バンたちはヘンダー城へと向かう。
するとその先にあるヘンダー城の門の前に、何かが待ち構えていた。
「あれは…っ、インダベー!!」
「やっぱり、ジャークマターを名乗ってるだけあって彼らも来るんですね…」
「でも、ここを突破する以外には!」
『ギョイサー!』
バンたちを待ち構えていたかのように、インダベーの軍団が武器を構えて迎え撃とうとしていた。
「…っ、あんたらの上司がユーリを苦しめてるのに…!
邪魔するんじゃないわよ!!」
「こいつらが、よくもユーリを…!」
「王様、ボクたちも続くよ!!」
「ユーリ、待ってて…!」
先に動いたのはイリスだった。
変身して何体かのインダベーを攻撃し、そしてインダベーが攻撃するよりも速く触れた途端に、インダベーの一体の内側から結晶を突き刺して撃破する。
それに続くようにディアーチェが本を取り出して強烈なビームをインダベーたちを吹き飛ばし、レヴィが高速で雷の剣を振り回して切り刻み、シュテルが焼き尽くす。
「僕は無理矢理やつら暴走させられた…。
今ここで引導を渡し、あの子を解放するんだ!」
「兄さんに続くわよスバル!」
「うん!」
「ったく、あたしも忘れるなっつの!」
ティーダがユニコーンキュースピアでインダベーを焼きながら貫き、ティアナはクロスファイヤーシュートで敵を誘導及び一掃し、スバルはディバインバスターでぶっ飛ばしていき、ヴィータはテートリヒ・シュラークでインダベーをインダベーを叩き潰してヘンダー城の壁に激突させる。
「アサルトハント!!!!」
「ええい!!」
「てりゃああああああ!!!」
バンはクレシューズで一掃し、かこはティアナの技を再現して吹き飛ばし、アストルフォはヒポグリフに槍を食わせさせた状態で召喚した上で一緒に飛んで超スピードで穿つ。
「ディバイン…バスター!!!!」
最後になのはがディバインバスターで残ってたインダベーを巻き込みながら入り口を破壊して入れるようにする。
「入り口が開いたよ!
行こう!!」
『了解!』
入り口が開いたことを確認したなのはたちは急いでヘンダー城に入っていった。
「ぐっ!?」
バンたちはヘンダー城に入ってしばらくすると、突然元の姿に戻った。
「元に戻った!?」
「何がどうなってるの!?」
「まさか、この城の力で変身が…!」
「あら」
「よく来たわね、あなたたち」
バンたちが困惑してると、奥からコツコツと靴を鳴らしながら歩いてくる音と二人の男の声が聞えた。
「まさか本当に遠路はるばるからこのエルトリアに来るなんて」
「しかもよく見ればミッドチルダに送り込んだスコルピオちゃんがティーダちゃんに戻っちゃってるし」
「…どういうことだ?」
「あの二人は、僕の特典を暴走させた上で、送り込んだんだ。
すぐにティアナに封印してもらったけど」
『っ!?』
ティーダの返事にディアーチェたちの顔が強張る。
「封印ですって?
あらやだ、道理でスコルピオちゃんの気配を感じないわけだわ」
「そしてそこにいる子がティアナちゃんね?」
「気安く名前を呼ぶんじゃないわよ変態!」
「あら人を変態呼ばわりなんて、なんていけない子だこと」
「あなたのお兄さん同様、こうガツガツした子好きじゃないわ」
「私も、もっとクールな子が良いわ。
だからスコルピオちゃんにしてあげたのに」
「…お前ら、やっぱりオカマ魔女なのか?」
「まぁ素敵、私たちのこと知っててくれたなんて」
「それなら、いい加減自己紹介しなくちゃね」
言葉と同時に、暗い部屋に照明が当たられて、金髪の丸刈りとだんご頭をした二人の男が躍りながら出てきた。
「初めまして、私はマカオ」
「私はジョマ」
『仲良くしましょ?』
『…』
二人の姿を改めて見たバンたちは思わず沈黙し、アストルフォに至ってはまるで気持ち悪いものを見たかのように口元を押さえている。
「あら、どうしたのかしら?」
「私たちの美貌に釘付け?」
「あら、そうだとしたら、私たちは何て罪なオ・ン・ナ♥️」
「うふ♥️」
「クロスミラージュっ、早く変身して!!
今すぐにっ!!」
「ちょっ、ティア早いって!」
「うるさい!
