…はい。
なんとか時間をかけにかけて久しぶりに書き上げられたので投稿します。
ただ久しぶりすぎて『なんかおかしくね?』ってなったらごめんなさい。
『こんなふうに髪を結んでいるとまるで––––––みたいですね』
誰かの声がする。
『でも髪っていうのはしっかり自分で手を加えて管理してあげないとすぐ傷んでしまうんですよ?』
その人は『俺』の髪を優しく丁寧に梳くっている。
『いくら––––––––あなたが必ずしも女の子ではないのだとしても、神様からの贈り物なんですからね、樹くん』
「…………………」
目が覚めた。でもなんだか強制的に一度起こされた感じだ。
少なくとも自分の意思で起きた気はしない。なぜならまだまだ眠いからである。
しかし、そんな微睡んだ瞳にも確かにその姿を映す存在–––––園子ちゃんがいる。
(園子ちゃん寝るのが好きなのはよく知ってるけど本当に幸せそうに寝るもんなぁ)
ひっそりと寝息を立てながら眠る彼女の姿を見ていると自然に口元が緩む。
もはや珍しくも無くなったお泊まり。今回は『上里家』での開催となったがすでに『乃木家』でも開催された実績はありだ。
…ちなみに乃木家は半端なくでかい。そこそこの回数足を踏み入れているはずなのに未だにその全貌を把握しきれていないのだからすごいものだ。
………この『上里』の家もかなり大きくはあるんだけどね。でも流石にあの家と比べるとまだ…うん…。
「ん〜んぅ…」
そんなことをぼんやり考えていると園子が少し身じろぎした。
(やば…起こしちゃったか…?)
声や音は出していないはずだが熟睡してるであろう園子ちゃんを俺のせいで起こしてしまっては忍びない。
「ん〜サンチョ…」
(あ、なんだ。寝言かぁ。それにしても園子ちゃん夢の中でサンチョをこと探してるのかな?)
「……サンチョ〜サンチョ〜…」
二度三度とサンチョを探し求めているかのような園子の声。心なしか園子の表情も少し険しくなったように見える。
(園子ちゃん…うなされてるのかな。サンチョは……あそこのテーブルの上か。取ってあげたいけど、起きちゃうかもしれないし……)
「んん……」
動くに動けない歯痒さを抱えどうしたものかと考えを巡らせていると、呟くだけだった園子が今度は手を伸ばしてくる。
しかしサンチョはそこにはなく、あるのは樹の手だけである。
「イッつん……」
自らの手を掴む園子の手にほんの少し強い力が込められた気がするのを樹は確かに感じるのだった。
「んがぁ」
「ん……」
そして銀と須美の2人もいることを思い出したのだった。
「1分はもつ!!上の敵をやれーー!!!!」
樹海に銀の叫び声が響く。
神樹館小学校の勇者たちの前に現れた3体目の敵。
『カプリコーン・バーテックス』
山羊座の名を持つそのバーテックスは地震を引き起こしたかと思えば空高く浮かび上がりその身を回転させ銀の頭上へと迫ったのだった。
銀は咄嗟に双斧で敵の回転攻撃を防いだが彼女自身が言っていた通り持って1分。
もたもたしていては銀の身はかなり危ない状況だった。
「私たちで敵を叩くよー!!」
園子はそう声を張ると槍を振るい空中に浮かぶ足跡の階段を創り上げる。
「わっしー!上!!」
「りょ、了解っ!!」
園子に促され須美は動き出す。
「園子ちゃん!!私は銀ちゃんを!!」
「うん!ミノさんをお願い!」
樹は銀の元へと駆け出しイメージする。それは束ねられたことに造られる盾。1分1秒でもいい。園子と須美が敵をなんとかするまで時間を稼がなければならない。
「銀ちゃんっ!!!!」
樹のイメージが形となりその姿を変え終えたのは銀の元に樹がたどり着くのとほぼ同時だった。
「い、樹。お前バカ!!危ないぞ!?」
「銀ちゃんだけなんてそれこそ危ないよ!!私も手伝うから!」
あくまでワイヤーを樹のイメージを元に変形させたものであり純然たる盾ではないため樹の盾も長くは持たないであろう。
「ミノさん!イッつん!」
「届けぇぇぇ!!!!」
須美が園子が創り出した空中階段を登り切り矢を敵に放つ。矢は敵本体の支柱とも言える部位に命中し穴を開ける。
なんとか間に合った。須美の思いを込めた一撃は銀、樹の貫かんとしていた敵のバランスを崩すことに成功したのだ。
しかし空中に身一つだけの須美はそのまま自由落下していくしかない。来るべく衝撃と痛みに備え歯を食いしばって受身を取ろうとする須美。
「須美ちゃんっ!!」
