火野映司/オーズが幻想入り   作:真奪還

3 / 13
初変身と初バトル回です! 超グダグダ!


第003話 人里とヤミー襲来とオーズ再誕

「うわー! 凄い活気だなぁ!」

 

 人里へと着いた映司と神子。映司は人里の活気を見、感動している。

 

「いやー、俺も色んな所を旅をしてるけど、こう言うのは何時見ても良いモノですね」

「そういうものなのですか?」

「はいっ」

 

 映司はこういった街の通りが好きだ。ここに住んでいる人の顔や情景、そういったものが凝縮されているのだ。

 神子は先程から映司を見ているが、やっぱりちょっと変わっただけの普通の青年だ。やはりこの警戒も自分の思い込み過ぎではないのだろうか。神子はそう思い始めてきた。

 

「揚げ饅頭とかないかなぁ、久しぶりに食べたいなぁ」

「好物なんですね」

「はい、まぁ昔、何十個も食べた時は流石に飽きちゃいましたけどね」

「当たり前ですよ」

「ははは、ですよねー」

 

 などたわいもない話をする二人。すると、神子が会話を切り出してきた。

 

「……映司。先程、話した幻想郷の住人が持つ能力の説明は覚えてますね?」

「はい。それがどうかしたんですか?」

 

 幻想郷の住人にはそれぞれ能力を持っている。

 冷気を操ったり、雷を操ったり、時間を操ったりと様々だ。そして神子の能力は――

 

「私の能力は【十人の話を同時に聞く事が出来る程度の能力】。言葉通り十人の話を聞き、理解することが出来ます。

 そして今は相手の欲も聞こえるようになりました。しかし――」

「しかし?」

「映司。君はただの人間のはずなのに欲が全く聞こえませんでした。それにいきなり幻想郷に来ても大して慌てもしなく、幻想郷の話もすぐに信じた……。

 君は『不思議なことには慣れている』と言ってましたが…………、一体どんな不思議ことがあったのですか?」

 

 神子がこう言ったのは単純に『興味が湧いた』のだ。

 なぜ普通の人間である映司が欲が聞こえないのか、そんな興味が湧いてきたのだ。それに理由を知るためには本人に直接聞いた方が早いと判断したからというのもある。

 

「えっと……」

 

 聞かれた映司は口を濁し、考え込む。しかしそれもすぐに終わり、意を決したかのように話し出そうとした。

 

 

 その時――――

 

「実は――」

 

 そう遠くない距離から悲鳴が響き渡った。

 その悲鳴に呼応したかの如く、あれだけ活気に満ち溢れた人里が一瞬で静かになる。それも、嵐の前の静けさでありすぐにざわざわと嫌な意味で騒がしくなった。

 

「一体なにが……!?」

 

 いままでの優しげな顔から一転、緊張と警戒に満ちた顔になる映司。

 

「分かりませんが……不穏なことであることは間違いないようです――ぐぅ……!?」

「神子さんッ!?」

 

 急に神子はその場で蹲(うずくま)ってしまった。なぜなら聞いてしまった、ここにいる大勢の人々の欲さえ掻き消してしまうほどのどこまでも純粋でどこまでも強壮たる欲を。彼女でさえ今まで聞いたことのない禍々しい欲望の奔流を。だから怯んでしまったのだ。

 

「(これは欲……!? だけどこんなに巨大で禍々しい欲は……!?)」

「神子さんッ! 大丈夫ですか!?」

 

 蹲っている神子に映司は駆け寄り、容態を確認する。

 神子は先程聞いた欲の大きさに頭痛を感じながらもなんとか返事をした。

 

「大、丈夫です……。それより気をつけてください……!」

「気をつけるってなにを……!?」

「禍々しい欲が聞こえ、ました……。もうすぐこちらに来ます……!」

 

 ――その瞬間。

 

「――ぎゃああああああ!?」

「ひいいぃぃぃぃぃ!?」

 