早く倒さないとっ、こっちが持たないのよ精神的に!!」
オカマ魔女のあまりのウザさに必死にデバイスを起動させようとするティアナにそれを止めようとするスバル。
「あ~ら、ひょっとして妬いてるのかしら?」
「暑苦しいったらありゃしないわ。
あなた達の熱い熱気のせいで胸がビィンビィンしちゃう♪」
「がぁあああああああ!!」
「落ちつけアストルフォ!!」
「アストルフォちゃん早まらないで!」
「放せ、放してくれ!
ボクは、一刻も早くあの変態を倒さないといけないんだ!」
「イリス貴様も落ち着け!!」
「放して!
こんな、こんな気持ち悪いやつらに、ユーリが!
だから放してっ、これ以上私をどうしようもない奴にしないでっ!!」
「安心しろ、この状況でそれが言えるならまだマシだ!!」
今度はアストルフォとイリスが暴走し、今にも噛み付きそうだった。
「ま、皆まとめてかかってきても良いわよ?」
「ここでは変身できないけど、できるのなら、ね?」
「くっ…!」
「やっぱり、私たちが変身解除されたのは、ここの影響なんですね」
『っ!』
それを聞いて暴走していた三人は冷静になる。
「でも私達だって鬼じゃないわ?
だって、そんなことしても面白くもないですもの」
「話を聞いてる限り、あなたたちの目的はこの子でしょう?」
ジョマは指を鳴らすと縛り付けられた少女は上から降ろされてきた。
よく見ると、疲弊しきっていて気を失ってるようだった。
「ユーリ!」
「彼女に何をした!」
「あらあら、そんなに剣幕を振りまかないで?
この子をちょっとかわいがっただけよ」
『ね?』
「今すぐユーリを解放しろ!」
「まだ勝負もついてないのに返すわけないじゃない」
「だから、変身もできないこの状況なら、これで勝負しましょう?」
マカオがそう言うと、ジョマが後ろから手を伸ばし、マカオの股間のポケットに手を入れて、一枚のトランプカードを取り出した。
『このババ抜きで』
「ババ抜きだと」
「そうよ?」
「でも、あなたたちはさすがに数が多いから、三人だけ相手してあげる。
だから、誰がやるかそちらで決めて?」
「俺たちの中から三人か…」
確かに人数は多い。
バン、かこ、アストルフォ、なのは、スバル、ティアナ、ヴィータ、ティーダ、イリス、ディアーチェ、シュテル、レヴィの中から選ばなければならない。
「…わかった、その勝負に乗ってやる。
勝ったらユーリを解放して、このエルトリアから出ていってもらうからな」
マカオとジョマはほくそ笑むだけで何も言わないがとりあえず肯定しているとバンは判断した。
それでバンたちの中から誰がやるのかを話し合った。
その結果、バン、イリス、ヴィータがやることになった。
そしてテーブルを五人で囲い、バンがシャッフルしてカードを回し、揃ってないカードが出るまで捨てた。
「さぁ始めましょうか、ユーリちゃんを賭けたババ抜きを!」
「よし、俺のを引けヴィータ!」
「おう!
…お、早速揃ったぜ!」
「よし、でかしたぞ!」
最初にヴィータがバンの手札を一枚抜いて揃ったことで捨てた。
「今度は俺の番か…」
次に回ったバンはマカオから手札を取ろうとする。
「…」
「…はぁっ!!」
「うぉっ!?」
突然声をあげたマカオに驚くバン。
「…フフフフ」
「…何だよ。
クソっ!」
気を取り直してマカオからカードを一枚取るが、揃ってるカードがなくて思わず悪態をつく。
そしてマカオはイリスからカードを取って揃っていたからカードを捨てた。
「あっ!
おい、揃ってねぇの取らせろよ!」
「仕方ないじゃない!
こればっかりは運なんだから…!」
文句を言ってきたバンに言い返すイリスは、目を鋭くしながらジョマのカードを一枚取る。
「…あった!
どうでーす?」
「こいつ…!」
「やめなさい、子供の前でみっともない…」
「そうだぞイリス、今のは流石にな。
…あとお前あたしのこと子供だと思ったろ?」
「お前はどっちの味方だよ!」
「あらありがとお嬢さん」
さっきのやり返しと言わんばかりにバンに向かって嫌味を言うイリスを批難するジョマ。
それには賛同だとヴィータは言うがすぐにジョマから子供扱いされてキレそうになった。
そんなこんなで全員がババ抜きを進行していき、全員が持ってるカードを揃えて捨てた。
あっという間に残り少なくなって、誰もがあと一回同じ数を揃えればそれで終わりの状態だった。
そして…。
「…っ、やったわ!
