音が外に漏れてしまうからな。これで遮断したわけだ。

 

そして王子の中にある王の核を見聞色の覇気と神眼で捉えると

 

<アタックライド、シーフ!>

 

王の核は俺の手の中に転移された。

 

王子を確かめてみたが特に問題はなかった。

 

「成功しましたよ」

 

「おお!そうか……よかった……!」

 

国王陛下とユエル王妃にユミナたちは目に涙を浮かべて喜んだ。

 

レムたちも喜んでいた。

 

さてと……この王の核だが……

 

パキィン!

 

やっぱりか。

 

俺はゆっくりと王の核を床に置いて結晶が広がるのを見届ける。

 

エンデも神妙な顔をしていた。

 

そしてそれはどんどん形を成していき、ソイツは姿を表した。

 

優雅なアイスブルーの目、美しい結晶体のドレス、そして気品に満ちた佇まい。

 

まさにフレイズの『王』であった

 

「メル……!」

 

そしてエンデに気づくと

 

「エンデミュオン……!」

 

二人はお互いを見るとすぐに抱きつきあった。

 

が冬夜たちはなにかわからないような顔をしていた。

 

ああそうか。フレイズの言葉がわからないのか。

 

「エンデちょっと離れてくれないか?メルに翻訳魔法をかけるからさ。このままじゃ話が進まないだろ?」

 

「そうだね……頼むよ。真司」

 

「アナタは私たちの言葉がわかるのですか!?」

 

「真司は色々と規格外だから気にしたら負けだよ」

 

エンデの発言にちょっとムッとなったが、俺はメルの頭上に手を翳し魔法を唱える

 

「トランスレーション」

 

これでメルも共通語を喋れるはずだ。

 

「あー……僕たちの言葉がわかる?」

 

「!はい、わかります」

 

そして王子をユエル王妃たちに預けて俺たちは別の部屋に移った。

 

「あー……口にあうかどうかはわからんが……飲んでくれ」

 

国王陛下と俺たちの目の前に置かれた紅茶を見てメルは不思議なものを見る目をしていた。

 

エンデは気にせずに飲んでいたが。

 

エンデが飲んでいたのを見てメルも飲むと

 

「っ!?美味しい……」

 

「気に入ってくれたか……それはよかった」

 

俺も飲んでみると前とは違う紅茶だった。しかし相変わらずの美味しさだったが。

 

エンデとメルはお互いの手を重ねあっていた。その姿を微笑ましいと思った。

 

とそんなことを考えていた時、冬夜のゲートが開いてミスミドの獣王とレグルスの皇帝陛下とラミッシュ教皇とリーニエの新国王がやってきた。

 

フレイズの侵略に関することは国を挙げてだからな。

 

と皆が席に着くと

 

ベルファスト国王陛下が口を開いた。

 

「まずは……初めましてだな。フレイズの王よ」

 

「はい……紹介が遅れましたね。私はメル。かつてフレアジアという世界を治めていた王にございます」

 

その気品溢れる佇まいはまさに圧巻。俺や冬夜とは雲泥の差である。

 

今までのフレイズとの経緯は既にメルに話してある。原作とちがって落ち込むということはなかった。

 

「さてと……話を始めようか。君たちはこれからどうしようと思っている?」

 

ベルファスト国王の質問に他の王たちも息を呑む。

 

「私は……フレイズと人間の争いを止めたいです……こんなこともうやめて欲しいって……ネイやユラたちとも話し合って……」

 

「ネイのとこにならリセを行かせたはずだよな?エンデ」

 

「ああ、そうだね。これでネイもこちらについてくれるといいんだけど……」

 

「最悪我らがフレイズを倒しても構わないのか?」

 

今度はミスミドの獣王が聞いてくる。聞きにくい質問だがはっきりさせないといけない

 

「ハイ……止むを得ないでしょう……元はと言えば攻めてきたのはこちらなのですから……」

 

メルも静かながらはっきりと答えてくれた。

 

出来ることならフレイズは来ないで欲しい。

 

この世界にこれ以上面倒ごとを持ち込ませたくないからだ。

 

「しかし……フレイズに対抗する手段はあるのか?」

 

「ああ、それならあります。冬夜」

 

「うん」

 

冬夜がスマホにあるフレームギアの映像を空中に投影すると各国の王たちは驚いた。

 

