あの日以来私と空野くんは一緒に帰るようになっていた。
私は嬉しかった。
今まで一緒に帰ってくれる相手などいなかったからだ。
そしていつものように帰る途中、その日は公園に寄っていった。
そして、たわいもない話をしてると
個性について聞かれた。
「柳さんの個性って何なの?」
怖かった。空野くんが私から離れるんじゃないかと。
それでも話してしまった。
だが、空野くんは
「すごいじゃん!その個性!」
予想外すぎることを言われた。あの人以外にそんなことを言われたことがなかったからだ。
「うぐっ…」
「どうした!?なんか悪いこと言っちゃった?」
「違うの、嬉しくて……」
空野くんの知り合いにも私と同じような個性を持ってる人がいるらしい。
ああこれが嬉しいってことなんだなあって思えた。
「そうだ!お互いに友達になったことだしなんか交換しねえか!」
そう言って空野くんは私にオールマイトのキーホルダーをくれた。
こうして1日が過ぎていく。
・・・・
次の日から私は学校で虐められなくなった。
その代わり誰も空野くんに近寄らなくなっていた。
多分私を、庇ったのが原因だろう。
いつものように公園で話してると
「ごめんね…」
突然そんなことを言ってしまった
「ちょっ、いきなり…」
「私のせいで…空野くんが…」
ああこんな自分がウラメシイ。もういなくなった方がいいのかな…
そんなことを思ってたら
「何言ってるんだ!お前のせいなんかじゃない!」
空野くんが私に対して文句を言った。
「違う…!私のせいで……」
「俺が学校で誰からも相手にされなくなったことか!?
あれはおまえのせいなんかじゃない!いや、むしろあんなやつらなんかと関わりたくもない!!」
空野くんは私のことを責めてない。
どうして!こんな私なんかを?
「俺がお前を助けたのも全部俺がやったことだ気にするな。
お前には笑顔でいて欲しいんだ。だから泣くな。笑顔でいないと幸せは逃げちゃうぞ」
そう言った空野くんの言葉はとっても暖かかった。
「うぐっ…ありがとう…ありがとう……」
気づけば私は空野くんを抱きしめていた。
恥ずかしいのだろうが、今は全然恥ずかしくない。
空野くん縋り付き泣きじゃくった。
「ごめんね…急に抱きしめちゃって」
この男平然ぶってるが
内心ではかなりドキドキしていた。
それもそのはず前世を含めると20歳の大人なのだ。
子供とはいえ女の子に、抱きしめられたことなどない男がした初体験はとても心地よかったものだったらしい。
そして二人は下の名前で呼び合うようになり、さらに仲を深めていった。だがこの時は知るよしもなかった。この後レイ子を待ち受ける悪夢があることを。
私は一人寂しく帰っていた。何でも真司に用事があるらしく先に帰ってしまっていたからだ。
そもそも昔は一人で帰っていたのだ。なにも寂しくなんかない!
そう思っても。何故か涙がこみ上げくる。
『大丈夫だよ〜〜レイ子ちゃ〜〜ん。私と一緒に遊びましょ〜〜』
不気味な声が後ろから聞こえた時、私は意識を失った。
一人の少年が通学路を走っていった。友達の女の子を迎えにいくためだった。だが肝心の子は見つからず帰ろうとした時、
ふと落ちてるものを目にした。
それはその子が身につけてるはずのキーホルダー自分の名前が書いてあったから間違いない。
しかも引き千切ったかのような痕跡だ。もしかして何かあったのでは?
「どこの誰だか知らねえが……レイ子に手をだしたらただじゃ済まさねえ……」
<アタックライド、スコープ!>
・・・・
意識が戻った私がまず気づいたのは自分が縛られているということだった。次に目にしたのは狭い小屋の中だった。薄気味悪く
ジメジメとした感じがした。
「ようやく目が覚めたね。レイ子ちゃん」
声の方へ振り向くとそこには私の担任が居た。
「嘘…なんで…」
「君が愛しすぎるからだよ。虐められていたその姿も可憐だが、最近は明るくなりすぎて君の愛しさが私の中で消えてきてしまっている!!それでは駄目だ!君には常に暗くいてもわねば!」
狂ってる。この人は本気で狂ってる。
何故こんなことを?
「こんなこと辞めてください!お願いです!」
「そんなこと言われて辞めるなら、こんなこと実行しないさ。
君を更なる絶望に落とせば私の中の君の愛しさはますます増ッ!」
怖い。私の心を占めているのはその感情だった。
「いいよ!その表情がイイッ!!それこそ私が求めてたものダッ!!」
助けて……真司…
そう思ってたら突然ドアが蹴破られた。
彼女の願いが叶えられた瞬間だった。
「おっ、!お前は何者なんだ!」
「通りすがりの仮面ライダーさ…」
そう言った仮面の戦士はベルトにカードを差し込み
<アタックライド、クロックアップ!>
私の拘束を一瞬で解き、私を助け出した。
「てっ、てめえ!ただじゃおかねえっ」
仮面の戦士は男に一瞬で近づき一撃で倒した。
「あっ、あの?貴方は?」
「いいか。落ち込んだ時は笑え。笑ってるやつが一番幸せなんだからな」
その言葉を私は聞いたことがある。
「ツッ、ツカサさん?」
私はそうかと確信した。
そして仮面の戦士がその姿を現わす。
ああ、そうか。だからあんなにも似ていてたんだった。
「大丈夫か?レイ子♪」
私は真司に思いっきり抱きついた。
そうあの日真司が私のヒーローになった日だ。
・・・・
これが私のオリジン。
「おーい、レイ子ー!特訓再開するぞー!」
「レイ子ちゃーん♪一緒に頑張ろー!」
波動先輩には未だに慣れない。
でも真司が信じている人だ。悪い人でもない。
苦手だからって嫌ってるのはあいつらと一緒だ。
私も早く波動先輩と仲良くしなきゃ。
そして早く強くならなきゃ。
真司の隣に立つ為に。
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