犬吠埼樹(憑依)は勇者である   作:夏目ユウリ

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今更になりますがお気に入り200越えとUA10000越えほんとうにありがとうございます。

なかなか原作の話に入らねーなーどうなってんだとお思いだと思いますがそこは犬吠埼姉妹の尊さでなんとか我慢のほどを…


些細な変化と祝福の日

『犬吠埼さんとお話しできるかな』

 

あの言葉がずっと心にしこりを残したまま俺は小学三年生になった。

 

なんでもないことだ。ただの子供同士のちょっとした会話。

 

でも子供だからこそ、犬吠埼樹という少女(少年)だからこそそんなことが心に残りた続けているのかもしれない。

 

 

 

あれ以降俺は余計に人との関わりが苦手になり、なおかつ避けるようになった。今までは苦手ではあっても自ら避けたりしようとすることはなかった。

 

でもそれで何か変わったことがあったわけでもないのだ。もともと学校でもそんなに誰かと話すタイプでもなかったし最低限あるいは必要な会話は十分できてるからそれでいいと思ってる。

 

家でも今までと変わらずお母さんともお父さんとも、そしてお姉ちゃんとも普通に話すしどこかに出かけたりもしてる。それはもちろん楽しくていいことだ。

 

たまにお姉ちゃんには交友関係や学校生活を心配されることはあるがそれでも軽く聞かれるぐらいなので『平気だよ』とか『問題ないよ』とか言って流してる。

 

…別に嘘言ってるわけじゃないよ?

 

それに学校が嫌だとか苦しいってわけじゃないし。

 

 

ただちょっとつまんないだけ。

 

 

 

「ねえねえ犬吠埼さん」

 

放課後なんとなく図書室に移動することもなく教室に残って本を読んでいるとクラスメイトの女の子に声をかけられた。

 

「なに?」

 

「今日わたしの家でみんなで遊ぶんだけど犬吠埼さんも来ない?」

 

「ごめん、予定があるから」

 

考えるのも決断もない。そもそも答えは一つしかないから。

 

「そっかぁ〜じゃいいや、ばいばーい」

 

「ばいばい」

 

走り去っていくクラスメイトに対して小さく手を振る。

 

 

 

 

 

「………………」

 

放課後、図書室。

 

図書室はいいところだ。静かで落ち着くし。図書館も可。図書館なんかはDVDも借りられるしね。

 

読者はそれなりに好きだ。ここで単純に好きって言わないのはめちゃくちゃ読むわけじゃないから。

 

ちょくちょく読んだり、一気に読んだりペースが結構まちまちなのである。ジャンルは小説だったり漫画だったり特別こだわったりはしていない。

 

(学校の図書室にも漫画置いてくれたらいいのに)

 

 

窓の外をぼーっと見つつ心の中で呟いた。

 

 

(やばいやばい…帰んの思ったより遅くなっちゃったな…)

 

図書室から図書館に移動して借りていたDVDを返しまた新しいDVDを借りようと選別をしていたら結構遅くなってしまった。無料で借りれるけど一度に借りれる数にも制限があるから厳選しないとなんだよね。

 

お姉ちゃんに怒られちゃうかな…?まぁ仕方ないか…

 

 

最近前にも増して忙しさを増してきている両親は今日も家にはいないそうなのでお叱りを受けるとしたらお姉ちゃんからなのが不幸中の幸だったりする。

 

(お姉ちゃんあんま人に対して強く怒れる人じゃないからな…妹の俺に対しては特に)

 

とか言いながらもその優しさに甘える生活を送っているのだからそう批判もできたもんじゃない。先も言ったように両親が家にいないことも多い犬吠埼家では小5のお姉ちゃんが家事の主戦力なのだ。

 

それこそ低学年の時からお母さんに色々と叩き込まれているので日常生活程度の家事ならお手の物、マジリスペクト。

 

対する俺は家事全般が得意ではなく、気がつけば部屋が散らかっている有様。……ちなみにここ最近で一番嫌だった出来事はお姉ちゃんと比較されたことだったりする。

 

あの男子あのあとなんか不幸な目にあってたりしないかなーってしばらく思ってた。

 