上がりよ!!」
「よしでかしたぞイリス!!」
「あらお生憎様、私も終わっちゃったわ。
お嬢さんのお陰よ?」
「そりゃあどうもクソ変態」
「よし、早く引けヴィータ!」
「あぁ…!
やったぁ、あたしも上がりだ!」
イリスもヴィータもジョマも上がり、残りはバンとマカオだけだった。
「これで残りは私たちだけね。
さ、あなたの番よ?」
「くっ…!」
バンは恐る恐るカードを引くために手を伸ばす。
だが、それですぐには引くことができなかった。
それはとてつもない緊張から来るものだった。
しかも吐きそうになるレベルで。
確かにこれからすることはシンプルなことなのだ。
マカオの持つ二枚のカードから一枚引けば良い。
それでそのカードが手持ちと同じ数で揃っていたらバンたちの勝利だ。
しかし逆に揃っておらず、逆にジョーカーを取らされたら、それこそアウトだ。
どうしたものか、右か左か?
イエスかノーか?
男か女か?
男ならば、女を選びたい。
そういう風にバンの頭の中で思考を張り巡らせている。
そのせいか、顔が汗でびっしょりになり、息も上がっていた。
「時間がかかり過ぎよ、早くして?」
「…!」
バンはマカオに促される形で、震えるその手で一枚のカードを取る。
一瞬だけ、マカオがニヤリと口元を歪めたが、バンはそんなことよりも取った一枚のカードを手元に持っていこうと必死だったのだ。
「あ…」
顔から一筋の汗がテーブルに落ちて小さく弾ける。
同時に手元の一枚のカードと今取ったカードを見比べ、揃っているのがバンの目に写った。
「あ…!」
思わず目から涙溢れだした。
「やった…!
俺はこの長く苦しい戦いに勝ったんだ…!」
カードが揃ったことに歓喜を覚え、立ち上がって両手を上げた。
「やったわ、バン!!」
「ふぅ、どうなるかと思ったぞ…?」
「あらら、負けちゃったわね」
「約束通り、返してあげるわ」
そう言うとマカオとジョマはユーリを縛ってる縄を解いて突き飛ばすようにイリスに渡した。
「ユーリ、しっかりして!」
「…」
「無事なようだな。
本当に気を失ってるようだ…」
「さて、ユーリを返してもらったんだ…。
お前らも、このエルトリアから…」
「あら、誰がそんなことすると言ったのかしら?」
「…は?」
突然の言葉にバンたちは思わず呆けてしまう。
「でもちょっと待って!
バンさんは確かにユーリちゃんの解放とエルトリアからの退却を言って…」
「えぇ、確かに約束したわ。
ユーリちゃんの解放だけわね」
「でもさっきメンバー決めるときに少し笑って…」
「えぇ、笑ったわよ。
でも、私たちは返事したかしら?」
「してないわよ?
それは、あなたたちがそう思っていただけ」
「嘘だろ…」
「くっ、ダメだ!
こいつらあたしたちを帰す気はないみたいだ!
アイゼンも変身できない…!」
ヴィータは先ほどからデバイスで変身しようと試みてるようだったが、変身できないでいるようだった。
「それなら、すぐにここを離れて…」
「させないわ!」
「きゃっ!」
「イリス!」
イリスがユーリを連れて外に出ようとした途端見えない壁に阻まれて出られなくなる。
「残念だけど、あなたたちはここで終わりよ?」
「今からユーリちゃんの力で作った機動外殻の餌食になるんですもの」
「機動外殻だと!」
「しかも、ユーリの力って…!」
「えぇ、だってその子中々言うこと聞かないんですもの。
だから、私たちが無理やりやらせたのよ?」
「それに、これはエルトリアを支配するのに必要なことなの。
あなたたちを始末した後でユーリちゃんにはもっと頑張ってもらわないと」
「なんてひどいことを…!」
「これだから君たちのようなオカマは大嫌いなんだよ…!」
「そのために、そのためにユーリをこんな…っ!!」
「あーら、そんなに怒った顔しても怖くはないわ?」
「そんな小動物みたいに吼えるなんて、お可愛いこと、クスッ」
イリスの怒りを何とも思わない感じで笑うオカマ魔女。
『さぁ出てきなさい!