 ざわめきは悲鳴の合唱に変わる。

 人々は我先にと“驚異”から逃げ出す。刹那にして人里は地獄絵図へと変貌した。映司は逃げ出す人達の最後尾に見た。

 里の守護者である上白沢慧音とその親友である藤原妹紅が人形の動物に人間の顔が付いたような異形、映司にとって決して忘れられないその“驚異”――ヤミーと戦っているところを。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 ヤミーの襲来はあまりにも唐突だった。人形の蜥蜴に人間の顔が付いた異形――トカゲヤミーが襲い掛かり人間達を喰い始めたと思ったら、すぐに血塗れの状態の妹紅がやってきてトカゲヤミーに炎を放った。それも弾幕ごっこでのあくまで『遊び』の炎ではなく、殺意を籠めた『殺す為』の炎を。

 慧音は呆気に取られていたが白沢(ハクタク)としての本能が目の前の異形を『退治』するものではなく『倒す』ものと判断し、妹紅の加勢へと向かった。

 

「ぐああぁぁぁぁぁ!!?」

 

 トカゲヤミーが自警団の男の肘から先までの腕を喰った。喰われた男は壮絶な痛みに悶え苦しむ。

 

『モット……! モットタベタイィィィィィィィィッ!!』

「下がれ! コイツとは私達が戦う! お前達は逃げた人達を頼む!」

 

 慧音の指示に従い、自警団は逃げ出した住民たちの誘導に向かった。状況は慧音たちの不利だ。頑強な鱗に覆われたトカゲヤミーには十分な殺傷力が籠った弾幕も軽い傷をつけたり怯んだりするだけ、致命傷を与えるには程遠い。

 

「ックソ。ウザい位に硬い体だ」

「だが、私たちが頑張らなければ……!」

「ああ、分かってるよ」

 

 そうは言うがこのままではジリ貧である。その時、トカゲヤミーに向かって地上と空中から二つの弾幕が放たれた。援軍が来たのだ。

 

「助太刀いたします!」

「やっぱりヤミーだ! でもなんで……!?」

 

 援軍の正体は最近、幻想郷にやってきた聖人。豊聡耳神子と恐らく外来人であろう青年だった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「ヤミー……映司。あれを知ってるのですか?」

「はい。あれはヤミー、人の欲望が具現化した怪物で俺が体験した不思議な事の一つです。だけど、」

「だけど?」

「アイツらもう生まれないはずなんです。だから変なんですよ」

 

 そうヤミーを造り出す者たちはもういない、神子には話してないがその者たちは全員、映司と仲間達が倒したのだから。

 だからなぜヤミーがそれも、幻想郷に――――

 

「――詳しい話はあとで聞きます。映司、君はどこかに隠れていてください」

「ですけど……」

 

 そんな映司に神子は語気を強めながらこう言った。

 

「映司。君はただの人間だ、だからはっきり言って足手まといなんです」

 

 確かに神子の言うとおりだ。今の自分はただの人間。かつてあった戦う力もいまはもう、ない。

 

「はい……」

 

 もちろん納得はしていない。だけどこれが一番正しい判断なのも分かって、映司はどうしようもなく悔しかった。

 力を求めなくとも伸ばした手を紡げば、絆があればどこまでも届くのは先の戦いで分かった。分かったのだが、だけど今は――

 そうこう考えてる内に神子を交え、トカゲヤミーとの戦いが始まった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 ――仙符「日出ずる処の道士」

 ――滅罪「正直者の死」

 ――始符「エフェメラリティ137」

 

 蜥蜴の異形に向かって様々な彩りの弾幕が放たれる。人が見れば美しいと言うだろう、しかし今のは一つ一つが殺す為の力を秘めたものになっている。

 

『グオォォォォォォ!?』

 

 弾幕のラッシュにさすがに頑丈なトカゲヤミーも効いたのか吹っ飛び、ゴロゴロと転がって。

 しかし、

 

『モット! モットタベタイィィィィィィィィ!!』

 

 すぐに起き上がり、三人に襲いかかる。

 

「硬いだけではなくタフと来た。厄介な相手だよ、まったく」

 

 妹紅がそう悪態を吐く、トカゲヤミーは硬い鱗に包まれ防御力はかなり高く体力も凄まじい、オマケに走る速さはかなり物だ。

 しかし妹紅らはトカゲヤミーに持ってない物を持っている。それは空を飛べることだ。空を飛べると言うことは戦闘に置いては、それは大きなアドバンテージになる。しかし、トカゲヤミーに対して決定打を持たないのも事実である。

 

『モットォォォォ…………!!』

 

 手に届かない獲物を見、足掻くトカゲヤミー。確かに決定力はないが、このまま空から遠距離戦で攻めれば勝てるかもしれない。

 