 

でもお姉ちゃんのことを親の代わりに家事してるからっておばさん呼ばわりしたあの男子は絶対に許さない。もっと不幸な目に会えばいい。

 

 

三年生になって程なくしてから男子にこんな感じでからかわれることがたまにある。

 

『無口チビ』

 

『人形やろう』

 

『犬女』

 

『外国人』

 

『グリーンアイズゴールデンドラゴン』

 

etc etc……

 

 

ツッコミどころは満載だがそれにいちいち反応してたらきりがないしめんどくさい。

 

やろうなのか女なのかはっきりしろとか犬女ってお前それお姉ちゃんの前でも言えるのか(お姉ちゃんは結構人気者)とか外国人はそもそも悪口じゃねーとか遊○王だろそれとか。

 

あとあと考えればこんな感じ。

 

でも言われてる時は別にどうも思わないし何も言わない。

 

ただ言ってくる相手の顔を見てニコッと笑えばそれで向こうはやる気もなくしたどっか行っちゃう。

 

こういうのって下手に反応しちゃうから相手がずにのるって言うけどほんとなんだなって。

 

まぁこれは男子の話であって女子の場合は少し違う。

 

 

 

『犬吠埼さんってなんであんな髪の毛派手なのかな。面白ろ』

 

『目の色も変な緑色だもんね〜カラーコンタクトってやつやってるんじゃない?』

 

『えーそれって不良じゃん。こわーい』

 

『ねえねえじゃんけんして負けた人今日遊ぶの犬吠埼さんも誘うっていう罰ゲームしない』

 

『えーやだ〜』

 

『でもちょっと面白そうじゃん』

 

『やろやろー』

 

ヒソヒソ話は隠してこそ意味があるはずなんだけどね。ちょいちょい聞こえたんだよ。

 

それかそもそも隠す気なんかないのかも。わざわざ聞こえる距離で話すぐらいだしなぁ。さっき教室で誘われた時だって教室のドアの後ろあたりでニヤニヤしてる女子が何人かいたしまぁそういうことだろう。

 

罰ゲームご苦労様。そしてご愁傷様。

 

悪いがこの髪は地毛だし目も天然ものだよ。

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

 

どたどたどたどたッ!

 

中に入るとどたどたと急速に近づいてくる足音が聞こえた。あーお姉ちゃんだわ。

 

「樹〜〜!!〜〜」

 

そして涙目でグニャと抱きつかれる。まぁそうなるか。

 

「ごめんごめん、遅くなって悪かったよお姉ちゃん」

 

「もうっ!心配したんだからね?」

 

「反省してるから反省してるから」

 

「そうやって繰り返す時樹嘘ついてるパターン…」

 

う……ばれたか。実のところ最近帰りが遅いこともちょくちょくある。概ね図書室やら図書館やら本屋やら古本屋やらレンタルビデオ店やらゲームショップやらに行っていて帰るのが遅いのだ。

 

…遅いといっても五時六時ぐらいの夕方だよ?

 

この時期だから六時ぐらいにはもう太陽も落ちちゃってるけど。

 

「何も寄り道するなとは言わないけど……本当に心配してるんだからね…?この時期は暗くなるのも早いんだから…」

 

「う、うん。肝に免じておきます…」

 

冗談じゃないマジの心配顔されちゃかなわないよ………自重するかぁ。

 

「あら、また難しい言葉覚えちゃって」

 

「読書は嫌いじゃないからね。えっへん」

 

「その好奇心がせめてもう少しでもお勉強の方に活かされてるといいんだけどね〜〜」

 

「はいはい。どうせ神童のお姉ちゃんには私じゃ敵いませんよー」

 

成績優秀スポーツ万能容姿端麗コミュ力十分。

 

比べるまでもなかったじゃん。

 

そうなるとまだ比べられてるだけマシなのか…?