「これはフレームギアといって五千年前のフレイズの大侵攻の際に対抗手段として用いられようとしていたアーティファクトです。これを蘇らせてフレイズに対抗します。ちなみに既に30体は量産が終わっています」

 

「成る程、確かにフレイズが相手ではこれを使わざるを得ないわけだな」

 

「はい。一応これは巨獣討伐とかにも使えますがね」

 

「ふむ……」

 

皆が真剣な目でフレームギアの映像を見る。

 

「で?エンデ、おまえはどうするつもりだ?」

 

「僕も真司たちに着くことにするよ。こうなってしまった以上全てを片付けないと先に進めないからね」

 

「そうか。それならいいが……」

 

「なに……?またなにか面倒ごとがあるの?」

 

「オルフェノクがこの世界に来た以上……フレイズと手を組まないとも言えないしな……」

 

「確か別の世界の怪人でしたっけ?」

 

「そう。それにオルフェノクだけじゃない。バクスターにアンデッド、魔化魍とかまで来たら最悪だ」

 

果たして俺たちに世界が守れるのか……不安に思っていると

 

「大丈夫ですよ。真司さんなら」

 

「ユミナ?なんでここに?」

 

「お母さまから真司さんたちの元へ行きなさいと言われました。それで……真司さんが思い詰めてるんじゃないかと思いまして……でも大丈夫です。真司さんなら」

 

「ユミナ……」

 

「それに私たちだって手伝います。真司さんには支えてくれる仲間がいっぱいいるじゃないですか」

 

「そうだぜ!ボス!」

 

「バル……」

 

「話は聞かせてもらった!そんな奴ら俺たちで倒してやるぜ!」

 

「ワーハッハッハ!俺も腕が鳴るぜ!」

 

「俺たちもいるんだ。一人で抱え込むなよ」

 

「そうですよ。真司さんにはレムたちがいます!だから安心してください!」

 

そして俺はレムとユミナに抱きついてしまった

 

「ごめん……心配かけて、そうだね……俺には皆がいる。だから力を貸してくれないかな?」

 

「「はい……」」

 

そう言ってユミナたちも抱きついてくる。

 

俺が温もりを感じていると

 

「……ゴホン!そろそろいいかな……?」

 

ベルファスト国王の一言で我に帰った俺たちは羞恥心から顔が赤くなった。

 

「では我々としてもフレイズ対策を考えることでよろしいかな?」

 

「ええ、他の国々にもギルドを通じて協力を持ちかけます」

 

話し合いが終わるとメルとエンデは外に出ていった。

 

・・・・

 

出て行った二人は城のバルコニーでお互いの顔を見つめあって

 

「ごめん……何千年も待たせちゃって……」

 

「…………」

 

「僕が不甲斐ないせいで……君や他の世界を危険な目に晒して……「エンデミュオン」メル……?」

 

「これは私の見通しの甘さが招いたことです。決してアナタだけのせいではありません」

 

「しかし!」

 

「エンデミュオン……アナタは一人で背負いすぎです。確かにアナタは強い。ですが……ユミナさんも言っていたでしょう?頼れる仲間を頼れと。私では力不足ですか?」

 

「いや、そういうわけじゃ」

 

「アナタには私がいます。だから私も頼ってください……」

 

「メル…そうだね…僕にもメルだけじゃない。頼っていい友達もできた。だから力を貸してくれるかな?」

 

「ハイ……」

 

お互いの顔を見つめ合って赤くなる。

 

「エンデミュオン」

 

「なに?」

 

「五千年経っても……アナタの気持ちは変わりませんか?」

 

「!」

 

エンデは必死に首を縦に動かす。

 

「なら……私はアナタが欲しい……来てくれませんか?」

 

そう言ってメルは両手を広げる。

 

「うん……」

 

そしてメルの胸に飛び込むエンデ

 

(メルの胸……相変わらず冷たいけど……とってもあったかくなる……)

 

(エンデミュオン……やっと……こうして会えた……嬉しい……!)

 

そして二人は抱き合い五千年、いや何千年ぶりの愛を確かめ合った。

 

 

 

活躍させてほしいメインヒロイン

  • 柳レイ子
  • ユミナ・エルネア・ベルファスト
  • ボア・ハンコック
  • 他のヒロイン

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