「よし! このまま――」

 

 慧音がそう言った。その瞬間――

 

『グオァァァァァァァァァァァッ!!!』

 

 痺れを切らしたのか、トカゲヤミーが大きく咆哮し、その表皮がボロボロと剥がれ落ちていく。まるで脱皮をするがごとく、全て剥がれ落ちた時にはトカゲヤミーは体格が一回りも大きくなり筋骨隆々の体つきとなった。

 そして、変化はそれだけではない。

 

「ぐうぅぅぅ……!!」

 

 ヤミーが発する欲が更に大きくなったのだ。元々、不調を隠して戦いに挑んだ神子。

 巨大になった欲に耐えきれなくなった。頭が割れそうになるくらいに痛みは激しさを増し、遂に地上にフラフラと堕ちていってしまった。もちろんそれを逃すトカゲヤミーではない、勢いよく――筋肉のせいで速さは落ちたらしいがそれでもかなりの速さ――神子に突進してくる。妹紅や慧音も間に合いそうにない。

 

「(ここまでですか……すいません屠自古、布都……)」

 

 ――大丈夫だと言ったのに、約束を破ってしまいましたね……。

 そんなことを思いながら、来る衝撃に備え目を瞑った。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 慧音も妹紅も神子のことを諦めていた。

 その時、

 

「うおおぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 青年の叫び声が響きいた。

 家屋がトカゲヤミーの突進で盛大な音ともに、壊れた。もうもうと砂煙が立ち込める。神子はゆっくりと目を開ける、どうやら自分は無事らしい。

 

 ――でも何故?

 

 その疑問はすぐに解決した。自分は抱き抱えられていた、青年――火野映司に。恐らく彼は自らの身を挺し、自分を守ったのだろう。

 

「大丈夫ですか? 神子さん」

「――なぜ、ですか……?」

「?」

「なぜ、会って数刻しか経ってない私を、自らの命を危険に晒してまで助けたのですか……?」

 

 神子は新しい疑問が生まれた。映司と神子は会って数時間くらいしか経っていない、しかし映司は命を賭して神子を助けた。それが不思議でならない。

 

「だって当たり前ですよ」

 

 映司はさも当然のようにその疑問に答えた。

 

「神子さんとは朝からの――長い付き合いですから」

 

 ――ああ、馬鹿だ――

 

 神子はそう思ってしまった。あの僧侶と同じような思考である。

 映司は神子を下ろし、自分の後ろに下がらせる。勢いのまま突っ込んだは良いが、戦う手段など持っていない。映司は懐にある二つに割れた赤いメダルに触れる。無い物ねだりなのだと承知しながらも、求めてしまう。オーズの力を、紡いだ絆を壊されない為に明日を迎える為の力が、欲しい。欲してやまない。

 トカゲヤミーがこちらを睨み付け、再度突進しようとする。その瞬間、赤、黄、緑の三個の光が遥か遠方からやってきた。

 

『グオッ!?』

 

 光はトカゲヤミーを吹っ飛ばし、映司の元にやってきた。 急の出来事にこの場に居る全員が驚いている。

 

「取れってこと……?」

 

 三色の光に運命的な物を感じた映司はそれを掴む、光は物質化し確固とした存在になる。

 それは――

 

「コ、コアメダル……!?」

 

 鷹の紋章が刻まれた赤のメダル。

 虎の紋章が刻まれた黄のメダル。

 飛蝗(ばった)の紋章が刻まれた緑のメダル。

 ヤミー同様、この世界には存在しない物。コアメダルだった。

 ――なぜ、なんで、そんな疑問が次々と浮かび上がる。しかし、今は――

 

「神子さん、下がっててください。ここからは、――俺が戦います」

 

 映司は懐から黒を基調に青の幾何学的模様を持つ長方形の物体を取り出しながら言う。

 

「戦うって、どうやって……」

 

 神子の問いに映司は答えず、長方形の物体を腰に取り付ける。物体から帯が飛び出て、映司の体に固定される。

 更に映司は赤黄緑の三枚のメダル。タカメダル、トラメダル、バッタメダルを長方形の物体――オーズドライバーに嵌め込み、オースキャナーでメダルをスキャンしそしてまるで宣言するかのように叫んだ。

 

「変身!!」

 

 ――タカ!