ユーリちゃんの力で作り上げた機動外殻ちゃんたち!』
二人は身を寄せ合って手をつないで機動外殻を呼び出した。
その瞬間だった。
突然壁を突き破って何かがオカマ魔女の前の床に突き刺さった。
それはよく見ると、ロボットの部品というか、残骸に近かった。
「…あら、こんな派手な登場、頼んでないけど?」
「怪盗チェンジ」
その言葉と共にジョマの隣に赤い影が銃を持っていた。
「マカオぉ!!」
「ジョマぁ!!」
マカオがジョマを庇って赤い影に撃たれて倒れた。
煙が晴れて、その赤い影は正体を現した。
「あれは、怪盗!」
「怪盗の力を取り戻したの!?」
そう、怪盗、つまりはルパンレッドだった。
ルパンレッドがどういうわけかリュウソウジャーではなく、ルパンレンジャーになっていたのだ。
「よくもやってくれたわね!」
ジョマはマカオをやられた怒りと悲しみをぶつけるように蹴り飛ばす。
ルパンレッドは疲弊してるのか避けることはできず吹き飛ばされてしまう。
「無茶しすぎデス!」
「いきなり飛び出して、びっくりしました」
吹き飛ばされた先で緑とピンクの二人の少女が受け止め、ジョマを青と黄の光の攻撃が襲い倒れた。
それによって、オカマ魔女の無力化が成功した。
だが二人は突き破った壁から顔を出した恐竜型のロボットに咥えられる形で連れ去られた。
あまりにあっという間の出来事で、バンたちは何もできなかった。
だが、一つだけあるものを見た。
仲間たちに起こされるルパンレッドは疲弊してたせいか、変身を解除してしまい、その素顔を晒したのだ。
「まさか、ルパンレッドの正体が、雨宮連だと!」
バンたちはルパンレッドの、雨宮連の素顔に驚いた。
だが、今までのことを冷静に考えると、合点がいった。
怪盗にしてペルソナ使いだと考えると。
「…よく考えたら、ペルソナを使っていた。
それに転生者じゃないんだったら、それも考えられる」
「怪盗が怪盗の力を得る。
不思議ではなかったんですね」
「あの人たちのこと、知ってるんですか?」
「あぁ、心の怪盗団と呼ばれる集団のリーダーだ。
世直しで人の認知を変えるけど、ますかレッドが…」
なのはの質問に答えるバンだが、正直内心バンも驚いていた。
なぜ雨宮連がルパンレンジャー、もといリュウソウジャーになってるのかさっぱりだった。
だが、それ以上に驚いてるのが一人いた。
「嘘だろ…」
「ヴィータ隊長?」
ヴィータが雨宮連を見て激しく同様している。
「お前、どういうことだよ…。
何でっ、お前が怪盗なんだよ!!」
「ヴィータちゃん、知り合いなの?」
「あぁ、地球で住んでいた時にはやてが弟のような存在だって言ってたやつだよ!」
「えっ!?」
「どういうことだ!!」
なのはは思わず驚いた。
それはバンたちも同じだった。
そんなときに、地面が揺れ出した。
いや、地面どころか空間が揺れているのだ。
「一体何が?」
『お前たち、時空の歪みに穴が開いた。
今なら帰れるぞ』
「あぁわかった、という事で、ここでお別れだ」
ルパンブルーがそう言うと、恐竜の中から二人の女性がヘンダー城に入ってきた。
「えっ、アミタにキリエ!?
どうして怪盗たちと?」
「はっはい!
実は私たちは彼らに助けられて…」
「だけど、どういう事態なのかさっぱりなのよね…」
二人は突き破った壁から外を見ると、ルパンレンジャーたちを乗せた恐竜が時空の歪みに飛び込んでいくのが見えた。
追うにももう距離が離れてしまってるため追いかけることはできない。
バンたちは今の出来事にただ呆然としてるだけだったが、ヴィータはぺたりと地面に座り込んだ。
「ヴィータ?
おい、しっかりしろ!」
「連、どうしてなんだよ…」
ヴィータは今の出来事を受け入れられずにいるのか項垂れていた。
それからしばらくして全員で外に出ると、ヘンダー城は崩壊し、エルトリアは解放されることとなった。