昨日もメリーに説教された。昨日は20分くらいしか遅刻してないのに、ケチね、メリーは。
さて今は大学の廊下を歩いてる。レポートの件でしなくちゃいけないことがある私は嫌々ながら、職員室へと向かう。あれ?あそこにいるのは……
「岡崎教授〜!」
「ん?ああ、宇佐見くんか!」
「なんだか久しぶりですね、岡崎教授。最近学校で見ませんでしたけど、また新しい実験か何かですか?」
私が話しかけたこのやけに赤色ばかりが目につく人は岡崎教授である。正しく名前を呼ぶのなら岡崎夢美教授である。この人見た目も若いし、会話しててどこかボケてるというか天然なところもあるのだが、こう見えて超天才である。他の教授とは比べ物にならないくらい頭がいい。常に違う世界を見ているような人だ。
「いや実はね、大発見をしてしまったんだよ。恐ろしいほどの大発見を……」
「大発見?一体何なんですか、それは」
「悪いけどそれはまだ言えないんだ」
「というと……?」
「本当にそれは恐ろしいほどの大発見なんだよ。この世界の根幹を揺るがしかねないほどのね。それを安易に喋ることはできない」
「岡崎教授ー、私は知りたいんですけどー?」
この私、宇佐見蓮子の好奇心に大発見という言葉がクリーンヒットした。
「安心して、宇佐見くん。君は少なからず私が信用し尊敬している人間の一人だ。君にならこの真実を話しても構わないと思っている。というか君レベルの人でないと理解できない話なのだが」
「じゃあ……」
「でも悪いけど今は教えられないんだ。実はまだ確証を得てないんだよ。ある程度目星はついているし間違いはないんだが、肝心な証拠がない。それを見つけるまでは言いたくても言えないんだよ」
「……なるほど。分かりました、岡崎教授。ではその証拠とやらが見つかるまでは待ちましょう。その代わり見つけることができたらすぐに私に教えてくださいね?」
「ああ、もちろんだ」
岡崎教授は優しく笑った、とても素敵な笑顔だった。
私はこの人が好きである、もちろん恋愛などではなく人として。この人はとても素晴らしい女性なのだ。しかしあまりにも天才ゆえに多くの人に理解されず疎まれてしまっている。この世には見る目のない人間が多すぎる。
「じゃあまた会いましょう、岡崎教授!では!」
その場を去ろうとしたそのとき岡崎教授が口を開いた。
「また君は例の部活へ行くのかい?確かひほう……」
「秘封倶楽部です!ひふう倶楽部!」
「ああ、そうだったね。まあ楽しんできなさい。部活なんて学生の間しか楽しめないことだからね」
「もちろんです!」
他愛もない会話だったが最後の岡崎教授の一言が地味に私の心を傷つけた。そう終わってしまうのだ。大人になってしまえば秘封倶楽部は終わってしまうのだ、この愛しき時間が。
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秘封倶楽部活動記録
記録者 マエリベリー・ハーン
また蓮子は遅刻してきたわ。懲りないところが蓮子らしいわね。
さて、今日も何も見つからなかったけど、まあ楽しい一日だったわ。でも不思議だけど、いつもよりあの蓮子が元気がないように見えたのよね……。あの元気が売りの蓮子が……。
何かあったのかしら?
それに無理に張り切っちゃって元気な風に振舞っていたのも気になるわ。まあいつも通りを蓮子が装ってくれたおかげで私も普通に活動を楽しめたのだけど。あっ、もうこんな時間だわ。さてここで一旦活動報告は終了。明日も良い一日でありますように。
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秘封倶楽部活動記録ー自称ー
記録者 宇佐見蓮子
今日は一日つらかったわ。
岡崎教授の言葉が頭の中に残っちゃって……。楽しいときほど失う日が来ることが怖くてたまらないわ。でも、いつか失ってしまうからこそ大切にしなくちゃいけない。だから今日もいつも通りを装ったけれど、ばれずに済んだかしら?いいや、ないわね。メリーはとても勘がいいもの。気づいてるに違いないわ。でも何も言ってこなかったところはメリーらしいっちゃらしいわね。多分私がばれないように振舞っていたのもばれているのだろう。さすが私の親友。さてもうこんな時間だし、寝ますか。明日も良い一日を、good night !