 ――トラ!

 ――バッタ!

 ――タ・ト・バ!! タトバ、タットッバ!!

 

 映司の姿は変貌し、そこには、

 どんな遠方からも獲物を発見できる鷹の目。敵を確実に仕留める虎の腕力。あらゆる物を飛び越える飛蝗の脚力。

 それら全てを併せ持つ超人。――オーズ・タトバコンボが立っていた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「なんだ……あれは……」

 

 慧音も妹紅も神子も全員が驚愕した。当たり前だろう、一見普通の人間である青年が奇妙な歌と共に三色の超人に変身したのだから。

 

「な、なんですか今の……歌?」

「あ、歌は気にしないでください」

 

 映司――オーズはいつも通りの調子で言い、トカゲヤミーに立ち向かう。

 

「ハアァッ!!」

 

 トカゲヤミーに数発のパンチとキック繰り出すオーズ。しかし、脱皮したことにより更に頑強になった鱗の鎧には効果は薄かった。

 

「か、硬い……ッ!!」

 

 少し痛めたのか手をブラブラと振りながら言うオーズ。

 

 ――まずあの鱗をどうにかしなくちゃ……――

 

 オーズは思考する。攻撃するにしてもあの頑強な鱗をどうにかしなくてはいけない、オーズはしばらく考え閃いた。

 オーズは上空にいる妹紅と慧音を見上げる、この作戦には彼女らの協力が不可欠だ。

 

「すいませーん! ちょっと手伝って貰えませんかー!」

 

 二人を見上げ手を振りながら協力を仰ぐオーズ。

 二人にとっては正体不明な存在であるオーズ、しかし味方であることは間違いない。彼女らは地上に降りた。

 

「なんか策でもあんのか?」

「はい。まずはあの怪物の一点に集中して弾幕を撃ってください、そこから俺が攻撃します」

「それでなんとかなるのか?」

「お願い、出来ますか?」

「……これしか無いってんなら、やるしかねぇな」

「あ、ありがとうございます!!」

 

 二人はオーズの作戦に了承、まずは二人がスペルを発動させる。

 

「行くぞ妹紅!」

「ああ!」

 

 ――国体「三種の神器 郷」

 ――蓬莱「凱風快晴-フジヤマヴォルケイノ-」

 

 一点に向かって放たれる弾幕。頃合いを見計らってオーズは地面を叩きつけ、竜の顎を模した紫の斧――メダガブリューを取り出し、トカゲヤミーの腹部に斬りかかる。

 

「たあァ!」

『グオォォ!?』

 

 弾幕によって脆くなった鱗はメダガブリューの斬撃で鱗に包まれた柔らかい肉(?)ごと切り裂かれた。傷口から血のように銀貨――セルメダルが溢れ落ちる。オーズは急いでセルメダルを数枚拾い上げ、メダガブリューにセットする。

 

 ――ゴックン!

 ――タトバ!!

 

「セイヤッ!!」

 

 軽快なメロディと共にメダガブリューの刃が赤黄緑の三色の光に包まれる。そしてトカゲヤミーの傷口に強化されたメダガブリューが叩き込まれる。

 

『グゥゥゥオォォ…………!』

 

 トカゲヤミーはだいぶ弱っている。オーズはトドメを刺すべくメダルを再度スキャンする。

 

 ――スキャニングチャージ!!

 

「ハアァァァァァ……!」

 

 オーズは上空に跳び上がり、跳び蹴りの体勢に入った。

 するとオーズからトカゲヤミーに向かって三色の光るリングが現れた。オーズはリングに向かって蹴り進む、リングを潜るたびにその勢いは増していくそして、

 

「セイヤァァァァァァーーーーーッッ!!!!!」

『グオォォォォォォォォォォォォォォ!!?』

 

 必殺の飛び蹴り、【タトバキック】が叩き込まれた。トカゲヤミーは爆散し、その体を構成する大量のセルメダルが人里に降り注ぐ。

 

「倒したのか……?」

「どうやら、そうみたいだな……」

 

 慧音の問いに妹紅は答える。怪我人の手当などやるべきことは沢山あるが、ひとまず人里の脅威は去ったのだ――――

 




とりあえず、なんでメダル来たの? とか、なんで身体にもう紫メダル入ってないのにメダガブリュー出せたの? とかは次回で
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。