 

「そ、そんなつもりじゃなかったのよ〜待って樹〜〜!!」

 

当の本人が家ではこれだからなぁ。お姉ちゃんのことだから猫かぶってるってわけでもないんだろうけど…

 

やれやれと思いつつ部屋に入る。

 

適当にランドセルを置いてマフラーや手袋やらを剥いで置き羽織りものをクローゼットのハンガーにかける。

 

この時期は身に付けるものが多くてなんともめんどくさい。順位にすると学校の次くらい。でもお姉ちゃんが選んでくれたものとかもあるからそれ自体は別に嫌じゃない(どっちやねん)

 

一通りの作業を終わらせてベッドに背中から倒れこむ。

 

学校から帰ると大体してることで日によって顔からだったり背中からだったりする。

 

(天井のシミってあんま増えないんだな)

 

ぼーっとしたいときは部屋の天井を見たりするのを何だかんだ小1の時からやっているのだが意外と変わらないものですごいなーって感心してる。

 

(いや、お姉ちゃんがちょくちょく掃除してくれてるおかげか)

 

部屋を見渡しても特に汚かったり散らかってたりしない。今日の朝起きたときはそれなりに汚かったはずなのに。

 

(……お姉ちゃんって神だわ)

 

勝手なことにそこであまり罪悪感を感じなくなってきたのはもうなんか人として手遅れかもしれない。…まだ小3なのにね。

 

「樹ーもうご飯できてるからおいで〜」

 

「はーい」

 

切り替えは早いお姉ちゃんだ。さっきまで涙目で抱きついてきてたのに。

 

ベッドから起き上がるのは多少名残惜しいがお姉ちゃんに呼ばれてるのだから行かないわけにはいかない。(ダジャレじゃないよ)

 

(今日は何かなーうどんかな?それとも肉うどんかな?もしかして釜揚げうどんかも?)

 

最終的にそれ全部うどんじゃねーかってなるのでワンセット。

 

リビングで準備してくれているであろうお姉ちゃんが果たして何うどんを作っているのか想像しながらドアを開く。

 

パァーーン!!

 

「!?」

 

「イェーイ!樹ー!お誕生日おめでと〜!!」

 

そこには三角帽子をかぶりクラッカーをニコニコで鳴らしているお姉ちゃんの姿があった。

 

「・・・・・」

 

「あれ?樹?」

 

「・・・・・」

 

「あ、もしかしてびっくりしすぎちゃった?だったら成功も成功。大成功ね!」

 

「・・・・あ、そっか」

 

びっくりは確かにしたけど別にそこまでじゃない。じゃあなんで固まってたのかというと…

 

「今日私の誕生日か」

 

なんでこんなお祝いムードなのか普通に忘れてたから。んで今思い出した。

 

「何よーもしかして忘れてたりしてたとか〜?」

 

「意外と意識してないと忘れちゃうもんなんだね」

 

「あ、マジで忘れてたのね!?」

 

「あははは」

 

「この歳で樹が物忘れが激しくなるなんて…うう…お姉ちゃんは悲しいわ…」

 

またいつもの小芝居入っちゃったよ。何かあることに小芝居したがるんだからなぁこのお姉ちゃんは。

 

それ学校でもやってんの?

 

とは流石に聞かないけど。

 

「はいはい。でもちゃんと思い出したからさ。いいでしょ?ね?」

 

投げやりになりながら椅子に座る。今日は俺が主役っポイしこのぐらいはいいよね。

 

「全く、変にサバサバしちゃってさ。………よぉーし!今日は飲んで食いまくるわよぉー!!」

 

「ほどほどにねー」

 

といいつつも俺自身も意外と食が進んだ。俺の誕生日とあっていつも以上に張り切って作ってくれたのがよくわかった。

 

「でもやっぱり主役はうどんなんだね」

 

「ったりまえよ!うどんはすべての食べ物の頂点に立ってるんだから!」

 

「とか言いながら骨付鳥食べるんだね」

 

「骨付鳥も美味しいわね!」

 

「『おや』の方が美味しいけどね」

 

「ふふふ…たしかに美味しい。…でも『ひな』には勝てないわ」

 

相変わらず骨付鳥の『おや』『ひな』論争は決着がつかないし。

 

「お姉ちゃん今年ケーキ二つもあるの?」

 

「ん?一つは買ってきたやつでもう一つはアタシが作ったやつよ」

 