ところが須美は地面に叩きつけられることはなかった。樹のワイヤーがその身を受け止めていたのだ。
「ここから––––出て行けっ!」
園子の槍が再び変形した。彼女はこの瞬間を狙っていたのだ。先端を鋭く尖らせ貫通力を強化せさる。
「突撃ぃぃ!!!!」
吹っ飛ぶようにして敵本体に突撃する園子、彼女の槍はものの見事に敵を貫き一気させ大ダメージを与えた。
しかし園子も先ほどの須美のようにこのままでは地面に落下し負傷は免れない。
「届けっ!!!!」
先程須美を受け止めたように再び腕を目一杯伸ばしてワイヤーを射出する樹。
須美よりもさらに遠いところにいる園子にワイヤーが届くかどうかは本当にぎりぎりといったところだった。
「イッつんありがとー!ナイスキャッチー!よーーし、ミノさんやっちゃえーー!!」
「三ノ輪さんお願いっ!!」
「銀ちゃん!!」
三人の視線の先、銀は待ってましたとばかりに敵を見据える。敵は須美、園子の攻撃で既にダメージを追い高度をかなり下げできていた。
銀の攻撃範囲の中に奴は入ってきたのだ。
「よっしゃぁ!!3倍にして返してやる!釣りは取っとけぇぇぇぇぇ!!!!」
銀は天高く飛び上がり力の限り双斧を振り回す。双斧を一振りするごとに細切れになっていくバーテックス。
「おっりゃぁ!!」
しかし完全に倒し切ることは出来ず銀は落下を始める。
「樹ぃぃ!」
「大丈夫!追いつける!」
落下位置をある程度予想していたこともあり、比較的余裕を持って銀をキャッチすることができた。
ワイヤーを操作しゆっくりと地面に銀を下ろす。
ちょうどそのタイミングと同じく、世界が変貌を始めていた。
この変貌に4人は見覚えがあった。終わりを告げる変貌であることを知っている。
「へへっ、始まったな…」
「うん、鎮花の儀だね……よかった…終わった……よかった…」
気がつくと4人揃って大橋の近くの野原の上に転がっていた。
世界はいつもの風景に戻り、空は青く空気は澄んでいる。
「あー疲れたなぁー」
「ミノさん大丈夫?」
「おう、平気平気。樹のお陰で地面に叩きつけられずに済んだからな。あの高さから落ちてたら絶対痛いからなぁ」
「うん、〜イッつんすごいよ、本当にありがとね〜〜」
「そんな…私はただ無我夢中で、それに敵にロクな攻撃することもできなかったし」
「攻撃することだけが戦いじゃないわ…味方を助けることもまた立派な戦績であり、勲章よ………一番情けなかったのは…私…」
「す、須美ちゃん!?」
「ど、どうした須美!?どっか痛いのか!?」
「わっしー!?」
三人が驚きの声をあげるのも無理はない。突如須美が泣き出してしまったのだ。
「ごめんなさいっ…次は始めから息を合わせるっ……頑張るからっ…」
須美のその言葉を聞いて、三人は顔を見合わせホッとした面持ちになる。
「ああ、がんばろうな」
「うんうん〜」
「はい、須美ちゃん、よければ使って?」
「うぅ…ありがとう………樹ちゃん」
「!!」
「!!」
「!!」
「わっしー私は私は!」
「…そのっち」
「おぉ〜!」
「アタシはアタシは!?」
「銀……」
「なんか、嬉しいな。ようやく須美とダチになれた気がする!」
「樹ちゃん…そのっち…銀…」
これは、4人の勇者の物語。
神に選ばれた少女たちのお伽噺。
いつだって神にみそめられるのは無垢なら少女である。
そして多くな場合その結末は–––––––––
「樹はどんなデザインのものがいいとかあるのか?」
「えーっと…ごめん…あんまそういうのわかんなくて」
「鍛錬の時やお役目の時にも着けることを考えたらなるべくさんシンプルな方がいいかしら?」
「でもせっかくなら可愛いのがいいよねえ〜イッつん〜」
3体目のバーテックスを倒し、無事お役目を成功させ早数日。
4人の勇者はしばらくの休息を言い渡され上里家にてお泊まり会が催された翌日、4人はイネスへとやってきていた。
というのも樹の髪がだいぶ伸びてきておりそろそろ一気に切ろうと思っていたのを3人に言ったところ
『そんな!もったいないわ!』
『結ったりすれば問題ないんじゃなーいー?』
『お、アタシも樹が髪括ってるの見てみたいかも!』
ということになり
(まあ別にどうしても切りたいってわけじゃないし)
「ポニテーなんてどーお?簡単でなおかつちゃんとまとめられるよ?』
『そのっちいい提案よ!』
『樹のポニテかーなんか雰囲気変わりそうだけどそれはそれでいいかもな!』
