コーヒーを一杯。
「やっぱりコーヒーって美味しいわよね。やっぱり風味っていうの?それがでかいわ」
「……」
「それにこのケーキもいつも通り美味しい。そういえば最初にこの店を見つけたのってメリーだったわよね?メリーやっぱりセンス良いわ。こんな隠れた名店を見つけるなんて」
「……」
「メリー、やっぱり怒ってる?」
「……今何時よ?」
「明るいせいで星は見えないから時間は分からないわよ、メリー?」
「腕時計見れば良いじゃない」
「……やっぱり怒ってるよね?」
「早く時計見なさい!」
「は、はい!えっと……今は午後3時ですね……」
「蓮子が指定した時間は?」
「……2時半だったかな?」
「2時よ」
「すみません」
「分かればよろしい」
私の名前は宇佐見蓮子。麗しき京都の女子大生である。そして今私に説教しているのはマエリベリー・ハーン、私は略してメリーと呼んでいる。見ての通り短気である。
「短気だなあ、とか思ってる?」
「えっ⁉︎そ、そんなこと思ってないわよ」
「図星ね」
「ぐ、ぐぬぬ」
「あのね蓮子、私もこれが1回目2回目だったら怒らないわよ?でも貴方何回目よ?秘封倶楽部を結成して大体半年くらい経ったけど、こんなふうに集合するときはほぼ毎度遅刻するじゃない?さすがに私も怒るわよ」
「それでも怒らないところがメリーの良いところじゃない?」
「あのねー……。やれやれ、蓮子には敵わないわ。次遅刻したら許さないからね?」
「ありがとう!メリー!」
「でもこの『季節のフルーツ乗せタルト』を奢ってね♪」
「そ、そんな……。しかも高いし!」
「安かったら罰ゲームにならないわよ」
「ぐぬぬ」
「そんなに悔しいなら今度からは遅刻しないことね。たまには待たされる側の気持ちも考えてもらいたいものだわ」
「ごめんね、メリー……」
「謝ってもこのケーキは買ってもらうわよ」
「私金欠で……」
「じゃあバイトでもしなさい、その間秘封倶楽部の活動は一時休止になっちゃうけど」
「分かったわよ!払えばいいんでしょ、払えば⁉︎」
「それでよし」
こんな感じで今日が始まった。さて、私たちについて知らない人もいるから色々説明してあげたいけど、私も暇じゃないの。だから細かいところは省いて簡単に説明するわね。名前はさっき言ったから、今度は能力について!私、宇佐見蓮子は星を見たら時間が、月を見たらそこの位置が、分かる瞳を持っているわ。すごいーって思うでしょ?でも悔しながらメリーは私よりももっとすごい目を持っているの。妬ましいわ、パルパル。メリーは結界の境目を見る目を持っている、要するに空間の亀裂を見つけることができるの。そしてどうやらその空間の亀裂はある別の世界につながっているらしくて。しかもその世界はここと違って、不思議に満ち溢れている世界らしい。だから不思議探しと称して私たち二人は日々、メリーの目を頼りにして結界の境目を探す旅をしているの。事実何度も不思議には出会えたわ、悪いけどそれに関しては話せないわよ?時間もないし、これは私とメリーだけの秘密だからね。じゃあ……
「じゃあ行きましょう、メリー?今日も不思議探しの旅へ」
「ええ行きましょう。でも焦らなくてもいいわ、のんびり行きましょう」
「いーや、のんびりしてる暇なんかないわ!さあ行きましょう!」
私はメリーの手を握って駆け出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ、蓮子ー」
今日も秘封倶楽部は大賑わいであった。
〜〜〜〜〜〜
秘封倶楽部活動記録
記録者 マエリベリー・ハーン
今日も蓮子と一緒に結界の境目を探す旅をしたわ、見つからなかったけど。でも私はそれでも良かったわ。蓮子が楽しそうだったし。私も楽しかったし。……さて、明日も早いしそろそろ寝ますか、また良い明日を。
〜〜〜〜〜〜
秘封倶楽部活動記録ー自称ー
記録者 宇佐見蓮子
どうやらメリーは秘封倶楽部の活動記録をつけてるらしいわね。こういうめんどくさいのは苦手だけど、メリーだけがやってるのはなんか嫌だわ。
ってことで私も始めました、活動報告。といってもメリーにばれたら恥ずかしいから、別のノートに書いてるんだけどね。活動記録に書いていないんだったらこれってただの日記よね……(笑)
まあでも関係ないわ、私が活動記録だって思えばそれは活動記録よ!さて、明日はどんな日になるんだろうか?ああ楽しみだ。これもメリーのおかげね!感謝、感謝。もっと語りたいことはあるけどそろそろ眠いし一旦ここで活動報告は終わらしてもらうわ。では良い明日を、good night!