「えっ!作ったの?」

 

「にひーどうよ?」

 

自慢げに胸を張るお姉ちゃん。最近はっきりとわかるようになってきたんだからあんましない方がいいよ?(何がとは言わない)特に男子の前では。

 

ちなみに俺はまだまだつるぺたプニプニの寸胴ボディ。…ほら、まだ小3だからね?そのうちだよそのうち。(身体的成長がしょぼいのは中身のせいではないかと疑っている)

 

このケーキの栄養は胸にいくことを信じることにしよう…

 

お姉ちゃんが作ってくれた方を一口パクリ。口の中に程よい甘さと酸味が広がっていく。チーズケーキだね、好き。

 

「うん、美味しいよ。とっても」

 

「ほんと?」

 

「すごーく」

 

「ほんとのほんと?」

 

「それはもう」

 

「ほんとのほんとのほんとのやつ?」

 

「初めて食べたよこんな美味しいケーキ!」

 

「っもう樹ったら!大好き!」

 

「私も大好きだよー」

 

ケーキが美味しいのもお姉ちゃんが好きなのも嘘偽りない真実だからこんなやりとりも私にとっては日々のかけがえのないものだったりする。時々めんどくさいのはご愛嬌。それもお姉ちゃんの可愛いところだからね。

 

ちょっと騒がしくて優しくて両親思いで妹思いでなんでもできるお姉ちゃんが俺は大好きなのだ。

 

 

 

誕生日のご馳走もあらかた食べ終え(半分以上お姉ちゃん)ケーキを二個一気に食べてしまうのはもったいないということです買ってきた分は冷蔵庫に戻し食器やらの後片付けをする。これは流石に俺も手伝ってるよ?

 

「樹は偉いわねー自分の誕生日なのに洗い物手伝ってくれるなんて」

 

「これだけの量をお姉ちゃん一人にやらすのは流石の私でも悪いと思うよ。それに普段ほかの家事だってお姉ちゃんがいなかったら回らないし……このぐらいはね」

 

今こうやって並びあって食器を洗っていてもそのスピード、丁寧さ更に置き方から何までお姉ちゃんはちゃんとしている。そして俺はその真逆。尊敬とコンプレックスのどちらも得るなんて…やるなお姉ちゃん!

 

「そこはね、アタシはお姉ちゃんだからさ」

 

その時チラッと見えたお姉ちゃんの横顔は驚くほど優しいものだった。お母さんでもここまで優しい顔を俺は見たことがなかった。

 

 

 

洗い物もひと段落し、俺が机を拭き終わった頃お姉ちゃんがニヤニヤ顔で手招きしてきた。

 

「なにー?」

 

「にひひ喜びなさい妹よ、てなわけではいこれ」

 

意外とあっさり渡してきたなーと思いつつ受け取る。

 

去年の誕生日は小芝居の時間長かったからね。ちなみに去年は今も髪につけてる花の髪飾りをもらった。気に入ってるので学校にも付けて行ってる。

 

「これって…ウォークマン?」

 

「そ、アタシが使ってたやつだけどね。なんか前に樹がいいなぁーって言ってるの覚えててね」

 

「結構前のことだと思うけど…覚えてたんだ」

 

「あったりまえよ!」

 

あったりまえなのか…たしかにいいなぁとは思ってたけど。ウォークマン、音楽聴くの好きだし暇つぶしにもなるし外界を遮断できるからすごく便利なアイテムだと思うのだ。

 

「ほんとはちゃんと新品のを買ってあげたかったんだけど…お小遣いが足りなくて…ごめんね?」

 

そりゃ小5のお小遣い程度じゃ新品のウォークマンなんて買うのは難しいだろうけど、お母さんとかお父さんに資金援助頼まなかったのか。

 

そこはお姉ちゃんなりのルールみたいなものなのだろうけど。

 

「ううん、むしろ嬉しい。お姉ちゃんが使ってたやつ使えるんだもん」

 

「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない!それじゃああとこれね」

 

ついでのように渡されたのは小さめの紙袋で中に何かコード状のものが入っている。

 