『『『よーし決定ー!!!』』』
「えーーっと…ありがとう…?」
凄まじい速さで話はまとまり早速買い物に行くことになり、そうなればやはりみんな大好きイネスしかないでしょう、となったわけである。
「それにしても、こんなに色々種類があるんだね」
髪飾り専門のお店に入り見慣れない店内の様子におどおどしながらも商品を見て回る。
(………お姉ちゃんは黒のシュシュ?みたいなので髪を二つに括ってたっけな。もう長いこと見てないから今はそんなふうにしてないかもだけど)
「イッつんイッつん〜良さそうなのは見つかった〜?」
「えと、どれも凄くいいとは思うんだけど…なかなかこれと言われると難しいというか…」
「樹ちゃん!これなんかもいいわよ!」
「この際どんどん試してみるんよ〜」
こうしてあれやこれやと片っ端からの試着が始まった。
「おおお〜似合う似合う〜」
「ええ!これもあれもそれもいいわね!」
パシャパシャ
「おぉい須美。大丈夫か?なんかすげー興奮してっけど。あとカメラはどこから取り出したんだよ……」
「こんなこともあろうかと忍ばせておいたのよ!!持ってきて正解だったわ。樹ちゃんのその髪型凄く凛々しくてかっこいいわ!」
パシャパシャパシャ
「わっしーの言う通りだよ〜可愛いイッつんがかっこよくなっちゃったね〜」
「か、かっこ…いい……?」
「確かにーこー『ふわっ』としてたのが『シャキッ』って感じになってるかもな。うん」
「銀ちゃんまで…大袈裟だよ。あはは」
そんなに言うほどじゃないだろうと思いつつどんな感じになっているのか少しも気にならない、と言えば嘘になるので近くにあった鏡の前に立ってみる。
ちなみに今試着しているのは至ったシンプルな白色のシュシュ。しかしそのシンプルさゆえに付けている人間の個性を邪魔することもなくなおかつ樹がかつて姉からプレゼントされた花の髪飾りともよく合っている。
「……結構雰囲気変わるもんなんだね」
予想以上の変わりっぷりに自分で驚いてしまう。誰だこれは?と。
「お、イッつんもしかしてそのシュシュ気に入った?」
「–––うん、気に、いったかも」
鏡から視線を外さずに園子の問いにそう返す。
「いいじゃん、似合ってるよ樹。…にしても……あれだな。髪伸ばすのもたまにはいいかもな」
「「「……………………」」」
恥ずかしそうにそんなことを言う銀。そして恥ずかしそうにする銀のことをじっと見つめる他3人。
「ん?なんだよ3人とも、急にじっと見たりしてさ。…いやわかってるけどな?アタシみたいなのが髪伸ばしたって樹みたいな風にはなれないってのはな?…あーえーっと…うん……だから…言ってみただけだぞ?」
「そんなことないよ、銀ちゃんすっごく可愛いんだから伸ばしたって絶対可愛いと思うよ?」
「………そ、そうか––––」
「ありありありありありありーーーーー!!!!」
「ありありなんよ〜〜〜」
(…ありだな)
結局白のシュシュを購入し、その日から毎日つけるぐらいお気に入りになっていくのであった。
ちなみに銀は髪を伸ばしたらあえて括ったりはせずそのまま垂らしておきたいようだった(須美、園子情報)
皆さん、「大満開の章」お楽しみでしょうか?
私はなんだかんだ書いては消して、書いては消してを繰り返し続けていた間にもずっと「勇者であるシリーズ」のことは追いかけていたので「ゆゆゆい」や「ちゅるっと」で尊さを感じて幸せな世界だなぁと思っていましたが、「大満開の章」を見て、勇者であるシリーズってこういう作品だったなと思い出した感覚でした。
強いて言えば完全版、特に「のわゆ」はしっかり尺使って改めて映像化してほしいなとは思いましたね。
ゆゆゆいで登場してるオリキャラたちや勇者史外伝のキャラたちの掘り下げや映像化も待たれますしね。
なんにせよ2014年にアニメの1期があって今年で既に8年。これだけ好きなシリーズが発展しながら続いていってくれることは本当に嬉しいですしこれからも応援したいですね。
あ、ちなみにポニーテールにしてる樹は『犬吠埼樹 キャラデザ案』みたいな感じでググって貰えるとお分かりになると思います。
ポニテ樹ちゃんに完全にやられてしまった人間なので絶対使いたいと思って書いてました。
不定期更新にも程がある作品ではありますが、また見ていただければと思います。
さぁて次回もサービスサービスぅ!!(シン・エヴァありがとう。さようなら )