「これイヤホン……買ったの?」

 

手渡された紙袋を開けると淡い黄緑色の綺麗なイヤホンだった。

 

「どう…?樹に合ってる感じのやつないかなーって探してみたんだけど」

 

そう言いながらちょっぴり不安そうなお姉ちゃんはなんか…というかすごく可愛い。こんな感じで期待もありつつ不安もある感じでもじもじしてたら同年代の男子なんてイチコロですわ。

 

そんじょそこらの男子じゃお姉ちゃんには釣り合わないけどね。

 

こうやって普段あまり見ることのない表情のお姉ちゃんを見てるのも楽しいけど不安そうなままにさせとくのも忍びない。

 

「よっと…似合ってるかな?」

 

イヤホンを耳につけてみる。俺の小さな耳にもフィットしててつけ心地も抜群。さすが我がお姉ちゃん。

 

肝心のお姉ちゃんの反応は

 

「いいわね……イヤホンを付けた樹…いいっ!!」

 

相変わらず絶賛してくれるようだった。俺が何か着たり付けたりするとなんでも絶賛してくれるのだ。嬉しいけど『どっちの方がいいと思う?』って聞いてるのに『どっちも最高ねっ!!』って返されても困ってしまうのはよくあること。

 

 

「ありがとねお姉ちゃん♪」

 

でも自然と笑みがこぼれるぐらいには嬉しいからそれはそれで悪くないとも感じる誕生日なのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「付けてくれてるんだねそれ」

 

その後お風呂に入って(二人で)今は一服してるところ。お風呂上がりの冷たいお茶は格別。緑茶だよね、緑茶。

 

ソファーに二人で座りながらテレビを見ている時に俺がなんとなく目に入ったので言ってみたのだった。

 

「樹が初めてくれた誕生日プレゼントだもの。当然よ」

 

お姉ちゃんは首のチョーカーをいじりつつ嬉しそうだった。

 

今日は嬉しそうなお姉ちゃんがたくさん見れて幸せな日だ。

 

自分の誕生日よりも嬉しいことだ。普段なにかと忙しそうなお姉ちゃんをこんな俺があげたものが労えてるのならそんな嬉しいことはない。

 

そして何を隠そう、お姉ちゃんの首に付けてある黒のチョーカーは俺が今年のお姉ちゃんの誕生日に初めてあげた誕生日プレゼントなのだ。

 

何だかんだ溜まっていたお小遣いをフルに使って何を買おうかと雑貨屋さんで迷った挙句に『もうなんかあえて斜め上のちょっと変わったもの買おう』っていう謎の開き直りを起こして買ったのだった。

 

チョーカーを妹にプレゼントされるなんてそうないことだと思うけど気に入ってくれているようで安心したし嬉しい。

 

(ていうかこんなに1日で『嬉しい』って単語が出てくる日が果たしてほかにあるのかな……いやないな)

 

「それに樹だって髪飾り付けてくれてるでしょ?」

 

「お姉ちゃんがくれたものだもん」

 

「まさに相思相愛…四国最強の姉妹ね!」

 

「見てるテレビに影響されすぎ」

 

(相思相愛ねぇー……)

 

ちょっと恥ずかしいだけで嫌なわけじゃないけど…それは流石に恥ずかしいやつだよ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやすみ樹〜」

 

「おやすみなさいお姉ちゃん」

 

テレビもほどほどに子供は早寝が大切ということで歯磨きして明日の宿題やら用意やらを済ませて互いに部屋に戻る。

 

干したてのお日様の匂いがする布団にくるまりつつもらったばかりのウォークマンにもらったばかりのイヤホンを付けて使ってみる。

 

(明日からの学校もこれで頑張れるといいな)

 

小言を言われそうな時はこれを付けていようと決めた誕生日の夜であった。

 

(来年は何をお姉ちゃんにあげようかな……何がもらえるかな…)

 

だが––––来年の誕生日を互いに祝うことが許されないことを知るよしもない夜でもあった。




今回のたぶん一応これまでのやつで最長ですね。

犬吠埼姉妹のやりとり描いてるとやっぱ長くなりますね。いいことだけど。

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